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作品ID:717
「悪夢ではない。これは現実だ。覚えておきたまえ」へ

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悪夢ではない。これは現実だ。覚えておきたまえ

小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 休載中

前書き・紹介


はちわ 取り残された生存者

前の話 目次 次の話













「おい! 誰だお前等は!」



「え、ちょっと待ってくれよ! 俺たちは避難してきただけだ! 外にいるあいつらとは違う!」



 何だか騒がしい。



 あたしと緑が、一緒に昼飯を食っている最中、見張りをしていた中年男性二人が、声を荒げた。



「俺たちは人間だ! おそわねーし、外に連れがいるんだ! 頼むから武器を下げてくれ!」



 声からして男性。若いかな。



「見に行こう」



「ええ」



 あたし達は急いで飲み込むと、騒ぎの方に向かった。















「だから、何でそんな武器なんて向けてんだよ! 話聞いてくれって!」



「黙れ! 俺たち以外の生存者なんて信じられるか!」



「俺たちはこの町の病院で検査してたから分かんなかったんだよ!」



 揉めている。



「何事?」



 近くにいた20代の女性に聞く。



「ああ、貴女ね。何か、避難してきた高校生がいたらしんだけど…。何だか怪しいし、あのおじさんたちも神経張り詰めてるから、中々入れるにも…」



「なるほど」



 つまりは警戒しているってことだろう。



「ちょっと」



 このままでは話が進みそうにないので、そのおじさんたちに声を掛けた。



「ん? おお、睦の嬢ちゃんか…。どうした?」



「何か揉めてるみたいだし、あたしが外の様子を見てくるから、おじさんたちは取り合えず武器を下げて」



 ちなみにおじさんたちが持っているのは拳銃であり、撃てやしないがこんな風に威嚇には使えるから、と軍人に渡された。安全装置が外れてないのは仕方ないだろうけど。



「嬢ちゃん一人で大丈夫か…?」



「平気。なんならゾンビよろしく屍になってもらうだけよ」



 その一言で竦み上がるおじさんたち。



 先程の自己紹介がよっぽど効いたらしい。



「な、なんだよ?」



 おじさんたちが下がったのを確認してあたしは一歩前に出て、彼に対面した。



 身長からして高校生。あたしより年上。ジーンズに白いTシャツに黒いジャケット。特徴的なのが、目の色が左右で違う。右が空色、左が黄土色。



「…だからなんだよ?」



「…………」



 ジャキ!と右手に持っていた拳銃を少年に向けた。



「なっ!?」



「……あんたの命はあたしが貰うわ。変な行動したって判断したら、あのゾンビよろしく頭から脳漿ぶち撒けて死んでもらう」



「……んだよ! そんなに信用ねえのかよ! ふざけんな!」



 少年は憤慨したように叫ぶ。



「こんな非常事態だから信用されないのよ! あんたみたいな奴が一番危険なの。それくらい理解なさい!」



 怒鳴って黙らせる。



「ついでに、この非常事態だから。人が殺されてもみんな黙ってくれるって。最悪あんたを殺しても、あたしは黙して語らない。あんたは死して語らない。分かった?」



 脅し文句も言っておいた。これで多分、変な気は起こさないだろう。人なんてあたしには当然殺させないから。



「……分かったよ。俺は、別にやましいことしてる訳じゃねえし」



「連れがいるとか言ったわね? 案内なさい」



「何でお前はそんなに威圧的なんだよ?」



「信用出来ないから」



 簡潔に流して、案内させた。



 彼の頭に銃口を向けたまま。



 テロリストかあたしは……。











「あ、天都君! おかえりなさい!」



「ただいまー…。案の定、白音の言ったとおりになったよ」



 彼が待たせていたのは、駅の入り口の隠れられそうな場所。



 そこから小動物のような女の子がひょっこり顔を出した。



「あの、後ろの方は?」



「信用できねえから、見に来たんだと」



「……そうですか」



 少女はがっかりした様子で俯く。



 あれ、と思った。あの子も…目の色…違う?



「……なるほど」



銃口を下げた。



「んだよ?」



「信用に値するわ。中にいる連中には話すから、事情を聞かせてくれる?」



 納得できた。説明は、上手く出来ないけど。感覚的に納得した。



「…?」



 女の子が首を傾げる。何か同性のあたしからみても可愛い。



「…いいのか?」



「いいの。連中には上手く説明してあげる。あたしは、睦椎名。あんたたちは?」



「…いや、待ってくれ」



 少年が慌てた様子で周囲を窺う。



「おい白音! 喜多方兄妹どこいった?!」



「え? ……ああ!?何時の間に!?」



 白音、と呼ばれた少女も慌て始める。



「喜多方…?」



 聞き覚えのある名前。まさか。



「ねえ…。喜多方って、喜多方良平と、喜多方紗絵のこと?」



「ああ、確かそういってた」



 少年が肯定する。ああ、やっぱり!



「あの馬鹿兄妹! 何してんの!」



「知り合いか!?」



 少年の問いをあたしも肯定。



「妹の紗絵はあたしと同じ中学の子。兄貴は元、同級生!」



「またかよ!」



「最悪だわ!」



 少年と共にシンクロ叫ぶ。



「早く捜しに行こう! まだあの化け物残ってるかもしれねえ!」



「一応この辺のゾンビは全滅させといたけど、油断できないわ」



「全滅? 誰が?」



「あたしが、全滅させた」



 少年の顔が引きつる。



「さっきの話マジだったのか…」



 一体、何を聞いたのだろうか?

後書き


作者:ゾンビの方程式
投稿日:2011/05/21 11:16
更新日:2011/05/21 11:16
『悪夢ではない。これは現実だ。覚えておきたまえ』の著作権は、すべて作者 ゾンビの方程式様に属します。

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作品ID:717
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