作品ID:766
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「White×Black=Glay?」を読み始めました。
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White×Black=Glay?
小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 連載中
前書き・紹介
White×Black=Glay? ?10.3色目?
前の話 | 目次 | 次の話 |
「White×Black=Glay……?」
「そうだ。……そのキーワードと対になるキーワード……Angel+Devil=Reo」
赤と黒のツートンカラーのポニーテールが特徴的な女性は、真一文字に結んだ、口紅を塗ったであろう唇を開き、金色に黒のメッシュが入った短髪の女性を睨みつけるように、見つめる。
「天使と悪魔が意思共通すれば、獅子が召喚される。だが、このキーワードは、1個の情報機器が必要になる。……それがなければ、本当の意味で、獅子を召喚することなどできない」
「情報機器……ウォークマン?」
「あぁ。だが、肝心のウォークマンの場所が不明。……NEVが探してもどこにも見つからなかった。……本当にウォークマンなど存在したのか? そのようなことまで言われ始めた」
「……私は、この目で、ウォークマンを見た」
「天使の力が注がれて、色彩が変わるウォークマンをか?」
「色彩が変わる……そうだ。私は、たしかにこの目で見たんだ。……桐生刹那が所持する、ウォークマンを」
荒れ果てた戦場都市で、金髪の女性が、ツートンカラーの女性に背を向けて、去っていく。
「ウォークマンは、私が探し当てる。……NEVは、何もしなくていい」
決別宣言。
NEVという大きな組織が、探せないのなら、自分という個が探し当てる。
金髪の女性が歩いていく先に、長い黒髪をポニーテールに縛った少女が立っている。
あぁ、そうか。
自分だけではない。
自分には、大切なチームがある。
訂正。
自分という個と自分の大切なチームが探し当ててみせる。
「……あさりょう、たては?」
『はい。朝龍楯羽、NEV極秘部隊所属。前衛後衛、どこでも護れるそのスタイルはまさに万能型。攻撃能力だけではなく、防御能力も高い。その異名は黒戦姫。桜黒姫とも言うらしいですが』
黒光りする携帯電話から紡がれる少女の声。
少女の名を、草花 舞葉。頭脳派少女で、NEVのトップ・シークレット。現在、彼女は自分のチームで、保護中という身分だ。
『赤と黒のツートンカラーが特徴的で、それをポニーテールに縛っているのが朝龍楯羽です』
「朝龍楯羽が、何故……私のところに?」
『……NEVの獅子召喚術が不安定だからでしょう。NEVは獅子召喚術に必要なウォークマンを手に入れていない』
エルキュールと呼ばれる町にあるホテル。その104号室に金髪に黒のメッシュを入れた女性は居た。
ソファーに座り、携帯電話を握る、その女性の名を鋼夜春袈。
「朝龍楯羽……」
『彼女は、非常に冷静な人物です。NEVの獅子召喚術に対して、異論を唱えることも考えられました。そして、それは予想ではなく現実だったようです。貴女の目の前に現れた、そのことこそが、理由です』
「そんなに獅子召喚術は危険なのか?」
『はい。元々、獅子を召喚する術などなかったのです。それが、NEVに属していた1人の女性の手によって、強引につくられた。でも、強引につくられたからこそ、欠陥もありました。それをNEVがまたも強引に実行したのです。……獅子は召喚獣です。だからこそ、獅子には強大な力が備わっています』
「獅子召喚術にウォークマンが必要なわけは?」
『……獅子は強大な力が備わっています。ウォークマンには、単なる音楽機器以外の使用方法があります。……といっても、その使用方法こそが、本来のウォークマンの使い道なのですが』
「他の使用方法?」
『記憶機器としての使用。ウォークマンには、ある規準を満たせば、記憶能力が付加されます。その能力を最大限に生かせば、獅子を制御下に置く事など、たやすいことです』
「獅子の制御?」
『獅子の力は恐れるものです。しかし、その獅子を制御するにおいて、獅子を完全理解することが不可欠です。理解するには、獅子の記憶を引き継ぐことをしなければなりません。ですが、獅子の記憶は、我々の記憶容量を越えます。だから、ウォークマンを使用するのです』
「……分かった。ありがとう」
『……朝龍楯羽にお気をつけを。私たちがNEVに居た頃、彼女だけは、NEVをどこかで否定していました』
舞葉の言葉に首を傾げるが、それを追及することは今でなくとも、よかった。
「朝龍楯羽、分かった」
『また、連絡すべきことがあれば、どうぞ』
その言葉を最後に、電話は切れた。
切れたと同時に、ガチャリ。
ドアが開かれ、外気を送り込んだのは――長い黒髪をポニーテールに縛った少女。
名を、桃風 羽夜華。舞葉と同じく、チーム所属の少女で、頭脳派でもある。
「リーダー、草花姉に連絡ですか?」
「ん、あぁ。確認したい事があったからな」
「……そうですか」
「どうかしたのか?」
「あ、いえ」
口では否定するが、羽夜華の顔は青い。
自らの目の前に置かれているソファーに座る羽夜華は、明らかに様子が違う。
「……言え。命令だ」
その言葉に羽夜華の肩が震える。ポニーテールが動く。
黒い瞳がこちらを向く。
「……倉中蒼理を見ました」
「え!?」
ソファーから立ち上がる。羽夜華が言う、倉中蒼理。
以前、魔法使い達の町の隣町で出会った少女。金髪のツインテールと、その語尾をのばす話し方が特徴的だ、と記憶している。
「どこで!?」
倉中蒼理という少女は、情報戦士と呼ばれる戦闘スタイルを用いている。
その力は無限大。己が持っている情報によって変わる威力が特徴な情報戦士の中でも、彼女はとても強かったように思う。
その彼女がこのタイミングで姿を現した。
朝龍楯羽と倉中蒼理。
この2人の女性が、同じようなタイミングで現れた。
その事に対して、疑問を抱かずにはいられない。
(単なる偶然ならば、いいのだが……)
でも、そうは思えない。思いたくない。思ってしまえば、何かを間違いそうだから。
「倉中蒼理がなぜ、現れたかはわかりません。……でも、何かを探しているように思えました」
「……倉中蒼理が探すもの?」
「……ウォークマン?」
羽夜華の疑問系発言に、背筋がゾクリと凍る感覚。
(ちょっと待て。先ほど、舞葉はなんと言っていた? NEV獅子召喚術では、ウォークマンが必要だとは言ってなかったか? 朝龍楯羽がそれを知っていても驚くべきことではない。だって、朝龍楯羽はNEV所属員なのだから。……でも、NEVとなんら関係のない倉中蒼理が関係するとしたら……?)
ウォークマンを巡っての闘争は、これから、始まる。
(…・・・ウォークマンの秘密は、既に光の下……)
くるりくるりくるりくるり。回る回る回る回る。変わる変わる変わる変わる。
色が色と混じりあい、色を生み出し、物体と物体が交じり合い、物体を生み出す。
(まさか……)
くるくるくるくる変わる。
世界が変わって、色が変わる。
「羽夜華……」
「はい?」
状況を理解できていない羽夜華が首をかしげる。
「もしかしたら、ウォークマンは……」
もし。
もし、今、鋼夜春袈という女性が考えている事が、あっていると考えれば。
「既に、私たちでは届かないような場所にあるのかもしれない」
エルキュールという町にあるホテルの一室。
そこで、鋼夜春袈は、自分が考えた道筋を桃風羽夜華に伝えた。
「そうだ。……そのキーワードと対になるキーワード……Angel+Devil=Reo」
赤と黒のツートンカラーのポニーテールが特徴的な女性は、真一文字に結んだ、口紅を塗ったであろう唇を開き、金色に黒のメッシュが入った短髪の女性を睨みつけるように、見つめる。
「天使と悪魔が意思共通すれば、獅子が召喚される。だが、このキーワードは、1個の情報機器が必要になる。……それがなければ、本当の意味で、獅子を召喚することなどできない」
「情報機器……ウォークマン?」
「あぁ。だが、肝心のウォークマンの場所が不明。……NEVが探してもどこにも見つからなかった。……本当にウォークマンなど存在したのか? そのようなことまで言われ始めた」
「……私は、この目で、ウォークマンを見た」
「天使の力が注がれて、色彩が変わるウォークマンをか?」
「色彩が変わる……そうだ。私は、たしかにこの目で見たんだ。……桐生刹那が所持する、ウォークマンを」
荒れ果てた戦場都市で、金髪の女性が、ツートンカラーの女性に背を向けて、去っていく。
「ウォークマンは、私が探し当てる。……NEVは、何もしなくていい」
決別宣言。
NEVという大きな組織が、探せないのなら、自分という個が探し当てる。
金髪の女性が歩いていく先に、長い黒髪をポニーテールに縛った少女が立っている。
あぁ、そうか。
自分だけではない。
自分には、大切なチームがある。
訂正。
自分という個と自分の大切なチームが探し当ててみせる。
「……あさりょう、たては?」
『はい。朝龍楯羽、NEV極秘部隊所属。前衛後衛、どこでも護れるそのスタイルはまさに万能型。攻撃能力だけではなく、防御能力も高い。その異名は黒戦姫。桜黒姫とも言うらしいですが』
黒光りする携帯電話から紡がれる少女の声。
少女の名を、草花 舞葉。頭脳派少女で、NEVのトップ・シークレット。現在、彼女は自分のチームで、保護中という身分だ。
『赤と黒のツートンカラーが特徴的で、それをポニーテールに縛っているのが朝龍楯羽です』
「朝龍楯羽が、何故……私のところに?」
『……NEVの獅子召喚術が不安定だからでしょう。NEVは獅子召喚術に必要なウォークマンを手に入れていない』
エルキュールと呼ばれる町にあるホテル。その104号室に金髪に黒のメッシュを入れた女性は居た。
ソファーに座り、携帯電話を握る、その女性の名を鋼夜春袈。
「朝龍楯羽……」
『彼女は、非常に冷静な人物です。NEVの獅子召喚術に対して、異論を唱えることも考えられました。そして、それは予想ではなく現実だったようです。貴女の目の前に現れた、そのことこそが、理由です』
「そんなに獅子召喚術は危険なのか?」
『はい。元々、獅子を召喚する術などなかったのです。それが、NEVに属していた1人の女性の手によって、強引につくられた。でも、強引につくられたからこそ、欠陥もありました。それをNEVがまたも強引に実行したのです。……獅子は召喚獣です。だからこそ、獅子には強大な力が備わっています』
「獅子召喚術にウォークマンが必要なわけは?」
『……獅子は強大な力が備わっています。ウォークマンには、単なる音楽機器以外の使用方法があります。……といっても、その使用方法こそが、本来のウォークマンの使い道なのですが』
「他の使用方法?」
『記憶機器としての使用。ウォークマンには、ある規準を満たせば、記憶能力が付加されます。その能力を最大限に生かせば、獅子を制御下に置く事など、たやすいことです』
「獅子の制御?」
『獅子の力は恐れるものです。しかし、その獅子を制御するにおいて、獅子を完全理解することが不可欠です。理解するには、獅子の記憶を引き継ぐことをしなければなりません。ですが、獅子の記憶は、我々の記憶容量を越えます。だから、ウォークマンを使用するのです』
「……分かった。ありがとう」
『……朝龍楯羽にお気をつけを。私たちがNEVに居た頃、彼女だけは、NEVをどこかで否定していました』
舞葉の言葉に首を傾げるが、それを追及することは今でなくとも、よかった。
「朝龍楯羽、分かった」
『また、連絡すべきことがあれば、どうぞ』
その言葉を最後に、電話は切れた。
切れたと同時に、ガチャリ。
ドアが開かれ、外気を送り込んだのは――長い黒髪をポニーテールに縛った少女。
名を、桃風 羽夜華。舞葉と同じく、チーム所属の少女で、頭脳派でもある。
「リーダー、草花姉に連絡ですか?」
「ん、あぁ。確認したい事があったからな」
「……そうですか」
「どうかしたのか?」
「あ、いえ」
口では否定するが、羽夜華の顔は青い。
自らの目の前に置かれているソファーに座る羽夜華は、明らかに様子が違う。
「……言え。命令だ」
その言葉に羽夜華の肩が震える。ポニーテールが動く。
黒い瞳がこちらを向く。
「……倉中蒼理を見ました」
「え!?」
ソファーから立ち上がる。羽夜華が言う、倉中蒼理。
以前、魔法使い達の町の隣町で出会った少女。金髪のツインテールと、その語尾をのばす話し方が特徴的だ、と記憶している。
「どこで!?」
倉中蒼理という少女は、情報戦士と呼ばれる戦闘スタイルを用いている。
その力は無限大。己が持っている情報によって変わる威力が特徴な情報戦士の中でも、彼女はとても強かったように思う。
その彼女がこのタイミングで姿を現した。
朝龍楯羽と倉中蒼理。
この2人の女性が、同じようなタイミングで現れた。
その事に対して、疑問を抱かずにはいられない。
(単なる偶然ならば、いいのだが……)
でも、そうは思えない。思いたくない。思ってしまえば、何かを間違いそうだから。
「倉中蒼理がなぜ、現れたかはわかりません。……でも、何かを探しているように思えました」
「……倉中蒼理が探すもの?」
「……ウォークマン?」
羽夜華の疑問系発言に、背筋がゾクリと凍る感覚。
(ちょっと待て。先ほど、舞葉はなんと言っていた? NEV獅子召喚術では、ウォークマンが必要だとは言ってなかったか? 朝龍楯羽がそれを知っていても驚くべきことではない。だって、朝龍楯羽はNEV所属員なのだから。……でも、NEVとなんら関係のない倉中蒼理が関係するとしたら……?)
ウォークマンを巡っての闘争は、これから、始まる。
(…・・・ウォークマンの秘密は、既に光の下……)
くるりくるりくるりくるり。回る回る回る回る。変わる変わる変わる変わる。
色が色と混じりあい、色を生み出し、物体と物体が交じり合い、物体を生み出す。
(まさか……)
くるくるくるくる変わる。
世界が変わって、色が変わる。
「羽夜華……」
「はい?」
状況を理解できていない羽夜華が首をかしげる。
「もしかしたら、ウォークマンは……」
もし。
もし、今、鋼夜春袈という女性が考えている事が、あっていると考えれば。
「既に、私たちでは届かないような場所にあるのかもしれない」
エルキュールという町にあるホテルの一室。
そこで、鋼夜春袈は、自分が考えた道筋を桃風羽夜華に伝えた。
後書き
作者:斎藤七南 |
投稿日:2011/06/13 07:58 更新日:2011/06/13 07:58 『White×Black=Glay?』の著作権は、すべて作者 斎藤七南様に属します。 |
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