作品ID:1890
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言葉とその力
小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 連載中
前書き・紹介
そして、明日への扉へ進め(エピローグ)
前の話 | 目次 |
事の始まりは幻悟が急に思いついた一言だった。「自然公園に遊びにいこう」その一言だけで四人の彼の友達が集まったのである。言い出しっぺの幻悟はもちろんのこと、成人と奈美の小海兄妹、道也。そして、どういう風の吹き回しか玉野市斗もその話に乗ってこの場所に来た。幻悟と前述した彼の友人達の恰好は久しぶりに私服である。
彼ら(彼女一人含むが)はいつもそれぞれ全員が制服姿を見慣れているので、私服姿はお互いに新鮮そのものといえるのだ。幻悟はランニングシャツに短パンという動きやすい恰好をしているし、成人は若者に人気のある服装に落ちついた雰囲気のジャンパーを組み合わせて羽織っている。道也はトレーニングウェアのような服にベージュのチノパンといういでたちをしていた。玉野は面白い一面を垣間見えたかのように、麦わら帽子にハワイアンシャツと青い半ズボンというナリである。彼のこの格好は間違ったハワイの印象をそのまま表しているので幻悟は声も出せず、苦笑するしかなかった。
その中で、紅一点な存在である成人の妹、奈美はお気に入りの白いニットのワンピースに今、大ブームの黄色いスカートを着こなした姿だ。その服は奈美の美しさ=可愛らしさに磨きをかけているかのように彼女に似合っているので幻悟他男性陣はその華麗さに、一緒に歩いているだけで幸せを感じるほどであった。
「しかし、幻悟君! どうして玉野君も誘ったりしたの!?」
今、玉野市斗の事を批判したのは成人である。自分の妹を危険にさらした事のある人物なのだから無理もない。それでも成人が何故玉野の事を名前で呼んだりしているのかというと、市斗が心を入れ替えて善意ある行為を続けているので彼を認めていることに他ならないのである。ただ、成人は気持ち的に彼を許せないと思っている考え方を残しているからだ。
「端的に言えば、新しい友人も含めて相互の友情を深めようってことさ」
幻悟はさも当然といった表情で言いきる。成人の心中での葛藤を奈美以外の幻悟、道也、玉野市斗の男性陣は知ってはいたが特に何も言わない。成人が自分で解決するしかない問題だからである。
「成人兄ちゃん、一体どうしちゃったのよ!? 玉野さんの何が気に入らないの?」
奈美は幻悟の言葉力によってあの悪い事件(人質に取られた事など)に関するすべての記憶が封印されている。何も覚えていないので的外れな事を言う事も結構あるのだ。
それも成人を苦しめる一つの要因になっているが、それは自らが奈美とは別に、幻悟から記憶を封印してもらわずに一生事件の事を覚えておこうと決めた成人の決意によるものだからどうしようもない。
「成、あんまり深く考えずに今を楽しもうぜ!」
今、成人をなぐさめているのは道也だ。成人が思いつめる前に心配するのは、親友としての義務だとばかりに成人の不安感を支えてあげる行動をしていた。
「うん、ミッチー。ありがとう! わかってる、わかっているんだけど…………」
成人は、道也が自分の気持ちを支えてくれていると痛いほどわかるので涙ぐみそうになった。それをぐっと堪えて道也に感謝の気持ちを伝える。この時点で成人は気持ちを外側に嫌な思いを出さないように努めた。かといって、彼の気持ちが落ち着くまでにはかなりの時間を要しない限り難しいのだが。
ちょっとした混乱はあったものの、成人は特に幻悟や道也・妹の奈美にまで気をかけてもらいながら市ズンと触れ合ったりなどで楽しむことが出来た。楽しんでいる内に昼時になってきたので、幻悟達は五人揃って噴水がある自然広場内で昼食を取ることにする。
「おや、もうこんな時間だ。みんな、お昼にしないか?」(幻悟)
「賛成―――」(全員)
幻悟の提案に、幻悟以外の四人ともが声をそろえる。彼らの弁当はやはり人によってバリェーションが違う。幻悟の弁当はご飯はもとより、おかずは玉子焼き・ウインナ―主体の弁当だ。成人と奈美の二人分のお弁当には、ごはんにおかずは鮭の切り身・ジャガイモの煮つけ・からあげ・それから漬物も入っている。道也の弁当には、ご飯とおかずにしょうが焼きが多く入っており、つけ合せにキャベツの千切りに煮豆が入っているだけなので肉メインのバランスを考えると良いとはいえないお弁当である。玉野市斗のお弁当はというと、ハムとチーズが一緒に挟まったサンドイッチにジャムが挟まったサンドイッチ・卵が入っているサンドウィッチ・それからレタスとヒレカツが挟んであるサンドウィッチがそれぞれ数個ずつ、弁当箱に詰まっていた。
彼ら五人はそれぞれが弁当を中央に置いてどのお弁当のどこでも手をつけても良いようにして、昼食の一時を楽しんだ。
「みんなでわいわい色んなお弁当を食べると、おいしさも倍増に感じるわね」
「外で食べるのもまた一味違うよね。また機会があったらこうやって大勢でにぎやかに食事しよう! さぁ、後は自由時間にしようぜ」
食事が終わって、休憩の後は幻悟が言った通りとばかりにそれぞれ違った行動をしている。成人は奈美と仲良く草むらで寝っ転がっているし、道也は体ならしに空手の型っぽい正拳突きや、木にミドルキックの練習をしたりしている。
幻悟はというと、そんな道也をのんびり眺めているだけだった。もう一人忘れちゃいけない玉野市斗は、植物を見ては、植物に関する本を開いて、植物に対する知識を得るべく植物調査に夢中になっていた。
そんな中で運動をしていた道也が、練習相手にと幻悟や市斗に付き合わさせる。幻悟は彼に突き飛ばされ、玉野市斗は投げられて噴水の中に落とされた。そのため、次に白羽の矢が立ったのが成人である。
「それっ、成も安心している場合じゃないぜ」
道也がふざけて成人を捕まえようとする。成人は間一髪のところでかわしたが、幻悟にも道をふさがれた。そこで困っている内に横から玉野が成人のふいを突いて噴水の中に押しいれてしまう。
「油断したね、小海君。残るは広長君ただ一人!」
その時限りかもしれないが、幻悟と成人の考えと市斗の考えが一致した。そして三人は力を合わせて道也に一泡吹かせてやろうと協力する。その様子のすべてを奈美は楽しそうに見ていた。この騒動が終わるまでは彼女も退屈せずにすみそうだ。
幻悟と小海兄妹・道也・そして玉野市斗ら五人はこれからも良い関係でいられるだろう。
しばらくの間はいろいろと意見の食い違いも出てくるだろうが楽しくこれからもこのような生活サイクルでやっていけるはずである。
幻悟は特にこの平穏な時が半永久的に続いてほしいと願っている。彼にこんな能力がある限り難しいだろうが。
ーEND-
彼ら(彼女一人含むが)はいつもそれぞれ全員が制服姿を見慣れているので、私服姿はお互いに新鮮そのものといえるのだ。幻悟はランニングシャツに短パンという動きやすい恰好をしているし、成人は若者に人気のある服装に落ちついた雰囲気のジャンパーを組み合わせて羽織っている。道也はトレーニングウェアのような服にベージュのチノパンといういでたちをしていた。玉野は面白い一面を垣間見えたかのように、麦わら帽子にハワイアンシャツと青い半ズボンというナリである。彼のこの格好は間違ったハワイの印象をそのまま表しているので幻悟は声も出せず、苦笑するしかなかった。
その中で、紅一点な存在である成人の妹、奈美はお気に入りの白いニットのワンピースに今、大ブームの黄色いスカートを着こなした姿だ。その服は奈美の美しさ=可愛らしさに磨きをかけているかのように彼女に似合っているので幻悟他男性陣はその華麗さに、一緒に歩いているだけで幸せを感じるほどであった。
「しかし、幻悟君! どうして玉野君も誘ったりしたの!?」
今、玉野市斗の事を批判したのは成人である。自分の妹を危険にさらした事のある人物なのだから無理もない。それでも成人が何故玉野の事を名前で呼んだりしているのかというと、市斗が心を入れ替えて善意ある行為を続けているので彼を認めていることに他ならないのである。ただ、成人は気持ち的に彼を許せないと思っている考え方を残しているからだ。
「端的に言えば、新しい友人も含めて相互の友情を深めようってことさ」
幻悟はさも当然といった表情で言いきる。成人の心中での葛藤を奈美以外の幻悟、道也、玉野市斗の男性陣は知ってはいたが特に何も言わない。成人が自分で解決するしかない問題だからである。
「成人兄ちゃん、一体どうしちゃったのよ!? 玉野さんの何が気に入らないの?」
奈美は幻悟の言葉力によってあの悪い事件(人質に取られた事など)に関するすべての記憶が封印されている。何も覚えていないので的外れな事を言う事も結構あるのだ。
それも成人を苦しめる一つの要因になっているが、それは自らが奈美とは別に、幻悟から記憶を封印してもらわずに一生事件の事を覚えておこうと決めた成人の決意によるものだからどうしようもない。
「成、あんまり深く考えずに今を楽しもうぜ!」
今、成人をなぐさめているのは道也だ。成人が思いつめる前に心配するのは、親友としての義務だとばかりに成人の不安感を支えてあげる行動をしていた。
「うん、ミッチー。ありがとう! わかってる、わかっているんだけど…………」
成人は、道也が自分の気持ちを支えてくれていると痛いほどわかるので涙ぐみそうになった。それをぐっと堪えて道也に感謝の気持ちを伝える。この時点で成人は気持ちを外側に嫌な思いを出さないように努めた。かといって、彼の気持ちが落ち着くまでにはかなりの時間を要しない限り難しいのだが。
ちょっとした混乱はあったものの、成人は特に幻悟や道也・妹の奈美にまで気をかけてもらいながら市ズンと触れ合ったりなどで楽しむことが出来た。楽しんでいる内に昼時になってきたので、幻悟達は五人揃って噴水がある自然広場内で昼食を取ることにする。
「おや、もうこんな時間だ。みんな、お昼にしないか?」(幻悟)
「賛成―――」(全員)
幻悟の提案に、幻悟以外の四人ともが声をそろえる。彼らの弁当はやはり人によってバリェーションが違う。幻悟の弁当はご飯はもとより、おかずは玉子焼き・ウインナ―主体の弁当だ。成人と奈美の二人分のお弁当には、ごはんにおかずは鮭の切り身・ジャガイモの煮つけ・からあげ・それから漬物も入っている。道也の弁当には、ご飯とおかずにしょうが焼きが多く入っており、つけ合せにキャベツの千切りに煮豆が入っているだけなので肉メインのバランスを考えると良いとはいえないお弁当である。玉野市斗のお弁当はというと、ハムとチーズが一緒に挟まったサンドイッチにジャムが挟まったサンドイッチ・卵が入っているサンドウィッチ・それからレタスとヒレカツが挟んであるサンドウィッチがそれぞれ数個ずつ、弁当箱に詰まっていた。
彼ら五人はそれぞれが弁当を中央に置いてどのお弁当のどこでも手をつけても良いようにして、昼食の一時を楽しんだ。
「みんなでわいわい色んなお弁当を食べると、おいしさも倍増に感じるわね」
「外で食べるのもまた一味違うよね。また機会があったらこうやって大勢でにぎやかに食事しよう! さぁ、後は自由時間にしようぜ」
食事が終わって、休憩の後は幻悟が言った通りとばかりにそれぞれ違った行動をしている。成人は奈美と仲良く草むらで寝っ転がっているし、道也は体ならしに空手の型っぽい正拳突きや、木にミドルキックの練習をしたりしている。
幻悟はというと、そんな道也をのんびり眺めているだけだった。もう一人忘れちゃいけない玉野市斗は、植物を見ては、植物に関する本を開いて、植物に対する知識を得るべく植物調査に夢中になっていた。
そんな中で運動をしていた道也が、練習相手にと幻悟や市斗に付き合わさせる。幻悟は彼に突き飛ばされ、玉野市斗は投げられて噴水の中に落とされた。そのため、次に白羽の矢が立ったのが成人である。
「それっ、成も安心している場合じゃないぜ」
道也がふざけて成人を捕まえようとする。成人は間一髪のところでかわしたが、幻悟にも道をふさがれた。そこで困っている内に横から玉野が成人のふいを突いて噴水の中に押しいれてしまう。
「油断したね、小海君。残るは広長君ただ一人!」
その時限りかもしれないが、幻悟と成人の考えと市斗の考えが一致した。そして三人は力を合わせて道也に一泡吹かせてやろうと協力する。その様子のすべてを奈美は楽しそうに見ていた。この騒動が終わるまでは彼女も退屈せずにすみそうだ。
幻悟と小海兄妹・道也・そして玉野市斗ら五人はこれからも良い関係でいられるだろう。
しばらくの間はいろいろと意見の食い違いも出てくるだろうが楽しくこれからもこのような生活サイクルでやっていけるはずである。
幻悟は特にこの平穏な時が半永久的に続いてほしいと願っている。彼にこんな能力がある限り難しいだろうが。
ーEND-
後書き
作者:ニューナイト |
投稿日:2016/12/30 18:15 更新日:2016/12/30 22:03 『言葉とその力』の著作権は、すべて作者 ニューナイト様に属します。 |
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