俺の好みは年下で、できれば大人しめで従順で清楚な奴。年上で男勝りで言いたいことずばずば言って、
ましてや俺との身長の差が10センチ以上もあるジャイアント馬場みてーな奴なんてお断りだ(まだ姉貴も抜かしてねーのに)。
それなのに俺は自分の好みと正反対な奴を好きになっていたらしい。しかも片思い。それに気づいたのは何時だったか覚えてない。
姉貴と幼馴染で、昔から姉貴と一緒につるんでて、家にもよく来て時々泊まったりもして、気付いたら俺はその人と一緒に過ごすことが
多くなっていて、気付いたらその人を目で追うようになっていて、気付いたら好きになっていて…。
野球の試合を応援しに来てくれれば、柄にもなく喜び勇んで張り切ったりして、ヒットを打ったら、俺がファインプレーしてアウトとったら、
なんて、やたらとあの人の笑顔をちらちら気にしたり。馬鹿みたいだ俺、すげー好きじゃん、…さんのこと。
(もう小学校の頃のように、まだあの人のこと好きだなんて意識する前のように、呼び捨てでなんて呼べない。
…だってあの人は学校の先輩で、実質年上で、俺の立場は所詮幼馴染の弟ってだけで、それは恋愛対象として見られない肩書きなわけで…俺は、臆病者決定だ。)