作品ID:2244
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キラとレグル
小説の属性:一般小説 / 異世界ファンタジー / 批評希望 / 初投稿・初心者 / R-15 / 連載中
前書き・紹介
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サソリ
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村を出て三日目の早朝。キラはテントの中で目を覚ました。もう見慣れたテントの白い天井が目に入る。だが何かがおかしい。さっきから頬っぺたがモゾモゾと痒いのだ。何かの動く異物がキラの目にボヤけて映った。段々と焦点が合うと……サソリだ! 艶やかな飴色をしたサソリは尻尾を振り上げ、キチキチと体を揺らしている。
「マーニー!」
キラは恐怖で身動き出来ずに叫んだ。マーニーは直ぐに目を覚ますとキラの元へと忍び寄り、素早くサソリを捕まえると、ガラス瓶の中へ入れた。
「大丈夫か?」
「ええ、まだ刺されてはいないわ。それ、どうするの?」
「これはな、こうして……」
言いながらマーニーは瓶にウォッカをなみなみと注いで、蓋をした。
「サソリ酒にするんだ」
「サソリ酒?」
「滋養強壮に良いんだぞ」
「どうした?」
ビランが目を覚ました。チトはこの騒ぎにもびくともせず眠っている。
「サソリだ。捕まえて、瓶詰めにしたよ」
マーニーは瓶に入ったサソリをビランに見せた。
「こいつは……。猛毒の奴だな。大丈夫か?」
「大丈夫だ。誰も刺されてない。キラの顔の上に居たんだ」
「ほう。サソリも美人がお好みなのかね?」
ビランがキラを見て笑った。
「サソリにモテても嬉しくないわ」
キラは頬を膨らますと、毛布を畳み始めた。
チトを起こして朝食を摂ると、ニームの木の小枝で歯磨きをした。小枝の先の皮を薄く剥ぎ、歯で噛み砕いてブラシ状にして磨くのだ。木の樹液が天然の歯磨き粉の役割をしていた。
テントを畳むとキャラバン隊は出発した。キラはラクダの上から周囲をぐるりと見渡した。この辺りは僅かだが木や植物が生えている。焼け付く褐色の大地に緑が安らぎを与えていた。ふいに茂みから黄金色の塊が飛び出して、キャラバン隊の前を猛スピードで横切って行った。
「マーニー! 今のは何?」
キラは叫んだ。
「砂ギツネだ! すばしこいから、罠でも使わなければ捕まえられないし、食っても不味いぞ」
「別に食べたい訳じゃないわ。砂漠って不毛の地だと思っていたけど、動物も居るのね」
キラは砂ギツネの走り去った方を見詰めながら呟いた。
「マーニー!」
キラは恐怖で身動き出来ずに叫んだ。マーニーは直ぐに目を覚ますとキラの元へと忍び寄り、素早くサソリを捕まえると、ガラス瓶の中へ入れた。
「大丈夫か?」
「ええ、まだ刺されてはいないわ。それ、どうするの?」
「これはな、こうして……」
言いながらマーニーは瓶にウォッカをなみなみと注いで、蓋をした。
「サソリ酒にするんだ」
「サソリ酒?」
「滋養強壮に良いんだぞ」
「どうした?」
ビランが目を覚ました。チトはこの騒ぎにもびくともせず眠っている。
「サソリだ。捕まえて、瓶詰めにしたよ」
マーニーは瓶に入ったサソリをビランに見せた。
「こいつは……。猛毒の奴だな。大丈夫か?」
「大丈夫だ。誰も刺されてない。キラの顔の上に居たんだ」
「ほう。サソリも美人がお好みなのかね?」
ビランがキラを見て笑った。
「サソリにモテても嬉しくないわ」
キラは頬を膨らますと、毛布を畳み始めた。
チトを起こして朝食を摂ると、ニームの木の小枝で歯磨きをした。小枝の先の皮を薄く剥ぎ、歯で噛み砕いてブラシ状にして磨くのだ。木の樹液が天然の歯磨き粉の役割をしていた。
テントを畳むとキャラバン隊は出発した。キラはラクダの上から周囲をぐるりと見渡した。この辺りは僅かだが木や植物が生えている。焼け付く褐色の大地に緑が安らぎを与えていた。ふいに茂みから黄金色の塊が飛び出して、キャラバン隊の前を猛スピードで横切って行った。
「マーニー! 今のは何?」
キラは叫んだ。
「砂ギツネだ! すばしこいから、罠でも使わなければ捕まえられないし、食っても不味いぞ」
「別に食べたい訳じゃないわ。砂漠って不毛の地だと思っていたけど、動物も居るのね」
キラは砂ギツネの走り去った方を見詰めながら呟いた。
後書き
未設定
作者:コツリス |
投稿日:2020/01/29 22:59 更新日:2020/01/29 22:59 『キラとレグル』の著作権は、すべて作者 コツリス様に属します。 |
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