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作品ID:2268
「私は犬と生きていく」へ

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私は犬と生きていく

小説の属性:一般小説 / 現代ドラマ / 批評希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 完結

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妄想

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 それからも父と母の喧嘩は続いた。喧嘩をしていない日は無いと言って良かった。私はますます塞ぎ混むようになり、部屋から出る回数も減っていった。二階の自室に籠って何をしているかと言えば、空想の世界に飛んでいるのだった。
本当は私は幸せな家庭の幸せな子供で、家族皆で楽しく暮らしている想像に浸ったり、どこか遠い異国へ旅して楽しい思いをしたり、砂漠に意識を飛ばしてそこから煌めく星を眺めたりした。
 
 思っていた以上に空想で遊ぶことは楽しくて、私はどんどん意識の深みへと潜って行った。そのうち、自然と映像が浮かぶようになり、妄想の中で人と話をしたりもするようになった。私は妄想の世界に嵌まり込み、食事を摂る事も、お風呂に入る事も億劫になって来た。母が
 
「ご飯よ。いい加減降りてきなさい!」
 
と怒鳴っても、
 
「食べたくない」
 
とだけ答えて、部屋から出なかった。そのうち、私は一日のほとんどを妄想の中で過ごすようになった。例外は風連の散歩だけだった。そんな状態がしばらく続くと、母が意を決したように言った。
 
「あんた、おかしいわよ。病院へ行きましょう」
 
 私は無理矢理精神科へ連れていかれた。診察室へ入ると中年のよく日に焼けた医師が笑顔で迎えた。
 
「お母さんの話だと、幻覚とか幻聴が有るそうだけど」
 
「……はい。有ります」
 
「それは何時からかな?」
 
「三ヶ月くらい前からです」
 
「ふーん。そうなった原因は分かる?」
 
私はしばらく考えた。父が低所得でケチなせいで、とは言えなかった。それを言ったところで何かが変わるのか? 医者が大金を恵んでくれるとでもいうのだろうか? 
 
「分かりません」
 
「そうか……。じゃあこの質問用紙に答えを書き込んで。その結果を見てまた来てもらうから」
 
 私は薄い質問用紙を渡された。用紙には、例えば
 
 「女性が夜道で痴漢にあったが、服装は露出度の高いものだった。悪いのは誰か?」
 
といったようなものだった。私は百位の質問の答えを次々に書き込んでいった。
 
「終わりました」
 
「有り難う。来週もまた簡単なテストをするから、また来て下さい」
 
医師はにこやかに笑った。
 
 

後書き

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作者:コツリス
投稿日:2020/02/07 09:36
更新日:2020/02/07 09:36
『私は犬と生きていく』の著作権は、すべて作者 コツリス様に属します。

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