作品ID:1069
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帝王学園
小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 休載中
前書き・紹介
1?「なんなんだ・・・」
目次 |
4月
「おはよう」
私は眠くて閉じそうな眼をこすりながら、キッチンの母にそうつぶやいた。
「あら、美央ちゃん。おはよう」
私の声にきずいた母は振り返ってから笑顔で挨拶を返した。
30代後半の母は茶色のエプロンを身に着け、慣れない手つきで卵焼きを作っていた。
「何張り切ってんの?」
「え?だって今日は美央ちゃんの入学式じゃない。だからお母さんも張り切ってお弁当作ってたの。」
私は時計をちらりと見た。
今は6時30分。
「ねえ、何時から作ってるの?」
「ええ?と・・・5時くらいから・・・かな?」
はぁ???
5時から作り始めて1時間半。そんなに時間があったのにまだ卵焼き1つしか作ってないの?
いや、正式には、まだ卵焼きも終わってないから何も作ってないことになる。
「もういいよ。自分でやる」
私がため息交じりにいうと
「え・・・でも・・・」
母は不満そうだ。
「私がやったほうが早いし」
「あらそう?・・・じゃあ・・・」
やっと母がキッチンからどいてくれた。
私の母、朝倉加奈子は化粧品会社の会長を務めており、世間からの印象は「できるカリスマ主婦会長」である。
しかしそんなのはただのうわさに過ぎなくて、本当は家の事なんていつも私がやっている。
だから実際「主婦会長」ではなくただの「会長」なのである。
母がご飯の炊き方さえ知っているかもわからない。
「お母さんは仕事があるんでしょ?」
「ああ、それなら休んじゃった」
「はぁぁ!?休んだぁ」
会長がそんなんでいいのかよって感じだ。
「だってせっかくのかわいい娘の晴れ舞台だもの。ちゃんとビデオに収めなくっちゃ。さすが美央ちゃんよね。超名門校に主席入学だもの。それに頭がいいだけじゃなくて家事もできて、運動もできて、美人で、それから・・・」
「はいはい、もういいです」
私は器用に手を動かしながら、振り向かずに母の話を制した。
実はほんの少し照れていたのだ。
誰しも、親に褒められてうれしくないはずがない。
少なくとも私はうれしかった。
「ふふ、美央ちゃんたらクールなんだから」
そんな私の心境を、母は一生きずくことはないだろうとも思った。
「ここか・・・」
今、私はいかにも「女子です!」って感じの制服を身に着けながら、推薦で決まった「邸桜学園中等部」の正門の前にいる。
「ここは城か。しかもこの制服」
私は着ている制服のスカートをつまんだ。
ピンクのブレザーにほかの学校では余裕でアウト(校則違反)ってくらい短いスカート。
「なんなんだここは・・・」
動きづらい服は大嫌いだ!!!
なんて心の中で絶叫していると
「朝倉・・・美央さん・・・?」
「は!?」
いきなり声をかけられておどいた私は、グルンと振り返った。
で、そこにいたのは
「こ・・・校長先生」
だと思う人だった(うろ覚え
「やっぱり。朝倉さんね?」
「は・・・はあ・・・」
「探していたのよ?さあ行きましょう」
「え・・・な!ちょ・・・!」
私の抗議も聞き入られず学校の中にずるずると引きずられていった。
「なんなんだここは・・・」
ひろい!
とにかく広い!
音楽室も調理室も無駄に広い!
「とうぜんよ。私立だし去年建てたばっかだもの」
私の独り言が消えたのか、校長先生は振り返ってにこりと微笑んだ。
さっきからなんとなく母に似ている気がした。
うん・・・似てる・・・
超似てる・・・
「なあに?」
その聞き方も似て・・・・・
「い・・・いえ!なんでもないです!!」
どうやら私は、そんなことを考えているうちに校長先生を凝視していたらしい。
き・・・気を付けなくては・・・
「さて、紹介も終わったし好きなところを見てきていいわよ?」
好きなところ・・・
好きなところ・・・
好きな・・・あ!
「やっぱ広いのね・・・」
ただ今わたくし朝倉美央は、屋上にいます。
「いいとこ見つけちゃった★」
屋上のベンチに腰掛けながらつぶやいた。
すると・・・
「どこがいいところなんだか」
「ほっ!?」
さっき同様勢いよく振り返ってしまった。
く・・・首が痛い・・・
「ってか、あんた誰よ!」
入ってきた時はきずかなかったがよく見ると、同い年くらいの男の子がいた。
「君がいいところといったのは屋上?それともこの学校?」
「は?」
質問に答える気なしか!
「屋上だけど・・・」
「ふ?ん。じゃあこの学校は嫌い?」
なんなんだこいつ。
「嫌いじゃないけど・・・」
「僕は嫌い」
「は?」
私に質問したくせに・・・
この???
「じゃ、なんでこの学校に入ったのよ!」
「推薦」
こいつもか・・・
いや、そんなことはどうでもいい・・・
「大体あんたは・・・」
「神木 春」
「え?」
こいつ、私が言おうとしたことが分かったの!?
「じゃあ、僕は行くからあ・・・あと・・・」
春とかいうやつは振り返って
「これから先気を付けてね」
は・・・・・・・・・?
どういう意味?
「それって・・・ってあれ」
見るともう誰もいなかった。
(この広い学校でアイツ1人を探すのは無理か・・・)
そして今日何回も言ったあのセリフをまたつぶやいた
「なんなんだここは・・・・・」
後書き
作者:舞子 |
投稿日:2012/07/29 15:07 更新日:2012/07/29 15:07 『帝王学園』の著作権は、すべて作者 舞子様に属します。 |
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