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『鉄鎖のメデューサ』
小説の属性:一般小説 / 異世界ファンタジー / お気軽感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 完結
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第4章
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「メデューサ、ですか?」
警備隊本部の一室に呼び出された五人の若者のうち、リーダーである赤毛のアーサーが聞き返した。
「メデューサ、だそうだ」
隊長のスティーブが、いささか曖昧な口調で繰り返す。
「目撃情報では夜半過ぎに中心街に向かう大通りを疾走する黒い衣を纏った小柄な人影が、蛇の髪を生やしていたという。ただしもの凄い速さで走り去ったため、詳しく見た者はいないそうだ。目下のところ路上で石化された者は発見されていない。大通りの周辺で被害にあった者がいないか調べているところだ」
そのとき一人の警備隊員が部屋に入ってきた。
「大通り沿いの一軒家の地下室で石化された大男二名を発見しました! そこからまっすぐ中心街に向かった模様であります」
「これでメデューサに間違いないというわけか。他には?」
「途中の路上で倒れていた男二人、これは路地裏で強盗殺人を働いた容疑で拘束しておりますが、黒いぼろを纏った小柄な老婆に蹴り倒されたといっています。またその少し前、深夜警備の者が同様の姿の老婆が一軒家近くの道端に伏せていたのを見ております。物乞いと思い施しを与えたそうですが全く動かなかったと。貨幣はそのまま手づかずで放置されておりました」
「確かに大通りをまっすぐ移動ということになりますな」
情報収集を担当するアンソニーが、そんな彼らしいコメントを挟む。
「そいつは今どこに?」
贅肉など皆無の長身に、色の浅い金髪が印象的な男が尋ねた。剣を持てば五人の中でも最高の手練れたるリチャードだ。
「中心街に入る橋の上で動かずにいるのが現状だ」
「どういう気なんだろうな。まあ魔物の考えなど我々では察しもつかんが」
リチャード以上にがっしりした体躯に剛力を秘めつつも、鋭さより大らかな印象の勝る黒髪の戦士エリックがいった。
「動きが速い上に石化の魔眼では、やはり離れた位置から呪文で叩くしかありませんわね」
金髪碧眼の紅一点にして魔術師のメアリの表情は、エリックと対照的な厳しさだった。
「その様子だと中央図書館には成果なしか?」
尋ねたアーサーに、メアリは公開済みの全文書に紐づけされた水晶玉を戻しつつ頷いた。
「伝聞に頼った役に立たない情報ばかりですわ! うかつに近づけない相手だから詳しい生態は不明とかいう言い訳け付きで! この大陸にはもっと骨のある冒険者はいませんのっ?」
「まあ責めるのは酷かな。でも、おかげで我々が近づく初めての人間という栄誉にあずかるわけか」
「正直なところ遠慮したいでありますな」
エリックの言葉をアンソニーが混ぜ返す。
「とにかくフォーメーションを組むぞ。やはり日の出以降になるかなリチャード」
アーサーの言葉にリチャードが頷く。
「メアリの呪文が決め手になるなら夜は危険だ。視線に魔力を持つ上に人間より夜目が利くかもしれない相手ならどうしても不利になる。あとは我々四人が盾になってメアリに目を向けさせないようにするしかないだろう」
「ならば相手をできるだけ惑わせる布陣で臨むしかないな」
そしてスノーレンジャーの名で呼ばれる五人の若き隊員は、額を寄せ合い一つのフォーメーションを練り始めた。
警備隊本部の一室に呼び出された五人の若者のうち、リーダーである赤毛のアーサーが聞き返した。
「メデューサ、だそうだ」
隊長のスティーブが、いささか曖昧な口調で繰り返す。
「目撃情報では夜半過ぎに中心街に向かう大通りを疾走する黒い衣を纏った小柄な人影が、蛇の髪を生やしていたという。ただしもの凄い速さで走り去ったため、詳しく見た者はいないそうだ。目下のところ路上で石化された者は発見されていない。大通りの周辺で被害にあった者がいないか調べているところだ」
そのとき一人の警備隊員が部屋に入ってきた。
「大通り沿いの一軒家の地下室で石化された大男二名を発見しました! そこからまっすぐ中心街に向かった模様であります」
「これでメデューサに間違いないというわけか。他には?」
「途中の路上で倒れていた男二人、これは路地裏で強盗殺人を働いた容疑で拘束しておりますが、黒いぼろを纏った小柄な老婆に蹴り倒されたといっています。またその少し前、深夜警備の者が同様の姿の老婆が一軒家近くの道端に伏せていたのを見ております。物乞いと思い施しを与えたそうですが全く動かなかったと。貨幣はそのまま手づかずで放置されておりました」
「確かに大通りをまっすぐ移動ということになりますな」
情報収集を担当するアンソニーが、そんな彼らしいコメントを挟む。
「そいつは今どこに?」
贅肉など皆無の長身に、色の浅い金髪が印象的な男が尋ねた。剣を持てば五人の中でも最高の手練れたるリチャードだ。
「中心街に入る橋の上で動かずにいるのが現状だ」
「どういう気なんだろうな。まあ魔物の考えなど我々では察しもつかんが」
リチャード以上にがっしりした体躯に剛力を秘めつつも、鋭さより大らかな印象の勝る黒髪の戦士エリックがいった。
「動きが速い上に石化の魔眼では、やはり離れた位置から呪文で叩くしかありませんわね」
金髪碧眼の紅一点にして魔術師のメアリの表情は、エリックと対照的な厳しさだった。
「その様子だと中央図書館には成果なしか?」
尋ねたアーサーに、メアリは公開済みの全文書に紐づけされた水晶玉を戻しつつ頷いた。
「伝聞に頼った役に立たない情報ばかりですわ! うかつに近づけない相手だから詳しい生態は不明とかいう言い訳け付きで! この大陸にはもっと骨のある冒険者はいませんのっ?」
「まあ責めるのは酷かな。でも、おかげで我々が近づく初めての人間という栄誉にあずかるわけか」
「正直なところ遠慮したいでありますな」
エリックの言葉をアンソニーが混ぜ返す。
「とにかくフォーメーションを組むぞ。やはり日の出以降になるかなリチャード」
アーサーの言葉にリチャードが頷く。
「メアリの呪文が決め手になるなら夜は危険だ。視線に魔力を持つ上に人間より夜目が利くかもしれない相手ならどうしても不利になる。あとは我々四人が盾になってメアリに目を向けさせないようにするしかないだろう」
「ならば相手をできるだけ惑わせる布陣で臨むしかないな」
そしてスノーレンジャーの名で呼ばれる五人の若き隊員は、額を寄せ合い一つのフォーメーションを練り始めた。
後書き
未設定
作者:ふしじろ もひと |
投稿日:2021/10/05 03:39 更新日:2021/10/05 03:39 『『鉄鎖のメデューサ』』の著作権は、すべて作者 ふしじろ もひと様に属します。 |
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