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黄昏幻夢
小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 完結
前書き・紹介
三章 二 メイと細
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細は、硬い表情でメイの手をつかんで歩き始めた。細の雰囲気を悟ったのか、メイは何も言ってこない。
じーさんは、そんなメイのことをちらちら見ていた。
「……さて」
じーさんが立ち止まり、細たちのほうを振り返った。
細は、不安になって、メイの手をぎゅっと握る。すぐに、ぴくっとメイの手がびっくりしたように少しだけ動いて、握り返してきた。
「じーさん。なんでメイをまきこむんだ? 関係ないだろ」
細の言葉に、じーさんは少し悲しそうな顔をしながら、細に魔術士のことを言ったときのような雰囲気で口を開いた。
「……細。魔術士にはやってはならんことがある。なんだか分かるか?」
「それとメイとが……関係あるのか?」
「ある。おおいに、な」
じーさんの言葉に、細はメイを見下ろして、――固まった。
メイが、前をまっすぐ向いたまま、泣きながら震えていた。
今にも崩れ落ちそうになりながら、立っている。
「細。自分が何か強く思ったときに、メイが何かしなかったか?」
細は、メイとあってからのことを思い出してみた。
「……最初にメイに会ったとき、誰かいないかなって思った」
「……それから?」
「魔術士になるって時に、誰かを道連れにしたくなったとき、メイが秋祭りに誘ってくれた」
「なぜだか分かるか?」
じーさんの言葉に、細はすぐに答えを見つけた。
でも言いたくなかった。
「……それは、メイという存在が、細の思いで成ったものだから」
代わりに、メイが静かに告げた。
「そうだ。メイは、幻成の魔術士の作り出したもの。そしてそれは、魔術士が絶対にやってはいけないもの」
「「……人間を成らせる、こと?」」
細が言うのと、メイが言うのが同時だった。
「そして、魔術士が禁忌を犯した場合、その魔術士は責任を取らなくてはいけない」
「……どうやって?」
「人間を成らせた場合、その成らせたものを消す。そしてその消し方は」
じーさんが、言葉を切った。お祭りの喧騒が、遠のいたように聞こえなくなる。
「……力を手放し、思いを断ち切るのだ」
じーさんは、そんなメイのことをちらちら見ていた。
「……さて」
じーさんが立ち止まり、細たちのほうを振り返った。
細は、不安になって、メイの手をぎゅっと握る。すぐに、ぴくっとメイの手がびっくりしたように少しだけ動いて、握り返してきた。
「じーさん。なんでメイをまきこむんだ? 関係ないだろ」
細の言葉に、じーさんは少し悲しそうな顔をしながら、細に魔術士のことを言ったときのような雰囲気で口を開いた。
「……細。魔術士にはやってはならんことがある。なんだか分かるか?」
「それとメイとが……関係あるのか?」
「ある。おおいに、な」
じーさんの言葉に、細はメイを見下ろして、――固まった。
メイが、前をまっすぐ向いたまま、泣きながら震えていた。
今にも崩れ落ちそうになりながら、立っている。
「細。自分が何か強く思ったときに、メイが何かしなかったか?」
細は、メイとあってからのことを思い出してみた。
「……最初にメイに会ったとき、誰かいないかなって思った」
「……それから?」
「魔術士になるって時に、誰かを道連れにしたくなったとき、メイが秋祭りに誘ってくれた」
「なぜだか分かるか?」
じーさんの言葉に、細はすぐに答えを見つけた。
でも言いたくなかった。
「……それは、メイという存在が、細の思いで成ったものだから」
代わりに、メイが静かに告げた。
「そうだ。メイは、幻成の魔術士の作り出したもの。そしてそれは、魔術士が絶対にやってはいけないもの」
「「……人間を成らせる、こと?」」
細が言うのと、メイが言うのが同時だった。
「そして、魔術士が禁忌を犯した場合、その魔術士は責任を取らなくてはいけない」
「……どうやって?」
「人間を成らせた場合、その成らせたものを消す。そしてその消し方は」
じーさんが、言葉を切った。お祭りの喧騒が、遠のいたように聞こえなくなる。
「……力を手放し、思いを断ち切るのだ」
後書き
作者:水沢はやて |
投稿日:2011/05/13 15:51 更新日:2011/05/14 21:39 『黄昏幻夢』の著作権は、すべて作者 水沢はやて様に属します。 |
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