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作品ID:1896
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Dear

小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 完結

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はじめの一通目

目次 次の話

光木 宏香様へ

突然の手紙で、驚かせてしまったのなら申し訳ない。
面と向かって伝えられるのなら苦労はしないが、
自分が生まれ持った容姿と体格で、きっと貴女を怯えさせてしまうだろうから。
だから文章にて失礼する。この手紙は読んだ後、破り捨ててもらっても構わない。
だが、この場で即座に捨てるくらいなら、ぜひとも最後まで読んでいただきたい。
文を書きなれないせいで、酷く言葉が回りくどくなってしまうことを容赦してほしい。

私は、貴女に恋をした。
貴女と会ったのは、蒼空に一本の飛行機雲が目立つ、爽やかな風薫る夏の日のことだった。
貴女はきっと覚えていないだろう。
私は、泥にまみれた野球部のユニフォームを着て、呆けたように貴女を見ていた。
その時の貴女は夏服で、土手に生えた一面の緑と、突き抜ける空の青の中、
はっきりと浮かび上がるように見えた貴女の姿に、私は目を奪われていた。
私に気づき淡く笑みを返した貴女は、
声をかけまいか逡巡している私を余所に、どこかへと去ってしまった。
貴女が私と同じ高校の生徒で、
そしてクラスが近くであることを知ったときの嬉しさたるや、筆舌に尽くしがたい。
真夏の幻想のようだった貴女が、血肉を持つ、
この世界にいる誰かであったことで私は何かに救われたような心持がした。
貴女に見惚れ、貴女が去った直後、滞空していたフライが私の脳天を直撃した。
気絶してそれを取り逃した後、
私が気絶しているうちに我がチームはあっけなく練習試合に敗退していた。
意識が戻って、チームメイトに容赦なく責めたてられた。

だが、その時の私には、そんなことは些細な事柄だった。
気絶しても、貴女の姿は私の心に焼き付いて消えはしなかったのだ。
覚醒した後も、私の頭の中は、
風に髪をかき上げ、夏の日差しに目を細める貴女だけで、占められていたのだから。
生まれて初めてだった。
誰かに見惚れたことなんて、今まで一度だってなかった。
そのことを、時間をかけて思い出していくにつれ、私は悟った。
私は、貴女をたった一目見ただけで心底惚れてしまったのだと。

貴女と交際したいだとか、貴女にも私を好いて欲しいだとか、そんな考えは毛頭ない。
私は、あなたにこの思いを知ってほしいと思った。
ただ、教えてほしい。

生活の中で、ふとした時に貴女の顔が脳裏にちらつく苦悩は、どうすれば収まるのだろう? 貴女の姿が瞼の裏に浮かぶ度に、左胸の奥が軋むように切なくなるのはなぜだろう?

恥ずかしながら、私は今まで野球一筋で生きてきた。全く、恋というものは理解しがたい。
まさに病のようだ。それでもきっと、私が抱く貴女への感情は、
私の投げるストレートよりも、ずっと真っ直ぐなものであると思う。

少しでも、私の恋文で何か思うことがあるのならば、
3-2 野球部 間宮まで来てほしい。

返答はいつでも構わない。ただ、貴女の答えが聞きたい。


三年二組 間宮 光介


後書き

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作者:灰縞 凪
投稿日:2017/01/08 00:47
更新日:2017/07/11 23:28
『Dear』の著作権は、すべて作者 灰縞 凪様に属します。

目次 次の話

作品ID:1896
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