小説を「読む」「書く」「学ぶ」なら

創作は力なり(ロンバルディア大公国)


小説投稿室

小説鍛錬室へ

小説情報へ
作品ID:1322
「ドライセン王国シリーズ:滔々と流れる大河のように(冒険者編)」へ

あなたの読了ステータス

(読了ボタン正常)一般ユーザと認識
「ドライセン王国シリーズ:滔々と流れる大河のように(冒険者編)」を読み始めました。

読了ステータス(人数)

読了(65)・読中(0)・読止(0)・一般PV数(277)

読了した住民(一般ユーザは含まれません)


ドライセン王国シリーズ:滔々と流れる大河のように(冒険者編)

小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 完結

前書き・紹介


第二章「ゴスラー市」:第18話「スライム退治」

前の話 目次 次の話

第2章.第18話「スライム退治」



 大猪を狩った翌日。

 今日も天気は晴れ。ギルドで聞いてみると明後日までこの天気は続くそうだ。

 今日から二泊三日のアシッドブロップ討伐クエストに挑むため、天候の情報は重要だ。



 今回の計画では、夜営場所は前回と同じ場所にするので、初日に二、三時間余裕がある。

 時間を有効に使うため、夜営場所近辺で魔物、薬草、食材になるものを探すことにしていた。

 夜営場所に到着し、三十分ほど探していると、バッバッバッ……という低い連続音が聞こえてきた。

 上空を飛ぶヘリコプターの音に似ているような気がする。

 アントンたち四人に姿を隠すように指示を出してから、周囲を探索するとキラーホーネットが一匹いた。



  キラーホーネット:

   超大型のスズメバチ。集団で行動する場合、連携して襲うことがある。

   HP300,DR5,防御力10,獲得経験値100(15S)

   針(AR50,SR30,毒3)、牙(AR50,SR20)



 キラーホーネットはカラスくらいの大きさで、見た目はオオスズメバチをそのまま大きくしたものだ。

 まだこちらには気付いていないようで、俺たちから離れるように飛び去っていく。

 四人には静かにゆっくり着いてくるよう指示し、俺はキラーホーネットを追う。



 しばらくすると、キラーホーネットは何かを見つけたようで、スピード緩め、ホバリングをし始める。

 よく見てみると地面にはグリーンクロウラーが一匹いる。キラーホーネットはグリーンクロウラーを狩るつもりのようだ。

 俺の脳裏に戦いが終わったときに漁夫の利を得ようかという考えが一瞬閃くが、キラーホーネットが巣に運ぶのを追跡して一網打尽にすることを思いつく。



 四人にその旨を伝え、夜営場所に戻るよう指示するが、着いて行きたいと言ったため、少し考えた後、気付かれないように着いていくことを念押しし、着いてくることを許可した。

 最近は彼らも注意深くなり、不用意に見つかることはないという判断だが、彼らの経験のためというのもある。



 キラーホーネットとグリーンクロウラーの戦いはあっという間に終わり、キラーホーネットがグリーンクロウラーを抱えて飛び立つ。

 俺たちは、キラーホーネットが見えるギリギリの距離を追跡し、二十分後、キラーホーネットの巣を発見する。



 百mくらい離れた場所に直径三十cmくらいの穴が開いており、周りには数十機のヘリコプターが飛んでいるような低い風切音があたりにこだましている。



 鑑定で見る限り、二十匹近くが飛んでいる。

 巣の中にも何匹かいるかもしれないが、俺たちはゆっくりと巣に接近していく。

 四人は少し後ろに残し、俺はファイアストームの射程距離約二十mまで接近する。

 隠密のスキルレベルが上がっているためか、蜂たちに気付かれていない。



 すべての蜂が攻撃範囲に入ったのを確認し、ファイアストームを発動。

 すべてのキラーホーネットが炎の渦で羽を焼かれ、地面に落ちていく。

 地面に落ちたキラーホーネットはもがいているが、すでに戦闘力はない。

 巣からはまだ無傷の蜂が出てきていないので、すぐに巣に接近し、出入り口を剣で崩しておく。

 アントンたちを呼び、すぐに地面に落ちたキラーホーネットの止めを刺させ、俺は巣から這い出てこようとするキラーホーネットを剣で突き刺すことに専念する。

 地面に落ちたキラーホーネットは二十二匹、巣の入り口で刺し殺したキラーホーネットは三匹の計二十五匹を殺すことができた。

 巣の中にはまだ何匹か居そうだが、戻ってくるキラーホーネットと戦うのが面倒なので、討伐証明部位の毒針を切り取り、すぐにその場を離れた。



 計画通りとはいえ、非常に効率がいい。

 二十五匹で三七五Sの儲けだ。



 経験値も大きく、本人たちは気付いていないが、四人はレベル四に上がっている。



 そう言えば、鑑定を使わないでレベルを確認する方法は、ギルドカードの更新しかない。

 クエスト終了時に受付に出すとクエスト達成日時の更新のほかにレベルも最新の値に更新される。

 一般の冒険者はギルドに帰って初めてレベルアップしていることに気付くが、俺はギルドカードを碌に見ないので、鑑定で自分のパラメータを確認するときまで気付かないことが多かったりする。



 しかし、今回の討伐は幸先がいい。

 明日のアシッドブロッブもこの調子でいけるとうれしいのだが、あまり欲をかかないよう注意するべきだろう。



 少し早いが、十分な成果が上がったので、夜営場所に戻ることにした。

 夜営の準備を行い、前回と同様に見張りを立て就寝する。

 今回も夜襲はなく、無事に朝を迎えることができた。



 朝食後、アシッドブロッブを探しに森の奥へ向かう。

 ギルドでアシッドブロッブの出没場所の情報を得ているので、目的の場所を目指して森の中を進んでいく。

 途中、ジャイアントスパイダーやグリーンクロウラーを見つけるが、アントンたち四人で片付けていく。

 敵が単独であれば、多少ダメージを受けるものの特に危なげなく倒せるまでになっている。もうそろそろ一緒に行動する必要はないかもしれない。



 四時間後、目的の谷を見つけた。

 谷の出口側の斜面の上を慎重に進んでいくとアシッドブロッブが谷の底に多数蠢いていた。



  アシッドブロッブ:

   酸性の体液を持つスライム状の魔物

   HP500,DR0,防御力20(物理攻撃?80%、金属製武器破損30%),

   獲得経験値250(50S)

   酸(AR50,SR20,レンジ20,酸による追加ダメージあり)



 谷は幅二十mくらい、高さ十mくらいで天然のダムのようにアシッドブロッブが三十mくらいに渡り、倒木などとともに大量に溜まって蠢いている。

 よく見ると透明なスライム状の体の下にコボルトらしきもの、ゴブリンらしきもの、狼らしきものなど、多数の魔物の死体もある。



 俺は「なあ、最近大雨とか降ったか?」と彼らに聞くと、アントンが、「半月くらい前に山のほうで大雨が降ったっていううわさを聞きましたが」と答えてくれた。



 山奥で降った大雨が鉄砲水となり、アシッドブロッブと弱い魔物を押流し、ここに集まったのだろう。

 一緒に流されてきたゴブリンたちの死骸が餌になり、アシッドブロッブが一気に増えたのではないだろうか。



「お前たちはここにいてくれ。俺は谷の上から攻撃できるところがないか見てくる」といって、谷の上の斜面を移動し始める。

 斜面は急ではあるものの移動できないほどではないので、一旦一番奥に行き、攻撃場所を見定める。

 そして、アントンたちのところに戻り、「俺は上流側から順次ファイアボールで攻撃していく。煙は有害かもしれないから、煙が来るようなら、念のため煙のない方に逃げてくれ」と指示して、再び上流側に移動する。



 一番上流にいるアシッドブロッブにファイアボールを放つ。

 思いのほか、簡単に貫通し炎上する。

 キャンプ用のジェルの着火剤のように一気に燃え上がるが、なかなか近くのアシッドブロッブに火が着かない。外皮が耐火性なのかもしれない。

 仕方ないので更に隣のアシッドブロッブにもファイアボールを放つ。さすがに二匹が炎上すると隣にも延焼していく。



 そのまま、谷の真ん中辺りに移動し、ファイアストームを使ってみる。ファイアストームでは外皮を貫通できないようで燃え上がらない。

 おそらく通常のファイアボールでも燃えないのだろう。俺オリジナルの高密度型ファイアボールがなければ、ほとんどダメージを与えられなかったのではないか。



 中央部の二匹にもファイアボールを放つ。やはり二匹分の火力で次々に延焼していく。

 最後に下流側の二匹にも同じようにファイアボールを撃ち込み、これで全体が燃え上がるはずだ。炎は数mの高さまで上がっている。

 ここまで日が大きくなるとは思わなかった。

 この谷は高さ十mくらいだが、斜面にも木や草が生えているので、山火事になる可能性がある。だが今更どうしようもない。



 風向きが良く、煙は俺たちとは反対に向かって流れているので、とりあえずこの場所で火が収まるのを待つ。



 昼食を取りながら待っていると一時間くらいしてようやく鎮火した。

 この火の海の中で生きていられるとは思えないが、念のため、鑑定で生き残りがいないか確認する。

 さすがに魔物の反応はなく、すべて死んでいる。



 風が吹き抜けているので有毒ガスで倒れることも無さそうだと考えたが、まずロープを括りつけた俺が下に降り、安全を確認したのち、四人が谷の底に下りていくことにした。少し変な匂いはするが、特に危険はなく、アシッドブロッブの核を探し始める。

 核は拳大の黄色い石のようなもので、灰の中に多数転がっていた。



「アシッドブロッブの核はこれだ。手分けして集めてくれ。多分大丈夫だと思うが、素手で触らずに皮袋に入れてくれ」と指示を出した後、五人で手分けして核を探す。

 一時間ほど探すと三十一個あった。

 報酬は一五五〇S。キラーホーネットの分と合わせると二十G近い儲けだ。



 まだ、残っている核がありそうだが、灰の中に埋もれているものが多く、鑑定を使っても簡単には見つけられそうにない。

 ゴブリンたちの討伐証明部位も取ろうと思ったが、完全に焼けているため取ることができない。アシッドブロッブの報酬に比べたら大したことがないので特に惜しくはない。

 夜営地に戻る時間を考えるともうそろそろリミットだ。



「よし、これで十分だ。夜営地に引き上げるぞ」と声を掛け、俺たちは四時間かけて、夜営地に戻っていった。

 俺はこの二日で一万以上の経験値を得て、レベル七にレベルアップしていた。



 高山(タカヤマ) 大河(タイガ) 年齢23 LV7

  STR522, VIT451, AGI494, DEX540, INT3429, MEN1304, CHA425, LUC415

  HP496, MP1304, AR1, SR1, DR1, SKL198, MAG56, PL25, EXP26521

  スキル:両手剣12、回避9、軽装鎧5、共通語5、隠密8、探知6、追跡6、

      罠5、体術3、乗馬1、植物知識7、水中行動4、

      上位古代語(上級ルーン)50

  魔法:治癒魔法5(治癒1、治癒2、解毒1)

     火属性7(ファイアボール、ファイアストーム、ファイアウォール)



 火属性の魔法ばかり使っているので、他のスキルの上りが少ない。





 その夜も心配した夜襲はなかった。

 単に季節的に光に集まる性質の昆虫系がいない可能性があるので油断できないが、この場所は夜営地としてはかなり良い所なのかもしれない。



 翌日は無駄な戦闘を避け、出来るだけ真直ぐ町に戻ることにした。

 午後二時頃、町に到着し、ギルドで討伐完了報告をする。



 受付嬢は三十一個のアシッドブロッブの核を見て目を丸くしているが、更にキラーホーネットの針二十五個も追加で出しておく。



 ジャイアントスパイダー二匹、グリーンクロウラー二匹分を合わせて、十九Gと五十五Sを受け取る。俺は十三Gを受け取り、残りをアントンたちに渡す。彼らも1人当たり百六十Sと今まででの倍以上の報酬となっていた。

 明日は休みとし、明後日の朝ギルドに集合として解散する。



 ドラゴン亭に戻り、宿の主人のマルティンに預けた猪の塩漬けを見せてもらう。



(どうやらうまくいっているようだな)



 塩抜きをするため、水場できれいに塩を洗い流し、水気を十分にふき取っておく。

 マルティンに風通しのいいところに吊るしておいてくれと頼み、本日の作業を完了する。

 翌日、休日の朝をゆっくり楽しんだ後、猪肉の状態を見る。

 カビや腐敗もなく、水分が適度に抜けたいい状態なような気がする。

 肉に問題ないことを確認した後、すぐに道具屋に行き、大き目の木の箱を購入しドラゴン亭の裏庭に戻ってきた。



「マルティン、裏庭を借りてもいいか」と厨房にいるマルティンに声を掛けると、不思議そうな顔の彼が「ああ、かまわないが、何をするんだ?」と尋ねてきた。

 俺は一言、「猪肉の燻製を作る」と言うと、彼も興味があるのか、見せて欲しいと言ってきた。

 俺は別に見られて困るものではないので、「ああ、あんまり面白いわけじゃないが、いいぞ」と言って、彼と一緒に裏庭に出ていった。



 買ってきた木箱に肉を吊るすための棒を取り付け、燻製器に改造する。

 森で取ってきたチェリーの木を細かく砕いてチップにし、着火の魔法を使って火を着け、スモークを開始する。



 この地方には一応腸詰はあるのだが、スモークの香りがなく、なんとなく味気なかった。

 ベーコンが成功したら、腸詰のスモークもチャレンジしたいと思っている。



 スモークすること三時間、中を確認するとうまくいっているようだった。

 味見をするため、少し切り取った物をフライパンで焼いてもらう。



「うまい! 成功だ」とつぶやき、マルティンに味見をさせる。

 彼も「うまいよ! 作り方を教えてくれ。礼はするから」と言って目を輝かせている。

「ああ、構わないぞ。礼はうまい飯を食わせてくれればいいよ」といって、作り方を教えることを約束した。



 その後に腸詰を十本ほど分けてもらい、燻製器でスモークすることにした。

 二時間ほどスモークし、これも味見をすると、かなりうまい。これもマルティンに教えておく。

 これで野外での食事の幅が広がる。

 干し肉は塩が強すぎるし、火で炙ってもそれほどうまくない。

 飽食の国「日本」に育った俺としては、何日も干し肉と固いパンだけでは耐えられない。これで長期のクエストに目処がついた。



 その日の夕食は俺のベーコンとスモーク腸詰のグリル。これが宿泊客になかなか好評だったらしく、定番メニューになりそうだとのことだ。

後書き


作者:狩坂 東風
投稿日:2012/12/13 22:06
更新日:2012/12/13 22:06
『ドライセン王国シリーズ:滔々と流れる大河のように(冒険者編)』の著作権は、すべて作者 狩坂 東風様に属します。

前の話 目次 次の話

作品ID:1322
「ドライセン王国シリーズ:滔々と流れる大河のように(冒険者編)」へ

読了ボタン


↑読み終えた場合はクリック!
button design:白銀さん Thanks!
※β版(試用版)の機能のため、表示や動作が変更になる場合があります。
ADMIN
MENU
ホームへ
公国案内
掲示板へ
リンクへ

【小説関連メニュー】
小説講座
小説コラム
小説鍛錬室
小説投稿室
(連載可)
住民票一覧

【その他メニュー】
運営方針・規約等
旅立ちの間
お問い合わせ
(※上の掲示板にてご連絡願います。)


リンク共有お願いします!

かんたん相互リンク
ID
PASS
入力情報保存

新規登録


IE7.0 firefox3.5 safari4.0 google chorme3.0 上記ブラウザで動作確認済み 無料レンタル掲示板ブログ無料作成携帯アクセス解析無料CMS