作品ID:806
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「魔法と科学の機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)」を読み始めました。
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魔法と科学の機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)
小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 休載中
前書き・紹介
時を駆ける者
前の話 | 目次 | 次の話 |
シキは今、メルトの町の前まで来ていた。いくら不幸が続いているとしても嘆いてばかりでは不幸を打破することは出来ない。
メルトの町は主に金属加工などが有名な町だ。いくら燃料が目当てとは言っても他にも金属なども発掘される。それらはメルタからメルトに運ばれて加工されるのだ。しかし、メルトの町はメルタの町と鉱山を挟んで向かい側にある。あからさまに立地ミスだと思う。
「依頼は・・・成功してるよなぁ?・・・?」
ギルドに寄せられる依頼の報酬は基本前払いなのだ。これは踏み倒しなどを警戒などの意味合いが濃い。だけど世の中はやはり困った人間も居るものなのだ。依頼が遂行出来なかった場合は報酬は払い戻しになる。こっちは依頼を完遂したはずなのにそれを認めずに報酬を払い戻しさせようとする人間などが居るのだ。例えば俺の場合魔物を退治したのだが「まだ残っている!」などの理由で払い戻しさせられたりする。
「まぁ、とりあえずメルトの町に着いたら宿を探そう」
財布は落としてないかポケットを探って確かめる。
「よし・・・ちゃんとあるな」
そしてちょうどメルトの町の入り口が見えた。
メルトの町は町の5割近い面積が金属加工業の職場などで埋め尽くされている町で、そこに居る職人などもかなり有名な人が多い。もう夜だというのに外は人がたくさんいるあたりこの町がいかに栄えているかが分かる。
「さて・・・・・・どこに泊まるかな・・・?」
俺は格安の宿を探して町を探索していたその時だった。
どん
フードつきの黒いマントをつけた怪しげな人物が俺にぶつかって来たのだった。
「おっと・・・悪い」
「いやいや・・・こちらこそすまない」
お互い謝罪するとその時ぶつかってきた人物はそそくさとその場を離れる。
「人が多いと前方不注意は危ないな・・・うん」
そして何気なくポケットに手を入れて・・・・・・・・・手を出してポケットを叩く・・・。
「無い・・・・・・」
そう・・・無いのだ・・・・・・財布が・・・。そしてついさっきぶつかってきた人物を思いだして・・・。
「スリか!」
Uターンからの猛ダッシュでスリ犯を追った。
割とすぐ気付いたのが功を奏してすぐに見つけることが出来た。
「待てーーー! 待てコラそこを行くフード野郎!」
見つけると同時に声をかけるとフードの男はちらっとこちらを見てにやっと笑って焦る様子もなく走り出した。しかし、今晩の宿がかかっている俺にはそんな挙動を気にする余裕はない。ただひたすら追いかける。
「待てコラぁぁああああああ! 死にたくなければとまれコラ! 今なら5分の4殺しで済ましてやるからおとなしく止まりやがれ!」
不運が続いたせいで殺気だっている俺は怒鳴り散らしながら逃げるスリ犯を追いかける。するとスリ犯は人気の無い細い脇道に入っていった。すぐに俺も後を追って脇道に入る。すると黒い物が左に曲がるのが見えたのですぐに追う。
「待てって言ってんのが聞こえねぇのか!」
スリ犯が曲がったと思われる場所を右に曲がると目の前に何かが飛来した。俺はそれを本能でキャッチする。その手触りから察するに俺の財布だ。
「・・・どういう意味だこれは? 降参と取っても良いなら今すぐお前を5分の4殺しにした後騎士に突き出す」
騎士は何も王を守るだけが仕事ではなく、町に数人ほど治安を守るために在住している。しかし、スリ犯はおどけた調子で両手を広げた。
「嫌だなぁ?・・・そこまで殺気立たないで下さいよ」
「五月蠅い黙れ死ね」
「聞く耳持たないとはまさにこのことですね」
大股でスリ犯に近づきながら俺の頭はこいつをいかに懲らしめるかでいっぱいだった。
「そんなんじゃ幸運が逃げますよ?」
「うるせぇ・・・今日は元より不幸の連続だ」
するとスリ犯はくすくすくすと笑い出した。俺はそんなことを気にせずさらに一歩踏み出した。その時!
ぞくり!
背筋に悪寒が走る。本能的に後ろに飛び退って距離を取る。
「何者だお前?」
「そうですね・・・時を駆ける者と名乗りましょう」
一瞬馬鹿にされていると思ったが・・・ここは慎重に相手から情報を引き出すことを専念する。念のために右手を後ろに下げる。いつでも腰から相棒のナイフを抜刀できるように警戒する。
「その腕についてる腕輪・・・素敵ですね」
スリ犯は俺の左腕についてる腕輪・・・遺跡で気まぐれに装備したら外れなくなった謎の腕輪を見て世辞を述べた。
「ああ・・・これか、これは今日拾ったんだ」
「へぇ・・・それは運が良い」
今日の自分の身に何が起きたかを思い出すとどこに運が良いと言える要素があるのか分からなかった。
「ふふふ・・・・・・それにしても分からないものですね・・・あなたのような者がそれを手に入れるとは」
不気味に笑ってからスリ犯はこう続けた。
「それはあなたの運命を左右する・・・大切にしなさい」
そういうとスリ犯は懐から細長い筒のような物を投擲してきた。反射的に後ろに下がる。そしてその筒のような物の先端がパカッ!と開いて・・・。
閃光を放った。
目を覆うのが間に合わず視界が真っ白になる。そして再び視界が戻った時にはスリ犯はいなくなっていた。
「・・・なんだったんだ?」
ぼそりと呟いたその言葉に返事をする者は誰も居なかった。
メルトの町は主に金属加工などが有名な町だ。いくら燃料が目当てとは言っても他にも金属なども発掘される。それらはメルタからメルトに運ばれて加工されるのだ。しかし、メルトの町はメルタの町と鉱山を挟んで向かい側にある。あからさまに立地ミスだと思う。
「依頼は・・・成功してるよなぁ?・・・?」
ギルドに寄せられる依頼の報酬は基本前払いなのだ。これは踏み倒しなどを警戒などの意味合いが濃い。だけど世の中はやはり困った人間も居るものなのだ。依頼が遂行出来なかった場合は報酬は払い戻しになる。こっちは依頼を完遂したはずなのにそれを認めずに報酬を払い戻しさせようとする人間などが居るのだ。例えば俺の場合魔物を退治したのだが「まだ残っている!」などの理由で払い戻しさせられたりする。
「まぁ、とりあえずメルトの町に着いたら宿を探そう」
財布は落としてないかポケットを探って確かめる。
「よし・・・ちゃんとあるな」
そしてちょうどメルトの町の入り口が見えた。
メルトの町は町の5割近い面積が金属加工業の職場などで埋め尽くされている町で、そこに居る職人などもかなり有名な人が多い。もう夜だというのに外は人がたくさんいるあたりこの町がいかに栄えているかが分かる。
「さて・・・・・・どこに泊まるかな・・・?」
俺は格安の宿を探して町を探索していたその時だった。
どん
フードつきの黒いマントをつけた怪しげな人物が俺にぶつかって来たのだった。
「おっと・・・悪い」
「いやいや・・・こちらこそすまない」
お互い謝罪するとその時ぶつかってきた人物はそそくさとその場を離れる。
「人が多いと前方不注意は危ないな・・・うん」
そして何気なくポケットに手を入れて・・・・・・・・・手を出してポケットを叩く・・・。
「無い・・・・・・」
そう・・・無いのだ・・・・・・財布が・・・。そしてついさっきぶつかってきた人物を思いだして・・・。
「スリか!」
Uターンからの猛ダッシュでスリ犯を追った。
割とすぐ気付いたのが功を奏してすぐに見つけることが出来た。
「待てーーー! 待てコラそこを行くフード野郎!」
見つけると同時に声をかけるとフードの男はちらっとこちらを見てにやっと笑って焦る様子もなく走り出した。しかし、今晩の宿がかかっている俺にはそんな挙動を気にする余裕はない。ただひたすら追いかける。
「待てコラぁぁああああああ! 死にたくなければとまれコラ! 今なら5分の4殺しで済ましてやるからおとなしく止まりやがれ!」
不運が続いたせいで殺気だっている俺は怒鳴り散らしながら逃げるスリ犯を追いかける。するとスリ犯は人気の無い細い脇道に入っていった。すぐに俺も後を追って脇道に入る。すると黒い物が左に曲がるのが見えたのですぐに追う。
「待てって言ってんのが聞こえねぇのか!」
スリ犯が曲がったと思われる場所を右に曲がると目の前に何かが飛来した。俺はそれを本能でキャッチする。その手触りから察するに俺の財布だ。
「・・・どういう意味だこれは? 降参と取っても良いなら今すぐお前を5分の4殺しにした後騎士に突き出す」
騎士は何も王を守るだけが仕事ではなく、町に数人ほど治安を守るために在住している。しかし、スリ犯はおどけた調子で両手を広げた。
「嫌だなぁ?・・・そこまで殺気立たないで下さいよ」
「五月蠅い黙れ死ね」
「聞く耳持たないとはまさにこのことですね」
大股でスリ犯に近づきながら俺の頭はこいつをいかに懲らしめるかでいっぱいだった。
「そんなんじゃ幸運が逃げますよ?」
「うるせぇ・・・今日は元より不幸の連続だ」
するとスリ犯はくすくすくすと笑い出した。俺はそんなことを気にせずさらに一歩踏み出した。その時!
ぞくり!
背筋に悪寒が走る。本能的に後ろに飛び退って距離を取る。
「何者だお前?」
「そうですね・・・時を駆ける者と名乗りましょう」
一瞬馬鹿にされていると思ったが・・・ここは慎重に相手から情報を引き出すことを専念する。念のために右手を後ろに下げる。いつでも腰から相棒のナイフを抜刀できるように警戒する。
「その腕についてる腕輪・・・素敵ですね」
スリ犯は俺の左腕についてる腕輪・・・遺跡で気まぐれに装備したら外れなくなった謎の腕輪を見て世辞を述べた。
「ああ・・・これか、これは今日拾ったんだ」
「へぇ・・・それは運が良い」
今日の自分の身に何が起きたかを思い出すとどこに運が良いと言える要素があるのか分からなかった。
「ふふふ・・・・・・それにしても分からないものですね・・・あなたのような者がそれを手に入れるとは」
不気味に笑ってからスリ犯はこう続けた。
「それはあなたの運命を左右する・・・大切にしなさい」
そういうとスリ犯は懐から細長い筒のような物を投擲してきた。反射的に後ろに下がる。そしてその筒のような物の先端がパカッ!と開いて・・・。
閃光を放った。
目を覆うのが間に合わず視界が真っ白になる。そして再び視界が戻った時にはスリ犯はいなくなっていた。
「・・・なんだったんだ?」
ぼそりと呟いたその言葉に返事をする者は誰も居なかった。
後書き
作者:総 誉 |
投稿日:2011/07/10 08:00 更新日:2011/07/11 22:06 『魔法と科学の機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)』の著作権は、すべて作者 総 誉様に属します。 |
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