「う･･･ん･･･、新星･･･発･･･見･･････、･･･うわっ！？」



　ある朝のことだ、とある研究所の一室で少年の叫び声が上がった。椅子の背もたれにもたれて寝ていたところ、バランスを崩して椅子ごとひっくり返ったらしい。



「うー･･･、やっぱりちゃんと布団で横になって寝ないとダメだね･･･」



　どうやらひっくり返った際のダメージはまったくなかったらしい。むしろ椅子に座ったまま寝たせいで肩がこったのか、首をひねりながらしきりに肩をもんでいる。

少しして気が済んだのか、まだ眠たそうな表情を浮かべたまま、自分の研究室だと思われるこの部屋の窓をあけた。



「んー･･･」



　開けた窓から入ってくる朝のさわやかの風を浴びて少年は気持ちよさそうに声を漏らした。

胸では首からかけている“時任由希”と書かれた名札が風で揺れていた。

空は雲がないわけではないが、太陽がまぶしく輝いていて、とてもいい天気だった。時期が時期なので少し寒いが、心地よい風も程よくあり、気持ちよく過ごせそうだ。



「うーん･･･、今日は午後から雨が降るかも･･･」



　そんな空を眠たそうに目を擦りながらしばらく見つめた後、少年はしんみりとそんなことをつぶやいた。