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作品ID:295
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リンネの非日常な日常

小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 連載中

前書き・紹介


第一話 覚えのない罪

前の話 目次

 リア・アグネシル、17年間生きてきて占いなんて信じたためしがないが、今朝たまたま見た雑誌に載っていた占いの自分に該当する欄に書かれていた、『予想外なハプニングにみまわれる日!

ラッキーアイテムはアイスの棒☆』というのを見て、「アイスの棒って!」と馬鹿にしたのを全力で謝罪したい。

占い師さん。

すんません。持っとくべきでした、アイスの棒。

「リア・アグネシル!貴様をこれより王宮に連行する!!」

いまさら謝ってもどうやら占い師様は許してくださらないらしい。

思わずため息をつきそうになるのを何とか堪えて、リアは目の前に立つあごの割れた濃い顔のおじ様を睨みつけた。

「あの、どういうことですか?悪いことした覚えはまったく、ないんですけど」

わざと、まったくのあたりを強く言って、真っ赤な軍服のおじ様に挑むように一歩前に出た。

ちなみにこの行為にこれといった意味はない。

しかし実際、王宮に連行される覚えなどまったくないのだ。

今だってただ、パン屋の叔父にたのまれて、新作パンの材料となるものを買いに来ただけである。

「貴様に質問する権利などない!それとこれは頼みではない。命令だ!貴様の意思とは関係なく、強制的に王宮へと連行する。これは王じきじきのご命令である」

「はぁ!?」

意味が全く理解できず思わず間抜けな声を出していると、いきなり濃い顔のおじ様の部下と思われる男たちがあたしの腕と足を縛り上げてかつぎ上げた。

「ちょっ……!?何すんの!放しなさいよ――――!!」

じたばたと暴れてはみるが両手両足縛られているせいで全くはがたたない。

「おろせ、おろせ!あんたたちこんなことしていいと思ってんの!悪人から民を守るのがあんたらの仕事でしょ!善良な民を捕まえてどうすんのよ!!!」

「あーうるさい。おまえらそいつの口もふさいどけ」

聞こえなーいとでも言うようにおじ様は毛の濃い、いや、毛も濃い手のひらで両みみを塞ぎながら手下たちに命令した。

「な!ちょっとあんた んぐ!むーむー!」

口をふさがれ、涙目になりながらリアは叫んだ。





「むむーめもも――――!!」















まぁ、相手には伝わっていなかっただろうけど。









       。。。。。。。。。。









なんか、えらい事になってしまった。

無理やり押し込められた馬車の中。

で口もふさがれ身動きも取れないので、思考を巡らせていたところ結局たどりついたのはそんなどうでもいい結論だった。

やはり普段使っていない頭を無理やり働かせたのが間違いだったのかもしれない。

ならば、とリアはちらりと斜め前に座るあご割れ(名前が分からないのでとりあえず)に視線をむけた。

格好からするにかなりのお偉いさんであることは間違いなさそうだ。

彼が身にまとう軍服はほかの兵が身のまとうようなものとは明らかに違う。

そんな人物がただの町娘に過ぎない自分をつれさっていったい何の得があるというのか。

それに、本当かどうかはわからないが先ほど彼は「王じきじきの命令だ」と言っていた。

政治にはあまり詳しくないが、王の命令で王宮に招待ではなく連行と言うことはよほどの罪を犯さない限りありえないのではないだろうか。

だとするとますます解せない。

いったいどういうことだろうか。

リアがそこまで考えをめぐらせた時、がたんっと馬車が揺れた。

「ついたぞ」

あご割れが立ち上がりながらリアを見て言った。

そしてリアの足元で身をかがめたと思ったら、足を縛り付ける縄を解き始めた。

そして、解き終わると乱暴にリアの口についたテープもはがしとった。

「痛っい!もうちょっと丁寧にはがしてよ!」

ひりひり痛む口元を擦りながらあご割れを渾身の力をこめて睨むがあご割れは気にも留めずに軽くスルーした。

あんにゃろ?!

いらいらしながら不安定な体で何とか馬車からでた。

いくら足の自由がきくようになったからといって、手が縛られてちゃバランスがとれない。

このまま脱走しちゃおうかとも考えたが、実行する前に兵に捕まった。

ほんと、徹底してる。

内心毒つきながらリアはゆっくりと城へと目を向けた。

そのとたん、











ドクン!





ドクン、ドックンドックンドックンドックン……



狂ったように早鐘を打つ心臓と共にリアの脳内で見たこともない景色がフラッシュバックする。

なによ……これ……!?

わけも分からず混乱しているとリアは徐々に意識が遠のくのを感じた。

あ、ヤバイかも。

バランスを崩した体は一直線に地へと崩れ落ちる。

寸前で誰かに支えられた。

「おい!」

きいたこともないはずなのになぜか懐かしい声に呼ばれた気がしたがリアは意識を手放した。











後書き


作者:
投稿日:2010/08/24 05:13
更新日:2010/08/24 06:05
『リンネの非日常な日常』の著作権は、すべて作者 涙様に属します。

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作品ID:295
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