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黄昏幻夢

小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 完結

前書き・紹介


三章 一 秋祭り

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 ――あっという間に、秋祭りになった。

「細さーん!」

 細がお店の並ぶ境内をぼんやりと見ていると、遠くからいつもの格好でメイが現れた。ちょうど早く来ないかなー、と思っていたところだったので、思わず叫び声をあげた。

「うわっ!」

「大丈夫ですか、細さん」

 メイもその勢いにびっくりしたように、目を見開いている。

 細は、落ち着いてメイを見下ろした。

「お前さあ、もっとおしゃれしようとかないの?」

「あはー。これが一番落ち着きますよ」

 そう言いながら、くるりと一回転。

 スカートがきれいに広がった。

「そんなことより!」

 メイが、細の手を引いた。

「行きましょう、細さん! お祭りはこれからですよ!」

「お……おう!」

 メイは、人ごみの中に細を招き入れた。

 このとき、細は修行のことも、魔術士のことも、忘れていた。



 細がそれを思い出したのは、じーさんがこっちを見ていたからだった。



「……あっ!」

 竹林の間のベンチにこしかけたじーさんを見て、細は大声を上げた。

「分かっているとは思うが……」

 仕方なさそうに、じーさんが言う。

「……えっと、何がですか?」

 メイが、不思議そうに二人を見比べた。

 じーさんは、メイを見てびっくりしながら、立ち上がってこちらに歩いてきた。

「……魔術士。裏に回れ。……その少女も連れてな」

 細は、えっ、とメイを見た。

 メイは、よく分からなかったのか、ニコニコしながら首を傾けていた。





後書き


作者:水沢はやて
投稿日:2011/05/12 18:17
更新日:2011/05/12 18:17
『黄昏幻夢』の著作権は、すべて作者 水沢はやて様に属します。

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