作品ID:959
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二次作品議論・研究部活動記録
小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 連載中
前書き・紹介
二話:入部まで
前の話 | 目次 |
さて、ここで一度俺――鳳仙花露木と言う少年について話をしたい。
顔の造形はイケメンと形容するには転生が必要だが、そこまでひどいというわけでもない。どこにでも居る至って平凡な顔。170ちょいと身長は高いがひょろっとした痩躯だ。中学のころクラスメイトに「異常に成長したもやし」と言われたことがある。すごいくせ毛で、朝の寝癖は放置しておくと夜風呂に入るまで治らない。一度登校前に髪を洗って寝癖を直して登校したら「朝の楽しみがぁぁぁああ!」とクラスメイトに怒られてそれ以来毎日寝癖は放置している。ここだけの話、直すのは面倒だったから助かっている。趣味は読書で、軽小説……ライトノベルと呼ばれる物が好きだ。作品の中のキャラクターたちの面白おかしいギャグ部分が好きなのだ。割と小心者で押しに弱い上に結構お人好しで…………。
さて、なぜいきなり自己紹介が始まったかと言うとである。
「……おい、アイツが‘あの’鳳仙花露木か?」「どれどれ俺にも見せろ」「うそー、ありえなーい」「あんな大人しそうなヤツなのに……」「人って見かけによらないってホントのことだったね」「どうしよう……私会話したことあるんだけど」「それよりもあの後ろに居るあの柄が悪いのは誰だ? 鳳仙花と仲好さそうだったが」「きっと鳳仙花の仲間だな」「違うわよ! 彼氏よ!」
遠巻きにひそひそ声で話すクラスメイト達、廊下には別のクラスの野次馬も居る。ってか、彼氏ってなんですか?
「まるでライオンになった気分だな」
後ろの零無からすると、この好奇の視線は気に食わないらしく、すごい不機嫌そうだ。
「きっと檻の中のライオンはこんな気分なんだろうな…………今とてもそう思うんだが、お前はどうだ露木?」
「……悪い。ダイレクトに巻き込んだようだ」
まったくだ。と、まるで気を使う気配すらない零無。まぁ、いつも通りである。
もう一度教室を見回す。どこを向いても俺に向けた好奇の視線を感じる。さっき言った通り俺は‘あの’とか呼ばれるようなことをやった記憶はない。でも、ひとつ心当たりはあった。
それは乱咲先輩に強制連行されて二次研の部室に連れていかれた時のことである。
「担当直入に言うならうちの部活に入部しなさい」
はい、と言われて渡されたのは入部申請書。この高校は基本その部活の部長に申請書を渡すのが原則だ。
「何度も言っていますけど、あの時は見学に来ただけで入部するとは一言も言ってないですよ」
この部屋に来てから何度も言ったセリフ。まぁ、聞く耳持ってはくれないが。 「見学に来たってことは入部する気があったんでしょ?」
「そう思っていた時期が俺にもありました」
過去形だ。あんな現場に居合わせもすれば過去形にもなってしまう。
「ふーん、いまは違うの?」
「はい」
違うのか、と乱咲先輩はつぶやく。
「分かったわ。アンタに入部の意思がないのなら引き留めるだけ無駄ね」
帰っていいわよ、と告げられた。席を立ちあがり扉を開けて出る。
「露木」
出る直前に乱咲先輩に呼び止められた。振り返ると鼠を狙う猫のような目をした乱咲先輩がいた。
「アンタはアタシに興味を持たせた人間……逃げられると思わないことね」
「へぇ……具体的にどうやって俺を捕縛するんですか?」
「そうねぇ……具体的にはアンタはこの後教室で動物園の人気者の気分を味わえると思うわよ?」
なぜかいい笑顔の先輩の顔を見て俺は……鳥肌が立った。
「……まさかこんなことになるとは」
いったいどんな手段を使ったか不明だが、俺が部室から教室に戻った時にはこうなっていた。つまり部室から教室へ移動する間に彼女はこの騒ぎを起こしたことになる。
「それにしても意味が分からんな……火の無いところに煙は立たないというのにこのありさま……」
「俺がお前の彼氏とかな」
野次馬の会話から聞こえたもので一番嫌な噂筆頭の零無彼氏説……。
「って、ちょっと待て、お前流れてる噂把握してるのか?」
「ああ」
と、短い返事をしてからこちらに顔を寄せてくる零無。
「キャーーーー!」「え? 学校でキスシーンキタ━━ヽ(゚∀゚ )ノ━━!!!!」
……何の騒ぎこれ?
零無は完全無視で俺に広まっている噂を一つ一つ懇切丁寧に教えてくれた。
曰く、下は4歳から上は8歳のロリコン
曰く、男女問わずの百人切り
曰く、この学校の女性教師は全て落としてある
曰く、3次元に興味が無い
曰く、実は宇宙人
「意味が分からん」
の、一言に尽きる。ちなみにこれは零無が把握している範囲で、まだまだいっぱいあるらしいとのこと。
「文字通り噂の一人歩きってやつだな」
「一人歩きどころか多重影分身して路上パフォーマンスしてるよね?」
「尾ひれ背びれが当たり前の状態だしな、もはやただのエンターテイメントと化してる」
「尾ひれ背びれどころか胸びれにさらに足が生えて陸上活動し始めて挙句の果てに羽を生やして大陸を渡らんとする勢いだよね?」
淡々と現状を語る零無にツッコミ(ボケ?)を返す俺、それにしても噂がカオスすぎる、宇宙人って……。
「まぁ、現況が分かってるんだったらさっさと腹くくれ……俺のためにも」
どうやら零無はただ単に自分がこの状況から脱したいだけのようだった。
「お? 来たね」
待ってましたと言わんばかりに手をこちらに差し出す。俺はそこに自分の名前を記入した入部希望の用紙を手渡す。
「確かに」
こほん! と乱咲先輩は一つ咳払いをして……
「ようこそ二次研へ」
と、思わず見とれてしまうほど……満面の笑みで迎えてくれた。
かくして、俺は二次研に入部したのだった。
顔の造形はイケメンと形容するには転生が必要だが、そこまでひどいというわけでもない。どこにでも居る至って平凡な顔。170ちょいと身長は高いがひょろっとした痩躯だ。中学のころクラスメイトに「異常に成長したもやし」と言われたことがある。すごいくせ毛で、朝の寝癖は放置しておくと夜風呂に入るまで治らない。一度登校前に髪を洗って寝癖を直して登校したら「朝の楽しみがぁぁぁああ!」とクラスメイトに怒られてそれ以来毎日寝癖は放置している。ここだけの話、直すのは面倒だったから助かっている。趣味は読書で、軽小説……ライトノベルと呼ばれる物が好きだ。作品の中のキャラクターたちの面白おかしいギャグ部分が好きなのだ。割と小心者で押しに弱い上に結構お人好しで…………。
さて、なぜいきなり自己紹介が始まったかと言うとである。
「……おい、アイツが‘あの’鳳仙花露木か?」「どれどれ俺にも見せろ」「うそー、ありえなーい」「あんな大人しそうなヤツなのに……」「人って見かけによらないってホントのことだったね」「どうしよう……私会話したことあるんだけど」「それよりもあの後ろに居るあの柄が悪いのは誰だ? 鳳仙花と仲好さそうだったが」「きっと鳳仙花の仲間だな」「違うわよ! 彼氏よ!」
遠巻きにひそひそ声で話すクラスメイト達、廊下には別のクラスの野次馬も居る。ってか、彼氏ってなんですか?
「まるでライオンになった気分だな」
後ろの零無からすると、この好奇の視線は気に食わないらしく、すごい不機嫌そうだ。
「きっと檻の中のライオンはこんな気分なんだろうな…………今とてもそう思うんだが、お前はどうだ露木?」
「……悪い。ダイレクトに巻き込んだようだ」
まったくだ。と、まるで気を使う気配すらない零無。まぁ、いつも通りである。
もう一度教室を見回す。どこを向いても俺に向けた好奇の視線を感じる。さっき言った通り俺は‘あの’とか呼ばれるようなことをやった記憶はない。でも、ひとつ心当たりはあった。
それは乱咲先輩に強制連行されて二次研の部室に連れていかれた時のことである。
「担当直入に言うならうちの部活に入部しなさい」
はい、と言われて渡されたのは入部申請書。この高校は基本その部活の部長に申請書を渡すのが原則だ。
「何度も言っていますけど、あの時は見学に来ただけで入部するとは一言も言ってないですよ」
この部屋に来てから何度も言ったセリフ。まぁ、聞く耳持ってはくれないが。 「見学に来たってことは入部する気があったんでしょ?」
「そう思っていた時期が俺にもありました」
過去形だ。あんな現場に居合わせもすれば過去形にもなってしまう。
「ふーん、いまは違うの?」
「はい」
違うのか、と乱咲先輩はつぶやく。
「分かったわ。アンタに入部の意思がないのなら引き留めるだけ無駄ね」
帰っていいわよ、と告げられた。席を立ちあがり扉を開けて出る。
「露木」
出る直前に乱咲先輩に呼び止められた。振り返ると鼠を狙う猫のような目をした乱咲先輩がいた。
「アンタはアタシに興味を持たせた人間……逃げられると思わないことね」
「へぇ……具体的にどうやって俺を捕縛するんですか?」
「そうねぇ……具体的にはアンタはこの後教室で動物園の人気者の気分を味わえると思うわよ?」
なぜかいい笑顔の先輩の顔を見て俺は……鳥肌が立った。
「……まさかこんなことになるとは」
いったいどんな手段を使ったか不明だが、俺が部室から教室に戻った時にはこうなっていた。つまり部室から教室へ移動する間に彼女はこの騒ぎを起こしたことになる。
「それにしても意味が分からんな……火の無いところに煙は立たないというのにこのありさま……」
「俺がお前の彼氏とかな」
野次馬の会話から聞こえたもので一番嫌な噂筆頭の零無彼氏説……。
「って、ちょっと待て、お前流れてる噂把握してるのか?」
「ああ」
と、短い返事をしてからこちらに顔を寄せてくる零無。
「キャーーーー!」「え? 学校でキスシーンキタ━━ヽ(゚∀゚ )ノ━━!!!!」
……何の騒ぎこれ?
零無は完全無視で俺に広まっている噂を一つ一つ懇切丁寧に教えてくれた。
曰く、下は4歳から上は8歳のロリコン
曰く、男女問わずの百人切り
曰く、この学校の女性教師は全て落としてある
曰く、3次元に興味が無い
曰く、実は宇宙人
「意味が分からん」
の、一言に尽きる。ちなみにこれは零無が把握している範囲で、まだまだいっぱいあるらしいとのこと。
「文字通り噂の一人歩きってやつだな」
「一人歩きどころか多重影分身して路上パフォーマンスしてるよね?」
「尾ひれ背びれが当たり前の状態だしな、もはやただのエンターテイメントと化してる」
「尾ひれ背びれどころか胸びれにさらに足が生えて陸上活動し始めて挙句の果てに羽を生やして大陸を渡らんとする勢いだよね?」
淡々と現状を語る零無にツッコミ(ボケ?)を返す俺、それにしても噂がカオスすぎる、宇宙人って……。
「まぁ、現況が分かってるんだったらさっさと腹くくれ……俺のためにも」
どうやら零無はただ単に自分がこの状況から脱したいだけのようだった。
「お? 来たね」
待ってましたと言わんばかりに手をこちらに差し出す。俺はそこに自分の名前を記入した入部希望の用紙を手渡す。
「確かに」
こほん! と乱咲先輩は一つ咳払いをして……
「ようこそ二次研へ」
と、思わず見とれてしまうほど……満面の笑みで迎えてくれた。
かくして、俺は二次研に入部したのだった。
後書き
作者:総 誉 |
投稿日:2012/01/28 06:46 更新日:2012/01/28 06:46 『二次作品議論・研究部活動記録』の著作権は、すべて作者 総 誉様に属します。 |
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