作品ID:508
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White×Black=Glay?
小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 連載中
前書き・紹介
White×Black=Glay? ?3色目?
前の話 | 目次 | 次の話 |
「自分1人でウォークマンの秘密を探る、か……」
鋼夜 春袈は、自分の宣言にちょっとだけ後悔しながら、写真を見る。
「メタル加工されてた時点で、もしかして、って思ったけど」
写真には赤髪の少女と少女の首にぶら下げられた青く、メタル加工されたウォークマンが写っていた。
「さすがに唯一神が持つウォークマンだとは気づかなかった」
まあ、気づいてても少女の傍に居た少年が春袈の言葉を遮っていただろうけど。
「ちょっと」
背後からかけられた声に、春袈は振り向く。
「これ、落としたけど、アンタのじゃないの?」
10代前半だろうか。左に流した前髪が異常に長く左目を覆い隠してしまっている。しかし右側は短く、その色は黒い。
突飛ともいえる髪型の少女の後ろには少女よりも幼い子供が居た。
子供は春袈の視線に気づくと、少女のカーディガンを握りしめ、少女の背中に隠れてしまった。
「ねえ、アンタのじゃないの?」
苛々とした言葉を発する少女の右手を見ると、確かに春袈の関係書類が差し出されていた。
書類といっても、重要度は高くないのでついつい扱いが乱暴になってしまう。
「ありがとう」
お礼を言って、身を屈ませる。
書類を受け取り、少女を見る。
春袈は首をかしげた。
なぜ?
「どうして、その写真を持ってるの……!?」
少女が両目を見開いていたからだ。
少女は春袈が持っているウォークマンの写真を見ている。
……見られた。完全に見られた。屈んだときに見られた。
そうして、少女からの質問は続いた。
「NEV……? アンタ、NEVなの?」
震える少女に否定を示すために、首を横に振る。
「ならなんで、写真を持っているの!?」
否定を否定されてしまった。
「写真って……普通の少女が写ってるだけだけど、君に関係ある?」
「違う。女の子じゃない。そのウォークマン……」
(……おかしくない? これ)
「ウォークマンの写真をどうして持ってるのかって聞いてるの!!」
「ねえ」
「何?」
「どうして、ウォークマンのことを知ってるの?」
「え?」
「だって、これどう考えても普通のウォークマンにしか見えないよ?」
「だ、だってメタル加工されてるし」
「限定モデルってことも考えれるよね?」
「しゃ、写真を見たから」
「こんなピンボケしちゃってる写真じゃ、よく分からないよ」
とうとう無言になった少女に微笑みと共に問う。
「ねえ? どうしてこのウォークマンを知ってるのか、聞いてもいい?」
「……NEV」
「ん?」
小声で少女が呟く。
それをうまく聞き取れなくって春袈は聞き返す。
「NEV、じゃないの?」
「NEV、関係ある?」
「NEVなのかそうじゃないのかって聞いてるの。はいかいいえで答えてよ」
「……違うよ。元、NEV」
「元?」
「4年前にね。辞めたんだ」
「NEVとのつながりは?」
「……なんでそんなにNEVにこだわる?」
「この子を、護るため」
NEVに対して、しつこく聞いてくる少女がはっきりとしたソプラノで答えた。
「この子って、後ろの子?」
「……わたしの妹」
少女の後ろから、おそるおそる子供が出てくる。
「妹がNEVに利用されるわけにはいかないから」
「いくら、NEVでもそんな子供を利用するなんて非道なマネはしなかったはずだけど」
「……昔はそうだったかもしれない。今は違う。それだけ」
顔をそむけた少女は、質問を再開する。
「NEVとはつながりなんてないのね?」
「ついさっき、NEVの戦闘部長にロープで両手首を縛られてジープの助手席に乗せられてましたが何か?」
「NEV戦闘部長、鋭意早紀、か」
「知ってるんだ」
「おせわになった。といっても嫌なお世話だけどね」
「その鋭意部長に縛られて助手席に乗せられましたとさ」
「……そういえば、コテージがあったわよね? この周辺に」
「あぁ、NEVの奴ら結局、コテージ囲んでたのか。気配でわかったけど」
「……コテージ周辺が爆発するのも知ってる」
「羽夜華、大丈夫かなぁ?」
「……NEVとはもう関係ないの?」
「ないってば」
「じゃなかったら、爆発なんて起こさないか……いや、アンタを連れ戻すためだけかも……」
「ロープで縛って連行するほど、重要な人材に思える?」
「……わたしの気配に気づかないでNEVの気配には気づいた」
「NEVはね。馴染み深かったし」
「わたしは初対面。わかるはずない」
「わざと振りむかなかったかもしれないじゃん」
「ありえない。NEVなら元だろうが現役だろうが研究者だろうが、背後に回った奴は攻撃する」
「……よく知ってるね」
「NEV最高機密事項、第1項。シークレット・ファイルを覗けるだけの地位には居なかったわけ?」
「鋭意部長みたいに、ある程度の地位には居なかったから」
「……アンタの名前は?」
「私の名前、知ってどうするわけ?」
「いいから、教えなさいよ」
先ほどから気になっていた事だが。
(やけにこの子、態度でかいなぁ……)
心中でうめくと、名前ぐらいなら、と教えてしまった。
「鋼夜春袈」
「……鋼夜春袈。NEV戦闘部員。同じく戦闘部員だった遠藤唯納、夏原瓢臥と一緒にフェリアンヴェスピュリア大公国高等部生徒会の一員に。
そして鋭意早紀の命令により、4年前のレオ争奪戦に参加。
その際に、唯一神と呼ばれる桐生刹那と接触。
過去のNEVを見ても、彼以上の人材はないとまで言われた、紅來璃維とは戦闘部で一緒に任務を行った事すらある関係」
「……凄いね、そこまで知ってるなんて、NEV何年目?」
「両親がNEVの研究員だから、わたしと妹が産まれてすぐ、NEVの研究材料にされたから、わたしは13年目、妹でも10年は」
(……私と同じくらい……)
春袈は、早紀に勧誘される形でNEVに入ったのが……約17年前だから、5歳のときに入ったことになる。
「……ちょっと待て」
「何?」
春袈のストップに少女は首を傾げる。
「だったって、どういうことだ?」
「あ、あぁ。戦闘部員だったっていう話?」
「唯納と瓢臥が戦闘部員だったって、今も現役じゃ……」
「ちょうど、アンタがやめたときかな。4年前ぐらい。
今のNEVの方針には従えないって、やめちゃったのが唯納。
そんで、わたしたちを逃がすために唯納と一緒にNEVをやめたのが瓢臥」
「…………。あの2人、どこに居る?」
「わからない。でも鋼夜春袈、アンタを捜してる様子だったけど?」
「……」
ここで、春袈には疑問が浮かんだが、それをこの少女に話すのはあまりにも危険すぎた。
「鋼夜春袈。元NEV隊員だって言うけど、それを信じて言ってみる。
……アンタの戦闘力を始めとする能力はNEVの中でも重要視されてた。
だから、アンタとここで別れるのは、ちょっともったいないかな?」
ここまで言われれば、春袈なんとなく分かった。
「わたしと妹。アンタについていく」
「元なんて言ってるけど、NEVとつながりがまだあって、もしもキミたちのことをNEVに言ったらどうするわけ?」
「NEVのデータベースに侵入した桃風羽夜華。彼女は曲者だって聞いてる。
だから桃風羽夜華を味方につけてる時点で、アンタの実力は、わたしが計れるほどのものじゃないってことぐらいは予想できるし。
そんな実力が計り知れない奴が、わたしたちを手放すなんて思わない。思えない」
「……都合がよければ、使い捨てる」
「うーん。それはありえるかな。NEVの奴らは必ず、使い捨てるっていう発想を持ってるものだから」
「……はぁ」
春袈はそこで溜息をついた。
「どうしたの?」
「そこまで、はっきりと断言されるとなぁ……」
金髪に黒のメッシュが入った頭をガシガシと掻く。
「仕方がないかなー」
曇ってきた空を見上げる。
「何が?」
「キミたちを連れてく」
「……いいの?」
「うん。だけど、私にはウォークマンの秘密を探るっていう約束がある」
「……約束?」
「そう。役目じゃなくって、約束」
そろそろ雨が降り出しそうな空を見上げながら、春袈は1組の姉妹を迎え入れた。
鋼夜 春袈は、自分の宣言にちょっとだけ後悔しながら、写真を見る。
「メタル加工されてた時点で、もしかして、って思ったけど」
写真には赤髪の少女と少女の首にぶら下げられた青く、メタル加工されたウォークマンが写っていた。
「さすがに唯一神が持つウォークマンだとは気づかなかった」
まあ、気づいてても少女の傍に居た少年が春袈の言葉を遮っていただろうけど。
「ちょっと」
背後からかけられた声に、春袈は振り向く。
「これ、落としたけど、アンタのじゃないの?」
10代前半だろうか。左に流した前髪が異常に長く左目を覆い隠してしまっている。しかし右側は短く、その色は黒い。
突飛ともいえる髪型の少女の後ろには少女よりも幼い子供が居た。
子供は春袈の視線に気づくと、少女のカーディガンを握りしめ、少女の背中に隠れてしまった。
「ねえ、アンタのじゃないの?」
苛々とした言葉を発する少女の右手を見ると、確かに春袈の関係書類が差し出されていた。
書類といっても、重要度は高くないのでついつい扱いが乱暴になってしまう。
「ありがとう」
お礼を言って、身を屈ませる。
書類を受け取り、少女を見る。
春袈は首をかしげた。
なぜ?
「どうして、その写真を持ってるの……!?」
少女が両目を見開いていたからだ。
少女は春袈が持っているウォークマンの写真を見ている。
……見られた。完全に見られた。屈んだときに見られた。
そうして、少女からの質問は続いた。
「NEV……? アンタ、NEVなの?」
震える少女に否定を示すために、首を横に振る。
「ならなんで、写真を持っているの!?」
否定を否定されてしまった。
「写真って……普通の少女が写ってるだけだけど、君に関係ある?」
「違う。女の子じゃない。そのウォークマン……」
(……おかしくない? これ)
「ウォークマンの写真をどうして持ってるのかって聞いてるの!!」
「ねえ」
「何?」
「どうして、ウォークマンのことを知ってるの?」
「え?」
「だって、これどう考えても普通のウォークマンにしか見えないよ?」
「だ、だってメタル加工されてるし」
「限定モデルってことも考えれるよね?」
「しゃ、写真を見たから」
「こんなピンボケしちゃってる写真じゃ、よく分からないよ」
とうとう無言になった少女に微笑みと共に問う。
「ねえ? どうしてこのウォークマンを知ってるのか、聞いてもいい?」
「……NEV」
「ん?」
小声で少女が呟く。
それをうまく聞き取れなくって春袈は聞き返す。
「NEV、じゃないの?」
「NEV、関係ある?」
「NEVなのかそうじゃないのかって聞いてるの。はいかいいえで答えてよ」
「……違うよ。元、NEV」
「元?」
「4年前にね。辞めたんだ」
「NEVとのつながりは?」
「……なんでそんなにNEVにこだわる?」
「この子を、護るため」
NEVに対して、しつこく聞いてくる少女がはっきりとしたソプラノで答えた。
「この子って、後ろの子?」
「……わたしの妹」
少女の後ろから、おそるおそる子供が出てくる。
「妹がNEVに利用されるわけにはいかないから」
「いくら、NEVでもそんな子供を利用するなんて非道なマネはしなかったはずだけど」
「……昔はそうだったかもしれない。今は違う。それだけ」
顔をそむけた少女は、質問を再開する。
「NEVとはつながりなんてないのね?」
「ついさっき、NEVの戦闘部長にロープで両手首を縛られてジープの助手席に乗せられてましたが何か?」
「NEV戦闘部長、鋭意早紀、か」
「知ってるんだ」
「おせわになった。といっても嫌なお世話だけどね」
「その鋭意部長に縛られて助手席に乗せられましたとさ」
「……そういえば、コテージがあったわよね? この周辺に」
「あぁ、NEVの奴ら結局、コテージ囲んでたのか。気配でわかったけど」
「……コテージ周辺が爆発するのも知ってる」
「羽夜華、大丈夫かなぁ?」
「……NEVとはもう関係ないの?」
「ないってば」
「じゃなかったら、爆発なんて起こさないか……いや、アンタを連れ戻すためだけかも……」
「ロープで縛って連行するほど、重要な人材に思える?」
「……わたしの気配に気づかないでNEVの気配には気づいた」
「NEVはね。馴染み深かったし」
「わたしは初対面。わかるはずない」
「わざと振りむかなかったかもしれないじゃん」
「ありえない。NEVなら元だろうが現役だろうが研究者だろうが、背後に回った奴は攻撃する」
「……よく知ってるね」
「NEV最高機密事項、第1項。シークレット・ファイルを覗けるだけの地位には居なかったわけ?」
「鋭意部長みたいに、ある程度の地位には居なかったから」
「……アンタの名前は?」
「私の名前、知ってどうするわけ?」
「いいから、教えなさいよ」
先ほどから気になっていた事だが。
(やけにこの子、態度でかいなぁ……)
心中でうめくと、名前ぐらいなら、と教えてしまった。
「鋼夜春袈」
「……鋼夜春袈。NEV戦闘部員。同じく戦闘部員だった遠藤唯納、夏原瓢臥と一緒にフェリアンヴェスピュリア大公国高等部生徒会の一員に。
そして鋭意早紀の命令により、4年前のレオ争奪戦に参加。
その際に、唯一神と呼ばれる桐生刹那と接触。
過去のNEVを見ても、彼以上の人材はないとまで言われた、紅來璃維とは戦闘部で一緒に任務を行った事すらある関係」
「……凄いね、そこまで知ってるなんて、NEV何年目?」
「両親がNEVの研究員だから、わたしと妹が産まれてすぐ、NEVの研究材料にされたから、わたしは13年目、妹でも10年は」
(……私と同じくらい……)
春袈は、早紀に勧誘される形でNEVに入ったのが……約17年前だから、5歳のときに入ったことになる。
「……ちょっと待て」
「何?」
春袈のストップに少女は首を傾げる。
「だったって、どういうことだ?」
「あ、あぁ。戦闘部員だったっていう話?」
「唯納と瓢臥が戦闘部員だったって、今も現役じゃ……」
「ちょうど、アンタがやめたときかな。4年前ぐらい。
今のNEVの方針には従えないって、やめちゃったのが唯納。
そんで、わたしたちを逃がすために唯納と一緒にNEVをやめたのが瓢臥」
「…………。あの2人、どこに居る?」
「わからない。でも鋼夜春袈、アンタを捜してる様子だったけど?」
「……」
ここで、春袈には疑問が浮かんだが、それをこの少女に話すのはあまりにも危険すぎた。
「鋼夜春袈。元NEV隊員だって言うけど、それを信じて言ってみる。
……アンタの戦闘力を始めとする能力はNEVの中でも重要視されてた。
だから、アンタとここで別れるのは、ちょっともったいないかな?」
ここまで言われれば、春袈なんとなく分かった。
「わたしと妹。アンタについていく」
「元なんて言ってるけど、NEVとつながりがまだあって、もしもキミたちのことをNEVに言ったらどうするわけ?」
「NEVのデータベースに侵入した桃風羽夜華。彼女は曲者だって聞いてる。
だから桃風羽夜華を味方につけてる時点で、アンタの実力は、わたしが計れるほどのものじゃないってことぐらいは予想できるし。
そんな実力が計り知れない奴が、わたしたちを手放すなんて思わない。思えない」
「……都合がよければ、使い捨てる」
「うーん。それはありえるかな。NEVの奴らは必ず、使い捨てるっていう発想を持ってるものだから」
「……はぁ」
春袈はそこで溜息をついた。
「どうしたの?」
「そこまで、はっきりと断言されるとなぁ……」
金髪に黒のメッシュが入った頭をガシガシと掻く。
「仕方がないかなー」
曇ってきた空を見上げる。
「何が?」
「キミたちを連れてく」
「……いいの?」
「うん。だけど、私にはウォークマンの秘密を探るっていう約束がある」
「……約束?」
「そう。役目じゃなくって、約束」
そろそろ雨が降り出しそうな空を見上げながら、春袈は1組の姉妹を迎え入れた。
後書き
作者:斎藤七南 |
投稿日:2010/11/05 19:36 更新日:2010/11/05 19:36 『White×Black=Glay?』の著作権は、すべて作者 斎藤七南様に属します。 |
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