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Devil+Angel=Reo
小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 完結
前書き・紹介
第二部・第14話。
前の話 | 目次 | 次の話 |
午前6時。桐生刹那が起床した時間である。
まだ、顔も洗っていないため髪はところどころ寝癖がついたまま。
その姿に笑みを作ったのは鋼夜春袈だった。
「刹那、まだ眠たい?」
エプロンをつけた姿でフライパンを持ちながら問いかけてくる春袈の姿に、刹那は目を見開く。
〈一体何時から起きてるの、春袈って……〉
心中でそう思いつつも、口には出さない。
「眠い……昨日結局、12時に寝ちゃって」
「原因はアレ?」
「かもしれない」
昨日、紅來璃維という少年を怒らせてしまったせいで、それが気になって眠れなかった。
今日から、長いレオ争奪戦が始まるというのに。
「そういえばさ、鋭意会長から何も聞いてない?」
「え?」
「だから、レオ争奪戦のこと。今日から開始だっていうのにさ、何にも連絡入らないのはおかしくない?」
はきはきと喋る春袈。キッチンの前に立ってフライパンに油をひく。
冷蔵庫から卵を二つ取り出し、ついでに砂糖と醤油、お椀も出す。
刹那も眠たいのを我慢して、春袈のお手伝い。
「あぁ、アリガト。で? 何か聞いてる?」
「ううん。昨日、翼さんからも電話きたけど……」
「う?ん。じゃあ、やっぱり厄介なんだね、レオ争奪戦って」
しみじみと言う春袈に疑問をぶつける。
「春袈、レオ争奪戦に詳しいの?」
「あ、そうじゃなくって、私もNEV機関員としてレオ争奪戦に参加したことがあるからさ」
「でも、やっぱりって?」
「そのときは、初めてのレオ争奪戦で、とてもじゃないけど緊張せずにはいられなかったからさ」
苦笑して、焼けてきた卵を、くるくるとフライ返しで巻いていく。
「できた」
嬉しそうに白いまな板に、できたて焼きたての卵焼きを置く。
それを包丁を持った刹那が均等に切っていく。
「さて、と」
春袈が、手を洗い冷蔵庫からレタスを取り出し、水で軽く洗っていく。
それを適当にちぎっていって、ガラス製のボウルに入れていく。
「ねえ、春袈……」
「何?」
「何か、この卵焼きさ、変な色してない?」
そう。刹那が切っている卵焼きは砂糖と醤油をいれたおかげか、非常に見た目は変な色になっていた。
「あぁそれ、砂糖醤油味に仕上げてるから。大丈夫。害はない」
ごまドレッシングをレタスに豪快にかけていく春袈。
きり終わった卵焼きを用意してあったプレート皿に置いていく刹那。
朝食をとり終わった後、なぜか、雰囲気が最悪なものになっていた。
それというのも、紅來璃維が昨日言い合った、桐生刹那の傍に寄り添っているからだ。
そんな璃維の様子にキレたのが、春袈だ。
「ちょっと。璃維。刹那が困ってるじゃんか」
「あ、えーと……」
うろたえる刹那。昨日言い合っていた、璃維の背中にずっと居続けることに少し戸惑いを感じているらしかった。
「刹那?」
後ろを振り向き、刹那に意見を求める。
「璃維……あのさ、昨日のことなんだけど」
「刹那、黙れ」
ビクリッ、と刹那の肩が震える。
「……紅來璃維。朝日奈翼から連絡きてるけど?」
不機嫌な態度を声にものせて、媛が言う。
「? 翼から?」
こちらも不機嫌。璃維の声。
媛から電話を受け取り、璃維は電話に出る。
「………………翼?」
朝日奈翼。ラファエルの役職についている少女だ。
しかし、翼の名を呼ぶまでにかなりの間があった。
「翼ッ!!」
璃維の緊張した声が響き渡る。
「翼さん、どうかしたの?」
恐る恐る、電話を切られたらしい璃維。
プルプルと受話器を持った右手が震えている。
「……翼が失踪した」
その璃維の言葉に璃維以外が「え」と声をそろえる。
当然だ。ラファエルの役職に就いている翼が失踪した、ということは可能性としてはレオ争奪戦が中止になることもある。
ラファエルは6大天使の一人だ。そして、この6大天使はレオ争奪戦の運営と自治を任されている。
その一人が居なくなっても、あと5人居るため本来は問題はさほどない。
しかし。
「ちょっと待て! 今は大天使も3人しか居ないだろう!」
春袈の声が私の耳と頭を一瞬で突き抜ける。
正直。
この朝日奈翼が失踪したという事は、そう簡単に認めていいことではなかったのだ。
機会が来たと思った。
機会、チャンスなんて言っていいのか分からない。……いや。言ってはいけない。
6大天使の一人、ラファエルが居なくなった事はたとえ5人居たとしてもラファエルの存在は大きい。
あの朝日奈騎士の妹ということもあるのだろう。
だから、現在3人というこの状況はチャンスといっていい。自分にとっては。
〈……もう少しだ。もう少しで刹那をアッラーフに〉
復職させる……!
「……御免。鈴奈」
小声で呟いたその言葉は、混乱に包まれている部屋の雰囲気に消された――。
「翼さんが居なくなって、大丈夫なの?」
「大丈夫なわけないよ……!」
刹那の問いに媛が悲痛な声で答える。
媛は、ラファエルとそしてレオ争奪戦に関する6大天使の重さを知っているのだ。
そんな混乱の部屋にピンポンとチャイムが鳴る。
「失礼します」
一礼して3人の女性が部屋に入ってくる。
「朝日奈騎士です」
「ガブリエル、根本莉梨と申します」
「ウリエルに就いてます。瀬宮真希」
3人の少女の自己紹介。
???
「瀬宮真希ーっ!?」
混乱の部屋が余計、混乱になった、と後に紅來璃維が遺した手記に記されていた。
まだ、顔も洗っていないため髪はところどころ寝癖がついたまま。
その姿に笑みを作ったのは鋼夜春袈だった。
「刹那、まだ眠たい?」
エプロンをつけた姿でフライパンを持ちながら問いかけてくる春袈の姿に、刹那は目を見開く。
〈一体何時から起きてるの、春袈って……〉
心中でそう思いつつも、口には出さない。
「眠い……昨日結局、12時に寝ちゃって」
「原因はアレ?」
「かもしれない」
昨日、紅來璃維という少年を怒らせてしまったせいで、それが気になって眠れなかった。
今日から、長いレオ争奪戦が始まるというのに。
「そういえばさ、鋭意会長から何も聞いてない?」
「え?」
「だから、レオ争奪戦のこと。今日から開始だっていうのにさ、何にも連絡入らないのはおかしくない?」
はきはきと喋る春袈。キッチンの前に立ってフライパンに油をひく。
冷蔵庫から卵を二つ取り出し、ついでに砂糖と醤油、お椀も出す。
刹那も眠たいのを我慢して、春袈のお手伝い。
「あぁ、アリガト。で? 何か聞いてる?」
「ううん。昨日、翼さんからも電話きたけど……」
「う?ん。じゃあ、やっぱり厄介なんだね、レオ争奪戦って」
しみじみと言う春袈に疑問をぶつける。
「春袈、レオ争奪戦に詳しいの?」
「あ、そうじゃなくって、私もNEV機関員としてレオ争奪戦に参加したことがあるからさ」
「でも、やっぱりって?」
「そのときは、初めてのレオ争奪戦で、とてもじゃないけど緊張せずにはいられなかったからさ」
苦笑して、焼けてきた卵を、くるくるとフライ返しで巻いていく。
「できた」
嬉しそうに白いまな板に、できたて焼きたての卵焼きを置く。
それを包丁を持った刹那が均等に切っていく。
「さて、と」
春袈が、手を洗い冷蔵庫からレタスを取り出し、水で軽く洗っていく。
それを適当にちぎっていって、ガラス製のボウルに入れていく。
「ねえ、春袈……」
「何?」
「何か、この卵焼きさ、変な色してない?」
そう。刹那が切っている卵焼きは砂糖と醤油をいれたおかげか、非常に見た目は変な色になっていた。
「あぁそれ、砂糖醤油味に仕上げてるから。大丈夫。害はない」
ごまドレッシングをレタスに豪快にかけていく春袈。
きり終わった卵焼きを用意してあったプレート皿に置いていく刹那。
朝食をとり終わった後、なぜか、雰囲気が最悪なものになっていた。
それというのも、紅來璃維が昨日言い合った、桐生刹那の傍に寄り添っているからだ。
そんな璃維の様子にキレたのが、春袈だ。
「ちょっと。璃維。刹那が困ってるじゃんか」
「あ、えーと……」
うろたえる刹那。昨日言い合っていた、璃維の背中にずっと居続けることに少し戸惑いを感じているらしかった。
「刹那?」
後ろを振り向き、刹那に意見を求める。
「璃維……あのさ、昨日のことなんだけど」
「刹那、黙れ」
ビクリッ、と刹那の肩が震える。
「……紅來璃維。朝日奈翼から連絡きてるけど?」
不機嫌な態度を声にものせて、媛が言う。
「? 翼から?」
こちらも不機嫌。璃維の声。
媛から電話を受け取り、璃維は電話に出る。
「………………翼?」
朝日奈翼。ラファエルの役職についている少女だ。
しかし、翼の名を呼ぶまでにかなりの間があった。
「翼ッ!!」
璃維の緊張した声が響き渡る。
「翼さん、どうかしたの?」
恐る恐る、電話を切られたらしい璃維。
プルプルと受話器を持った右手が震えている。
「……翼が失踪した」
その璃維の言葉に璃維以外が「え」と声をそろえる。
当然だ。ラファエルの役職に就いている翼が失踪した、ということは可能性としてはレオ争奪戦が中止になることもある。
ラファエルは6大天使の一人だ。そして、この6大天使はレオ争奪戦の運営と自治を任されている。
その一人が居なくなっても、あと5人居るため本来は問題はさほどない。
しかし。
「ちょっと待て! 今は大天使も3人しか居ないだろう!」
春袈の声が私の耳と頭を一瞬で突き抜ける。
正直。
この朝日奈翼が失踪したという事は、そう簡単に認めていいことではなかったのだ。
機会が来たと思った。
機会、チャンスなんて言っていいのか分からない。……いや。言ってはいけない。
6大天使の一人、ラファエルが居なくなった事はたとえ5人居たとしてもラファエルの存在は大きい。
あの朝日奈騎士の妹ということもあるのだろう。
だから、現在3人というこの状況はチャンスといっていい。自分にとっては。
〈……もう少しだ。もう少しで刹那をアッラーフに〉
復職させる……!
「……御免。鈴奈」
小声で呟いたその言葉は、混乱に包まれている部屋の雰囲気に消された――。
「翼さんが居なくなって、大丈夫なの?」
「大丈夫なわけないよ……!」
刹那の問いに媛が悲痛な声で答える。
媛は、ラファエルとそしてレオ争奪戦に関する6大天使の重さを知っているのだ。
そんな混乱の部屋にピンポンとチャイムが鳴る。
「失礼します」
一礼して3人の女性が部屋に入ってくる。
「朝日奈騎士です」
「ガブリエル、根本莉梨と申します」
「ウリエルに就いてます。瀬宮真希」
3人の少女の自己紹介。
???
「瀬宮真希ーっ!?」
混乱の部屋が余計、混乱になった、と後に紅來璃維が遺した手記に記されていた。
後書き
作者:斎藤七南 |
投稿日:2010/08/01 20:33 更新日:2010/08/01 20:33 『Devil+Angel=Reo』の著作権は、すべて作者 斎藤七南様に属します。 |
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