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作品ID:686
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壊滅都市物語-Devastated City Story-

小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 連載中

前書き・紹介


episode:13 『Last Action Hero』

前の話 目次 次の話



5月3日 午前1時18分



真っ白だった視界が、徐々に元に戻り始める。

視界に映るのは、未だ代わらずに包丁を振り下ろし続ける少女の姿。

顔に、首に刺さる度に激痛が迸る。



「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい――」



まるで、呪文でも唱えるかのように"ごめんなさい"を繰り返し、それと同時に包丁が振り下ろされる。

既に、幾度と無く振り下ろされた包丁の切っ先は折れている。



「ごめんなさぁぁぁぁぃ」



髪が乱れ、涙と鼻水に汚れた顔を歪めながら、彼女は再び折れた包丁を振り下ろそうとした。









壊滅都市物語-Devastated City Story-

episode:13 『Last Action Hero』











「ヒュー……悪いが……死ぬ訳には……いかん……のよ」



ホルスターから抜き取ったP230。

その銃口の先にあるのは、額に穴を開けた山田さんの姿。

包丁を振りかざしたまま停止したその姿は、数瞬の後――そのまま崩れ落ちた。



「やべぇ……声も……力も……でねぇ」



信じられんほどの出血量。多分、動脈がやられたんだろうが……迷彩服がどす黒く変色してやがる。

未だに出血をし続ける首に、破り取った右袖を巻きつける。

これで多少は凌げるだろうが――ヤバイな、血を流しすぎて動けん。

っつーか、確実に致死量は流れ出てんだろ。常識的に考えて。





――タタァァァン……



動く気力も無く、壁に背を預けて座り込んでいた所に、二発の銃声が響き渡った。



『勝幸――西側は阻止したわ。そっちは?』



「しくじった……血を……流しすぎて……動けん」



『怪我をしたのっ!?――待ってて!直ぐにそっちに――』



「来るな……親父さん……聞こえるか」







予想が的中しやがったぜ、クソッたれ!

あのクソガキ、南側は二階から狙撃出来ねぇ事を読んでやがった。



「やられた……な……親父さん……防火シャッター……降ろせ」







『何を諦めてるっ!?もう直ぐ、もう直ぐだから!!』



「間に合わん……もう着やがった――防火シャッターを降ろせっ!!早く!!」



火事場の馬鹿力、再び――ってか?

痛みが突然消え、体に力が戻ってきた。

即座に立ち上がり、防火扉を閉める。



「泉美っ!俺が時間を稼ぐ!直ぐに全員を連れて、屋上へ迎え――大矢が来る!」



『勝幸――愛してる』



「――分かってる」



無線機を切り、覚悟を決める。

後ろから聞こえるのは、うめき声の大合唱。

畜生、こんな合唱なんて聞きたくもねぇよ!

振り向くと同時に、視界に入るのは全力疾走してくるゾンビの大群。

その数――視界を覆い尽くすほど。



「はは……ゾンビ多すぎ」



あまりの数に、殺る気が一気に削がれるが……諦めるって選択肢は、残念ながらコマンドに無い。

床に転がっていた89式を蹴り上げ、掬い取るように右手で掴み、そのまま引き金を引く。

フル・オートで吐き出された銃弾は、目前まで迫っていたゾンビを蹴散らす。



「何度でも言ってやるよ――映画ヲタ無礼るな、ゾンビ野郎!」



空になった弾倉をゾンビに投げつけ、素早く交換して構える。

セレクターを変える時間も無い。指きり射撃で、迫り来るゾンビを撃ち殺しながら前へと進む。









「あぁ、もう、次から次へとゴキブリの如く湧き出てきやがる!」



既に弾の切れた89式で、ゾンビの頭を殴り飛ばす。

殴る度に、部品が吹き飛んでいくが気にしない。そうせ、殴りすぎて銃身はひん曲がってるしな?

出鱈目に走りながら、ショーンの如く89式でゾンビを殴りまくっていたが……



――ガキン



「あ、折れた」



やっぱりと言うか、当然と言うべきか。

本来の用途とはかけ離れた使い道を強要された89式は、ハンドガードの部分から見事に折れた。



「ヤベェな……拳銃の弾も使い切っちまった」



武器が無くなったのを悟ったのか、ゾンビ共は走るのを止めてゆっくりと、俺を包囲するように取り囲む。

その顔は、まるで勝ち誇ったかのように、笑みを浮かべてやがる。



「よう、ゾンビ。笑ったところで、ゾンビはゾンビだぜ?」



その言葉を聞いて、ゾンビ共は一斉に走り始める。

――選択肢は2つだけ。必死に生きるか。必死に死ぬか。

俺が取りえる選択肢はひとつだけ。そう、ひとつだけだ。









――アァァァァァァァ









ブラウン管に映る彼の姿は、何度もみた。









――ウボァァァアァァァァ









最近じゃ、スクリーンにはまったく出ないけれども。









――ウゥァァァァァァァァ







それでも、彼の姿は、戦い方は変わらない。









「もう一度、言うぞゾンビ共――映画ヲタ、無礼るんじゃねぇ!」





彼の名は、ヴァン=ダム。

脳内に焼きついた彼の姿をトレースした俺の蹴りは――見事にゾンビの頭を吹き飛ばした。

後書き


作者:δ-3
投稿日:2011/05/11 16:36
更新日:2011/05/11 16:36
『壊滅都市物語-Devastated City Story-』の著作権は、すべて作者 δ-3様に属します。

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