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作品ID:1485
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ドライセン王国シリーズ:滔々と流れる大河のように(冒険者編)

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前書き・紹介


第六章「死闘」:第20話「シュバルツェンベルク焼き討ち」

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第6章.第20話「シュバルツェンベルク焼き討ち」



 大河が迷宮に潜り続けている氷の月、第三週風の曜(二月十三日)の夕方、ギルド内では彼の噂話に花が咲いていた。



 一昨日、偶然大河の戦いを見たグレイブ使いのカイが、



「二日前、俺たちは偶然あいつに助けられた。あいつ、オーガに向かって笑っていたんだぜ。それもいい練習相手だみたいな感じでな」



 コニーと呼ばれたロングボウを持った治癒師は、そのときのことを思い出して、



「ああ、それに俺たちがあんなに苦戦したオーガを一、二分で倒しやがった。それから、何事もなかったみたいに奥に進んでいったんだ。トムとトービーが倒れているのに全く気付かずにな」



 冒険者たちも口々に噂を話している。



「何でも、再転送するために一回出てきただけで、もう五日も篭りっぱなしなんだろう」



「ああ、夜は五十一階か五十二階の階段室で寝ているって話じゃねぇか。ソロなんだぜ。どういう肝っ玉してんだろうな」



「まあ、ミルコの弟子だからな。しかし、昨日出会った奴の話じゃ、顔が凄かったってよ。垢染みた顔で頬が削げ落ち、目がギラギラとして、まるで飢えた野獣みたいだったって話だ」



「しかし、聞いた話じゃ、かなり無理しているそうだぜ。階段で寝ている時も剣を抱いているそうだからな。食料は迷宮を出ていく奴から買ってるって聞いたが、あと何日もこんなことは続けられねぇだろう」



 ギルドのホールの端で一人の男がその話を聞いていた。

 冒険者の一人が見ない顔だなと思って、もう一度その場所を見たとき、既にその男の姿は無かった。







 その日の夜。

 グンドルフは隠れ家でシュバルツェンベルクの情報を吟味していた。



(クロイツタール騎士団が巡回に入っただと。まあいい。守備隊も騎士団も変わりねぇ。奴は四日間で一度しか出てきていねぇ。もうそろそろ限界だろう)



(奴はじじい(ミルコ)と娼婦(娼婦)が殺されたと聞いて怒り狂ったと聞いた。騎士団や自分の女が手傷を負わされてかなり落ち込んだとも言っていたな。奴は腕はあるが、心が弱い。自分のせいで誰かが殺されればかなり痛手を負うはずだ)



 彼は大河がそろそろ限界に達していると判断し、大河の情報を集めるよう指示するとともに、自らは大河の心を痛めつける策を考えていた。

 そして、ニヤリと笑った後、明日もう一度街を襲撃する計画を思いつく。



(街の人間を何人か殺す。それだけじゃねぇ。火も掛けるか)



 彼はシュバルツェンベルクの街で食料などを調達するだけでなく、大河の心を攻めるために、住民を襲うことを考えていた。



(だが、守備隊も騎士団も馬鹿じゃねぇ。なあにシュバルツェンベルクは城壁の無い街だ。やりようはいくらでもある)



 守備隊、騎士団が出てきた時の対処法を考えつつ、手下たちの状況も考えていた。



(たまには手下たちにもいい目をさせてやるとするか)



 彼は手下たちを集め、明日の夜に再度街を襲撃する計画を伝える。

 手下たちも前回の襲撃で自信をつけており、グンドルフの計画に聞き入っていた。



 彼の計画を聞いた手下たちは、頭目の意図が判らず、困惑した。

 だが、頭目に聞き直す勇気もなく、また、今回はお宝も手に入れるとの言葉を信じ、言うとおりに動くことを決意した。



 氷の月、第三週水の曜(二月十四日)の夜。

 街に潜入している手下以外の十七名を引きつれ、グンドルフはシュバルツェンベルクの街のすぐ近くの森に潜んでいた。



 彼は十二名の手下を率い、残り五名に暗闇に紛れて街の火を掛けるよう指示する。

 午後九時、色街以外は寝静まったころ、五名の手下は街の外縁にある家に次々と火を掛けていく。



「火事だ! 火事だ! 早く消してくれ!」



 手下たちは頭目の指示の下、大声で叫びながら走り回っていた。





 同時刻、ロベルト・レイナルド隊長率いるクロイツタール騎士団は守備隊詰所で深夜の巡回に備え、待機していた。



 外が騒がしくなり、南の方を見ると真っ暗なはずの街がオレンジに染まっていた。



「総員、出動準備。守備隊の要請があり次第、出動する。前にも言っているが、もう一度確認するぞ。深追いは厳禁だ! どんなに弱そうに見えても街から出ることは禁ずる! 判ったな!」



「「「はっ!」」」



 レイナルドの指示に全員きれいな敬礼で了解を伝えていく。



 九時二十分、代官のホフマイスターから出動要請が来た。

 街の中に賊が入り込んだ可能性があるため、警戒を強めて欲しいとの依頼だった。また、守備隊は消火活動の指揮を執るため、警備が手薄となるとのことだった。

 レイナルドは即座に了承し、配下の二十名の騎士たちに命令を下していく。



 九時二十五分、松明を持ったクロイツタール騎士団は詰所を出て街に向かう。



 九時四十分、クロイツタール騎士団が火災現場付近に到着した頃、街は騒然となり、パニックを起こした住民たちでごった返していた。



「落ち着け! 我々はクロイツタール騎士団の者だ! 火災は守備隊が消火する。手の空いている者は守備隊の指示従え!」



 レイナルドの大音声(だいおんじょう)で、パニックになっていた住民たちも次第に落ち着きを取り戻していった。

 そして、守備隊の消火班も消火活動を開始した。



 レイナルドは騎士団を二つに分け、一隊を自らが一隊を正騎士に指揮させ、周囲を警戒させる。



 突然、レイナルド隊の一人が大声で報告し始めた。



「隊長! 前方に怪しい人影を発見! 人数は不明! 前方の道を南から北に走り抜けました!」



「全員戦闘準備! 弓による狙撃に警戒せよ! 隊形を崩さず前進!」



 レイナルドは罠の可能性を考え、可能な限り防御を固めて前進していく。



 賊らしき者が走り去った痕跡はあるが、姿は見当たらない。

 すると、賊のいった方向で火の手が上がる。



「火の手が上がったところに行くぞ! 警戒は怠るな!」



 レイナルドが到着した時、賊の姿はなく、また、別の場所で火の手が上がっていく。



(街を燃やし尽くす気か! 何が目的だ。どうすればいい! 考えろ! 何かヒントはあるはずだ)



 レイナルドは上がった火の手を見ながら、あることに気付いた。



「街の外縁部だけがやられている。先回りするぞ。急げ!」



 レイナルドは街の外縁部が南から徐々に西に向かって火を着けられている事に気付き、先回りすることにした。



 まだ、火の手が上がっていない街は僅かに漏れる家々の灯りの他は、暗闇に包まれている。



 一人の男が火種を持って走ってきた。

 その男はクロイツタール騎士団を見るとすぐに森の中に逃げ込もうとする。



 レイナルドは配下の騎士に弓で射掛けさせるが、暗闇の中では命中する間もなく、森の中に逃げられてしまった。

 騎士たちは追撃したそうだったが、レイナルドの命令を忠実に守り、街の外縁で待機していた。騎士たちは悔しそうに森を見つめていた。





 九時二十分頃、上がる火の手を確認したグンドルフは慌てる守備隊の目を盗み、街の西側から静かに潜入していた。

 九時三十分頃、静まり返る街の中にいるグンドルフらは一軒の食料品を扱う商家に押し込んでいた。

 今回は皆殺しにする手間を惜しみ、目に着いた従業員のみを殺害し、隠れている商人たちは探さず、必要な食料、酒などを盗み出していった。



 クロイツタール騎士団が火災現場に到着した九時四十分頃、グンドルフ率いる本隊は森の中に一旦戻り、荷物を隠す。



「まだ、守備隊の奴らはまともに動いていねぇ。もう一回行くぞ。今度はお宝だ」



 そういって手下たちを鼓舞したあと、再び街の中に入っていく。



 次に狙ったのは比較的大きな商家。ここは冒険者用の消耗品、道具類などを手広く扱うため、冒険者相手にかなりの収益を上げていた。



 この商家には、荒くれ者の冒険者とトラブルがあった時のため、五人の元傭兵たちを用心棒として雇っていた。



 用心棒たちは外が騒がしくなったことで警戒を強め、商家の店主たち十人を最も奥の部屋に集める。

 震える店主たちを宥めながら、部屋の外と中に分かれて待機していた。



 突然、家の扉が壊される音がし、十数人の足音が家の中に響き渡る。

 用心棒たちは人数が多過ぎると部屋の中に入り、扉を固く閉じ、籠城の構えを見せる。

 賊たちは斧で扉を壊しに掛かり、一分もしないうちに扉が壊され、侵入を許してしまった。



 用心棒が決死の攻撃を掛けていく。その中で一人の双剣を持った男が、用心棒たちの間に踊り込んだ。

 両手剣を持つ元傭兵は狭い部屋に動きを制限され、普段の動きが出来ない。双剣使いは部屋の狭さなど関係ないのか無造作に用心棒たちに接近していく。

 そして、二本の剣が煌くと、両手剣使いの元傭兵の首が斬り飛ばされていく。

 女たちの悲鳴が響き渡り、血の臭いと相まってさながら地獄絵図のような様相を呈している。



 元傭兵たちも通常の盗賊が相手であれば、対抗できるだけの充分な技量を持っていたが、今回は相手が悪すぎた。

 相手は狭い部屋や森での戦闘を得意とするが、用心棒たちはそういった訓練は受けていないし、経験もない。

 更に不寝番以外は防具を着ける暇がなく、無防備な腹を切り裂かれたり、胸に剣を突き刺されたりして、ものの二分と掛からず、用心棒はすべて斬り伏せられた。



 グンドルフは、



「金目の物を出せ! さっさとしろ! “お前ら”は殺しやしねぇ、早くしな」



 店主が大慌てで宝石や金貨を取り出し、震える手で皮袋に詰めていく。



 グンドルフは満足そうにその皮袋を掴むとニヤリと笑い、手下たちに店主夫婦以外の彼らの子供三人と従業員五人を殺すように命じる。



「止めてくれ! 殺さないといったじゃないか! 止めてくれ!」



 店主はグンドルフに縋りついて叫んでいる。



「子供だけは。私を、私を殺してください! 子供の命だけは!」



 店主の妻は剣を振るう手下の一人に縋り付き、泣き叫ぶ。

 手下は面倒臭そうに一瞥すると、彼女を蹴り飛ばし、殺戮の輪に加わっていく。



 グンドルフは笑いながら、



「恨むならタイガって野郎を恨め。奴が出てこねぇなら、まだまだこの街を襲う。そう騎士団に言っておけ! ハッハッハッ」



 グンドルフは財宝を担ぎ、手下たちには更に不足気味だった矢や食料などを漁らせたあと、十時〇〇分頃街を去っていった。







 グンドルフらが街を去っていった頃、火事もほぼ収まり、守備隊、騎士団の面々は被害の状況を確認していった。

 火災は屋外に保管してあった薪などが燃えたため、火は大きかったものの、全焼した家屋はなく、人的被害もほとんどなかった。

 調査を進めていくと二軒の商家が襲撃にあったことが判明する。

 食料品店は店主とその家族は無事であったが、従業員が二名殺されていた。そして、かなりの食料を奪われたことが判明した。

 二軒目の商家では店主夫婦以外、八人の一般人と五人の用心棒が惨殺され、宝石、金貨などを奪っただけでなく、矢を大量に持ち去ったことも判明した。



「火事は陽動だったのか。常道と言えば常道だが、盗賊如きにしてやられるとは……」



 レイナルドは昨日の一連の騒動を思い出しながら、自らの行動が最善だったのか考えていた。あまりにあっさりと盗賊の策に嵌った自分の迂闊さと守備隊との明確な分担を決めなかった自分たちに対して、後悔に似た思いが込み上げてくる。



(バルツァー副長がいてくれれば、いや、タイガ殿でも……こういった戦いはどうも苦手だ。モーゼス卿、フォーベック殿ともう一度よく話し合う必要がある……)





 夜襲があった夜が明けた第三週土の曜(二月十五日)の朝。



 シュバルツェンベルクの街のあちこちで昨夜の騒ぎについて、噂話が飛び交っていた。

 シュバルツェンベルク守備隊及びクロイツタール騎士団が、たった一人の盗賊に翻弄されていること、その盗賊はタイガという元冒険者の騎士を狙うために、ここに居座っていることなどが、噂として一気に町中に広がっていった。



 その日の昼頃、シュバルツェンベルクの自治組織、シュバルツェンベルク評議会が緊急招集され、この事態に対する方針を話し合うことになった。

 評議会はギルド支部長と各地区の代表者からなる自治組織で実質的にこの街を統治している組織である。

 評議会では守備隊への不満が出たため、紛糾したが、冒険者ギルド支部長のクラウスの提案により、一応の落ち着きは見せた。

 彼の提案は、代官のホフマイスターに緊急事態宣言を出させ、ギルド登録の冒険者を緊急召集し、町の防衛に当たらせるというものだった。

 評議会に対応を一任されたクラウスは、行政庁に向かった。



 一方、モーゼス・ホフマイスターもこの事態に憂慮し、クロイツタール騎士団のラザファム・フォーベック隊長、ロベルト・レイナルド隊長と事態打開の協議を行っていた。



「モーゼス卿、今後の方針はいかがお考えか」



 ラザファムがホフマイスターに尋ねるが、ホフマイスターは頭を抱えて、



「フォーベック殿、レイナルド殿、ここまで悪辣なことを行う賊は初めてだ。どうしたらよいのだろうか」



 ホフマイスターは第三騎士団で国内の治安活動に長年従事してきたが、小さな村ならいざ知らず、これだけの規模の街に対して、すべてを焼き尽くす可能性がある焼き討ちを行う盗賊などいなかった。

 盗賊にとって、獲物である商家を焼き尽くすことは”狩場”を失うことを意味する。更にやりすぎれば、護衛を増強されるだけでなく、討伐隊を組織されるため、今まで対応してきた盗賊で、そこまでやる者はほとんどいなかった。



 さらに言えば、今までの盗賊とグンドルフとの決定的な違いは、その統率力だ。普通の盗賊たちなら、街で商家を襲撃すれば、金目の物を出来る限り奪おうと、時間を掛けてしまうだろう。頭目にその意思が無くても手下が暴走し、逃げる時間がなくなってしまうことが多い。

 彼の場合、必要なものを奪えばすぐに引き上げる。逆に言えば、必要な時間を計算して、その時間を稼ぐ方法を考えてから、盗み、殺しを行っているともいえる。



 また、シュバルツェンベルクは魔物避けの簡単な柵があるだけで城壁が無い街だ。ドライセン王国にこのような街は少なく、通常であれば城壁での監視を強化すれば対応できるため、このような事態に陥ることは無かった。

 その分、守備隊の取れる策の選択肢が少ないことも悩みの元となっている。



 ホフマイスターは自らの経験が生かせないため、実戦経験豊かな二人の騎士に対応策を献策してもらうつもりでいた。



「確かに奴らの動きは盗賊のそれではなかった。盗賊と侮ったのが今回の敗因でしょうな」



 レイナルドは昨日自分がしてやられたことを思い出し、苦々しい表情でそういった。



 確かにグンドルフの行動は、盗賊というより、非正規部隊(ゲリラ)に近いと言える。



「このような相手が最も厄介ですな。戦場で夜襲に対応すると考えれば、対応方針は森と街の間の緩衝地帯に篝火を立て、死角を失くした上、十名程度の小部隊に分けて巡回を密にするくらいでしょう」



 ラザファムがそういうとレイナルドは同意するように頷いている。



「しかし、この街は南北一・五マイル(二・四km)、東西二マイル(三・二km)、周囲となると七マイル(十一・三km)以上にもなる。それに対し、我が方の人数は守備隊五十五名、貴騎士団二十名の七十五名。昼の巡回も考えると四十名が限界ではないか」



「我々だけでは手が足りませんな。今から増援を呼ぶとしてもクロイツタールからでも十日以上、第三騎士団なら更に倍は掛かる」



 ラザファムがそういうと場は重い空気に支配されていった。



 三人の協議が暗礁に乗り上げ、沈黙が支配しつつあった頃、冒険者ギルド支部長クラウスの訪問を告げられる。

 ホフマイスターは退席しようとする二人を留め、クラウスを執務室に招き入れた。



「クラウス支部長、どういったご用件かな?」



「昨夜の賊の件です。評議会からの“提案”をお持ちしました」



 クラウス支部長は”提案”というところを強調し、話を進める。



「評議会としましては、ホフマイスター様にシュバルツェンベルク全域に緊急事態宣言を発令して頂き、冒険者ギルドへの協力要請を行って頂きたいと考えております。ここシュバルツェンベルクの冒険者はCランク以上で二百五十名ほどおりますので、彼らを召集し街の警備に活用してはいかがかと」



 ホフマイスターは暫し黙考し、



「盗賊相手に緊急事態を宣言するか……王国始まって以来のことだ……仕方あるまい。で、冒険者たちへの報酬はどうするのだ」



「Cランクは一日十S、Bランク三十S、Aランク五十Sが妥当な線でございます。一日当たりの出動者数は五十名と考えれば、一日当たりの百G程度となります」



「百Gか……予算的に厳しいな。五日、無理をすれば七日が限界か……」



 ホフマイスターは独り言を呟くようにそう言うと、



「評議会からも緊急予算を組んで、五百Gを用立てることが可能です。更に有志を募れば、更に二百G程度は集まるかと」



「半月が限界。一気に討伐することも再検討すべきか。フォーベック殿、レイナルド殿のお考えは」



「タイガ卿が仰っておられましたが、賊どもは追えば逃げ、そしてすぐに戻ってくる。守備隊、我が騎士団、冒険者のすべてを討伐隊に投入しても森を捜索しきることは不可能。よって、罠を掛けるしかないと」



 ホフマイスターは目を輝かせ、



「タイガ卿には策があると。してその策とは」



「詳細は申し上げられませんが、最低あと四日は待つ必要があります。その後、タイガ卿自らが罠を張ると……」



 ラザファムは大河が一人で戦いを挑むことを思い、感情を押さえ込みながら、静かにそう話した。



「ならば、四日間耐えれば良いと考えても良いわけですな」



「はい、そう考えていただいて結構です」



(タイガ殿の策が成功するとは限らない。だが、彼の考えが正しければ策の成功如何に関わらず、グンドルフはいなくなるだろう)



 ラザファムはホフマイスターとクラウスに罠の話について厳重に口止めする。

 そして、四人で夜間の巡回体勢について協議に入った。



後書き


作者:狩坂 東風
投稿日:2013/01/28 22:53
更新日:2013/01/28 22:53
『ドライセン王国シリーズ:滔々と流れる大河のように(冒険者編)』の著作権は、すべて作者 狩坂 東風様に属します。

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