作品ID:298
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Devil+Angel=Reo
小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 完結
前書き・紹介
第二部・第19話。
前の話 | 目次 | 次の話 |
「オーディ卿。スタンド席、電光掲示板直ぐ左横。そこにラファエロ・サンティが居る」
フォクトノヴァ製のグローブを手につけた、ミフィル・ラーリスピアがゴーグル越しに私を見ながらそう言った。
この少女は軍人でもある。
そんな人材のいう言葉。信じるしかない。
「……ラファエロ・サンティは、一回戦途中じゃない?」
射撃モードに切り替えたシャルフォレックに弾丸を詰める。
そして、レルーフェ・シャフォールの背後に回った相手を撃つ。
「確かに。でも、一回戦の相手はアズラエル。シード権があるアズラエルとは戦わずにすみ、二回戦までなし」
「……そうでしたか。有難うございます」
「いいや。こっちとしても興味があったから。アンタの反応に」
ミフィルはそれ以上言わず、私ことシェリアード・オーディから離れ、戦場で舞う。
〈にしても、アッラーフの存在は大きいですね……。
ちょっとまずいでしょうか。
アッラーフの言葉が影響を持つことは知っていますし、それを利用する者も少なくはない〉
赤い銃身と自分の身を狙った相手の狙撃手の攻撃をシャルフォレックで跳ね返す。
エネルギーとエネルギーがぶつかり、小爆発を起こす。
煙の向こうにあったのは、すでにシェリアードの姿はなく砂埃だけ。
「貴方の腕は確かに良い。しかし、まだ詰めが甘いです」
狙撃手の後ろに回りこんだシェリアードがシャルフォレックで狙撃手をなぎ払う。
……誤解されがちだが。
シェリアードは決して遠距離専門というわけではない。
ただ単に遠距離戦闘を好むだけで、実際に2年生の時に行われた軍での実習のときなどは己の元々の戦闘方法、近距離戦闘のスタイルをとっていた。
ではなぜ、シェリアードは遠距離専門へと変わったのか?
それは単純に、このチームでライフルを扱えるのがシェリアードしか居なかったからだ。
「ミスタ・メロディス? 残り何人ですか?」
「残り3。だけど、レルーフェが集中的に狙われてる」
「了解」
ライナ・メロディスの兄、フェンシュ・メロディスに確認をとったのは、先ほどレルーフェの後ろにまわった敵、そしてその他の相手らがずっとレルーフェに目線を向けていること。
それにレルーフェも気づく。
いつもお気楽な振る舞いをしているレルーフェも戦士としての自覚が芽生えて久しい。
戦場に立てば、その自覚はレルーフェの力となり、レルーフェはより強くなる。
シャルフォレックの弾丸が砲撃モードで発射されたまま、赤い火を纏いながら一直線にレルーフェを狙う。
正確にはレルーフェの周りにいた、相手だが。
レルーフェはそれを視覚で捉え、女性NEV機関員の頭を踏み台にし、その包囲から抜け出す。
「ミス・シャフォール?」
「ありがと。マジでやばかったわ。今のは。油断しすぎだったかにゃ?」
「油断もなにも、囲まれる事自体が問題なんですよ。普段から鍛錬を怠っている証拠じゃないですか」
シャルフォレックのスコープを覗きながら、引き金を引きながら砂埃舞う戦場で2人の少女が会話を繰り広げる。
煙が視界を遮らなくなった頃には、シェリアード側の人間以外、自分の意識を手放していた途中だった。
「やっぱりシャルフォレックは進化しちゃってた?」
「……いや、俺がNEVに居る頃からシャルフォレックのバージョンアップは既に最終調整まで入ってた。だから、別に予想できなかったわけではないんだが……」
「でもシャルフォレックは大砲になっちゃってるわけだよね? これは?」
「それは知らない。ただ、早紀からシャルフォレックのルビーを探しに行けって命令された覚えはある」
「え。それってNEV時代に?」
「当然。NEV脱退後は早紀と連絡を取り合わなかったし、とる必要もなかった」
「ま。そんなもんか」
スタンド席に深く腰かけながら、時折吹く風に髪を靡かせておく。
「春袈、シャルフォレックってそんなに凄いの?」
「え。刹那。今のシャルフォレックの攻撃見てなかったの!?」
子声で春袈は、刹那を見てその黒い瞳をまっすぐに見る。
「えーと、見てたけど元々? のシャルフォレックの攻撃力? を見てないから……」
照れながら頬を左手人差し指で掻く刹那。
その姿に春袈は納得し、説明する。
「シャルフォレックは、さっき言ったとおり、シェリアードさんの自慢の武器。
シェリアードさんは今までも色んな武器を作ってきたけれど、それらは全部、全方位破壊兵器のみ。だから、シェリアードさんにしては珍しく、自分用に武器を作ったってことでNEVの中で結構話題になったんだ。
それに、あのシェリアード・オーディの武器。しかも使うのは彼女自身。
威力も命中力も全てシェリアード・オーディの技術力を詰め込んでできたもの。
そりゃ、それだけの力は発揮する」
「だけど以前、シャルフォレックは誤作動を起こした」
春袈の言葉に繋げるように媛が口をはさむ。
「……媛、どうしてそこまで知ってるの?」
「私、特技としてパソコン。どっちかっていうと理系なのかな。
NEVのデータなんて簡単に引き出せるから」
「それって、軽く犯罪だよ。まったくもう。
でも媛の言うとおり。
確かにシャルフォレックは一度だけ誤作動を起こした。
原因は、シェリアードさん自身にあったんだ」
「でもシャルフォレックを造ったのはシェリアードさんでしょ?
そのシェリアードさんが原因って?」
「私ね。その時すごく焦ってたのよ。
強い武器を作らなきゃって、焦ってた」
後ろから、声をかけられ、思わず肩が跳ねる。
「初めまして、桐生刹那。
私はシェリアード・オーディと申します。
フェリアンヴェスピュリア大公国立軍事学校、シュヴェルトヘリア私立高等学校2年6期生です。
あ、6期というのは2年になって6ヶ月たったということですので」
笑顔で、シャルフォレックを肩にかけたシェリアードが、ライナの席に座っていた。
「しぇ、しぇしぇシェリアード・オーディぃぃぃ!?」
春袈が驚き、思わず座ったまま後ずさる。
ライナの行方など知らぬふりだ。
「ふふ。鋼夜機関員? ライナ機関員の心配はしないんですね」
「んなのないわ! 私が聞きたいのは、どうしてキミが居るのか……ってことで!」
「あらまあ、ライナ君かわいそう。ねえ、ライナ君?」
シェリアードの目線を追いかけると、シャルフォレックの銃口に服が引っかかったままぶら下がっているライナが居た。
「大丈夫ですよ。こんなところで引き金を引いたりしませんから」
空いている右手でシェリアードは口元を隠す。
「お嬢様らしい仕草は健在か、シェリ?」
璃維がただ一人、シェリアードの登場に動じなかった璃維がシェリアードの名前を呼ぶ。
「まだ、その愛称で呼んでくれるのですね璃維君」
「といっても、二度とお前の実験台にされるのは御免だけどな」
鼻で笑い、璃維は銃口に引っかかったままのライナを抱き上げ、立たせる。
「シェリ。シャルフォレックの改造は元々あった案だ。
シャルフォレックの改造は国王も認めていたし。
だが、それを砲撃型にするとは聞いていない」
「NEVを脱退した貴方に何を言えと?」
「少なくとも、お前のシャルフォレックがあれば……
鈴也とナツメの願いはどちらもかなえることができる」
璃維の言葉を遮るようにして、アナウンスが響く。
『次! 第1訓練場にて、ラファエロ・サンティ対メルベルト!
両チームは訓練場へ!』
あの女性軍人の声が聞こえる。
それに笑い、璃維はシェリアードを指差す。
「待ってな。あの借りを今日こそ返す」
かつて、NEV初代機関長以来の人材とまで言われた紅來璃維の姿がここにあった。
フォクトノヴァ製のグローブを手につけた、ミフィル・ラーリスピアがゴーグル越しに私を見ながらそう言った。
この少女は軍人でもある。
そんな人材のいう言葉。信じるしかない。
「……ラファエロ・サンティは、一回戦途中じゃない?」
射撃モードに切り替えたシャルフォレックに弾丸を詰める。
そして、レルーフェ・シャフォールの背後に回った相手を撃つ。
「確かに。でも、一回戦の相手はアズラエル。シード権があるアズラエルとは戦わずにすみ、二回戦までなし」
「……そうでしたか。有難うございます」
「いいや。こっちとしても興味があったから。アンタの反応に」
ミフィルはそれ以上言わず、私ことシェリアード・オーディから離れ、戦場で舞う。
〈にしても、アッラーフの存在は大きいですね……。
ちょっとまずいでしょうか。
アッラーフの言葉が影響を持つことは知っていますし、それを利用する者も少なくはない〉
赤い銃身と自分の身を狙った相手の狙撃手の攻撃をシャルフォレックで跳ね返す。
エネルギーとエネルギーがぶつかり、小爆発を起こす。
煙の向こうにあったのは、すでにシェリアードの姿はなく砂埃だけ。
「貴方の腕は確かに良い。しかし、まだ詰めが甘いです」
狙撃手の後ろに回りこんだシェリアードがシャルフォレックで狙撃手をなぎ払う。
……誤解されがちだが。
シェリアードは決して遠距離専門というわけではない。
ただ単に遠距離戦闘を好むだけで、実際に2年生の時に行われた軍での実習のときなどは己の元々の戦闘方法、近距離戦闘のスタイルをとっていた。
ではなぜ、シェリアードは遠距離専門へと変わったのか?
それは単純に、このチームでライフルを扱えるのがシェリアードしか居なかったからだ。
「ミスタ・メロディス? 残り何人ですか?」
「残り3。だけど、レルーフェが集中的に狙われてる」
「了解」
ライナ・メロディスの兄、フェンシュ・メロディスに確認をとったのは、先ほどレルーフェの後ろにまわった敵、そしてその他の相手らがずっとレルーフェに目線を向けていること。
それにレルーフェも気づく。
いつもお気楽な振る舞いをしているレルーフェも戦士としての自覚が芽生えて久しい。
戦場に立てば、その自覚はレルーフェの力となり、レルーフェはより強くなる。
シャルフォレックの弾丸が砲撃モードで発射されたまま、赤い火を纏いながら一直線にレルーフェを狙う。
正確にはレルーフェの周りにいた、相手だが。
レルーフェはそれを視覚で捉え、女性NEV機関員の頭を踏み台にし、その包囲から抜け出す。
「ミス・シャフォール?」
「ありがと。マジでやばかったわ。今のは。油断しすぎだったかにゃ?」
「油断もなにも、囲まれる事自体が問題なんですよ。普段から鍛錬を怠っている証拠じゃないですか」
シャルフォレックのスコープを覗きながら、引き金を引きながら砂埃舞う戦場で2人の少女が会話を繰り広げる。
煙が視界を遮らなくなった頃には、シェリアード側の人間以外、自分の意識を手放していた途中だった。
「やっぱりシャルフォレックは進化しちゃってた?」
「……いや、俺がNEVに居る頃からシャルフォレックのバージョンアップは既に最終調整まで入ってた。だから、別に予想できなかったわけではないんだが……」
「でもシャルフォレックは大砲になっちゃってるわけだよね? これは?」
「それは知らない。ただ、早紀からシャルフォレックのルビーを探しに行けって命令された覚えはある」
「え。それってNEV時代に?」
「当然。NEV脱退後は早紀と連絡を取り合わなかったし、とる必要もなかった」
「ま。そんなもんか」
スタンド席に深く腰かけながら、時折吹く風に髪を靡かせておく。
「春袈、シャルフォレックってそんなに凄いの?」
「え。刹那。今のシャルフォレックの攻撃見てなかったの!?」
子声で春袈は、刹那を見てその黒い瞳をまっすぐに見る。
「えーと、見てたけど元々? のシャルフォレックの攻撃力? を見てないから……」
照れながら頬を左手人差し指で掻く刹那。
その姿に春袈は納得し、説明する。
「シャルフォレックは、さっき言ったとおり、シェリアードさんの自慢の武器。
シェリアードさんは今までも色んな武器を作ってきたけれど、それらは全部、全方位破壊兵器のみ。だから、シェリアードさんにしては珍しく、自分用に武器を作ったってことでNEVの中で結構話題になったんだ。
それに、あのシェリアード・オーディの武器。しかも使うのは彼女自身。
威力も命中力も全てシェリアード・オーディの技術力を詰め込んでできたもの。
そりゃ、それだけの力は発揮する」
「だけど以前、シャルフォレックは誤作動を起こした」
春袈の言葉に繋げるように媛が口をはさむ。
「……媛、どうしてそこまで知ってるの?」
「私、特技としてパソコン。どっちかっていうと理系なのかな。
NEVのデータなんて簡単に引き出せるから」
「それって、軽く犯罪だよ。まったくもう。
でも媛の言うとおり。
確かにシャルフォレックは一度だけ誤作動を起こした。
原因は、シェリアードさん自身にあったんだ」
「でもシャルフォレックを造ったのはシェリアードさんでしょ?
そのシェリアードさんが原因って?」
「私ね。その時すごく焦ってたのよ。
強い武器を作らなきゃって、焦ってた」
後ろから、声をかけられ、思わず肩が跳ねる。
「初めまして、桐生刹那。
私はシェリアード・オーディと申します。
フェリアンヴェスピュリア大公国立軍事学校、シュヴェルトヘリア私立高等学校2年6期生です。
あ、6期というのは2年になって6ヶ月たったということですので」
笑顔で、シャルフォレックを肩にかけたシェリアードが、ライナの席に座っていた。
「しぇ、しぇしぇシェリアード・オーディぃぃぃ!?」
春袈が驚き、思わず座ったまま後ずさる。
ライナの行方など知らぬふりだ。
「ふふ。鋼夜機関員? ライナ機関員の心配はしないんですね」
「んなのないわ! 私が聞きたいのは、どうしてキミが居るのか……ってことで!」
「あらまあ、ライナ君かわいそう。ねえ、ライナ君?」
シェリアードの目線を追いかけると、シャルフォレックの銃口に服が引っかかったままぶら下がっているライナが居た。
「大丈夫ですよ。こんなところで引き金を引いたりしませんから」
空いている右手でシェリアードは口元を隠す。
「お嬢様らしい仕草は健在か、シェリ?」
璃維がただ一人、シェリアードの登場に動じなかった璃維がシェリアードの名前を呼ぶ。
「まだ、その愛称で呼んでくれるのですね璃維君」
「といっても、二度とお前の実験台にされるのは御免だけどな」
鼻で笑い、璃維は銃口に引っかかったままのライナを抱き上げ、立たせる。
「シェリ。シャルフォレックの改造は元々あった案だ。
シャルフォレックの改造は国王も認めていたし。
だが、それを砲撃型にするとは聞いていない」
「NEVを脱退した貴方に何を言えと?」
「少なくとも、お前のシャルフォレックがあれば……
鈴也とナツメの願いはどちらもかなえることができる」
璃維の言葉を遮るようにして、アナウンスが響く。
『次! 第1訓練場にて、ラファエロ・サンティ対メルベルト!
両チームは訓練場へ!』
あの女性軍人の声が聞こえる。
それに笑い、璃維はシェリアードを指差す。
「待ってな。あの借りを今日こそ返す」
かつて、NEV初代機関長以来の人材とまで言われた紅來璃維の姿がここにあった。
後書き
作者:斎藤七南 |
投稿日:2010/08/26 19:45 更新日:2010/08/26 19:45 『Devil+Angel=Reo』の著作権は、すべて作者 斎藤七南様に属します。 |
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