俺のいつも先を行く人は、少しだけ手が冷たくて、けれど笑顔がすげえあったかくて、俺はそれらぜんぶひっくるめてすきなんだ。
「いよいよ合格発表だな!…緊張してるか、大河?」
「(さんが教えてくれたのに、するわけないっしょ)…さんのほうが緊張してるじゃないすか」
「だってなあ、あたしが大河の勉強見たわけだし、家庭教師として緊張しないわけないじゃないか」
「さんだからこそ、俺は緊張なんてしてないんすよ」
「お、おお、…ありがとな、大河!」
俺はさんの笑った顔が見たくて頑張ったんですから。
「…あった」
「え、ど、どこだ?…あった、あったぞ大河!」
「だから言ってるじゃ「よかった、まじでよかった!合格おめでとうな、大河!」
「…っどーも」
そこまで喜ばれると悪い気しないけど、そんな顔で言われると平静を装ってられなくなる。ったく、ガキじゃないんだから(そうやって俺はまた見栄を張ってる)。
「さん、何かご褒美下さいよ」
「ご、ごほーび?急にんなこと言われても……えー、と…えー…っ今はこれくらいしか…」
ぽん、と頭にさんの手が乗せられて、「っ!?」声を上げようと思ったら撫でられてて「よく、がんばりマシタ…」なんて言われたら、口を閉じるしかないだろ(あーあ、キスとか、ちゃんと指定しておくべきだったな、ご褒美…)