作品ID:826
あなたの読了ステータス
(読了ボタン正常)一般ユーザと認識
「White×Black=Glay?」を読み始めました。
読了ステータス(人数)
読了(13)・読中(0)・読止(0)・一般PV数(158)
読了した住民(一般ユーザは含まれません)
White×Black=Glay?
小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 連載中
前書き・紹介
White×Black=Glay? ?14.4色目?
前の話 | 目次 | 次の話 |
「本来の目的……あの実験は確かに記憶力、音楽に長けた人間を造りだすためだけに存在していた」
その部屋にやってきた草花舞葉、黒刃姉妹と、ウォークマン、キャリーケースのデータを持ってきた桃風羽夜華、そして部屋の主、鋼夜春袈は木製テーブルを4人で囲んでいる。
「だけど実験は……ミュージック・ヒューマンは、今、変わりつつある」
木製の椅子に座った、姉妹の姉の方……普通の黒髪、だがその前髪は長く左に流し、右は短く切られた普通ではない髪形の少女、舞葉が両手を膝の上で、ぎゅっと握り締める。
「ミュージック・ヒューマンは記憶という情報の塊、そして音楽という情報の1つに長けた人間を造りだし、やがて情報戦士として使役できるようにする実験へと変わりつつあるんです」
「草花姉は、なんでそんな詳しいの?」
舞葉を正面から見て、右側に舞葉とは違う、長くツヤのある黒髪の少女、羽夜華が居る。
その羽夜華が舞葉を見て問う。
「……私が被験者の1人でしたから」
苦々しく顔をゆがめて、舞葉は俯く。……おそらくその事に関しては、舞葉自身、思い出したくもないことなのだろう。
「草花妹は?」
カラーコンタクトを入れた茶色い瞳を見開いて、羽夜華は震える声で舞葉の傍に寄りそう黒刃に言葉をかける。
「…………」
その問いに対して黒刃は言葉を発するのではなく、首を横に振ることで意思表示した。
「黒刃は私が実験に参加する直前、魔王の手で保護されましたから。いくらNEVといえどその重要な情報が詰まったデータベースを護る番人には逆らえませんし」
舞葉の言う魔王。それはあの日風哉河を指す。NEVの魔王、日風哉河。
「舞葉は……情報戦士なのか?」
身を乗り出して、舞葉の正面に座る春袈は問う。
「いいえ。私が被験者となったとき、ミュージック・ヒューマンはその通り、記憶力と音楽に長けた人間を造り出すことを目的としていましたし。何故です?」
「いや……記憶は情報の塊、音楽も情報の1つ、と考えたところで疑問が生まれて」
「……疑問?」
「ミュージック・ヒューマンは情報戦士を造り出す為に存在する……」
春袈のその言葉に羽夜華が立ち上がった。
「リーダー、それって……!」
「情報戦士は強力な存在だ」
特殊技能戦闘士というカテゴリーに分類される、情報戦士。その数は少なく、稀少なものとされる。
稀少なだけに出現データが少ないが、その力は春袈、羽夜華、そして草花姉妹も見たことがある。
「その力に上限なんて、限界なんてありえない。情報戦士の戦闘能力は、個々の情報量にゆだねられるものだから」
それだけに力のコントロールが難しい。
「稀少な情報戦士。その力も強力。それを大量生産するための実験。ミュージック・ヒューマン。初の成功者の誕生……」
「藤村樹析、ですか」
羽夜華が告げた名。ミュージック・ヒューマン初の成功者。
その名に異常な反応を示した者が居た。草花舞葉。
「……どうした、舞葉?」
「い、いえ……」
なぜか舞葉は震えていた。
「……倉中を保護した、このタイミングで、ミュージック・ヒューマン、それからウォークマンのことを調べたのは正解だった。……羽夜華、キャリーケースはどうなってる?」
舞葉の様子をいぶかしみながら、春袈は羽夜華に言葉を投げかける。
「それについても藤村樹析、桐金直利の名が」
「また? やけに出てくるな」
「私もそう思いました。しかしそれも当然かと」
「何故?」
「藤村樹析はミュージック・ヒューマンの初成功者で、倉中さんの義理の妹さんです。桐金直利は、倉中さんの逃亡を手伝った本人。この2人がキャリーケースにからんでくるのは当然だと思いますが」
「……んー。そっか。で、キャリーケースは何処に?」
「……」
「? どうした?」
無言になった羽夜華を疑問に思って、春袈は首をかしげる。
「現在……倉中さんのキャリーケースは、藤村樹析が所有している可能性が高いです……」
「藤村樹析!? どうして!?」
「いえ、可能性段階の話です。ただ、最近、藤村樹析がよく出没しているんです。そして更新された外見特徴には、キャリーケースも。そのキャリーケースは七色に光っていた、という話もあるんです……!」
「それが、倉中のキャリーケースという話も?」
「ありえないわけではないでしょう?」
羽夜華の言葉に頷く春袈。確かに、ありえなくはない。それに七色に光るキャリーケースなどそうそうない。
「全部……藤村樹析、か」
春袈が溜息を吐く。
「ウォークマンもミュージック・ヒューマンもキャリーケースも……ですね」
羽夜華が春袈の言葉に賛同の意を示して、椅子から立ち上がる。
「羽夜華」
「分かってます。藤村樹析の動き、調べます」
春袈の呼びかけに自信満々に頷いて、羽夜華は部屋を出た。おそらくこの後、自室に篭るのだろう。
「舞葉、ミュージック・ヒューマンの被験者って舞葉と日風哉河と、藤村樹析のみ?」
「私が知っている限りでは」
「その3人、あぁ、舞葉を含めた、ね。3人に共通点ってあった?」
「……いえ。なかったと」
思考する時間を挟んで、舞葉が首を横に振る。
「そうか……」
「他には?」
少し焦ったような声が降り注ぐ。
「用事か?」
「いえ。用事というほどでもないんですが、少し……」
「いいよ」
「……分かりました。じゃ、失礼します」
一礼して、舞葉が黒刃を連れて部屋を出て行く。
部屋には春袈1人。暗く、重い雰囲気が春袈を囲む。
誰も居なくなった部屋で、春袈が溜息を吐いて、金色に黒のメッシュが入った髪をガシガシと掻く。
倉中蒼理を保護した事は果たして、正解だったのか?
蒼理を保護してから、トラブルが多いような気がする。
だが、得られたこともある。
〈藤村樹析、桐金直利……〉
倉中蒼理だけだと思っていた。
だが、そこに別の2人が入ってきた。
始まらない。まだ、お話は始まらない。
あと少しで、お話が始まらない。
始まらない。まだ、お話は始まらない。
もう少しで、お話が始まりそうなのに。
その部屋にやってきた草花舞葉、黒刃姉妹と、ウォークマン、キャリーケースのデータを持ってきた桃風羽夜華、そして部屋の主、鋼夜春袈は木製テーブルを4人で囲んでいる。
「だけど実験は……ミュージック・ヒューマンは、今、変わりつつある」
木製の椅子に座った、姉妹の姉の方……普通の黒髪、だがその前髪は長く左に流し、右は短く切られた普通ではない髪形の少女、舞葉が両手を膝の上で、ぎゅっと握り締める。
「ミュージック・ヒューマンは記憶という情報の塊、そして音楽という情報の1つに長けた人間を造りだし、やがて情報戦士として使役できるようにする実験へと変わりつつあるんです」
「草花姉は、なんでそんな詳しいの?」
舞葉を正面から見て、右側に舞葉とは違う、長くツヤのある黒髪の少女、羽夜華が居る。
その羽夜華が舞葉を見て問う。
「……私が被験者の1人でしたから」
苦々しく顔をゆがめて、舞葉は俯く。……おそらくその事に関しては、舞葉自身、思い出したくもないことなのだろう。
「草花妹は?」
カラーコンタクトを入れた茶色い瞳を見開いて、羽夜華は震える声で舞葉の傍に寄りそう黒刃に言葉をかける。
「…………」
その問いに対して黒刃は言葉を発するのではなく、首を横に振ることで意思表示した。
「黒刃は私が実験に参加する直前、魔王の手で保護されましたから。いくらNEVといえどその重要な情報が詰まったデータベースを護る番人には逆らえませんし」
舞葉の言う魔王。それはあの日風哉河を指す。NEVの魔王、日風哉河。
「舞葉は……情報戦士なのか?」
身を乗り出して、舞葉の正面に座る春袈は問う。
「いいえ。私が被験者となったとき、ミュージック・ヒューマンはその通り、記憶力と音楽に長けた人間を造り出すことを目的としていましたし。何故です?」
「いや……記憶は情報の塊、音楽も情報の1つ、と考えたところで疑問が生まれて」
「……疑問?」
「ミュージック・ヒューマンは情報戦士を造り出す為に存在する……」
春袈のその言葉に羽夜華が立ち上がった。
「リーダー、それって……!」
「情報戦士は強力な存在だ」
特殊技能戦闘士というカテゴリーに分類される、情報戦士。その数は少なく、稀少なものとされる。
稀少なだけに出現データが少ないが、その力は春袈、羽夜華、そして草花姉妹も見たことがある。
「その力に上限なんて、限界なんてありえない。情報戦士の戦闘能力は、個々の情報量にゆだねられるものだから」
それだけに力のコントロールが難しい。
「稀少な情報戦士。その力も強力。それを大量生産するための実験。ミュージック・ヒューマン。初の成功者の誕生……」
「藤村樹析、ですか」
羽夜華が告げた名。ミュージック・ヒューマン初の成功者。
その名に異常な反応を示した者が居た。草花舞葉。
「……どうした、舞葉?」
「い、いえ……」
なぜか舞葉は震えていた。
「……倉中を保護した、このタイミングで、ミュージック・ヒューマン、それからウォークマンのことを調べたのは正解だった。……羽夜華、キャリーケースはどうなってる?」
舞葉の様子をいぶかしみながら、春袈は羽夜華に言葉を投げかける。
「それについても藤村樹析、桐金直利の名が」
「また? やけに出てくるな」
「私もそう思いました。しかしそれも当然かと」
「何故?」
「藤村樹析はミュージック・ヒューマンの初成功者で、倉中さんの義理の妹さんです。桐金直利は、倉中さんの逃亡を手伝った本人。この2人がキャリーケースにからんでくるのは当然だと思いますが」
「……んー。そっか。で、キャリーケースは何処に?」
「……」
「? どうした?」
無言になった羽夜華を疑問に思って、春袈は首をかしげる。
「現在……倉中さんのキャリーケースは、藤村樹析が所有している可能性が高いです……」
「藤村樹析!? どうして!?」
「いえ、可能性段階の話です。ただ、最近、藤村樹析がよく出没しているんです。そして更新された外見特徴には、キャリーケースも。そのキャリーケースは七色に光っていた、という話もあるんです……!」
「それが、倉中のキャリーケースという話も?」
「ありえないわけではないでしょう?」
羽夜華の言葉に頷く春袈。確かに、ありえなくはない。それに七色に光るキャリーケースなどそうそうない。
「全部……藤村樹析、か」
春袈が溜息を吐く。
「ウォークマンもミュージック・ヒューマンもキャリーケースも……ですね」
羽夜華が春袈の言葉に賛同の意を示して、椅子から立ち上がる。
「羽夜華」
「分かってます。藤村樹析の動き、調べます」
春袈の呼びかけに自信満々に頷いて、羽夜華は部屋を出た。おそらくこの後、自室に篭るのだろう。
「舞葉、ミュージック・ヒューマンの被験者って舞葉と日風哉河と、藤村樹析のみ?」
「私が知っている限りでは」
「その3人、あぁ、舞葉を含めた、ね。3人に共通点ってあった?」
「……いえ。なかったと」
思考する時間を挟んで、舞葉が首を横に振る。
「そうか……」
「他には?」
少し焦ったような声が降り注ぐ。
「用事か?」
「いえ。用事というほどでもないんですが、少し……」
「いいよ」
「……分かりました。じゃ、失礼します」
一礼して、舞葉が黒刃を連れて部屋を出て行く。
部屋には春袈1人。暗く、重い雰囲気が春袈を囲む。
誰も居なくなった部屋で、春袈が溜息を吐いて、金色に黒のメッシュが入った髪をガシガシと掻く。
倉中蒼理を保護した事は果たして、正解だったのか?
蒼理を保護してから、トラブルが多いような気がする。
だが、得られたこともある。
〈藤村樹析、桐金直利……〉
倉中蒼理だけだと思っていた。
だが、そこに別の2人が入ってきた。
始まらない。まだ、お話は始まらない。
あと少しで、お話が始まらない。
始まらない。まだ、お話は始まらない。
もう少しで、お話が始まりそうなのに。
後書き
作者:斎藤七南 |
投稿日:2011/07/28 17:20 更新日:2011/07/28 17:20 『White×Black=Glay?』の著作権は、すべて作者 斎藤七南様に属します。 |
前の話 | 目次 | 次の話 |
読了ボタン