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言葉とその力
小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 連載中
前書き・紹介
3章 言葉力VS言霊 ライバル登場 初対策 2
前の話 | 目次 | 次の話 |
この部屋に現れた三田主任は身長が高いせいもあって、派手にドアの上部に頭をぶつける。それでも荷物を落とさなかったことは称賛に値する位だ。俺を見ていたこの部屋にいる全員、何とか笑いをこらえることができた。
「く~っ、痛ってーえっ!! おっ、おお、幻悟。もう友達ができたか。良かったな!」
ノッポの三田研究主任はぶつけた頭を手でさすりながらも、幻悟の肩に手を置いて自分の事のように喜んでくれた。
「成人君と道也君だね。僕は君達が子どもの時の姿も覚えているよ。これからもこいつと仲良くしてやってくれな」
成人に道也の両名がもちろんと三田主任にうなずいた後で、幻悟が三田主任に話しかけようとすると、美奈子所長がフォローしてくれた。
「三田君、幻悟君があなたに聞きたいことがあるそうよ」
「ん? そうか、何だい? どんな話でもわかることなら答えてあげるよ」
三田主任は瞬時に誰が話すにしても、話しやすいと思われる態度になる。そうすると、不思議と落ち着いて幻悟達は「言霊」について聞きやすくなった。
「それじゃあ聞かせてもらおうかな。実は言霊についてなんだけど」
「言霊!? そうか、私自身はそんなに知らないんだ。その話と関連があると思うから言うが、幻悟の言葉力と言霊は根本的な違いがあることを調べ上げたよ」
三田主任は言霊という言葉に反応して、そんな新事実を打ち明けてきた。幻悟がどこで調べてきたかを聞くと、三田主任が微妙に言いづらそうな感じになる。
「うーん、これは話した方が良いかな?」
三田主任が腕を組んで悩みだした。幻悟達はしばらく三田主任の様子を見ているしかなかったが、三田主任は一つの答えを導き出してきた。
「黙っていてもいつかわかる日が訪れると思う。だから今、話そう。幻悟君の家に言葉の情報が隠されているという事を!」
幻悟達は三田主任に突然そんな途方もないことを言われたので絶句してしまう。しばらくして、幻悟はやっと三田主任に質問することができた。
「えっ? どういうことなの。何で俺の家にそんなものが?」
幻悟の問いに三田主任は自分の推測を伝える。
「どうやら幻悟君の父親が書き残したものみたいなんだ。私がこの内容を見た方法はちなみにパソコン検索だったりするんだけどね」
幻悟は驚愕の事実によって一時だけ身動き一つとれなかった。それでもどうにか気を取り直した幻悟は三田主任にお礼を言う。
「ありがとう、三田さん。すぐにでも家へ調査に行ってくるよ」
幻悟が出かけることをほのめかすと、その流れのまま彼は成人と道也を呼ぶ。
「二人とも、ここで休息を取っている所を悪いんだけど、俺の生まれた家に言霊の情報があるらしいんだ。一緒に付き合ってくれよなっ」
成人と道也は研究所の沢本研究員と当座所長からいろんな世話をしてもらっていて、すっかりくつろぎモードに入っていた。なので、少し遅れて付き合う準備をし始めた。
「それじゃあ、三田さんに美奈子さん。奈津希さん……改めて沢さんっ、ちょっと出かけてくるね」
幻悟は成人と道也がくつろいでいる所を、自分の家でゆっくりさせると条件を付けて親友の二人に安心感を持ってもらったところで目的地に向かうように促す。そして幻悟は成人と道也を連れて自分の家【親の家】へと道を歩いていく。
(しかし、父さんがそんなものを残していたなんて思わなかった)
誰かと話していたり、考え事をしていたりすると結構早く目的地までつくものだ。今回もその考えがほぼ合っている裏付けと言えそうな程に、自然と無意識に歩き続けていたので幻悟が<言葉力>によって所有者になっている家へたどり着く手前まで来ていた。ちなみに琴葉家は一人で住むとしたら大きすぎる家に見える。それはそうだろう、本当は家族三人の住んでいた家だったのだから。
「さぁ、着いたよ。さて、鍵を開けないとね」
幻悟が家の鍵を開けて中に入ると成人と道也の二人を招き入れる。そうすると、家の中にある照明が自動的につく。さながら熱感知センサーのようだ。でも二人はそれに変な違和感を感じた。
その理由については幻悟がしっかり説明する。
「これが言葉力の正しい使い道の一つだと思う。つまり俺以外がどんなに調べようが、何をしようがこの家の照明はついたりしないんだぜ。俺の体内に形成されている遺伝子のみが感知されているってことさ」
幻悟は成人と道也に説明を終えると、二人を資料室まで案内する。
「俺の父さんは学者を目指していたか、勉強家だった。さまざまな資料がまとまってしまわれていたり、そこら辺に乱雑されているんだ。床を見たらすぐわかるよ」
幻悟が先頭になって資料室のドアを開けると、机の上に一際目立つ資料の束があった。幻悟に成人・道也の三人が思わず目に釘付けられる程、目立っていたからだ。そして三人がその資料群に目をやると、「言霊関係」という文字を見つけた。
偶然とは割とあるもので、幻悟達三人組は言霊について調べやすくなる。幻悟を中心とした三人組は本の束の中から何冊か選びぬいて読みやすい場所に置く。そんな作業をしている途中で「言霊についてのレポート」と記されているノートを成人が発見する。成人が幻悟と道也を呼んで三人でノートの内容を確認するとそれだけで事足りた。何冊もの本をわかりやすくしたもののようにすら感じられたのだ。
「二人とも、言霊対策に関係していそうな部分だけ読んでみたいんだ。良いよな?」
幻悟が成人と道也の二人に聞くと、彼らは無言でうなずく。それを見た幻悟は早速レポートを読み始める。
「言霊というものは、奇妙な出来事を言葉のみで起こすものだと考えられる。私は我が息子の言葉力との違いを調査し続けたいと思う。」
(父さん……)
幻悟はほんのわずかな間だけでも感傷に浸る。その後で成人と道也の二人と一緒にレポートの内容を分け始めた。例えば、言霊の意味・使い方等の言霊についての部分を一つの場所にまとめると言う事だ。
その内容を詳しくまとめるとこんな感じになった。言霊の正しい使用方法・同様に言葉力の正しい使用方法というもの、言霊とは何か。言葉力はなぜ生まれたのか? 言霊と言葉力の違い。言霊に対する対処方法。更には言葉力に心身が支配されないための心構え等というように列挙するだけで内容が豊富であることが分かる。幻悟は一緒にいてくれる成人と道也の存在を思わず忘れ、そのレポートのみに集中してしまう。そんな幻悟を気遣って仲間であり、幻悟が親友とさえ思っている成人と道也は彼をそっと見つめている。
こんな状況の中でも、特に成人は自分も言葉に関する知られざる事実を知ろうと、幻悟のそばで誰も読んでいないレポートを読んだりしていた。成人と道也は別に頼まれたわけではないが、幻悟に付き合うと勝手に決めたので『言葉についての調べ物』をずっとしていて夜も更けてきているのに気づいている様子はなかった。
幻悟はここで一段落つけて、ちょっと小休止しようとしようとしたところでまだ成人と道也がこの部屋にいてくれたので大いに驚く。
「二人とも!? 俺は君達に何もしてやれていないのにまだここにいてくれるのかい? そろそろ帰らなくて平気なのか?」
幻悟は親友の二人を心配して聞いてみる。
彼らの答えは幻悟の予想を良い意味で裏切るものであった。
「おっ、幻。やっと俺達の存在に気がついたか、心配しなくても俺はすでに家族に連絡を入れさせてもらったよ」
幻悟に向かって道也がお茶らけた感じで答えると、後方から成人が申し訳なさそうな声でこんな事を言う。
「幻悟君、悪いとは思ったけど電話を借りて僕達の家に電話を入れさせてもらったよ。いろいろと聞いてみても幻悟君はその時何一つ答えてくれなかったからどうしようもないと思ってね」
幻悟がレポートに集中している間、成人と道也は自分達がどうしてこの家に残っていたのかわかりやすく幻悟に事情を説明してくれたので気分が良くなった。
「そうか、気にしなくていいよ。二人が呆れて家に帰ったとしても仕方のない行為をしていたことも事実なんだからな」
そうきっぱり言い切った後に、幻悟は更に二人に訊ねる。
「く~っ、痛ってーえっ!! おっ、おお、幻悟。もう友達ができたか。良かったな!」
ノッポの三田研究主任はぶつけた頭を手でさすりながらも、幻悟の肩に手を置いて自分の事のように喜んでくれた。
「成人君と道也君だね。僕は君達が子どもの時の姿も覚えているよ。これからもこいつと仲良くしてやってくれな」
成人に道也の両名がもちろんと三田主任にうなずいた後で、幻悟が三田主任に話しかけようとすると、美奈子所長がフォローしてくれた。
「三田君、幻悟君があなたに聞きたいことがあるそうよ」
「ん? そうか、何だい? どんな話でもわかることなら答えてあげるよ」
三田主任は瞬時に誰が話すにしても、話しやすいと思われる態度になる。そうすると、不思議と落ち着いて幻悟達は「言霊」について聞きやすくなった。
「それじゃあ聞かせてもらおうかな。実は言霊についてなんだけど」
「言霊!? そうか、私自身はそんなに知らないんだ。その話と関連があると思うから言うが、幻悟の言葉力と言霊は根本的な違いがあることを調べ上げたよ」
三田主任は言霊という言葉に反応して、そんな新事実を打ち明けてきた。幻悟がどこで調べてきたかを聞くと、三田主任が微妙に言いづらそうな感じになる。
「うーん、これは話した方が良いかな?」
三田主任が腕を組んで悩みだした。幻悟達はしばらく三田主任の様子を見ているしかなかったが、三田主任は一つの答えを導き出してきた。
「黙っていてもいつかわかる日が訪れると思う。だから今、話そう。幻悟君の家に言葉の情報が隠されているという事を!」
幻悟達は三田主任に突然そんな途方もないことを言われたので絶句してしまう。しばらくして、幻悟はやっと三田主任に質問することができた。
「えっ? どういうことなの。何で俺の家にそんなものが?」
幻悟の問いに三田主任は自分の推測を伝える。
「どうやら幻悟君の父親が書き残したものみたいなんだ。私がこの内容を見た方法はちなみにパソコン検索だったりするんだけどね」
幻悟は驚愕の事実によって一時だけ身動き一つとれなかった。それでもどうにか気を取り直した幻悟は三田主任にお礼を言う。
「ありがとう、三田さん。すぐにでも家へ調査に行ってくるよ」
幻悟が出かけることをほのめかすと、その流れのまま彼は成人と道也を呼ぶ。
「二人とも、ここで休息を取っている所を悪いんだけど、俺の生まれた家に言霊の情報があるらしいんだ。一緒に付き合ってくれよなっ」
成人と道也は研究所の沢本研究員と当座所長からいろんな世話をしてもらっていて、すっかりくつろぎモードに入っていた。なので、少し遅れて付き合う準備をし始めた。
「それじゃあ、三田さんに美奈子さん。奈津希さん……改めて沢さんっ、ちょっと出かけてくるね」
幻悟は成人と道也がくつろいでいる所を、自分の家でゆっくりさせると条件を付けて親友の二人に安心感を持ってもらったところで目的地に向かうように促す。そして幻悟は成人と道也を連れて自分の家【親の家】へと道を歩いていく。
(しかし、父さんがそんなものを残していたなんて思わなかった)
誰かと話していたり、考え事をしていたりすると結構早く目的地までつくものだ。今回もその考えがほぼ合っている裏付けと言えそうな程に、自然と無意識に歩き続けていたので幻悟が<言葉力>によって所有者になっている家へたどり着く手前まで来ていた。ちなみに琴葉家は一人で住むとしたら大きすぎる家に見える。それはそうだろう、本当は家族三人の住んでいた家だったのだから。
「さぁ、着いたよ。さて、鍵を開けないとね」
幻悟が家の鍵を開けて中に入ると成人と道也の二人を招き入れる。そうすると、家の中にある照明が自動的につく。さながら熱感知センサーのようだ。でも二人はそれに変な違和感を感じた。
その理由については幻悟がしっかり説明する。
「これが言葉力の正しい使い道の一つだと思う。つまり俺以外がどんなに調べようが、何をしようがこの家の照明はついたりしないんだぜ。俺の体内に形成されている遺伝子のみが感知されているってことさ」
幻悟は成人と道也に説明を終えると、二人を資料室まで案内する。
「俺の父さんは学者を目指していたか、勉強家だった。さまざまな資料がまとまってしまわれていたり、そこら辺に乱雑されているんだ。床を見たらすぐわかるよ」
幻悟が先頭になって資料室のドアを開けると、机の上に一際目立つ資料の束があった。幻悟に成人・道也の三人が思わず目に釘付けられる程、目立っていたからだ。そして三人がその資料群に目をやると、「言霊関係」という文字を見つけた。
偶然とは割とあるもので、幻悟達三人組は言霊について調べやすくなる。幻悟を中心とした三人組は本の束の中から何冊か選びぬいて読みやすい場所に置く。そんな作業をしている途中で「言霊についてのレポート」と記されているノートを成人が発見する。成人が幻悟と道也を呼んで三人でノートの内容を確認するとそれだけで事足りた。何冊もの本をわかりやすくしたもののようにすら感じられたのだ。
「二人とも、言霊対策に関係していそうな部分だけ読んでみたいんだ。良いよな?」
幻悟が成人と道也の二人に聞くと、彼らは無言でうなずく。それを見た幻悟は早速レポートを読み始める。
「言霊というものは、奇妙な出来事を言葉のみで起こすものだと考えられる。私は我が息子の言葉力との違いを調査し続けたいと思う。」
(父さん……)
幻悟はほんのわずかな間だけでも感傷に浸る。その後で成人と道也の二人と一緒にレポートの内容を分け始めた。例えば、言霊の意味・使い方等の言霊についての部分を一つの場所にまとめると言う事だ。
その内容を詳しくまとめるとこんな感じになった。言霊の正しい使用方法・同様に言葉力の正しい使用方法というもの、言霊とは何か。言葉力はなぜ生まれたのか? 言霊と言葉力の違い。言霊に対する対処方法。更には言葉力に心身が支配されないための心構え等というように列挙するだけで内容が豊富であることが分かる。幻悟は一緒にいてくれる成人と道也の存在を思わず忘れ、そのレポートのみに集中してしまう。そんな幻悟を気遣って仲間であり、幻悟が親友とさえ思っている成人と道也は彼をそっと見つめている。
こんな状況の中でも、特に成人は自分も言葉に関する知られざる事実を知ろうと、幻悟のそばで誰も読んでいないレポートを読んだりしていた。成人と道也は別に頼まれたわけではないが、幻悟に付き合うと勝手に決めたので『言葉についての調べ物』をずっとしていて夜も更けてきているのに気づいている様子はなかった。
幻悟はここで一段落つけて、ちょっと小休止しようとしようとしたところでまだ成人と道也がこの部屋にいてくれたので大いに驚く。
「二人とも!? 俺は君達に何もしてやれていないのにまだここにいてくれるのかい? そろそろ帰らなくて平気なのか?」
幻悟は親友の二人を心配して聞いてみる。
彼らの答えは幻悟の予想を良い意味で裏切るものであった。
「おっ、幻。やっと俺達の存在に気がついたか、心配しなくても俺はすでに家族に連絡を入れさせてもらったよ」
幻悟に向かって道也がお茶らけた感じで答えると、後方から成人が申し訳なさそうな声でこんな事を言う。
「幻悟君、悪いとは思ったけど電話を借りて僕達の家に電話を入れさせてもらったよ。いろいろと聞いてみても幻悟君はその時何一つ答えてくれなかったからどうしようもないと思ってね」
幻悟がレポートに集中している間、成人と道也は自分達がどうしてこの家に残っていたのかわかりやすく幻悟に事情を説明してくれたので気分が良くなった。
「そうか、気にしなくていいよ。二人が呆れて家に帰ったとしても仕方のない行為をしていたことも事実なんだからな」
そうきっぱり言い切った後に、幻悟は更に二人に訊ねる。
後書き
作者:ニューナイト |
投稿日:2016/11/03 18:54 更新日:2016/11/03 18:54 『言葉とその力』の著作権は、すべて作者 ニューナイト様に属します。 |
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