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作品ID:768
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欠片の謳 本当の欠片の謳

小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 休載中

前書き・紹介


二人で作る銃の謳

前の話 目次 次の話





「ごちそうさまでした時哉」

「……いいぞ別に」

「何ですか今の間は? それにそんな拗ねている様子じゃ説得力皆無です」

「やかましいわロリっ娘中学生」

「次言ったら本気で殺します」

「うるせえ」



 微妙にお互いを牽制しあいながら会計を済ませる二人。先程の暴言の数々が霞夜の逆鱗に触れたようだ。パタポ屋の食事代を奢らされた。時哉は渋々ながら了承して、今に至る。



「このままばあちゃん待たせるの悪いから速めに帰るぞ」

「おばあさんから夕食の要望です。今夜は秋刀魚の塩焼きが食べたいそうです」

「時期が違うだろばあちゃん…。まあいいや。買ってさっさと帰ろう」

「了解しました」



 何故、このような会話をしているかというと、二人は同じ家に住んでいるからである。同棲ではなく、下宿先として手配された家が、二人の言っているご老人の自宅だっただけである。二人は学生でありながら警察と同じだけの権限を持つ仕事『野良狩り』と呼ばれる職業についている。簡単に言えば、街に現れる『野良』を排除することが仕事。自警団のカバーできない所や、警察の手に負えない事件に主に投入される。学生の身分でありながら『野良狩り』の仕事につけられたのは、二人がそれだけ優秀だったから。『野良狩り』はいつでも拳銃を持つことが義務付けられ、またあらゆる場合でも『野良』を排除することが絶対条件。そして市民を『野良』から守ることも絶対条件である。そして霞夜と時哉はその相棒同士、ということだ。



「時哉、貴方と私の銃の件ですが」

「あん? 俺等の銃がどうした?」

「先日、本部から連絡がありました。どうやらメンテナンスが完了したようです。ですから、本日にでも取りにこいと。でなければさっさと解体するそうです」

「あんの馬鹿共…」

「仕方ないですよ。私もそうですが、時哉の銃はいくつもありますから」



 銃のカスタマイズや点検は基本本部と呼ばれる、警察で言う交番で行われ、『野良狩り』のメンバーはしっかり点検することが基本前提。既に時哉と霞夜は銃をいくつも持ち歩いている。これは単に霞夜は弾切れを心配して、時哉は単純に持ち歩きたいから。



「じゃあ霞夜が今持ってんの、あの骨董品か?」

「骨董品じゃありません。コルトM1900です」



 むすっ、とした顔で霞夜が答える。時哉の言った骨董品というのは、霞夜の使っている愛銃のこと。コルトM1900。百年以上前の合衆国で作られた初めての自動拳銃である。38口径、装弾数7発。コルト社という会社の自動拳銃の元になっている。現在は霞夜のもつ個体を含め、確認数が非常に少なく、今や伝説になっている超レアの銃である。霞夜のそれは金属を交換して、基本色のブラックからシルバーになっている。しかし基本構造はそのまま、それを彼女は好んで使っている。メンテナンスが難しいのに、何でそんなものを使うのか、お互いにロマンだろうからか? 霞夜曰く、歴史を感じる一丁だから。らしい。



「そういう時哉、貴方は相変わらずルガーですか」

「いいだろ別に。好きなんだよこれ」

「貴方のそれも他のメンバーからすれば骨董品ですよ?」

「うるせえですよ」



 時哉の使っているのも今では珍しい銃である。ルガーP1902。拳銃にしては巨大な本体とあまりにもすぐにぶっ壊れることでメンバーの中では有名な銃。整備性最悪、ちょっとした汚れや耐久性が低く、すぐにぶっ壊れることから、今では時哉以外には誰も使ってない。時哉はこの銃に一目ぼれし、ロマンで現在でも現役として使っている。といってもでか過ぎる本体と9ミリ口径というあまり威力のないそれのせいで、彼自身お守りとして持ち歩いているのが多い。今はホルスターの中で眠っている。どの道現代の銃ではないので、整備班泣かせなのは変わらない。



「あ?あ…今でもいいからルガーの後継機出ないかな」

「無理でしょう。もう半世紀も前の銃です。今更どうしようもないですし」

「霞夜も同じだろ」

「これはいいんです。私は歴史を重視しているんですから」

「ロマンだな、お互い」

「ですね」



 すっかり機嫌を直し、霞夜は微笑を浮かべながら、時哉は笑いながら二人は店を後にする。その足で、商店街の方に向かって歩き出す。家で待つご老人の要望に応えるべく、スーパーに行くから。



「ちょいと待て。霞夜、今鞄ん中何入ってる?」

「はい? 何って…教科書ですよ?」

「違う。銃、銃のこと」

「え? それなら…」



 鞄を開けて、中身をごそごそと漁り始める。歩きながら器用にやるあたり、さすが霞夜である。しばらく漁り、霞夜が答えた。



「今、持っているのは。キンバーイージス、ウィルディピストルですよ」

「何で45口径しか入ってねえ! っつかんな殺傷力高すぎる銃を持ち歩くか普通…」



 今霞夜の言ったキンバーイージス、

ウィルディピストルは両方45口径の大型拳銃である。しかもイージスの方はマグナムをぶっ放すことの出来る銃である。当然、そんな巨大口径の銃を女の子である霞夜が扱うのは難しい、はずだ。



「いいじゃないですか。私はこの二つと、コルトしか持ちません。それがポリシーですから」

「変なポリシーだな…」

「時哉だってSIGP225とかグリズリーとか持ち歩いているでしょ?」



 彼女の指摘も尤も。今上げられた二つも45口径なのは同じだからだ。この二つは割と最近の銃なので、メンテナンスなどは簡単であり、流通しているものと大して変わらない。



「……まあ物騒な話はこれで終わりです。さあ、晩御飯を買いに行きましょう」

「了解しました霞夜様」

「何ですかその呼び方は」



 今日もこうして二人の日常は平和に終わる、はずだった。本部からの呼び出しがある、そのときまでは。

後書き


作者:FreeSpace
投稿日:2011/06/14 15:25
更新日:2011/06/14 15:25
『欠片の謳 本当の欠片の謳』の著作権は、すべて作者 FreeSpace様に属します。

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