特有の空気と間、それらが生み出す心地よい日常。
リアルに本当にいてそうで。だからこそ彼女たちの言葉や感じることがダイレクトに心や感性に響いてくる。
そんなこの作品の良いところをそのままに2巻!
学生モノでは勉強会のシーンがたまに登場しますが、そういうシーンの描かれ方は「この問題はこの数式を使えばいいんだよ」などとある程度適当な場合が多いです。
まあ、先生方も現役の学生さんではないですし、その学年でどういうことを習っているかを把握しているわけではないですし。
が、本作のP22での教えるシーン。妙にリアルでどきりとしました。
こういう何気ないシーンの描写がリアルだと全体が引き締まるんだなぁ。
こういった「リアルさ」とP28右のような「リアルに言いそうなボケ」。
この作品が持つ独特の「実際にいてそうな彼女たち」という空気はこういったところから生まれているんでしょうね。
そして、そこが私がこの作品を愛さずにはいられないところ。
なんかね、親近感が湧くといいますか。
先ほどのP28の「お疲れ様です」以外にもP31の「漁港の冷凍庫」など、自分でも言いそうなボケをことねが言ってくれると凄く嬉しいのです♪
というか、彼女の言動・・・なんかホントに自分に似てるわぁ。
ちょくちょく集まる私の仲間たちはことねをやかましく関西風にした感じの人間が集まった、という感じかも。
お菓子の製造地を確認して「地元やん!」と言ったり、長期休暇明け直後に「次の休みまであと3か月・・・」と嘆いたり、P97で「熊(のぬいぐるみ)なのに羊毛でできてる」といった感じでどうでもいい矛盾点を探してみたり。
あ〜、この子はホント親近感湧くなぁ。
そして、温泉旅館にやってきたP105やP107での「風呂掃除をしなくていい」「ご飯を作らなくていいしお皿を洗わなくていい」という発言に関しては・・・ある意味主婦業病?
主婦や一人暮らしをしている人にとってはあるあるですね。
上でもこの作品が持つリアルさを語っていますが、それ以外のちょっとした描写もリアルだったりします。
例えばP80でねねが後輩の柚ちゃんとその友達を見かけて声をかけるシーン。
それほど付き合いがあるわけではない後輩の友達の名前を言うまでにちょっと考える時間があったり。
ヘアスタイルで印象が変わる話をしている時にショートカットのことね(いじりようがない)が自分の髪をなんとなくいじってみたり。
何気ないシーンでリアルな姿を描き、読者がそれに共感したり心にスッと入り込んだり。
同じネタやセリフでも作品への没入感で受け方が全く異なりますが、この作品はその典型例でしょう。
読者である自分たちが作品の世界に入り込んでいるのか、作品の世界がリアルの方に広がっているのか。
その不思議な感覚があるから彼女たちの言動が生み出す面白さやおかしさが何倍にも感じるのです。
この作品が持つ空気や間。
これを扱うには相当な技術やセンスが必要だと思うのですが、まだ若手でこれだけその難しいものを扱えるのは凄いことだと思います。
それだけにラストもごくごく自然に、彼女たちの日常のまま幕を閉じていくのがいいですね♪
このまままだまだ変わらない日々が続いていくんだよ、という感じで。