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武器の名前で呼び合おう!
小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 休載中
前書き・紹介
春夏秋冬文化祭、準備前!!
前の話 | 目次 | 次の話 |
全学年合同ドッヂボールから約1週間後――。
「あぁ……。この行事が待っていた……」
頭を抱えつつ、私立ヒイラギ学園1年A組、麻生 弓〈あそう ゆみ〉は溜息をついた。
「そっか。ここでは春夏秋冬で文化祭あるんだもんねー」
長槍部と呼ばれるその名のとおり、長い槍を振り回す部活に入っている弓の友人でもある長い明るいブラウンの髪が特徴的な村森〈むらもり〉ユキが腕を組んで、頷いていた。
「正直、体育会系のあたしにとっては、文化祭なんてやってらんないよ」
再度溜息をつき、春夏秋冬文化祭に向けての準備に追われる各クラスが並ぶ東階段廊下を抜け、階段を上がっていく。
ユキと共にA組に入る。A組は三階建ての三階部分にあるため、階段をいちいち上がったり下がったりしなければいけないところが欠点だ。
「ま、そりゃそうでしょ。誰だって。
でもま、こんだけ行事満載の学校も珍しいよね?」
笑顔で黒いスポーツブランドのリュックを下ろすユキは実は弓の隣の席だったりする。
私立ヒイラギ学園は一般的な学校から見てもその行事が多く、その分、変わった行事も多い。
あの、全学年合同ドッヂボールやこの春夏秋冬文化祭など。
「でもそれで入学決めた、あたしたちってどうなの?」
苦笑しつつ、弓も学校指定の鞄から教科書の類と筆箱を取り出す。
「ホームルーム始めますよ?」
担任である、あのドッヂボールでお世話になった体育教師兼あたしたちの担任である婚期を逃した女性教師が副担任を連れてやってきた。
ホームルームの内容は大体、予想できたので別に聞き逃してもいいか、と思い寝る姿勢に入ろうとしたときだったか。
「では春夏秋冬文化祭、春の陣の文化祭委員長は麻生さんに決定ということで!!」
……え?
麻生? え、あたし? だよね、このクラスに麻生ってあたししか居ないもんね。
ということになれば……!!
「ちょっと待て! あたしの意見はないのか!
あたしの人権は!? 発言権はぁ!?」
軽く錯乱しかけたが、ユキがなだめてくれたおかげで、なんとか教室を破壊せずに済んだ。
「まあまあ、じゃ私が副委員長になってあげるよ。
それでいいっしょ?」
ユキが笑顔で提案してくる。
その提案に特に異論はなかったため、担任が黒板に春夏秋冬文化祭?春の陣?委員長の下にあたしの名前を書き、副委員長にユキの名前を書く。
……あたしは引っ張っていく立場って向いてないんだよなぁ。
さらなる頭痛にうなされながらも、渋々委員長を引き受けることにした。
「ユキ?委員長って何すりゃいいの??」
ホームルームの後、担任に呼び出され職員室へと連行され、文化祭の説明を受けた後、ぐったりとした弓がクラスメイトであるユキに泣きついたのは説明を受けてから僅か6分後のことであった。
「え、説明聞いてなかったの?
確か、委員長は文化祭のテーマを決めるために、放課後か昼休みに生徒会室へ行くってことになってるはずだけど……」
ユキがシャープな顔立ちを形成しているパーツの一部である顎に、ほっそーいなっがーい指をそえて、考えながら発する。
「説明って言っても、委員長は何をすればいいかなんていわないって!!
ただ単に、じゃあ文化祭よろしくお願いしますね?っていう感じだけだって」
弓が右手に春夏秋冬文化祭?春の陣?と打たれた、計画書または立案書を持って腰に手を当てる。
そして手を当てたとき、ちょうどタイミングを見計らったかのように校内放送がかかった。
『えー、春夏秋冬文化祭、春の陣実行委員長及び副委員長は放課後、生徒会室へときてください』
「……ユキ! あたし、放課後アイスクリーム食べなきゃいけないから、ヨロシク!!」
「行かせるかぁ!」
爽やかに笑顔を残して敬礼をして、廊下をただひたすらに走りぬけようとしたが、ユキに首根っこを引っつかまれ苦しい思いをする事に。
いや、マジで苦しい! 首にストール巻いてるんだから!!
校則が緩々な私立ヒイラギ学園なら制服をどれだけ改造してもオーケーだと思って入学したのが間違いだったか!?
ともかく、首から手を放してもらってタータンチェックのスカートを翻して、ユキは1?Aに入っていく。
……入っていくときに薄ら笑みが浮かんでいたのは、気にしないでおこう。
気、重いなぁ。
相変らず、雨が降りそうで降らない、どんよりとした気分のまま自分でつくった弁当のおかずである卵焼き〈因みにあたしは砂糖派だ〉を赤色の箸でつまみ、口に入れる。
いつもなら甘く感じる卵焼きの味がしない。
……はぁ。
5、6時間目の体育のとき、異常に肩が下がっているあたしを見て気持ち悪いものを見るように、あの二卵性双生児がやってきた。
「弓にしては珍しく気分がガタ落ちですね?」
敬語キャラな柊 詩穏〈ひいらぎ しおん〉が俯いているあたしの顔を見る。
「……あれだろ。文化祭の実行委員とかになっちゃったっていうパターンだろ」
ちょっと無口な柊 琥音〈ひいらぎ くおん〉がグサリと精神に刺さる言葉を無表情で言う。
それにブチッとあたしの我慢の根と呼ばれる限界領域から限界がはみ出た。
「煩いわぁ!! あたしだってやりたくて実行委員になったわけじゃねぇ!
あたしだってなぁ! できればこんな面倒なことはやりたくねぇんじゃぁ!!」
俯いていた顔を上げる。
「何か? それはアレか。お前らが実行委員じゃねぇからいえることかぁ!?」
「いや、僕たちも実行委員です。実行委員長です。1-Cと1-Dの」
「うん……気づいたらなってた……」
そういえば、と思い出す。
この春夏秋冬文化祭は、各クラス一人ずつ実行委員長と副委員長を選出するんだった……!
っていうことはまさか。
「槍も、アイツも実行委員長ぉ!?」
放課後。ユキに連行される形で1階にある生徒会室へ突入した〈しちゃった〉あたしたちはそこで、まあ、あたしたちっていうかあたしなんだけど、とにかくあたしが、あの憎たらしい幼馴染の姿を発見して叫んだ。
「そうだけど?」
しれっと無表情で1-B実行委員長と書かれたその下に月波 槍〈つきなみ そう〉という名札が長テーブルに置かれており、そこには勿論、槍が座っていた。
開け放たれた生徒会室の窓のまん前に座っている槍の真っ黒い髪が風により揺れる。
「そうだけどって……」
文化祭のときでもコイツらと一緒なのか、と考えると頭痛が……!
「はいはい。それよりも早く会議進めるわよ。
ほら。あなた達も早く座って?」
見覚えがある女子生徒会長が笑顔で座るよう促したので、渋々だが槍の隣に座る。
……ちゃっかり槍に会議中、槍の黒い運動靴を踏んだのは内緒。
ま、槍にはばれているでしょうけど。
「あぁ……。この行事が待っていた……」
頭を抱えつつ、私立ヒイラギ学園1年A組、麻生 弓〈あそう ゆみ〉は溜息をついた。
「そっか。ここでは春夏秋冬で文化祭あるんだもんねー」
長槍部と呼ばれるその名のとおり、長い槍を振り回す部活に入っている弓の友人でもある長い明るいブラウンの髪が特徴的な村森〈むらもり〉ユキが腕を組んで、頷いていた。
「正直、体育会系のあたしにとっては、文化祭なんてやってらんないよ」
再度溜息をつき、春夏秋冬文化祭に向けての準備に追われる各クラスが並ぶ東階段廊下を抜け、階段を上がっていく。
ユキと共にA組に入る。A組は三階建ての三階部分にあるため、階段をいちいち上がったり下がったりしなければいけないところが欠点だ。
「ま、そりゃそうでしょ。誰だって。
でもま、こんだけ行事満載の学校も珍しいよね?」
笑顔で黒いスポーツブランドのリュックを下ろすユキは実は弓の隣の席だったりする。
私立ヒイラギ学園は一般的な学校から見てもその行事が多く、その分、変わった行事も多い。
あの、全学年合同ドッヂボールやこの春夏秋冬文化祭など。
「でもそれで入学決めた、あたしたちってどうなの?」
苦笑しつつ、弓も学校指定の鞄から教科書の類と筆箱を取り出す。
「ホームルーム始めますよ?」
担任である、あのドッヂボールでお世話になった体育教師兼あたしたちの担任である婚期を逃した女性教師が副担任を連れてやってきた。
ホームルームの内容は大体、予想できたので別に聞き逃してもいいか、と思い寝る姿勢に入ろうとしたときだったか。
「では春夏秋冬文化祭、春の陣の文化祭委員長は麻生さんに決定ということで!!」
……え?
麻生? え、あたし? だよね、このクラスに麻生ってあたししか居ないもんね。
ということになれば……!!
「ちょっと待て! あたしの意見はないのか!
あたしの人権は!? 発言権はぁ!?」
軽く錯乱しかけたが、ユキがなだめてくれたおかげで、なんとか教室を破壊せずに済んだ。
「まあまあ、じゃ私が副委員長になってあげるよ。
それでいいっしょ?」
ユキが笑顔で提案してくる。
その提案に特に異論はなかったため、担任が黒板に春夏秋冬文化祭?春の陣?委員長の下にあたしの名前を書き、副委員長にユキの名前を書く。
……あたしは引っ張っていく立場って向いてないんだよなぁ。
さらなる頭痛にうなされながらも、渋々委員長を引き受けることにした。
「ユキ?委員長って何すりゃいいの??」
ホームルームの後、担任に呼び出され職員室へと連行され、文化祭の説明を受けた後、ぐったりとした弓がクラスメイトであるユキに泣きついたのは説明を受けてから僅か6分後のことであった。
「え、説明聞いてなかったの?
確か、委員長は文化祭のテーマを決めるために、放課後か昼休みに生徒会室へ行くってことになってるはずだけど……」
ユキがシャープな顔立ちを形成しているパーツの一部である顎に、ほっそーいなっがーい指をそえて、考えながら発する。
「説明って言っても、委員長は何をすればいいかなんていわないって!!
ただ単に、じゃあ文化祭よろしくお願いしますね?っていう感じだけだって」
弓が右手に春夏秋冬文化祭?春の陣?と打たれた、計画書または立案書を持って腰に手を当てる。
そして手を当てたとき、ちょうどタイミングを見計らったかのように校内放送がかかった。
『えー、春夏秋冬文化祭、春の陣実行委員長及び副委員長は放課後、生徒会室へときてください』
「……ユキ! あたし、放課後アイスクリーム食べなきゃいけないから、ヨロシク!!」
「行かせるかぁ!」
爽やかに笑顔を残して敬礼をして、廊下をただひたすらに走りぬけようとしたが、ユキに首根っこを引っつかまれ苦しい思いをする事に。
いや、マジで苦しい! 首にストール巻いてるんだから!!
校則が緩々な私立ヒイラギ学園なら制服をどれだけ改造してもオーケーだと思って入学したのが間違いだったか!?
ともかく、首から手を放してもらってタータンチェックのスカートを翻して、ユキは1?Aに入っていく。
……入っていくときに薄ら笑みが浮かんでいたのは、気にしないでおこう。
気、重いなぁ。
相変らず、雨が降りそうで降らない、どんよりとした気分のまま自分でつくった弁当のおかずである卵焼き〈因みにあたしは砂糖派だ〉を赤色の箸でつまみ、口に入れる。
いつもなら甘く感じる卵焼きの味がしない。
……はぁ。
5、6時間目の体育のとき、異常に肩が下がっているあたしを見て気持ち悪いものを見るように、あの二卵性双生児がやってきた。
「弓にしては珍しく気分がガタ落ちですね?」
敬語キャラな柊 詩穏〈ひいらぎ しおん〉が俯いているあたしの顔を見る。
「……あれだろ。文化祭の実行委員とかになっちゃったっていうパターンだろ」
ちょっと無口な柊 琥音〈ひいらぎ くおん〉がグサリと精神に刺さる言葉を無表情で言う。
それにブチッとあたしの我慢の根と呼ばれる限界領域から限界がはみ出た。
「煩いわぁ!! あたしだってやりたくて実行委員になったわけじゃねぇ!
あたしだってなぁ! できればこんな面倒なことはやりたくねぇんじゃぁ!!」
俯いていた顔を上げる。
「何か? それはアレか。お前らが実行委員じゃねぇからいえることかぁ!?」
「いや、僕たちも実行委員です。実行委員長です。1-Cと1-Dの」
「うん……気づいたらなってた……」
そういえば、と思い出す。
この春夏秋冬文化祭は、各クラス一人ずつ実行委員長と副委員長を選出するんだった……!
っていうことはまさか。
「槍も、アイツも実行委員長ぉ!?」
放課後。ユキに連行される形で1階にある生徒会室へ突入した〈しちゃった〉あたしたちはそこで、まあ、あたしたちっていうかあたしなんだけど、とにかくあたしが、あの憎たらしい幼馴染の姿を発見して叫んだ。
「そうだけど?」
しれっと無表情で1-B実行委員長と書かれたその下に月波 槍〈つきなみ そう〉という名札が長テーブルに置かれており、そこには勿論、槍が座っていた。
開け放たれた生徒会室の窓のまん前に座っている槍の真っ黒い髪が風により揺れる。
「そうだけどって……」
文化祭のときでもコイツらと一緒なのか、と考えると頭痛が……!
「はいはい。それよりも早く会議進めるわよ。
ほら。あなた達も早く座って?」
見覚えがある女子生徒会長が笑顔で座るよう促したので、渋々だが槍の隣に座る。
……ちゃっかり槍に会議中、槍の黒い運動靴を踏んだのは内緒。
ま、槍にはばれているでしょうけど。
後書き
作者:斎藤七南 |
投稿日:2010/09/23 08:44 更新日:2010/09/23 08:45 『武器の名前で呼び合おう!』の著作権は、すべて作者 斎藤七南様に属します。 |
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