作品ID:621
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White×Black=Glay?
小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 連載中
前書き・紹介
White×Black=Glay? ?8.2色目?
前の話 | 目次 | 次の話 |
ヘリコプターから飛び降りる、影たち。
真っ黒な服に身を包んだ彼らを、自分は知っている。
「へぇ……。戦闘部隊を連れてくるなんて、NEVは、この都市の魔法使いを連れてくる事に、それほどまでに、執着しているのか?」
自分、鋼夜 春袈は、ジャケットの胸ポケットから、携帯らしき端末を取り出す。
(……統率がとれているってことは、誰かが指揮してるのか……。それも、逆らえないほどの指揮官)
端末の液晶画面には、点々と光点が散らばっている。だが、その光点たちは、バラバラではなく、一種の秩序がある。
この端末は、実は、NEVの上位隊員が所有する代物。当然、GPSなんて面倒なものも最初はつけられていたが、NEVを離れ、妹ともども、今は自分に協力してくれている、草花 舞葉が端末の良い点だけを残し、GPS等の、自分たちにとっては都合の悪い点は取り除いた。
「言ったでしょう? この魔法使いたちは、獅子召喚術に必要なの。NEVにとっては、執着したくもなるわ」
「その、獅子召喚術とは?」
獅子召喚術。
NEVの科学部、研究部が合同で構築した、天使が最初に生み出したとされる召喚獣、獅子を名の通り、召喚する術。
ただし、それには、膨大なる魔法の力とそれを持ち合わせる人間が居なければならないため、今まで、構築はされども、実行には至らなかった。
「要するに、獅子召喚術は、止まったままの今の世界を動かすための力なの」
「止まった……まま?」
「貴女なら分かると思ったんだけれど。……4年前のレオ争奪戦」
思わず、目を見開いてしまった。
「あの4年前から、世界は止まってしまっているの。テロ対策だって、今までは、訓練し手なずけた、悪魔や天使を使役して、だったわ。でも、4年前から、私たちのトップ……NEV局長は、異常なまでに悪魔、天使を使役することを怖れた。それは、間違いなく、4年前、貴女の連れ……紅来璃維がレオ争奪戦の開催地、シュヴェルトヘリアを再興不可能までに壊したため」
春袈の連れ、戦友であり、悪魔の中でも強い、当時は少年だった、紅来 璃維(くらい りい)。
現在は、4年前の暴走の後遺症と戦っている。
「シュヴェルトヘリアは、NEVにとっての最重要研究施設だったの。それを、1人の悪魔が壊してしまった。それにより、NEVは、悪魔の警戒を強めたの。もちろん、悪魔と対になる天使もね」
「しかし、戦闘能力が高い悪魔は、別として、天使を警戒するものですか?」
「天使は、戦闘能力こそ、悪魔に劣るものの、その回復能力には目を見張るものがあるわ」
「つまり……単純な戦闘能力よりも、時として、回復能力の方が、厄介なときもあると?」
「ええ。それで、NEVは、天使も警戒しているの。……だから」
夏原美佳が、民族衣装のような、ゆったりとした服から、片手剣を取り出す。
キラリ、とその緑色の刃が見えたのは一瞬。
とっさに、自分は、その攻撃範囲から退く。
「天使である、貴女には消えてもらいたいの」
ニヤリと笑う、彼女の顔は、戦闘員のそれになっていた。
「ここで、私を殺せば、草花姉妹の居所が掴めなくなりますよ?」
片手剣の追撃から逃れつつ、問う。
「NEVの情報網をなめているの? すぐに見つけ出すわ」
「ずいぶんと、自信があるようで……!?」
緑色の一閃。逃れにくい、胴体を狙う。
それを屈んでかわし、右手で地面を突き、回し蹴りを放つ。
「あら。貴女なら知っていると思ったのだけれど?」
「何を?」
蹴りはかわされたが、予想範囲内。大丈夫。ついていける。
片手剣を持つのとは逆の左手。シールドが迫る。ひし形に形作られているそれを、体勢を立て直し、真正面から受け止める。
「NEVは、最近になって、天使なら天使を。悪魔なら悪魔を察知する能力が潜在的にあるということを発見したの」
「……まるで、歩く探査機ですね」
「そうね。その表現は間違っていないわ。でも、探査機は、大体、よ」
話しながらの回避行動、戦闘行動はかなり緊張する。精神力の戦いだ。
気を抜いたら、やられる。そういった緊張感が支配する。
「天使が天使を探す場合、そこには、一種の仲間探索に似ている部分があるの。悪魔にしたってそうよ? だから、天使が天使を探せば、同類の匂いを嗅ぎ分け、確実に見つけ出すの。悪魔の場合もそうだけれどね」
「それを使えば、傍に居る天使、または悪魔を探し出し、そうして草花姉妹を見つけ出せる……」
「そう。だから、貴女を殺した後、邪魔されず、ゆーっくりと草花姉妹を探すとするわ」
あぁ、この人は、本気だ。繰り出される攻撃がそれを語る。
「でも、草花姉妹の傍に天使、悪魔が居ないということは考えない?」
「あー。説明不足。この方法でいくと、天使、悪魔は、そこに居た同類の気配、匂いを感じ取ることもできるの」
「……隙ナシですね」
その言葉を認め、確かに隙はないと思う。
「だから、早く探しにいかせてよ。獅子召喚術には、草花姉妹も必要なの」
それを聞いたときに、何かが、ふっ切れた。
「獅子召喚術に、必要……?」
「ええ。特に妹ちゃんの方はね」
「妹、草花黒刃?」
「あの子の能力は、NEVの中でも突出しちゃっててね。だから、あの子が自分からNEVに敵対する前に、NEV側に入れておくの。敵に回られたら、厄介だからね」
「……モノみたいな言い方ですね」
「だって、今は、有害だもの。NEVに所属していたなら、わかるはず。NEVは、邪魔、有害なものは、全て、モノと判断するって」
そうだ。いつだって、NEVは……!
そこで、自分の意識は、自分のものではなくなった。
真っ黒な服に身を包んだ彼らを、自分は知っている。
「へぇ……。戦闘部隊を連れてくるなんて、NEVは、この都市の魔法使いを連れてくる事に、それほどまでに、執着しているのか?」
自分、鋼夜 春袈は、ジャケットの胸ポケットから、携帯らしき端末を取り出す。
(……統率がとれているってことは、誰かが指揮してるのか……。それも、逆らえないほどの指揮官)
端末の液晶画面には、点々と光点が散らばっている。だが、その光点たちは、バラバラではなく、一種の秩序がある。
この端末は、実は、NEVの上位隊員が所有する代物。当然、GPSなんて面倒なものも最初はつけられていたが、NEVを離れ、妹ともども、今は自分に協力してくれている、草花 舞葉が端末の良い点だけを残し、GPS等の、自分たちにとっては都合の悪い点は取り除いた。
「言ったでしょう? この魔法使いたちは、獅子召喚術に必要なの。NEVにとっては、執着したくもなるわ」
「その、獅子召喚術とは?」
獅子召喚術。
NEVの科学部、研究部が合同で構築した、天使が最初に生み出したとされる召喚獣、獅子を名の通り、召喚する術。
ただし、それには、膨大なる魔法の力とそれを持ち合わせる人間が居なければならないため、今まで、構築はされども、実行には至らなかった。
「要するに、獅子召喚術は、止まったままの今の世界を動かすための力なの」
「止まった……まま?」
「貴女なら分かると思ったんだけれど。……4年前のレオ争奪戦」
思わず、目を見開いてしまった。
「あの4年前から、世界は止まってしまっているの。テロ対策だって、今までは、訓練し手なずけた、悪魔や天使を使役して、だったわ。でも、4年前から、私たちのトップ……NEV局長は、異常なまでに悪魔、天使を使役することを怖れた。それは、間違いなく、4年前、貴女の連れ……紅来璃維がレオ争奪戦の開催地、シュヴェルトヘリアを再興不可能までに壊したため」
春袈の連れ、戦友であり、悪魔の中でも強い、当時は少年だった、紅来 璃維(くらい りい)。
現在は、4年前の暴走の後遺症と戦っている。
「シュヴェルトヘリアは、NEVにとっての最重要研究施設だったの。それを、1人の悪魔が壊してしまった。それにより、NEVは、悪魔の警戒を強めたの。もちろん、悪魔と対になる天使もね」
「しかし、戦闘能力が高い悪魔は、別として、天使を警戒するものですか?」
「天使は、戦闘能力こそ、悪魔に劣るものの、その回復能力には目を見張るものがあるわ」
「つまり……単純な戦闘能力よりも、時として、回復能力の方が、厄介なときもあると?」
「ええ。それで、NEVは、天使も警戒しているの。……だから」
夏原美佳が、民族衣装のような、ゆったりとした服から、片手剣を取り出す。
キラリ、とその緑色の刃が見えたのは一瞬。
とっさに、自分は、その攻撃範囲から退く。
「天使である、貴女には消えてもらいたいの」
ニヤリと笑う、彼女の顔は、戦闘員のそれになっていた。
「ここで、私を殺せば、草花姉妹の居所が掴めなくなりますよ?」
片手剣の追撃から逃れつつ、問う。
「NEVの情報網をなめているの? すぐに見つけ出すわ」
「ずいぶんと、自信があるようで……!?」
緑色の一閃。逃れにくい、胴体を狙う。
それを屈んでかわし、右手で地面を突き、回し蹴りを放つ。
「あら。貴女なら知っていると思ったのだけれど?」
「何を?」
蹴りはかわされたが、予想範囲内。大丈夫。ついていける。
片手剣を持つのとは逆の左手。シールドが迫る。ひし形に形作られているそれを、体勢を立て直し、真正面から受け止める。
「NEVは、最近になって、天使なら天使を。悪魔なら悪魔を察知する能力が潜在的にあるということを発見したの」
「……まるで、歩く探査機ですね」
「そうね。その表現は間違っていないわ。でも、探査機は、大体、よ」
話しながらの回避行動、戦闘行動はかなり緊張する。精神力の戦いだ。
気を抜いたら、やられる。そういった緊張感が支配する。
「天使が天使を探す場合、そこには、一種の仲間探索に似ている部分があるの。悪魔にしたってそうよ? だから、天使が天使を探せば、同類の匂いを嗅ぎ分け、確実に見つけ出すの。悪魔の場合もそうだけれどね」
「それを使えば、傍に居る天使、または悪魔を探し出し、そうして草花姉妹を見つけ出せる……」
「そう。だから、貴女を殺した後、邪魔されず、ゆーっくりと草花姉妹を探すとするわ」
あぁ、この人は、本気だ。繰り出される攻撃がそれを語る。
「でも、草花姉妹の傍に天使、悪魔が居ないということは考えない?」
「あー。説明不足。この方法でいくと、天使、悪魔は、そこに居た同類の気配、匂いを感じ取ることもできるの」
「……隙ナシですね」
その言葉を認め、確かに隙はないと思う。
「だから、早く探しにいかせてよ。獅子召喚術には、草花姉妹も必要なの」
それを聞いたときに、何かが、ふっ切れた。
「獅子召喚術に、必要……?」
「ええ。特に妹ちゃんの方はね」
「妹、草花黒刃?」
「あの子の能力は、NEVの中でも突出しちゃっててね。だから、あの子が自分からNEVに敵対する前に、NEV側に入れておくの。敵に回られたら、厄介だからね」
「……モノみたいな言い方ですね」
「だって、今は、有害だもの。NEVに所属していたなら、わかるはず。NEVは、邪魔、有害なものは、全て、モノと判断するって」
そうだ。いつだって、NEVは……!
そこで、自分の意識は、自分のものではなくなった。
後書き
作者:斎藤七南 |
投稿日:2011/03/02 19:26 更新日:2011/03/02 19:26 『White×Black=Glay?』の著作権は、すべて作者 斎藤七南様に属します。 |
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