作品ID:171
あなたの読了ステータス
(読了ボタン正常)一般ユーザと認識
「ラグナロク」を読み始めました。
読了ステータス(人数)
読了(36)・読中(0)・読止(0)・一般PV数(118)
読了した住民(一般ユーザは含まれません)
ラグナロク
小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 連載中
前書き・紹介
《プロローグ》
目次 | 次の話 |
いつだったか、彼女は俺にこう言っていた。
「お前が魔導師になろうと、世界に刃向かおうと、正直な話、私はどうでもいい。お前がいつの日か古の魔導書を束ねて、世界を無に帰そうが、な。まぁ、ぶっちゃけた話、そうなるとは微塵も思っていないだけなんだが」
その時は大きなお世話だ、と言い返した気がする。俺は絶対に諦めない。世界を敵に回してでも、手に入れたいものがある、と。
それに彼女は笑って、
「あぁ、知っているさ。お前の覚悟がどれほどのものなのかも、な。ただ――」
そこで言葉を切ると、彼女は寂寥とも悲哀ともとれる微妙な表情をする。だがそれも一瞬のことで、すぐにいつも通りの余裕と貫禄を取り戻すと、
「必ず、生きて帰ってこい。生き延びるだけじゃ、駄目だ。お前が力が足りないと思った時でも、挫折した時でも、いつでもいい。何度でもいい。だから、必ず生きて、帰ってこい」
その真剣さに、まだ未熟で幼かった俺はこくこくと頷くことしか出来なかった。だが、彼女はそれで満足したらしく「よし」と笑顔で言うと、
「それじゃあ、今日の修行を始めるか」
朗らかにそう言う彼女に対して、俺は思いっ切り顔をしかめたはずだ。何故って、それは修行と名ばかりのただの虐待としか思えなかったからだ。体が以前より丈夫になったのは否定しないが。
「おいおい、師匠に向かって何だその顔は。欲しいんだろ? 世界を壊す力が」
そう言われると、返す言葉もない。
俺は憂鬱な心情を吐きだそうと一つ溜息をつくと、彼女を見据えて、言った。
「そうさ。だから教えてくれよ。――世界の全てに抗う術をな」
後書き
作者:綺羅 |
投稿日:2010/03/15 17:40 更新日:2010/05/04 21:08 『ラグナロク』の著作権は、すべて作者 綺羅様に属します。 |
目次 | 次の話 |
読了ボタン