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作品ID:1824
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嵐王焔姫物語

小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / R-15 / 連載中

こちらの作品には、暴力的・グロテスクな表現・内容が含まれています。15歳以下の方、また苦手な方はお戻り下さい。

前書き・紹介


任務、そして太古の邂逅

前の話 目次 次の話

駅を降りて、地図の場所に向かった
エルザーデ国「ラインフォール平原」
~ディアナ遺跡群前~
「ここー?」
「うん、地図に記されている、とりあえず未探索の地点だから、とりあえず入り口に装置を置こう」
冒険者が未踏のダンジョンかどうかが解るように入り口にこの装置(次元魔法展開装置)を設置する
これで、未踏かどうかとか後、色で(緑なら完全に探索完了、黄色ならまだ未探索な場所あり、赤は探索に失敗した冒険者あり、危険領域)判別も可能の為、非常に大事なアイテムだ
で、その設置方法なんだけど・・・
ココノハが鼻歌まじりにそれを取り出した
「そーれっ!」
取り出した装置を大地にドーンッ!!
「超★えきさいてぃん!★」
「雑!?」
この始末である
一応緊急時にも考えられて、地面に投げるだけで刺さるようにはできてはいるものの・・・
「流石にそれを利用して遊ぶのはだめでしょ!」
ココノハはむっとなり
「悪いかッ!」
「悪いわ!」
「えー・・・、だってレイティさんがこれが正しい使い方だって教えてくれたんだよ!?違かったの!?」
この子になんてことを教えているんですかレイティさんっ・・・!
「もー、リュート、考えていないでいこーよー!」
ココノハが入り口に立ち、そういう
「あいよ、ココノハ、さっさと済まそう・・・」
早速に入っていく
・・・美しい森だ、森と湖の広がり、目の前には古代遺跡らしきものが現れる
「地点確認・・・、『ビジョン』」
目の前に画面のような物が現れ
「見張りしとくね!」
「ん・・・」
ココノハが周囲を見張り始める
さて・・・確認しよう
ダンジョン名、ディアナ遺跡前 未探索迷宮
敵確認、圏内数ヶ所に詳細地点は不明
敵の警戒レベル 不明、未探索のダンジョンです充分に警戒してください
レポート、特になし 未探索地点です、「フェザーズのリュート様」新しく記しますか?
「記録しない・・・っと」
ビーコン(展開装置)、なし マップ不明
強敵感知・・・、警戒レベル5、討伐は困難を極める可能性があります、見つけ次第に記録転送をお願いします
他、宝の可能性・・・、未探索故に未知数
情報は以上です、幸運を
「よし、ココノハ!」
「ん!終わった?」
情報を彼女に伝えた
「はーい、ま、誰もきてないダンジョンだし、当然っちゃ当然か」
「また変なことして、神殿送りにされないでね」
「はいはい、解りましたよーだ!、それじゃ、しゅっぱーつ!」
ココノハが意気揚々に、進み始めた
「あっココノハ、空とばなくて良いの?」
聞こえてないようだった
ココノハに追い付き、回りを見渡す
以外にも獣道はなく、装飾されて整った道だった
「ふんふんふ~」
歌を歌っている辺り、ノリノリのようだ
魔物の警戒は怠らないようにするとして
少し話をするとしよう
冒険者は不死の存在である
大いなる神ルティアナに守護されており
死んだ場合各地の神殿で復活される
(ルティアナ教は全世界で最も信仰されている教えだ)
ただし、これはルティアナの守護圏内のみの話でして
大いなる魔物はこれまた魔触領域を作り上げる
その圏内ではいくら冒険者いえど、死の危険があるのだ
・・・もしくは、人の憎悪でできた場所
例えば、・・・戦場とかだ
考えたくもないな・・・
「うーん、魔物さんはいないのかなー?」
「一応ビジョンではここにはいるらしいし、・・・どうする?」
「わかってて聞いてるでしょ?」
「もちろんね」
「倒す!でたら追っ払う!もしくは倒す!」
おいおい、倒す二回でてるよ
魔物とは・・・
この世に、死霊などの霊がいる
これが集まり、魔物が生まれる
怨念を持ったもの、死神に魂を売るもの・・・
これらが集まり、魂を欲する
魂さえ奪えば魔物は復活できるとか
実際の話それは嘘で・・・、復活などできはしない
悲しい結末だ、死霊は魂を奪い、それで力を増すだなんて
美しい建造物があちこちに現れた
「中々に研究者が喜びそうな物だね!」
「うーん、この装飾はいつの時代のものなんだろう・・・」
すると、ココノハは少し考えて
「そろそろ?」
装置を置くのは、が抜けてるよ
「だね、・・・とかいってたらついた、ここだよ」
「じゃあ設置よろしく!」
「はいはい、あんま離れないでよ?」
「りょーかい!」
ココノハはダンジョン探索が大の好きな分野である
冒険者は、様々な事を行える
まず研究、古代魔法や、遺跡等々・・・
これは知を欲するものにはとても喜ぶものだろう
次に、探索や魔物討伐
正義感の高く、魔物を倒す戦いに参加したいものや、遺跡を探索したいと望むもの・・・、ココノハは後者だ
さて、設置完了っ!
「おーい、ココノハー」
ガサガサッ!
「チッ、・・・今日はついてないなー」
そっと剣を引き抜く
「ガアッ!!」
イノシシの魔物、「ディボア」か
三体、とっとと済ませてココノハを探すとしよう
早速一匹が突進してくる
「それっ!」
首を切り裂き、あっというまに生き絶えた
・・・血なんてでてこない、魔物はやはり恐怖の存在だ
残り二体は瞬殺されたことに警戒し、下がり始め
「火炎舞い散る、賛美の焔・・・」
この声はココノハ!?珍しく迷ってなかったのか!
「ファイアーブレッド!」
目の前が爆発して、二匹はぶっ飛んだ
そのまま、光に包まれ消えていく
「リュート!魔物いたなら言ってよ!」
「ココノハがいつも迷うから、だろ」
「むぅ~~」
彼女は頬を膨らませ睨み付ける
「ほら、すねない」
ぽんと、頭を叩いた
「むむぅ~!リュート!最初から飛んだ方が早かったんじゃないの?」
と、投げやりに聞いてきた
「あっ」
言われて見ればそうだった
フェザーズ・・・、翼を持つもの
ココノハは朱雀、俺は青龍
どちらも空を飛ぶ事ができるのだ
なのに、俺たちは遺跡探検に駆られて、完全に飛ぶことを忘れていたのだ
というのは嘘で、ココノハが無視していったんでしょーが
「じゃあ決定だね!」
「助走できそうな場所はないし、バッシュブーツを使おうか」
「うん!」
「・・・また失敗して木にぶつからないでね?」
「絶対大丈夫!リュートに捕まるから!」
そういってココノハは俺に抱きついてくる
「う・・・、恥ずかしい・・・」
「誰もいないしだいじょーぶ!」
自信満々にそういった
「そういうことだろうけどそういうことじゃない・・・」
「さっき獲物を先取りした罰だよ!後私が方向音痴だっていった罰!」
「・・・わかったよ」
捕まるのはいいけど、お願いだからほっぺをすりすりするのは止めてよ・・・
「そーれっ!」
バッシュブーツの力で、空へと跳ねる
同時に翼を広げて、あっというまに上空についた
「はい、ついたよ、・・・そろそろ離れて」
「はーい」
悲しそうに彼女は呟いた
「さて、残りの設置は手分けしてやろっか、ココノハ東地点を、俺は西地点を、終わったら真ん中の神殿に集合、魔物にあったら逃げるか報告してから戦うように」
「うん!そしたら真ん中の遺跡の探検ね!」
「わかった、それじゃーね」
「あーい!」
よっと、とりあえず魔物に見つからないように装置を設置した
美しい、こんなに古代文明が残った土地はそうそうないな
でも、なんでかな
・・・ちょっと懐かしい



・・・懐かしい?
ここは未踏の地のはずなのに、なんでだろ?
そうだ、昔ここは父が旅した時に教えてもらった場所に良く似ているから?
きっとそうだ、・・・そう以外考えられる物がない
小さい頃の記憶が殆どないせいだろう
思い出す中の最も古い記憶が、俺がココノハと出会ったあの日くらい
っと!他の場所もとっととやらなきゃね!
そんなこんなで何も問題は起きず、さっくりと任務は終了した
「・・・さて」
真ん中の大きな神殿に辿り着く
「なんか強い魔力を感じるね・・・」
「だな、・・・行く?」
「うん!たぶんここのエリアの主の部屋だろうし!倒したらきっと財宝だよ!ほら!財宝!ロマンの塊!」
「中身はどうであれ、依頼を更に達成できるね!後、主の部屋に設置できれば地図の貢献度も高いからね」
「よーし!燃えてきた!」
「俺も!」
ココノハが扉を両手で開いた
「たのもー!」
「そうくる!?」
中に入ると、そこはまるで聖堂のようだった
「あれー?」
「いないね・・・?」
「ところで依頼ってどんな内容だったの?」
「あー、何やらこの遺跡で一人消息不明になったそうだ、その子は貴族だけど冒険者らしくて(おそらく雅士〔これに関しては後述〕とよばれるものの可能性大、男はレイダー、女はフィリァーって呼ばれてます)、もし、その子を浚った魔物がいるのなら、それを討伐してほしいそうだ」
「迷うの前提なんだ」
「普通、遺跡(ダンジョン)に対策無しで入ったら迷うでしょ」
「それに、装置は俺達以外の人を感知しなかった、と、いうことは・・・」
その時である
バタン!
「扉が閉まった!?まさかの最新式!?」
「違う、俺達を逃がさない為の罠だ!」
「ボケをスルー!?」
「こんなところでボケてる暇あんなら戦闘体勢になって!」
前の石像がゆっくりと動き出した
「さけられない・・・、か」


石像はゆっくりと口を開けた

「貴様、・・・何故ここにいる」
「話が通じるのかな!?」
「知らない、遺跡の守護者と考えると魔物の強力な部類に入る!だから気をつけよう!」
「答えよ、人柱よ」
「人柱!なにそれ???あっ!歓迎の為のお菓子なら頂きますっ!」
満面の笑みで彼女は答えた
「ココノハ・・・」
人柱っていう言葉は俺もしらない
けど、おそらく人の事を指しているのだろう
・・・なんでお菓子なんですかね?
「お前は違う、・・・貴様だ」
石像は俺を睨み付けた
「俺が?何のことをいっているかわからないけど、人違いの間違いじゃ?」
「おおー!流石リュート君!引かぬ!媚びぬっ!顧みぬぅー!」
よし、後でぶっとばすとしよう
「・・・解らぬのか?」
「全然さっぱり」
首を横に振る
「いずれにせよ、私達の仲間は返してもらう!」
石像は静かに返す

「聞かぬ愚者に、死を」
この異音・・・、おそらく戦闘体勢への移行だ
「ココノハ!」
そう、名前を呼ぶ
「戦闘開始だね!」
地を大きく蹴り、彼女は空を飛ぶ
「エクリシル、ブースターオン!」
銃剣の弾薬の属性を解放し、そのまま降り下ろす
「爆炎閃刃、イグニートラッシュ!」
爆発、反動で移動して速度を増した銃剣でまた華麗に銃剣で切り裂く
「それそれそおれ!」
・・・しかし、石像はまったく傷つく気配はない
「リュート!こいつ結構固い!気をつけて!」
ココノハが敵を惹き付ける
今のうちに・・・!
「雷鳴よ・・・、敵を貫け!サンダーレイン!」
剣を振り上げ、呪文を唱えた
銀血騎士であるリュートは、どの位置からでも攻撃を得意とする装備である
もちろん、本職の魔法使いにはかなわないが
ココノハが普通に使う魔術の数倍の威力ではある
敵の頭上に雷が何本を落ち、何度も貫く
「愚かな、運命に逆らうなどまこと愚か」
像はまったく効いた様子をみせていない
・・・むしろ今の俺達を笑っているようだ
「先の者は一人だが・・・、二人でも大差ない」
「困ったな・・・」
「コア(敵の弱点となる部分、装甲が分厚い強敵にはいかにコアをしっかり攻撃できるかが重要)があってないのかなっ!」
「星詠士がいないからコア出しは無理だ!逃げられないし・・・」
「ストライクバースト!」
ココノハはめげず、銃剣から弾を発射する
しかし、全弾弾かれる
ココノハは一度バックステップで引いた
すかさず俺は前にでて
「雷鳴切り!」
雷を纏った剣をぶつけた
おそらく、マシン(像系のもの)は、雷に弱い
しかし、問題はこの装甲だった
真ん中の魔力部分に攻撃が通らない
それどころか、全て弾かれている
「チッーーー」
「リロ完了!前でるよ!」
しかし、石像、一度離れ
「魂とは甘美なものよ・・・」
コアが光りだす・・・
・・・まさか!魂を吸っているのか!?
この魔物領域で死んだ場合、復活はできない
こうなった以上、最後の手段をとるしかない・・・
精神が持ってくれるのを祈るしかないな・・・









まずいな・・・
銃もだめだし、剣もダメ、魔法も聞かないし・・・
一度体勢を立て直したくても、後ろの扉は閉まってるし・・・、ぐぬぬ、領域内だしこうなるよね
ーーーやば
魂を吸って・・・!?
「ええい!銃剣でだめなら、更に威力を増したもので攻撃するのみ!」
銃剣の折り畳んだ部分を開き
「モードチェンジ!」
銃剣は形を変え、両手剣へと変わる
・・・砲剣、銃剣の威力を増すもう一つの武器
マガジンは6、それを使用すればオーバーヒートして銃剣に戻っちゃうけど、逆に6回あれば、石像の邪魔は十分可能かもしれない!
ていうか、この6回で倒す!
「時間稼ぐよ!」
とりあえず、動きをとめよう
翼を広げ、敵の目の前に大きく動く
敵は吸魂をやめ、ココノハに向かって手を凪ぎ払った
「甘いねっ!」
トラベラーの特権、それは飛行移動
ひらりひらりと飛んで回避し、敵がリュートに目を向けたーー
今だっ!
「アサルトダイブ!」
天高くから、巨像を一刀両断!
何度も爆発するものの、火花が舞い散るだけで、装甲は砕ける気配はない
しかし、石像は軽くよろめいた
まだまだ!
アサルトはマガジンを3発消費するが、これは効果ありとみていいね!
よーし!後はごり押すのみ!!
その時だった

「神力解放!風雷召喚(ストームサモン)!」
と、声が響き渡る
「・・・あれ?リュート?それはやらない約束じゃないの!?」
とりあえず、離れなきゃ!
このままじゃ、"私まで“・・・





天井をも貫き通す雷が、リュートに落ちる
蒼い髪が肩まで伸び
伸びた髪は腰の辺りでまとまり、雷のリングで包まれた
翼は大きく広がり、角と共に雷鳴を鳴らし光を増し輝く
最後に・・・
「来たれーー、俺の神器・・・」
リュートが空に手を掲げると、彼よりも大きな弓が瞬時に現れ、背中に矢筒が現れた
「神騎発動!嵐王降臨(ストームエンパイア)!」








「にーげーろー!」
ココノハはダッシュで敵から離れる
「穿て天惺!」
大きな雷の竜が敵を貫く
それも・・・、自分の耳元を通って
「ひょげーー!?」
やばいやばい飛ばなきゃ飛ばなきゃ
このままじゃ私も被害者になっちゃう!
石像にヒビが入り、コアが露になった
「もうその域まで達したか・・・」
石像はそう呟く
しかし、それは雷の音で聞こえなかった


「穿て天惺!」
矢を引き、大きく撃ち放つ
矢はたちまち雷の竜の姿となり、敵の胸部の装甲を破壊する
「あぶない・・・、ついココノハを狙う所だった・・・」
神族の本当の力・・・
神族にのみ、古来より世界を覆す力を与えられたという
それは、神のみに与えられし力
本来人である神族がその力を扱う・・・
・・・それが神力解放
人離れした魔力と力、更に神術により天変地異まで・・・
そして、神力解放を行い、新たなる姿と化した者を神族と人はこう呼ぶ
『神騎』、と
それは神の力を具現化したもの
決して人に使ってはならない、至高の力
人のおとぎ話にも神騎という者は多く存在する
しかし大半は紛い物で、戦功を非常に多くあげた人が英雄扱いとして『神騎』と言われたそうだ
ある意味「人為らざる力」を持っていた者達なんだろうけどね
・・・ここから先は完全に個人の話だが
神騎は人からは別によばれる事があつたらしい
俺の持っていた特殊な文献(家族代々で遺されていたもの)によると、人々はその属性の頂点に立つ物を司る神族の本当の意味での姿から
『神王』『神姫』と畏怖されていたとか
正直どっちでもいい・・・
そして、神騎において最も重要視された事が一つ
神騎の時のみあたえられた武器・・・、神器を用いて戦う
神族ごとに多種多様な武器が存在するが、俺の神器は・・・
『嵐の豪弓』
全てを洗い流し、全てを貫く、嵐の王たる威厳を持った武器だと父に教えられた
さて、野暮な話をするのはこの辺にして、さっさと仕留めるとしよう
自分の理性が失うその前に、仕留めなければーー
矢を手にとり、弦を引く
「スコールショット!」
まっすぐ放たれた一つの矢は何十にも別れ、敵を撃ち抜く
「さぁて・・・」
真っ青な翼をはためかし、空へととんだ
空中に浮いている方が嵐王にとっては好都合だ、理由は、嵐の干渉を受けやすい空気中の方が戦いやすい
「天馬冥雷!タクティカルスナイプ!」
更に矢を引き、今度は雷の閃光と共に矢を放った
それはむき出しのコアを華麗に貫く
「降りし雷電!」
今度は天高く矢を放ち、脳天めがけて嵐を起こす
幾多の雷となった矢が降り注ぎ、容赦のない攻撃となった
「ガ・・・、ガァァァ!!!」
ついに、理性が砕け、魔物としての意志が、本能が像を動かす
向かってくる石像・・・、しかし、退くことはしない
嵐の王である以上、自分が認めない相手から逃げることは誇りにかけてしないのだ
神騎時は殆ど理性より誇り・・・、神族の本能をを重視して戦う事が多い、それの表れだ
それを知っているココノハは、石像を止めにかかった
「させないよ!背中ががら空きだ!」
「ってやば!じゃ、じゃーねー!リュート」
ココノハが割れた石の内部に砲剣をぶち当てる
・・・が、青龍は一対一を好んでた事に気付きささっと逃げ出した
像も体力が少なくなったのだろう
一度後ろに引いて魂を・・・
引く?
それは、青龍の逆鱗に触れる行為
・・・なぜ逃げる?
貴様は私と戦闘しているのだぞ?
ふざけるな・・・、ふざけるな!
理性は失われ、ついに神族としての本能が顕になる
リュートは怒りの余りに目をかっ開き、矢筒に手をつけた
「リュート!終わらせちゃって!」
ココノハの声届くことはない・・・、今は良い意味だけど
「戦いに背きし敗者よ・・・」
弓矢の矢筒にある大きな一本矢をとりだす
それを限界までゆっくりと引く
「我、嵐の王に挑みし愚者よ・・・」
発射口からは雷と水が集まり、弓全体から風が吹きはじめる
「そなたの命はここで決した!」
引き終わり、構えた
「これにて終幕・・・!」
石像は強烈な力に気付く
むきだしの弱点を露にして
「紫電の幻矢・・・!天を貫け!アポクリフォス!」
一閃となる大きな矢は、刹那、無数の槍へと変わる
そして、槍は敵に突き刺さる・・・、否それは、槍の形をした、避雷針だ
彼は軽く手を握る
すると、雷が集まり、石像に突き刺さった槍へと雷は集まる
槍は巨像ごと破壊し、粉々に砕け散った
残った石は光に包まれ、消え始める
それと同時にリュートも神騎化を解いた
「終わった~」
今回は敵を倒したから、自動でほどけたとでもいうべきか
ほっと一息、流石に疲れた
別に神騎になっていたからではなく、色々と動いたからだ
「もー!リュートばっかりずるいよ!」
ココノハは軽く怒っていた
「ごめんごめん、流石にこのままじゃまずいなって思ったから」
命を軽々と奪う神騎が、人の命を守るだなんて、皮肉ではあるが
「うー!それは私も同じ!だったら私も神騎になったってよかったんじゃないかな!」
「う・・・、それは駄目」
絶対ダメ、ココノハだけは・・・
神騎になってはいけないんだ
だって朱雀は・・・、一番危険な神姫となるんだから
「・・・何でっ!? 」
驚いた顔になったココノハを無視してリュートはこういう
「だってココノハが神騎になったらこの遺跡ごと壊しちゃうじゃん」
いや、解けない限り、ここら一帯を焦土と化してしまうかも?
「・・・う」
「リュートも人のこと言えないもん!」
そういってココノハは上を指差す
天井に風穴が空いていた
神騎化の時に雷が天井ごと貫いたからだろう
「はぁ。やっちゃった・・・、調査部隊の人にはどう説明しようかな・・・?」
軽くため息つく
それを見て、ココノハは上目でこちらを見る
というか、ココノハは背がちっちゃいから、上目遣いには慣れてるが
「・・・リュート?どうかしたの?謝ればいいじゃん!自分が風穴を開けましたって!」
・・・単純って恐ろしい子
「それを言ったら、たぶん調査部隊にドン引きされるから却下で」
かなりオブラートに包んで言った
本当は、それをした場合、自身に本当に「雷竜」かどうかが疑われる、最低でも冒険者としての評価があがるだろう
評価があがるのは非常にマズイ
国に目をつけられたら、神騎をより使う可能性も高まるし、ココノハがボロを出す可能性も上がる
だからこそ絶対に隠さなければならないのだ
自身が神族だということは絶対に
「・・・何か忘れてない?」
ココノハは聞いてくる、珍しく低音で
「何か?・・・あ」
そういえば、石像に飲まれた冒険者を探しているんだった
消えた石像の辺りに女性が倒れていた
和服である巫女服と呼ばれる物を着こんだ、真っ白な髪に小さな獣耳(たぶん白狼)の雅士が倒れていた、おそらく一人で戦ったのだろう、そりゃ勝ち目がないわな
「大丈夫?」
そっとゆさぶる
「うん~」
目を覚ましたようだ、死んだなら転送されるから、魔物に魔力を奪われていたのだ、それで気絶していたんだろう(おそらく雅士だからあの敵は妙に固かったんだと思う)
「誰ですか~・・・?」
「あ、うーんと、フェザーズのファンタズマレスター のリュートだよ、救援来てたからね」
「同じくフェザーズのブラスター!ココノハでっす!遺跡(ダンジョン)の探索に来てたの?」
「え~!ここ、ダンジョンなんですか~!?」
彼女は驚き、マイペースにも和傘(おそらく戦闘用の傘、開いて振り回してよし、中の剣、もしくは魔法銃を使ってもよし、実はなにげに高性能な武器だろう
眠気があるのかゴシゴシと目を擦り
「う~・・・、パーティーの人とはぐれちゃって・・・、迷ってたらここに来たんですよ~、たぶんここが行き先だって思って皆を探したら変な石像にであっちゃって~」
「であっちゃって?」
ココノハが相槌をうつ
「それから~、・・・それから~?、あら、何ででしょう?記憶がありません~」
「あー、どうやら、その石像が魔物だったみたいで、その石像に囚われていたみたい、仲間さんから救出の願いがあって、たまたま同じ場所だったから助けにきたんだ(その仲間が助ける所だったが、俺達が助けたと、言った方が正しい)」
「そうなんですか~!」
彼女はえらく納得していた
「珍しく魔力疲れしてますから~、なんででしょうね~って聞くところでした~」
そりゃ魂抜かれかけてましたしね
後ろの尻尾がフリフリと動き、笑っていた
「此度はありがとうございました~、あ、私、水桜すみれと申します~、なにかありましたら、私達のギルドマスター、ディークにお願いいたします~」
「とりあえず私達も任務達成だね!」
ココノハがえっへん!と立ち上がる
「はい!この度は誠にありがとうございました~!」
「どーも~!」
その後、彼女は帰還魔法 道具(アイテム)を使い、帰っていった
「・・・さて」
「さて?」
「遺跡探検と、最後の設置をするよ」
忘れてたでしょ?
「そっか!まだ終わってなかったね」

それから、探索と、設置をした
この次元魔法展開装置(ビーコン)は どんなものにでも突き刺さる、次元魔法特有の効果を応用したものなので、様々な場所で有効だ
冒険者全てが持つ魔法(良くは知らないが神からもらえる、・・・神族は信じられなくて神は信じられる、人っていうのは現金なものだ)
「ビジョン」(詳しく書くと、消費魔力は0で使用すると画面のような物が表れ、敵や味方の体力や魔力(スタミナもでてくる)を数値化したものと、ビーコンが設置されている場所のマップとおおよそのレベルがわかったり、そこに冒険者個人のレポートを書いたり、他にも自身の持ち物の確認や、人々の依頼も一目でわかる
前者は後衛職くらいしか使わないが、後者は様々な冒険者が利用しているとても便利な魔法だ)に映るので、しっかりと未踏の地には置かないとね
「リュート!こっちこっち!」
「ココノハ?」
「これなんだろ?」
扉だった、しかし、おしても引いてもびくともしない
・・・よくみると真ん中に蒼い竜の印がある
「うーん・・・、鍵が必要なのかな?」
「・・・そうだ!ちょっとどいて!」
え?
「う、うん」
壁の前でココノハは威勢よく呪文を唱えた
「我が朱雀の焔である死せぬ太陽よ!今ここに具現化させよ!フレアオブザクイーン!」
目の前に瞬時に大きな魔方陣が現れ・・・
それをココノハ!おもいっきりパーンチ!
すると、超極太レーザーが扉に発射された
「この遺跡破壊者め・・・」
リュートは忌々しく呟いた
レーザーが消える・・・、しかし、驚いたことに扉は傷一つついてない
「別の方法があるのかな?きっと相当大切な物があるよ!」
「調べたい気持ちも分かるけど、この事は研究会に任せよう、変なことして罠を起動させたらひとたまりもないからね」
「ぐぬぬ・・・」
「さっ、とりあえずここを出よう」
「わかった」
外に出る
「ビジョン」詠唱無しに唱える事もでき、ちょっと意識すればすぐにみることができる魔法である
リュートは前に目を寄せ、ビジョンを起動させた
・・・リュートはビジョンが苦手なのだ
時間は・・・もう夜か
「ココノハ、もう夜だし今日はテントね」
「帰還道具も魔法も用意せずにきちゃったしね!」
「・・・そーだね、せめてテントを用意して良かった」
外にテントを作った
とりあえず、明日まではここにいれば良いだろう
ここは魔物領域でもあったため、しばらくは敵も訪れることはしないし







それから、寝静まった夜
リュートはテントから抜け出していた
静かな雨音ーー
青龍にとって雨に濡れるのは、楽しみのひとつでもある
「・・・そうですか」
「・・・警戒はしておきます、場合によっては相手は人質を用意するかもしれませんね、俺は同じなくても、ココノハはどうか分からないのが現状です」
彼は、念話で話を続ける
「・・・奴の動きはどうですか?・・・はい、・・・ふむ、もしかするとその戦は、魂を欲して奴が策をしたものかもしれません」
「・・・ええ、エルサーデの雨季をどうにかできないかと?」
彼は少しだけ考えた
「正解を先に申し上げると、できます」
そう、はっきりと告げた
「・・・しかし、それは一時的なものであって、作物が育つレベルまでにするには無理があります
・・・力不足で申し訳ないです、神族としての力は今はもう「神騎」以外殆ど失われたに等しいですから、神術で天変地異を起こせるのは長くて一週間程度です
それに、そのような力をみたら人はどう思うでしょうか?
畏怖、恐怖・・・、その程度で済むならまだ安い
利用したい、捕らえてでも、奪ってでも、他の神族も集めて最強の力を手に入れたい・・・
それだけは避けたい、・・・誠に申し訳ないですが、エルサーデの戦争は避けられないかもしれません」

「・・・明日、エルサーデで会いませんか?国を見てみたいんです、・・・すいません」
「おや?そちらも用があったんですね」
「・・・ココノハがもしかしたら、国の目につけられている?」
「わかりました、・・・しかし、俺だけ行くといっても、絶対あの子は認めないと思います」
「なるほど、レイティさんの元に置けば安全ですね」
「はい、では明日、エルサーデで会いましょう、ココノハにも伝えておきます」
「それではご武運を」

夜は寝静まり、彼も眠りについた
暗月の夜、昔も今も月は変わらない

「リュート様」
「どうした、こんな夜更けに」
この口調にしないと、式神が嫌だそうなので、仕方なく口調を変えた
それは、静かな声だった
執事の姿をした、人・・・、いや、人には見えない式神だ
「先程の話・・・、聞かせて頂きました」
「・・・変えるつもりはないけど?」
「勿論です、それに関してですが、・・・神族である以上、少女にあんな態度で接するのはダメと前からいったはずです」
「はぁ、冒険者どうしだからいいでしょ」
「まったく・・・、いいですか?貴方は嵐王なんですよ?威厳くらい必要だとは思いませんか?」
「威厳なんて何にもならないからイラネ」
「・・・、反省してくださいね?お父様に怒られますよ」
「わかったよ・・・」
空を見上げ、父を思う
父はーー、元気だろうか?
今日はもう遅いし、とっとと眠りにつくとしよう

後書き


作者:テノール
投稿日:2016/09/26 23:11
更新日:2016/09/26 23:11
『嵐王焔姫物語』の著作権は、すべて作者 テノール様に属します。

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作品ID:1824
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