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Verdecken Reich
小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 連載中
前書き・紹介
第1章 エピローグ
前の話 | 目次 |
再び満上家の屋敷に戻ってきた時には、日がすっかり傾いていた。あの後、携帯の起動を妨害していた装置を止めてもらったので、瑛真たちに連絡を入れてすぐさま合流することができた。合流した時やたら瑛真が疲弊していたのは、理佳を探して暴れまわっていたかららしい。屋敷の上のほうはさぞ酷い有様となっているだろう。『番人』の少女が見たらどう思うだろうか。
「どうやらあの少女から託されたこの本は、簡単には読めないように暗号で表記されているようですね」
「もし本が奪われた時のための保険なのかなあ」
「そうでしょうね。・・・時間はかかると思いますがなんとかこちらで解けるよう努力してみます」
「僕にも、何か力になれることがあったら言ってね」
「はい、そのときはよろしくお願いします」
識海は丁寧に頭を下げると、傍らにある机の上に本を置き、一息ついた。
「しかし、とんでもない調査になってしまいましたね」
「家具が飛んできたり、屋敷の仕掛けに放浪されたりで大変だったね」
「まあ、結局のところ亡霊はまったく関係なかったですけどね。・・・いえ」
一度は言い切った識海だったが、少し考えるような様子を取った後、今度はこう続けた。
「あれはもしかすると、亡霊の仕業だったといえるのかもしれませんね」
「・・・この国の?」
「そうです。約1世紀もの間、あの少女の一族を縛っていたこの国からの使命こそ、あの館の亡霊の正体なのかもしれませんね・・・」
理佳は本を受け取った時のあの少女の表情を思い出す。まるで長年自分を縛ってたものから解放されたかのような、あの表情を。確かに彼女は、彼女の一族は、約1世紀もの間性質の悪い亡霊に取り憑かれていたのかもしれない。それに、あの屋敷に入ったことでもう二度と帰ってこれなくなった人も数え切れないくらいいる。一体、そうしてまで国が守り通したかったものとはなんだったのだろう。番人の少女に託されたあの本には、一体何が書かれているというのだろうか。そして何より、一族が待ち続けていたのが理佳だったのは何故なのだろう。自分の家の名字を耳にしたとき、少女が感慨深げに口に出し確認したときのことを思い出す。自分の一族は満上家のような特殊な家柄ではなく、極普通だと思っていた。父を、母を、姉を思い出し、改めてそう実感した。だが、うちには自分の知らない何かがあるというのだろうか。しかし、今の段階ではあまりにも考える材料が少なすぎて、答えにたどり着けそうもない。理佳は一度考えを断ち切るため、ゆっくりと頭を振った。
「それにしても識海さん、どうして揺らぐことなくあの屋敷を調査するって決められたの?」
「と、言いますと?」
「えっとほら、調査場所は入ったら誰一人帰ってこないって言われてる『レイヒ・ヒルムフィヒテの亡霊屋敷』だったわけだし・・・」
「・・・信じてますから」
「えっ?」
識海の思いがけない返答に、理佳は思わず聞き返した。そして識海はこう続けた。
「たとえ私がどのような場所に行こうと言い出しても、貴方なら必ずついてきてくれると信じてますから」
「う・・・っ!?///」
識海の、あまりにも信頼に満ちた返答に、理佳は思わず顔を赤くした。一方、当の本人である識海は少し顔を逸らせていた。その顔は理佳と同様に赤かった。
「そ、そんなの当たり前だよ。だ、だって識海さんは僕の大切な友達なんだから!」
「・・・ええ、私にとっても貴方は大事な友人です」
識海が顔を赤めたまま、そして満足したようにそう返すと、理佳は嬉しそうに微笑んだ。
「どうやらあの少女から託されたこの本は、簡単には読めないように暗号で表記されているようですね」
「もし本が奪われた時のための保険なのかなあ」
「そうでしょうね。・・・時間はかかると思いますがなんとかこちらで解けるよう努力してみます」
「僕にも、何か力になれることがあったら言ってね」
「はい、そのときはよろしくお願いします」
識海は丁寧に頭を下げると、傍らにある机の上に本を置き、一息ついた。
「しかし、とんでもない調査になってしまいましたね」
「家具が飛んできたり、屋敷の仕掛けに放浪されたりで大変だったね」
「まあ、結局のところ亡霊はまったく関係なかったですけどね。・・・いえ」
一度は言い切った識海だったが、少し考えるような様子を取った後、今度はこう続けた。
「あれはもしかすると、亡霊の仕業だったといえるのかもしれませんね」
「・・・この国の?」
「そうです。約1世紀もの間、あの少女の一族を縛っていたこの国からの使命こそ、あの館の亡霊の正体なのかもしれませんね・・・」
理佳は本を受け取った時のあの少女の表情を思い出す。まるで長年自分を縛ってたものから解放されたかのような、あの表情を。確かに彼女は、彼女の一族は、約1世紀もの間性質の悪い亡霊に取り憑かれていたのかもしれない。それに、あの屋敷に入ったことでもう二度と帰ってこれなくなった人も数え切れないくらいいる。一体、そうしてまで国が守り通したかったものとはなんだったのだろう。番人の少女に託されたあの本には、一体何が書かれているというのだろうか。そして何より、一族が待ち続けていたのが理佳だったのは何故なのだろう。自分の家の名字を耳にしたとき、少女が感慨深げに口に出し確認したときのことを思い出す。自分の一族は満上家のような特殊な家柄ではなく、極普通だと思っていた。父を、母を、姉を思い出し、改めてそう実感した。だが、うちには自分の知らない何かがあるというのだろうか。しかし、今の段階ではあまりにも考える材料が少なすぎて、答えにたどり着けそうもない。理佳は一度考えを断ち切るため、ゆっくりと頭を振った。
「それにしても識海さん、どうして揺らぐことなくあの屋敷を調査するって決められたの?」
「と、言いますと?」
「えっとほら、調査場所は入ったら誰一人帰ってこないって言われてる『レイヒ・ヒルムフィヒテの亡霊屋敷』だったわけだし・・・」
「・・・信じてますから」
「えっ?」
識海の思いがけない返答に、理佳は思わず聞き返した。そして識海はこう続けた。
「たとえ私がどのような場所に行こうと言い出しても、貴方なら必ずついてきてくれると信じてますから」
「う・・・っ!?///」
識海の、あまりにも信頼に満ちた返答に、理佳は思わず顔を赤くした。一方、当の本人である識海は少し顔を逸らせていた。その顔は理佳と同様に赤かった。
「そ、そんなの当たり前だよ。だ、だって識海さんは僕の大切な友達なんだから!」
「・・・ええ、私にとっても貴方は大事な友人です」
識海が顔を赤めたまま、そして満足したようにそう返すと、理佳は嬉しそうに微笑んだ。
後書き
作者:風太 |
投稿日:2012/07/19 15:09 更新日:2012/07/19 15:09 『Verdecken Reich』の著作権は、すべて作者 風太様に属します。 |
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