作品ID:278
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Devil+Angel=Reo
小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 完結
前書き・紹介
第二部・第16話。
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「私には、アッラーフというその名前がどれだけ重要かなんて分かりません。その名前の意味すら知りません。ですが以前、私がアッラーフだったということは事実なのでしょう?」
真っ白い壁に張り付くようにして備え付けられた茶色い縁の窓。
窓を開ければ、心地よい風が桐生刹那の赤くパーマ済みのショートカットを揺らす。
目を閉じた、その姿に彼女の幼馴染でもある紅來璃維は一種の違和感を覚える。
〈あぁ、そうか〉
「私は、アッラーフだった頃の記憶はありません。しかし、天使としての記憶ならある」
瀬宮真希に背を向けていた体を真希の方へと向け、刹那は自身の真っ黒な両目を真希に向ける。
〈何もかも、同じなんだ〉
「アッラーフへと昇格するのは決して簡単ではないでしょう。ですが、天使としての昇格ならば認められるはずです。そうですよね? 朝日奈騎士さん?」
真希から目を逸らし、失踪したままの朝日奈翼の姉、朝日奈騎士に目線を移す。
急に話をふられたため、一瞬反応に遅れたが、返答する。
「た、確かに……過去、下級天使が功績を上げ、上級にまで昇格した前例はありますが……」
「ならば、私も例外ではないでしょう?」
「……しかし、アッラーフとしての記憶がない以上」
「記憶はなくとも、記録はあるでしょう?」
「それは、ガブリエル宮殿にいけば、あると思いますけど……」
「なら、それを使えばいい。歴代のアッラーフは全て名前を記録されると聞きますし」
〈何ゆえ、刹那がそんなことを知っている?〉
「ですよね? 璃維」
〈違う。刹那は、こうじゃない〉
「璃維? どうかしました?」
〈刹那は……刹那がこんなことを知っているはずがない……!〉
「璃維?」
「マリア、いい加減にしろ」
いつの間にか。
自分の口から、そんな言葉が出ていた。
「紅來?」
「璃維? どうした?」
「紅來君?」
刹那の妹、桐生媛、そして鋼夜春袈、ライナ・メロディスの順で声をかける。
誰に? 勿論、俺に。
「マリア。何故、今なんだ?」
マリア。その名はイエス・キリストの母、聖母マリアを意味している。
しかし、マリアと声をかけた人物は刹那だ。
「答えないのか? それとも答えたくないのか?」
前髪を右側だけ下ろし、その隙間からうかがえる璃維の髪と同色の黒い両目は刹那を睨んでいる。
幼馴染で、誰よりも大切にしていた桐生刹那を。
璃維の言葉と視線に戸惑いを隠せない、春袈たちもそうだが。
朝日奈騎士たちはもっと戸惑っていた。
今まで強気な態度をとっていた、あの真希だって。
「どうして、どうしてマリア様が?」
真希の質問に答えたのは、璃維だった。
刹那への睨みを絶やさないまま答える声色は、低く。
「刹那の母親が、旧ガブリエルだということは知っているな?」
「え、ええ。勿論。私たち6大天使の中では有名だから……」
「なら、刹那の母親……桐生ナツメが旧マリア、そして現マリアだということは?」
その言葉に、真希だけじゃなく、騎士もそれまで黙っていた莉梨も目を見開く。
「そんなっ! マリアという役職は確かに在る。しかし、アッラーフと同様、6大天使としては存在したいぞ!?」
「天使で考えるな。聖母マリアは誰の母だ?」
騎士の言葉に璃維は静かに返す。その言葉に莉梨はゆっくりと、
「……もしかして、桐生純菜〈じゅんな〉の計らい……?」
「あぁ。純菜は、ナツメの夫だし、それ以前からナツメを尊敬していたし」
桐生ナツメ、旧姓はヴェリアークである。
そして桐生純菜。よく純菜からとった「ジュン兄」と自分は呼んでいた。
この2人から産まれたのが自分の幼馴染、桐生刹那。
だからこそ、刹那はアッラーフになる必要があった。
真っ白い壁に張り付くようにして備え付けられた茶色い縁の窓。
窓を開ければ、心地よい風が桐生刹那の赤くパーマ済みのショートカットを揺らす。
目を閉じた、その姿に彼女の幼馴染でもある紅來璃維は一種の違和感を覚える。
〈あぁ、そうか〉
「私は、アッラーフだった頃の記憶はありません。しかし、天使としての記憶ならある」
瀬宮真希に背を向けていた体を真希の方へと向け、刹那は自身の真っ黒な両目を真希に向ける。
〈何もかも、同じなんだ〉
「アッラーフへと昇格するのは決して簡単ではないでしょう。ですが、天使としての昇格ならば認められるはずです。そうですよね? 朝日奈騎士さん?」
真希から目を逸らし、失踪したままの朝日奈翼の姉、朝日奈騎士に目線を移す。
急に話をふられたため、一瞬反応に遅れたが、返答する。
「た、確かに……過去、下級天使が功績を上げ、上級にまで昇格した前例はありますが……」
「ならば、私も例外ではないでしょう?」
「……しかし、アッラーフとしての記憶がない以上」
「記憶はなくとも、記録はあるでしょう?」
「それは、ガブリエル宮殿にいけば、あると思いますけど……」
「なら、それを使えばいい。歴代のアッラーフは全て名前を記録されると聞きますし」
〈何ゆえ、刹那がそんなことを知っている?〉
「ですよね? 璃維」
〈違う。刹那は、こうじゃない〉
「璃維? どうかしました?」
〈刹那は……刹那がこんなことを知っているはずがない……!〉
「璃維?」
「マリア、いい加減にしろ」
いつの間にか。
自分の口から、そんな言葉が出ていた。
「紅來?」
「璃維? どうした?」
「紅來君?」
刹那の妹、桐生媛、そして鋼夜春袈、ライナ・メロディスの順で声をかける。
誰に? 勿論、俺に。
「マリア。何故、今なんだ?」
マリア。その名はイエス・キリストの母、聖母マリアを意味している。
しかし、マリアと声をかけた人物は刹那だ。
「答えないのか? それとも答えたくないのか?」
前髪を右側だけ下ろし、その隙間からうかがえる璃維の髪と同色の黒い両目は刹那を睨んでいる。
幼馴染で、誰よりも大切にしていた桐生刹那を。
璃維の言葉と視線に戸惑いを隠せない、春袈たちもそうだが。
朝日奈騎士たちはもっと戸惑っていた。
今まで強気な態度をとっていた、あの真希だって。
「どうして、どうしてマリア様が?」
真希の質問に答えたのは、璃維だった。
刹那への睨みを絶やさないまま答える声色は、低く。
「刹那の母親が、旧ガブリエルだということは知っているな?」
「え、ええ。勿論。私たち6大天使の中では有名だから……」
「なら、刹那の母親……桐生ナツメが旧マリア、そして現マリアだということは?」
その言葉に、真希だけじゃなく、騎士もそれまで黙っていた莉梨も目を見開く。
「そんなっ! マリアという役職は確かに在る。しかし、アッラーフと同様、6大天使としては存在したいぞ!?」
「天使で考えるな。聖母マリアは誰の母だ?」
騎士の言葉に璃維は静かに返す。その言葉に莉梨はゆっくりと、
「……もしかして、桐生純菜〈じゅんな〉の計らい……?」
「あぁ。純菜は、ナツメの夫だし、それ以前からナツメを尊敬していたし」
桐生ナツメ、旧姓はヴェリアークである。
そして桐生純菜。よく純菜からとった「ジュン兄」と自分は呼んでいた。
この2人から産まれたのが自分の幼馴染、桐生刹那。
だからこそ、刹那はアッラーフになる必要があった。
後書き
作者:斎藤七南 |
投稿日:2010/08/08 09:16 更新日:2010/08/08 12:34 『Devil+Angel=Reo』の著作権は、すべて作者 斎藤七南様に属します。 |
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