作品ID:2023
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セブンスナイト ―少年騎士の英雄記―
小説の属性:ライトノベル / 異世界ファンタジー / 批評希望 / 初投稿・初心者 / R-15 / 連載中
前書き・紹介
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第3話「そして始まりへ」
前の話 | 目次 | 次の話 |
「――いててて」
「本当に大丈夫か、ウィリアム?」
あの後、誰も助けに入らなかった所を誰よりも先に入り込んだウィリアムと、男を撃退したエンタは女性に感謝され果物を幾つか貰った。
そして怪我を負ったウィリアムの治療の為、街に唯一存在する治療院へ向かって治療したのがここまでの流れである。
氷で包んだ布を鳩尾にあてながら、ウィリアムは痛みと気持ち悪さに顔をしかめた。
蹴られた場所が最悪にも鳩尾だったので、内臓が損傷している可能性があったため冷やす為に氷で包んだ布を貰ったのである。
「ったく。今度合ったら、アイツの口に手を突っ込んで歯をガタガタ言わせやる」
「止めろよ、俺もあの女性も結局軽傷で済んだんだし」
傭兵というのは元々信用が命である為か性格が人情に深い傾向が強い。
とはいってもその分一度印象が最悪になったのなら、また印象を良くするのにはかなりの努力が必要なのだが。
エンタの中々怖い一言に驚き、ウィリアムは収めようとするが男への傭兵の息子の印象はかなり酷いものらしい。
普段はウィリアムが制止したら止まるエンタなのだが、今回ばかりはウィリアムに反対した。
「逆だぞウィリアム。軽傷で済んだのは不幸中の幸いってだけだ。特にお前はもうちょっと当たり所が悪かったら内臓が破裂してたらしいじゃないか」
「うっ……」
痛いところを突かれ、言葉に詰まるウィリアム。
苦虫を噛み潰したような顔をする友人を見て、エンタは「お前さ」と溜め息をつく。
「なんでそんなにアイツを庇うんだよ」
「――――」
本来ならばウィリアムは被害者の側だ。
暴行を受けていた女性を助けようとしたのは、褒められはするものの批難はされないだろう。
どの視点で考えても悪いのはあの男でしかないのに、何故ウィリアムがあの男を庇うのか。
それがエンタには分からなかった。
「……だってさ」
「だって?」
暗い顔に声を震わせ、ウィリアムはその理由を告げようと言葉を続け――
「俺が」
――直後、巨大な爆発が起きた。
「ッ!?」
「何が起きたッ!」
言いかけた言葉を飲み込んで、ウィリアムはエンタと共に爆発音がした方へ顔を向ける。
向けて、見たことを後悔した。
それは悪だ。
それは闇だ。
それは死だ。
全ての悪、全ての闇、全ての死を体現したような“黒”で曖昧に姿を為した怪物。
「……禍族《マガゾク》!!」
人の形をしているようで、していない。
人の形に似ているようで、似ていない。
あれは最早、生物ですらないだろう。
二足歩行で歩きながら、曖昧な境界線で輪郭を現す化け物。
異様なほど手足が長く唯一、瞳と口だけが“白”で塗りつぶされていた。
まるで怖い童話を聞かされた子供が、想像力を掻きたてて書き上げたような“ナニカ”。
――それが、禍族という存在だった。
「ウィリアム!」
「……!?」
肩をエンタに揺さぶられウィリアムは意識を取り戻す。
いつの間にかあの歪な造形を見て、考えることを止めてしまっていたようだった。
「俺は父さんの元へ戻って、禍族と戦う準備をしてくる。お前は周りの人を非難させろ、良いな!!」
「ちょ、まッ……!」
手を伸ばすが遅い。
ウィリアムには到底追いつけない速度で、エンタは走り出してしまった。
空を掴む手をウィリアムは握りしめて大きく深呼吸をする。
(慌てるな、まだ禍族はこの周囲に居ない。とりあえず被害が拡大する前に避難させないと!)
そう考えるウィリアムだが、その手は強く握りしめられすぎて血を流していた。
判っている。
分かっている。
解かっている。
自分がやるべきことを、自分が為すべきことを。
(それでも!)
この惨劇を目の前にして自分に出来ることは、避難誘導だけなのか。
結局、ウィリアムは現状を良くすることは出来ない。
「俺が……弱いから」
弱いから現状を改善出来ない。
弱いから人々を護れやしない。
弱いから人々を救えやしない。
(まだ、禍族はこの周辺まで来ていない)
禍族が突如現れたのは、爆発音的に街の端の方だ。
中心部近くであるここに禍族が到着するには、まだ猶予は残されているだろう。
(……そこで、食い止められれば)
そう。
その為にエンタは戦場に行った。
一対一でも戦うことが困難な禍族を相手に。
(助けなきゃ)
気付けば、ウィリアムは避難誘導しろという言葉を置き去りにして走り出していた。
走る、走る、走る。
走り続けている少年は、たった一つの場所を目指していた。
地面を揺らすような轟音が奥から響く。
その音の発生源こそ、ひたむきに走る少年の目的地なのである。
「助け、なきゃ」
まるで物語で語られるような言葉を、走り続けたことによる息切れとともに吐き出した少年。
体中からもう無理だと拒否反応が発生しているが、この周りの状況は少年に休むことを与えようとしない。
再び、轟音。
この音が鳴るたび、誰かが死んでいるのかもしれないのだと思うと少年にはどうしようもなかった。
(護らなきゃ)
歯を噛み締めて顔を上げれば、そこには巨大な影が一つ存在している。
実体があるのかどうか定かではない曖昧な構造体の塊によって、超巨大な人型が形成されていた。
信じられないほどに現実味のない生物のようなナニカを、それでも少年は恐れず逃げずに睨みつけて走り出す。
急がなければならない。
「がぁっ……!」
「ッ!」
急がなければ、大切な友人を、その親を、無垢な街の人々を守れなくなる!
ようやく現場に躍り出た少年が最初に目にしたのは、彼の友人が巨大な影の手に吹き飛ばされ家屋に突っ込んだところだった。
頭が真っ白になる、こんなことが合ってはならないのだと本能が叫ぶ。
気付けば少年は怒り心頭で安直に影へと真っ直ぐに突っ込んでいってしまった。
傷ついた友人を助けるために怒りで敵へと突っ込んでいくその姿は、まるで物語の英雄そのもの。
「あぁああああああ!」
「――――――ッ!!」
――しかし、あまりに無力だった少年にとって英雄というのは荷が重すぎた。
一薙ぎ。
たったそれだけで少年は吹き飛ばされ、体のいたる所が切り裂かれて潰れてへし折られる。
これが無力で無謀な少年の結末だ。
勇気というには勝算のない戦いに挑み、いとも容易く負けてしまうという結末。
当事者ならば、誰もが思うだろう。
仕方がない。
諦めた方が良い。
無理だったのだと。
あぁ、それでもこの少年は諦観に身を溺れさせることはしなかった。
ただひたすらに抗い続けている。
――どうしてこうなるのか。
――どうしてここまで残酷なのか。
――どうしてこんなに弱いのか。
何故、何故……と。
崩れる家々とどこかで引火したのか燃える町を見て、朦朧とした意識の中で少年は自嘲した。
「どうして」などという言葉は所詮逃げているだけなのだ、と。
――判っているし、分かっているし、解っている。
――何故こうなるのか、何故残酷なのか、何故……俺が弱いのか。
結局的に言えばすべて自分が悪いのだと少年は思う。
自分が弱くなければこんな被害を出さずに済んだのに、自分が弱くなければ友人を傷つけずに済んだのに、自分が弱くなければ彼の父親だって死なせなかったはずなのに。
自分が強かったら、”彼女”も無駄死にせずに済んだはずだったのだ。
故に少年は願う。
――何より強い力が欲しい。
――あらゆる人を救いたい。
――良い世の中を創りたい。
――大切な友人を助けたい。
――すべて自由を与えたい。
――誇れる人物になりたい。
――なにより、すべての人を護りたい。
あまりに強欲でアホらしくなるような数多くの願い。
多くを望む者に与えられるのは破滅のみであり、悲しきかな、巨大な影の腕が少年の上に降りかかり少年の命は消え失せる――
「すべてを護りたいか」
――はずだった。
無力で、無謀で、ただの一般庶民だったはずの少年の願いに答える”声”がある。
男性っぽく、しかして無機質なその声に少年は考える暇なく全力で肯定した。
俺は力欲しい。
「力を持って何を為す」
目の前の友人を、すべての人を、護る。
「なにゆえ力を望む」
俺に力がないから、力が欲しい。
「どのような力を欲する」
すべてを護れる、力が欲しい。
「良いだろう。汝の願い、汝の叫び……受け取った」
その声は無機質ながらも少し感情が込められているように思えた。
どんな感情なのだろう、と少年は無意識のうちに模索し……すぐに察する。
これは祝福だ。
これは喜びだ。
これは慈愛だ。
――これは希望だ。
「我が力は風。汝求むるは守護。故に汝に与えよう」
少年が無意識に伸ばした左手の甲に、何かの紋章が突如として眩い光を放って現れる。
それは盾を中心として風が巻き起こる、風の盾の紋章だった。
「『緑の騎士』の証を。汝の力と成る”風之守護《ウィリクス》”を」
風が吹く。
穏やかなようで、何もを拒む絶対の風が。
「――――――ッ!」
圧倒的な力に気がついたのだろう、巨大なる影は少年へとすべての注意を向けて近寄ってくる。
この少年を前に今すぐ殺さなければならないのだと察したのだ。
何故ならば――
「さぁ叫べ。汝の力、守護によって存分に”護る”が良い!」
「舞え、”風之守護《ウィリクス》”ッ!」
――すべてを護らんとする、英雄がそこに現れたのだから。
「本当に大丈夫か、ウィリアム?」
あの後、誰も助けに入らなかった所を誰よりも先に入り込んだウィリアムと、男を撃退したエンタは女性に感謝され果物を幾つか貰った。
そして怪我を負ったウィリアムの治療の為、街に唯一存在する治療院へ向かって治療したのがここまでの流れである。
氷で包んだ布を鳩尾にあてながら、ウィリアムは痛みと気持ち悪さに顔をしかめた。
蹴られた場所が最悪にも鳩尾だったので、内臓が損傷している可能性があったため冷やす為に氷で包んだ布を貰ったのである。
「ったく。今度合ったら、アイツの口に手を突っ込んで歯をガタガタ言わせやる」
「止めろよ、俺もあの女性も結局軽傷で済んだんだし」
傭兵というのは元々信用が命である為か性格が人情に深い傾向が強い。
とはいってもその分一度印象が最悪になったのなら、また印象を良くするのにはかなりの努力が必要なのだが。
エンタの中々怖い一言に驚き、ウィリアムは収めようとするが男への傭兵の息子の印象はかなり酷いものらしい。
普段はウィリアムが制止したら止まるエンタなのだが、今回ばかりはウィリアムに反対した。
「逆だぞウィリアム。軽傷で済んだのは不幸中の幸いってだけだ。特にお前はもうちょっと当たり所が悪かったら内臓が破裂してたらしいじゃないか」
「うっ……」
痛いところを突かれ、言葉に詰まるウィリアム。
苦虫を噛み潰したような顔をする友人を見て、エンタは「お前さ」と溜め息をつく。
「なんでそんなにアイツを庇うんだよ」
「――――」
本来ならばウィリアムは被害者の側だ。
暴行を受けていた女性を助けようとしたのは、褒められはするものの批難はされないだろう。
どの視点で考えても悪いのはあの男でしかないのに、何故ウィリアムがあの男を庇うのか。
それがエンタには分からなかった。
「……だってさ」
「だって?」
暗い顔に声を震わせ、ウィリアムはその理由を告げようと言葉を続け――
「俺が」
――直後、巨大な爆発が起きた。
「ッ!?」
「何が起きたッ!」
言いかけた言葉を飲み込んで、ウィリアムはエンタと共に爆発音がした方へ顔を向ける。
向けて、見たことを後悔した。
それは悪だ。
それは闇だ。
それは死だ。
全ての悪、全ての闇、全ての死を体現したような“黒”で曖昧に姿を為した怪物。
「……禍族《マガゾク》!!」
人の形をしているようで、していない。
人の形に似ているようで、似ていない。
あれは最早、生物ですらないだろう。
二足歩行で歩きながら、曖昧な境界線で輪郭を現す化け物。
異様なほど手足が長く唯一、瞳と口だけが“白”で塗りつぶされていた。
まるで怖い童話を聞かされた子供が、想像力を掻きたてて書き上げたような“ナニカ”。
――それが、禍族という存在だった。
「ウィリアム!」
「……!?」
肩をエンタに揺さぶられウィリアムは意識を取り戻す。
いつの間にかあの歪な造形を見て、考えることを止めてしまっていたようだった。
「俺は父さんの元へ戻って、禍族と戦う準備をしてくる。お前は周りの人を非難させろ、良いな!!」
「ちょ、まッ……!」
手を伸ばすが遅い。
ウィリアムには到底追いつけない速度で、エンタは走り出してしまった。
空を掴む手をウィリアムは握りしめて大きく深呼吸をする。
(慌てるな、まだ禍族はこの周囲に居ない。とりあえず被害が拡大する前に避難させないと!)
そう考えるウィリアムだが、その手は強く握りしめられすぎて血を流していた。
判っている。
分かっている。
解かっている。
自分がやるべきことを、自分が為すべきことを。
(それでも!)
この惨劇を目の前にして自分に出来ることは、避難誘導だけなのか。
結局、ウィリアムは現状を良くすることは出来ない。
「俺が……弱いから」
弱いから現状を改善出来ない。
弱いから人々を護れやしない。
弱いから人々を救えやしない。
(まだ、禍族はこの周辺まで来ていない)
禍族が突如現れたのは、爆発音的に街の端の方だ。
中心部近くであるここに禍族が到着するには、まだ猶予は残されているだろう。
(……そこで、食い止められれば)
そう。
その為にエンタは戦場に行った。
一対一でも戦うことが困難な禍族を相手に。
(助けなきゃ)
気付けば、ウィリアムは避難誘導しろという言葉を置き去りにして走り出していた。
走る、走る、走る。
走り続けている少年は、たった一つの場所を目指していた。
地面を揺らすような轟音が奥から響く。
その音の発生源こそ、ひたむきに走る少年の目的地なのである。
「助け、なきゃ」
まるで物語で語られるような言葉を、走り続けたことによる息切れとともに吐き出した少年。
体中からもう無理だと拒否反応が発生しているが、この周りの状況は少年に休むことを与えようとしない。
再び、轟音。
この音が鳴るたび、誰かが死んでいるのかもしれないのだと思うと少年にはどうしようもなかった。
(護らなきゃ)
歯を噛み締めて顔を上げれば、そこには巨大な影が一つ存在している。
実体があるのかどうか定かではない曖昧な構造体の塊によって、超巨大な人型が形成されていた。
信じられないほどに現実味のない生物のようなナニカを、それでも少年は恐れず逃げずに睨みつけて走り出す。
急がなければならない。
「がぁっ……!」
「ッ!」
急がなければ、大切な友人を、その親を、無垢な街の人々を守れなくなる!
ようやく現場に躍り出た少年が最初に目にしたのは、彼の友人が巨大な影の手に吹き飛ばされ家屋に突っ込んだところだった。
頭が真っ白になる、こんなことが合ってはならないのだと本能が叫ぶ。
気付けば少年は怒り心頭で安直に影へと真っ直ぐに突っ込んでいってしまった。
傷ついた友人を助けるために怒りで敵へと突っ込んでいくその姿は、まるで物語の英雄そのもの。
「あぁああああああ!」
「――――――ッ!!」
――しかし、あまりに無力だった少年にとって英雄というのは荷が重すぎた。
一薙ぎ。
たったそれだけで少年は吹き飛ばされ、体のいたる所が切り裂かれて潰れてへし折られる。
これが無力で無謀な少年の結末だ。
勇気というには勝算のない戦いに挑み、いとも容易く負けてしまうという結末。
当事者ならば、誰もが思うだろう。
仕方がない。
諦めた方が良い。
無理だったのだと。
あぁ、それでもこの少年は諦観に身を溺れさせることはしなかった。
ただひたすらに抗い続けている。
――どうしてこうなるのか。
――どうしてここまで残酷なのか。
――どうしてこんなに弱いのか。
何故、何故……と。
崩れる家々とどこかで引火したのか燃える町を見て、朦朧とした意識の中で少年は自嘲した。
「どうして」などという言葉は所詮逃げているだけなのだ、と。
――判っているし、分かっているし、解っている。
――何故こうなるのか、何故残酷なのか、何故……俺が弱いのか。
結局的に言えばすべて自分が悪いのだと少年は思う。
自分が弱くなければこんな被害を出さずに済んだのに、自分が弱くなければ友人を傷つけずに済んだのに、自分が弱くなければ彼の父親だって死なせなかったはずなのに。
自分が強かったら、”彼女”も無駄死にせずに済んだはずだったのだ。
故に少年は願う。
――何より強い力が欲しい。
――あらゆる人を救いたい。
――良い世の中を創りたい。
――大切な友人を助けたい。
――すべて自由を与えたい。
――誇れる人物になりたい。
――なにより、すべての人を護りたい。
あまりに強欲でアホらしくなるような数多くの願い。
多くを望む者に与えられるのは破滅のみであり、悲しきかな、巨大な影の腕が少年の上に降りかかり少年の命は消え失せる――
「すべてを護りたいか」
――はずだった。
無力で、無謀で、ただの一般庶民だったはずの少年の願いに答える”声”がある。
男性っぽく、しかして無機質なその声に少年は考える暇なく全力で肯定した。
俺は力欲しい。
「力を持って何を為す」
目の前の友人を、すべての人を、護る。
「なにゆえ力を望む」
俺に力がないから、力が欲しい。
「どのような力を欲する」
すべてを護れる、力が欲しい。
「良いだろう。汝の願い、汝の叫び……受け取った」
その声は無機質ながらも少し感情が込められているように思えた。
どんな感情なのだろう、と少年は無意識のうちに模索し……すぐに察する。
これは祝福だ。
これは喜びだ。
これは慈愛だ。
――これは希望だ。
「我が力は風。汝求むるは守護。故に汝に与えよう」
少年が無意識に伸ばした左手の甲に、何かの紋章が突如として眩い光を放って現れる。
それは盾を中心として風が巻き起こる、風の盾の紋章だった。
「『緑の騎士』の証を。汝の力と成る”風之守護《ウィリクス》”を」
風が吹く。
穏やかなようで、何もを拒む絶対の風が。
「――――――ッ!」
圧倒的な力に気がついたのだろう、巨大なる影は少年へとすべての注意を向けて近寄ってくる。
この少年を前に今すぐ殺さなければならないのだと察したのだ。
何故ならば――
「さぁ叫べ。汝の力、守護によって存分に”護る”が良い!」
「舞え、”風之守護《ウィリクス》”ッ!」
――すべてを護らんとする、英雄がそこに現れたのだから。
後書き
未設定
作者:清弥 |
投稿日:2018/08/29 00:26 更新日:2018/08/29 00:27 『セブンスナイト ―少年騎士の英雄記―』の著作権は、すべて作者 清弥様に属します。 |
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