作品ID:556
あなたの読了ステータス
(読了ボタン正常)一般ユーザと認識
「もう未練はありませんか?」を読み始めました。
読了ステータス(人数)
読了(423)・読中(8)・読止(0)・一般PV数(1308)
読了した住民(一般ユーザは含まれません)
もう未練はありませんか?
小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 完結
前書き・紹介
三人目のお客 杏奈名前を覚えてもらえない・・・
前の話 | 目次 | 次の話 |
まるで画用紙をあわせて作ったような空間に一人の少年がいた。年は7歳ぐらいで、髪は色素が抜けたような白である。
「? ここどこ?」
少年が誰に問うでもなくつぶやいた。
「ここは、あなたに救いを与える場所です」
少年は自分の独り言に答えた声のほうを向いた。そこには鎌を持った長い髪をアップまとめて縛っている一人の幼女がいた。その横には一匹の黒猫が待機している。
「お姉ちゃんは誰?」
「私はここの管理人。名前は白猫杏奈です」
「僕はディクショナリー。ディーと呼べ」
名前を聞かれて名乗る少女+一匹、しかし・・・
「臆病なあんこ? それとはっくしょん?」
「誰があんこですか! どう聞き間違えたらそうなるんですか!?」
「誰がそんなくしゃみみたいな発音した! 僕の名前はディクショナリーだ! 長いからディーでいいっていっただろ!」
「あう・・・ごめんなさい。僕、頭悪いから・・・ごめんなさいディーにあんこ」
「ですから私の名前は杏奈です!」
「良かったねアンナ。甘そうな名前付けてもらって」
「自分だけ覚えてもらったからって・・・ディー、後で覚悟していてください」
「あんこ、ディーは悪くない」
頭を抱えてその場にへたり込む杏奈、それを見たディーは目を閉じて・・・
「じゃあこれから僕のことを黒猫であっちのあんこが白猫で覚えられる?」
「白猫さんと黒猫さん?」
「ほらアンナ。名前覚えてもらえたぞ」
「・・・・・・しばらく私にことは放って置いてください」
空間の端っこで体育座りで動かなくなった杏奈を見てディーはため息をつくのだった。
「???」
不思議そうに少年は空間の端っこで始まった説得眺めるのであった。
しばらくお待ちください。
「こほん! では、あなたの名前を教えてください」
立ち直った杏奈はまず今回のお客である少年に名前を聞いた。まだ微妙に涙目なのは気づいても指摘しないのがやさしさ・・・
「白猫さんなんで泣いてるの?」
なのだが、この少年にはそう言う気遣いは出来ないようだった。
「な、泣いてなんかいませんよ?」
精一杯強がる杏奈。しかし少年の追撃はやまなかった。
「でも・・・白猫さん泣いてるよ? やっぱり僕のせい?」
「ですから泣いてないですから。気遣いは無用です」
「白猫さん・・・ふぇ・・・僕のせいで・・・」
ついに泣き出してしまった少年、杏奈はそれを見て・・・
「・・・・・・あなたまで泣き出すなんて・・・反則ですーーーーー!」
再び空間の端っこで体育座りする杏奈、空間の真ん中で泣きじゃくる少年・・・
「・・・やれやれ」
ディーは頭を押さえるという猫にあるまじき動作をしてから行動を開始した。
そちらには時間と言う概念があるかも知れませんがお付き合いください by誉
「っで、君の名前は?」
いまだに空間の端っこでいじけている杏奈を完全に放置してディーは少年の相手を始めた。
「僕の名前は12番」
「12番? 僕が聞きたいのは数字じゃなくて君の名前なんだけど?」
「名前って言われても・・・僕は12番以外の言葉で呼ばれたこと無いから・・・」
ディーは少し考えてから・・・
「情報検索・・・該当情報より情報の絞込みを開始・・・終了」
ディーの目の動向が縮み、元に戻ると同時にディーの目の前に一枚の紙が現れた。前回杏奈がやった時より、ディーのほうが早く、効率的だった。
「・・・」
ディーはその書類の内容を見るなり、それをくわえて杏奈のところに持っていった。杏奈はディーの存在に気づいて、しぶしぶと書類を受け取り、内容を確認し始めて・・・
「なるほど、ここは私が行かないと行けませんね」
意を決して立ち上がり少年の元に歩いて杏奈は今度は少年にこう質問した。
「何か・・・やりたい事はありますか?」
やさしく、落ち着いた声で、杏奈の質問に少年は。
「あめさんが食べたい」
そう答えた。杏奈は鎌を握りなおして・・・
「アンナ。それはもう僕の仕事だよ」
ディーは杏奈を止めてから自分の仕事である<物品申請>を開始した。
ほどなくして杏奈の手に一つの飴が入った袋が出現した。味はバターキャラメル味と記載されていた。
「あ! それ僕が好きなやつ!」
少年が無邪気な声を上げて杏奈にくれくれ! と手を差し出す。杏奈は袋を開けて一つ取り出して少年の手の平に乗せた。
「ありがとう白猫さん!」
開封して、口に放り込んむ。とても幸せそうな顔をした後・・・
「白猫さんも一つ食べたら?」
「・・・では、言葉に甘えて」
杏奈も一つ取り出して口へ
「・・・美味しいですね」
「でしょ!」
輝かんばかりの笑顔を見せる少年、杏奈はそれを見て・・・
「もう、いいですか?」
少年に聞いた。
「? なにが?」
少年の言葉を無視して杏奈は空間の壁の一つに手をあわせて・・・
「来たれ、転生の扉」
杏奈の前に一つの扉が出現する。
「? 白猫さん、その扉は?」
「最初に言ったようにここはあなたに救いを与える場所です。私はそれを手助けし、時に行き過ぎるのを防ぐための管理人」
杏奈はそう言って少年に自分が持っていた飴の入った袋を手渡した。
「白猫さん・・・僕は難しい事は分からないけど・・・その扉を通ればいいの?」
「はい。大丈夫ですよ、この扉の先には注射器も電気ショックもありません」
杏奈の言葉を聞いて何かに怯えるような表情をした。
「・・・本当? この先には辛い事は無い?」
杏奈は首を横に振った。
「辛い事はたくさんあります。でも、楽しい事もあります」
少年は少しためらってから。ドアノブに手をかけた。
「・・・・・・白猫さん泣いてる」
「ひっく・・・泣いてなんかいません・・・ひぐ」
「・・・白猫さん・・・これ」
少年は手に持っていた飴袋を杏奈に手渡した。
「白猫さん・・・泣かないで」
少年はそう残して扉の向こうに消えていった。
「・・・はい」
杏奈は確かにうなずいた。
「・・・大丈夫? アンナ?」
心配したディーが杏奈の顔を覗きこむと・・・
ぐわし!
「にゃう! アンナ?」
「・・・ふふふふふふふふふふ」
「アンナ!? 怖いよ!」
「ディー・・・宣言どおりに覚悟は出来ていますか?」
「! な、なにをする気?」
「大丈夫ですよ。ちょっと猫背を矯正するだけです」
「やめて! そんな事されたら僕、猫じゃなくなる! もともと犬の予定だったけどいま僕は猫だから! 猫の猫背を矯正したら猫じゃなくなる!」
ディーの必死の命乞いもいまの杏奈には届かず・・・
ごりゅれ!
「にゃぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
その後、杏奈がどっぷり落ち込んだのはまた、別のお話・・・
「? ここどこ?」
少年が誰に問うでもなくつぶやいた。
「ここは、あなたに救いを与える場所です」
少年は自分の独り言に答えた声のほうを向いた。そこには鎌を持った長い髪をアップまとめて縛っている一人の幼女がいた。その横には一匹の黒猫が待機している。
「お姉ちゃんは誰?」
「私はここの管理人。名前は白猫杏奈です」
「僕はディクショナリー。ディーと呼べ」
名前を聞かれて名乗る少女+一匹、しかし・・・
「臆病なあんこ? それとはっくしょん?」
「誰があんこですか! どう聞き間違えたらそうなるんですか!?」
「誰がそんなくしゃみみたいな発音した! 僕の名前はディクショナリーだ! 長いからディーでいいっていっただろ!」
「あう・・・ごめんなさい。僕、頭悪いから・・・ごめんなさいディーにあんこ」
「ですから私の名前は杏奈です!」
「良かったねアンナ。甘そうな名前付けてもらって」
「自分だけ覚えてもらったからって・・・ディー、後で覚悟していてください」
「あんこ、ディーは悪くない」
頭を抱えてその場にへたり込む杏奈、それを見たディーは目を閉じて・・・
「じゃあこれから僕のことを黒猫であっちのあんこが白猫で覚えられる?」
「白猫さんと黒猫さん?」
「ほらアンナ。名前覚えてもらえたぞ」
「・・・・・・しばらく私にことは放って置いてください」
空間の端っこで体育座りで動かなくなった杏奈を見てディーはため息をつくのだった。
「???」
不思議そうに少年は空間の端っこで始まった説得眺めるのであった。
しばらくお待ちください。
「こほん! では、あなたの名前を教えてください」
立ち直った杏奈はまず今回のお客である少年に名前を聞いた。まだ微妙に涙目なのは気づいても指摘しないのがやさしさ・・・
「白猫さんなんで泣いてるの?」
なのだが、この少年にはそう言う気遣いは出来ないようだった。
「な、泣いてなんかいませんよ?」
精一杯強がる杏奈。しかし少年の追撃はやまなかった。
「でも・・・白猫さん泣いてるよ? やっぱり僕のせい?」
「ですから泣いてないですから。気遣いは無用です」
「白猫さん・・・ふぇ・・・僕のせいで・・・」
ついに泣き出してしまった少年、杏奈はそれを見て・・・
「・・・・・・あなたまで泣き出すなんて・・・反則ですーーーーー!」
再び空間の端っこで体育座りする杏奈、空間の真ん中で泣きじゃくる少年・・・
「・・・やれやれ」
ディーは頭を押さえるという猫にあるまじき動作をしてから行動を開始した。
そちらには時間と言う概念があるかも知れませんがお付き合いください by誉
「っで、君の名前は?」
いまだに空間の端っこでいじけている杏奈を完全に放置してディーは少年の相手を始めた。
「僕の名前は12番」
「12番? 僕が聞きたいのは数字じゃなくて君の名前なんだけど?」
「名前って言われても・・・僕は12番以外の言葉で呼ばれたこと無いから・・・」
ディーは少し考えてから・・・
「情報検索・・・該当情報より情報の絞込みを開始・・・終了」
ディーの目の動向が縮み、元に戻ると同時にディーの目の前に一枚の紙が現れた。前回杏奈がやった時より、ディーのほうが早く、効率的だった。
「・・・」
ディーはその書類の内容を見るなり、それをくわえて杏奈のところに持っていった。杏奈はディーの存在に気づいて、しぶしぶと書類を受け取り、内容を確認し始めて・・・
「なるほど、ここは私が行かないと行けませんね」
意を決して立ち上がり少年の元に歩いて杏奈は今度は少年にこう質問した。
「何か・・・やりたい事はありますか?」
やさしく、落ち着いた声で、杏奈の質問に少年は。
「あめさんが食べたい」
そう答えた。杏奈は鎌を握りなおして・・・
「アンナ。それはもう僕の仕事だよ」
ディーは杏奈を止めてから自分の仕事である<物品申請>を開始した。
ほどなくして杏奈の手に一つの飴が入った袋が出現した。味はバターキャラメル味と記載されていた。
「あ! それ僕が好きなやつ!」
少年が無邪気な声を上げて杏奈にくれくれ! と手を差し出す。杏奈は袋を開けて一つ取り出して少年の手の平に乗せた。
「ありがとう白猫さん!」
開封して、口に放り込んむ。とても幸せそうな顔をした後・・・
「白猫さんも一つ食べたら?」
「・・・では、言葉に甘えて」
杏奈も一つ取り出して口へ
「・・・美味しいですね」
「でしょ!」
輝かんばかりの笑顔を見せる少年、杏奈はそれを見て・・・
「もう、いいですか?」
少年に聞いた。
「? なにが?」
少年の言葉を無視して杏奈は空間の壁の一つに手をあわせて・・・
「来たれ、転生の扉」
杏奈の前に一つの扉が出現する。
「? 白猫さん、その扉は?」
「最初に言ったようにここはあなたに救いを与える場所です。私はそれを手助けし、時に行き過ぎるのを防ぐための管理人」
杏奈はそう言って少年に自分が持っていた飴の入った袋を手渡した。
「白猫さん・・・僕は難しい事は分からないけど・・・その扉を通ればいいの?」
「はい。大丈夫ですよ、この扉の先には注射器も電気ショックもありません」
杏奈の言葉を聞いて何かに怯えるような表情をした。
「・・・本当? この先には辛い事は無い?」
杏奈は首を横に振った。
「辛い事はたくさんあります。でも、楽しい事もあります」
少年は少しためらってから。ドアノブに手をかけた。
「・・・・・・白猫さん泣いてる」
「ひっく・・・泣いてなんかいません・・・ひぐ」
「・・・白猫さん・・・これ」
少年は手に持っていた飴袋を杏奈に手渡した。
「白猫さん・・・泣かないで」
少年はそう残して扉の向こうに消えていった。
「・・・はい」
杏奈は確かにうなずいた。
「・・・大丈夫? アンナ?」
心配したディーが杏奈の顔を覗きこむと・・・
ぐわし!
「にゃう! アンナ?」
「・・・ふふふふふふふふふふ」
「アンナ!? 怖いよ!」
「ディー・・・宣言どおりに覚悟は出来ていますか?」
「! な、なにをする気?」
「大丈夫ですよ。ちょっと猫背を矯正するだけです」
「やめて! そんな事されたら僕、猫じゃなくなる! もともと犬の予定だったけどいま僕は猫だから! 猫の猫背を矯正したら猫じゃなくなる!」
ディーの必死の命乞いもいまの杏奈には届かず・・・
ごりゅれ!
「にゃぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
その後、杏奈がどっぷり落ち込んだのはまた、別のお話・・・
後書き
作者:総 誉 |
投稿日:2010/11/17 21:36 更新日:2010/11/17 21:41 『もう未練はありませんか?』の著作権は、すべて作者 総 誉様に属します。 |
前の話 | 目次 | 次の話 |
読了ボタン