小説を「読む」「書く」「学ぶ」なら

創作は力なり(ロンバルディア大公国)


小説投稿室

小説鍛錬室へ

小説情報へ
作品ID:2279
「サラリーマン、スケオくんのちょっと色っぽいミステリー」へ

あなたの読了ステータス

(読了ボタン正常)一般ユーザと認識
「サラリーマン、スケオくんのちょっと色っぽいミステリー」を読み始めました。

読了ステータス(人数)

読了(75)・読中(1)・読止(0)・一般PV数(129)

読了した住民(一般ユーザは含まれません)


サラリーマン、スケオくんのちょっと色っぽいミステリー

小説の属性:一般小説 / ミステリー / お気軽感想希望 / 初投稿・初心者 / R-18 / 完結

前書き・紹介

沢山読んでくださりありがとうございます。
最新作です。
どうぞよろしくお願いいたします。


(第12話)マコトと僕は資料室の中でイケないことをする…その時、脅迫状を見つけてしまった

前の話 目次 次の話

「マコト…大丈夫か?」


マコトもお姉さん座りになってエグエグと小刻みに肩を震わせている。
資料室でいきなり強姦されかけたのだ。
そりゃ泣き叫ぶぐらい怖かっただろう。
僕が止めに入らなかったら今頃彼女は無茶苦茶にされていただろう。
僕は背広を脱ぎ、マコトの肩に羽織らせた。
そして、彼女の肩まで伸びた艶やかな栗色の髪をつむじから後頭部にかけて撫でさする。
マコトは涙と鼻水を袖で拭って顔を上げて言った。


「えへへ…スケオ先輩はスーパーヒーローみたい。
助けてくれてありがとうございます」


彼女はニコリと笑う。


「スケオ先輩…さっきの動画、聞いてしまいましたか?」


上目遣いでマコトは聞いてきた。
ドキン。
マコトが僕の椅子の上で淫らに腰を振るシーンを脳裏でかすめてくる。
思わず喘いでしまった。
少し考えた。
彼女のためにここは知らなかった事にしておこう。


「いや…僕は伊藤が襲いかかった時にここに来たから知らない」
自然と目線が向こうの方にいってしまう。


「そっかあ。えへへ」


マコトは少しも疑うことがなく、腫れあがった頬と口元が上がり、ニコリと微笑んだ。その後、痛みが走り彼女の顔が歪んだ。
僕の大事な後輩に酷い事をしやがって、絶対に伊藤が許せない。
僕は無我夢中でマコトを抱きしめる。


「スケオ先輩…」


マコトははらはらと熱い涙を流し、僕の背中に手を回す。
柔らかい胸が当たってきた。
僕の鼓動が早くなる。
マコトの華奢な肩をつかみ、じっと見つめていた。
僕たちの熱い視線が絡み合う。


「スケオ先輩………好き」
マコトの梅のような唇が開き吐息を漏らした。


「僕もだ………マコト。好きだ」
生唾を呑み込んだ。
マコトの瞳が濡れている。
ついに僕の理性のストッパーが外れた。
唇を近づけようとすると、マコトは喘いで静かに目を閉じる。
僕はマコトの唇を貪ってしまった。
彼女も何度も僕を求めてくる。
僕の首に手を回し鼻息を荒げる。
ねっとりと舌と舌が絡むたびに彼女は悦びを感じていた。
僕は興奮し、彼女の栗色の髪を後ろから掻き揚げる。
マコトはアッ…アッ…、と喘ぎのけ反らせた。
彼女の白目、鼻の穴、だらしなく開いた唇を見て
俄然に興奮してきて、また狂おしく唇を重ねた。
僕の脳みそが蕩け、体が灼熱してくる。
マコトは目をトロンとさせ、僕のベルトに手をかける。
僕は突然我に返った。
理性をなんとか取戻し、マコトから唇を離して押しのけた。


「ごめん。マコト」


また同じ過ちを犯してしまいそうになった自分を情けなく思い、首が項垂れてしまう。


「え?どうしたの?スケオ先輩」
マコトは不安そうな目をして言う。
僕は言葉を詰まらせてしまった。
マコトは悲しそうな表情へと変わり、縋るような目で僕のシャツの裾をつかむ。


「マコト。好きだ。だけど、既に付き合っている人がいるんだ」


言ってみたものの、罪悪感の波がどっと押し寄せ、急にマコトの顔を見るのが怖くなった。
僕は同級生だったミネ子ちゃんの事を愛している。
だけど、今まで一緒に頑張って仕事をしてきたマコトの事も好きになってしまった。
今でも両方を愛している。
だけど、僕は一人の女性しか愛せない。
二人の女性を愛することなんて不可能だ。
自分の中で葛藤をしてしまった。


「そっ、そんな……うっ……」


マコトは僕の言った言葉を受け止められなく首を振り続けた。
僕の裾を強くつかみ、涙をボロボロ零した。
その時、ドアの向こうから物音がした。
誰かに見られていたようだ。


「誰だ!」


シャツがはだけている僕は、マコトを残して目の前の扉を大きく開けた。
廊下は静寂に包まれていて誰もいない。
たしかに人がいる気配を感じた。
何か、靴にあたった。
見下ろすと小さく折りたたんだ白い紙が足下に置かれていた。
僕はそれを拾い上げ、丁寧に開けてみる。
広げた瞬間、僕は驚愕した。


“マコトとスケオを殺す”


A4ぐらいの白い紙に、赤いマジックペンで書いたような字があった。
僕の両手が震え出し、背筋が凍ってしまう。


「キャッ!なにこれ」


マコトが僕の肩の後ろから覗きこんだ。
眉をひそめ、口で両手を抑えている。
もう一度、紙を見てみた。
一度濡れて、そのまま乾いてしまった紙のようだ。
字が所々滲んでいる。
丁度、“殺す”と書かれた字だけが血のように流れ滲んで不気味に思った。


「も、もしかして、伊藤先輩が置いていったものとか……」


マコトが唇を震わせる。


「分からないが、もしかしたら僕たちへの復讐で、アイツが脅迫状を置いていったのかもしれないな」


これはイタズラなのか本気なのかが分からない。
これが本当の意味だとしたら、僕たち二人は殺される。
伊藤……もしくは“何者”かによって。
そう考えだすと一気に血の気が引いた。


「どうしよう……。
会社に報告した方がいいのかな」

戸惑った口調で僕を見上げるマコト。


「いや。騒ぎをあまり大きくしない方がいいかもな。
ただの嫌がらせかもしれないし。
居酒屋でもらった名刺があるから、
今日すぐに担当の刑事に電話を入れようと思う」

「かっ、会社には報告しないのですか!」


マコトは目を皿のようにした。


「ああ。会社に報告したら却って良くないだろうな。
ここは会社よりも警察に電話したほうがいいだろう」


マコトは首を横に振り、喚いた。
「え!なんで!これは事件なんですよ!
スケオ先輩とアタシが殺されるのですヨ!?
アタシ、怖い!死にたくない!」

「分からないのか。この状況を!」
僕はピシャリと言った。
つい興奮してしまいマコトの腕を強く掴んで叫んだ。


「オイ。いいか?パニくらずに良く聞け。
会社は俺たちを守ってくれるとは限らない。
それどころか会社になんか報告してみろ。
たちまち噂になり騒ぎも大きくなる。
相手がどんなヤツなのか分からないんだ。
もしかしたら伊藤ではなく、もっと怖い犯罪者かもしれないんだ。
相手を逆上させて他の社員にも脅迫したり殺したりしかねないんだ。
それに、あの居酒屋で出刃包丁を突き刺して逃げた犯人と同じかもしれないんだぞ!
これはまず、警察に言ったほうがいいだろう!」


つい、僕も取り乱してしまい思わずマコトに噛みついてしまった。
案の定マコトは俯いて涙を零してしまった。


「すまない……僕こそ落ち着かないとな」
僕はマコトの頭を撫で、抱きしめる。


「ううん。アタシこそ大声を出してごめんなさい。
アタシ、怖い。死にたくないよう」
マコトは肩を震わせ嗚咽を漏らす。
そりゃそうだ。僕だって恐い。
朝から寝る時までずっとボディーガードをつけて欲しいぐらいだ。
マコトの怖くなる気持ちがよく分かる。


「大丈夫だ。僕が体を張ってマコトを守ってやる。
今日から一緒に退社しよう。もちろん朝も。どうだ?」
子犬のように怯えているマコトの背中を撫でさすった。
マコトは赤い目で僕を見上げてとても嬉しそうにする。


「ふわあ。スケオ先輩と仲良く出社と退社ができるなんて。
えへへ。幸せだなあ」
鼻をすすり、袖で涙をふくマコト。


「ははは。事件が終わるまでな。僕がしっかりオマエを守るからな。今日帰ったらすぐに刑事に電話をするからな」
僕はマコトを安心させた。
本当はマコトと関係を作ってはいけないが、命が狙われているからとても心配だ。
ミネ子ちゃんには申し訳ないと思っている。
だけど、これは後輩の命が狙われていることなんだ。
一緒に出社するのは当然のことだろう。
僕はまだマコトを抱きしめていた。
また理性というストッパーがぶっ飛んでしまいそうでとても自信がなかった。
僕はニコリと笑ってマコトの背中をポンポンと叩いて押しのける。


「あっ。マコト、大事なものを忘れてるぞ」
僕はポケットから彼女の髪飾りを出して見せた。


「あっ。アタシのシュシュ。拾ってくださりありがとうございます」
マコトは痣を作った頬で笑い、シュシュという青い髪飾りを目の前でくくってポニーテールにした。


「マコトはポニーテールの方がよく似合っているな」
「ほんとですか?えへへ」


マコトは上機嫌になり、ふりふりと髪の毛を揺らしてみせる。
僕はなぜかホッとした気持ちになった。




それから僕たちは資料室から出ていき下に降りて部署に戻ったが、伊藤はずっと退社時間まで戻ってこなかった。




(つづく)

後書き


作者:白河甚平
投稿日:2020/02/22 15:43
更新日:2020/02/22 15:43
『サラリーマン、スケオくんのちょっと色っぽいミステリー』の著作権は、すべて作者 白河甚平様に属します。

前の話 目次 次の話

作品ID:2279
「サラリーマン、スケオくんのちょっと色っぽいミステリー」へ

読了ボタン


↑読み終えた場合はクリック!
button design:白銀さん Thanks!
※β版(試用版)の機能のため、表示や動作が変更になる場合があります。
ADMIN
MENU
ホームへ
公国案内
掲示板へ
リンクへ

【小説関連メニュー】
小説講座
小説コラム
小説鍛錬室
小説投稿室
(連載可)
住民票一覧

【その他メニュー】
運営方針・規約等
旅立ちの間
お問い合わせ
(※上の掲示板にてご連絡願います。)


リンク共有お願いします!

かんたん相互リンク
ID
PASS
入力情報保存

新規登録


IE7.0 firefox3.5 safari4.0 google chorme3.0 上記ブラウザで動作確認済み 無料レンタル掲示板ブログ無料作成携帯アクセス解析無料CMS