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考察おりおりっ!


我が家のパソコン「ポンコツ4号」(4代目君です)は、「なつ」を変換すると「夏希」、「しき」を変換すると「四季おりおりっ!」と変換してくれます。
「もみもみ」を変換すると「嵐山もみじ」と変換してくれます(やりすぎ?)。
何かと記事やレポートを書く機会が多いので、便利なのです。
おかげで、日記を書く際に「スライド式のボタンが・・・」と書くところが「スライド四季おりおりっ!のボタンが・・・」になってしまいました。
まあ、そんな話は置いておいて、ここではレビューとはちょっと違う、「四季おりおりっ!」について別角度から考察していきます。

●作品全体について
「ぱれっと」に読み切りで掲載されたのがぱれっとのVol.2。実に初期の頃からなんですね。
それ以降隔月連載を経て、8話以降は毎月連載に。
そのため、1〜7話目までは設定やキャラクターが決まっていなかったそうです(単行本1巻あとがきより)。
また、商業誌での初の連載、ということもあり、画風も変化していっていますね。
描き慣れる、というやつでしょうか。

●舞台について
Wikipediaでも書いたのですが、多分東京近郊・・・だと思います。
2話で秋乃が東京23区の地図を持っていましたし、山手線っぽい路線図も広げていましたし(一文字目が“手”なので山手線ではないのでしょうが)。

4巻P28にて夏希が「南関東(このあたり)の降雪量・・・」と発言。
このことから舞台が南関東であることが判明しました。
なお、作者の稲城あさね先生が埼玉在住です。
主な舞台となる家に関しては、先生のブログ(2009-01-25)に家の設計図が掲載されていますね(あ、「せっけい倶楽部」や♪私も愛用してます)。
いやはや・・・広い。
『自宅展示場のパンフレットを漁りまくって、家の参考にしてたからです』(先生のブログ2012年4月27日より)とのことです。
う〜ん、凝ってますねぇ♪こういう妥協の無い作品作りにはホント頭が下がる思いです。
また、作中でも階段については「コの字」という発言が確認出来ます(2巻P55)。

1巻P113から秋乃と冬香ちゃんの部屋が隣同士であることが分かります。
さらにP114での夏希の部屋の構図を考えると、入り口から入って目の前にベッドが横向きにあり、枕が右側。
そのすぐ奥と右側は壁で、入り口側の壁とベッドの間に衣装箱があります。
この事から、2階の図面の下から2番目の洋間が夏希の部屋であると思われます。
となると、図面一番上の洋間が秋乃の部屋で、その下が冬香ちゃんの部屋(2巻P106で冬香ちゃんの部屋が確認出来ますが、この配置です。また、同じく4巻P104で秋乃の部屋も確認出来ます。)。
消去法で、一番下側の洋間が春菜さんの部屋ということになります。
3巻P116での夏希の部屋には家具がほとんどなく机や椅子もないこと、ベッドと小さなライトと衣装箱しかない事が語られていますので、恐らくこれで合っているでしょう(このページでベッドや衣装箱の配置が変わっているのは演出上のものと思われます。コマの中に3つのアイテムを入れ、なおかつベッドは枕があった方がそれと分かりやすいためかと。)。

ただし、皆ほとんど1階のパブリックゾーンやセミパブリックゾーンで一緒に過ごしているので、それぞれの部屋はあまり使用していない様子。
特に夏希は部屋を寝ること以外に使わない事が3巻P116で語られています。他の3人も恐らくそれに近いと思われます。仲いいなぁ。
図面では春菜さんの部屋に家具が見当たりませんが、幼少期の春菜さんはベッドで寝ていたようですので、布団派になったのか、妹達が大きくなったので元々の部屋を譲ったのかのどちらか・・・だと思います。

●時系列について
基本的に掲載順で、いわゆる「サザエさん時空」です。
これは季節としては以前の話より前でありながら、以前の話や設定を踏襲している事から分かります。
一例として、2巻P57で、もみじが四季家の3人と初対面と思われる発言があり(少なくとも春菜とはそうだと思われます)、これが雛祭りのお話なので3月。
その後、3巻P109にて「お久し振りです」と発言しているため、この時点で春菜と面識が既にあることになります。これが文化祭のため秋です。
文化祭の準備のシーンで秋乃が1年生・夏希が2年生であることは確認出来ますので、進級した次の年の文化祭ではありません。
よって、記憶や設定をそのままに時間がループしているサザエさん時空ということが分かります。
ちょっと理屈っぽい導き方ですが、まっ♪あたし理数系技師だし!(分かる人に伝われ〜、このネタ)

ちなみに、唯一の例外は3巻P39〜46は話の内容が春菜さんの昔話のため、導入部分が秋乃の入学式の前日、つまりは1巻のイントロと同じ日です。
ここだけは上記の時間軸から逸脱しています。

●家事について
3巻P19〜26のエピソードから、家事は夏希を中心に回しているみたいですね。
料理が出来るのは夏希と冬香ちゃんの二人。
ちなみに、冬香ちゃんがキッチンに立つ時は、夏希の補助あり(3巻P20)・2巻P116の発言などから、キッチンには二人で立っている日と、2巻P70・71の発言から当番制で個人でやる日があるようです。
それ以外の家事は、裁縫は春菜さんがしている描写が多いですね。それ以外は冬香ちゃんがやっている描写が多く、当番制なのか役割分担なのかは不明です。
買い物にも家族で行くことが多いようですし、家事はやっぱり「みんなで回す。得意な事がある場合はそれをする」ってところでしょうか。
オールラウンダーの夏希。料理は冬香ちゃんも。春菜さんは裁縫。秋乃は・・・元気です。
因みに食事ですが、普段夕食は19時頃に食べている様子です(4巻P87)
また、家計簿は夏希が付けていますが(3巻P19・4巻P102)、お小遣いの管理は冬香ちゃんにも権限がある様子です(4巻P91)。

●読んでいる本について
2012年1月号のぱれっとの表紙は「四季おりおりっ!」でした。
秋乃が寝転びながら本を読んでいる構図です。
その読んでいる本が作中にも出てきたね〜・・・なんてトップページでつぶやいていましたら、翌日の先生のブログにてその本の設定が語られていました。
その時のつぶやきは、手元に単行本が無かったためきちんと調べることは出来ませんでしたが・・・(貸出中でした)
ここでそれを含め作中に登場する本を私が気が付いた限りでご紹介します。
これ以外にもあるかもしれませんし、教科書類は省いています。
また、タイトル不明なものも省いています(春菜さんは読書シーンが多いです)。
意外と冬香ちゃんが読書しているシーンがありませんでした。
なお、2012年1月号のぱれっとの表紙を除き、単行本に纏められている内容のみからのピックアップです。

春菜
2巻P110:指輪物語(最近では「ロード・オブ・ザ・リング」として有名。J・R・R・トールキン先生作のファンタジー巨編)
2巻P110:老人と海(アーネスト・ヘミングウェイ先生の晩年の傑作。年老いた漁師を描く海洋小説)
2巻P110:銀河鉄道の夜(宮沢賢治先生の名作。推敲中に作者が亡くなっているため最後の作品でもある)
2巻P110:DUCK'S STROL(直訳すると「アヒルの散策」)
2巻P114:三毛猫ホームズ(赤川次郎先生の代表的シリーズ。主人公で刑事の片山義太郎が愛猫のホームズの行動をヒントに事件を解決する推理小説であり、非常に読みやすいため幅広い層から人気がある。管理人も愛読書にしていたシリーズ)
2巻P114:南総里見八犬伝(『南総里見八』までしか確認できないが、恐らく)
4巻P18:タカ(冬香ちゃんの夢の初夢の中にて幼い姿で。「一富士 二鷹 三茄子」の「鷹」。)

夏希
随所:新聞
1巻P36〜37:世界遺産
3巻P56:燃えよ剣 上巻(確認できる文字は『燃えよ○ -上-』『司○○太郎』であり、恐らく)(2013年8月21日に「ジェント」さんより情報提供頂きました)

秋乃
2巻人物紹介:「黒ねこさんと白うさぎ」・ノート左下の見切れているイラストもこの作品の白うさぎさん(先生のブログ2011年11月24日より)
2巻P60:「黒ねこさんと白うさぎ」
2巻P76:「黒ねこさんと白うさぎ」
2巻P108:あっちこっち亀(全50冊の長編)
2巻P114:あらしのひるに(『あらしのよるに』のパロディ)
3巻人物紹介:「黒ねこさんと白うさぎ」(秋乃が読んでいるわけではないが)
3巻P72:「黒ねこさんと白うさぎ」
4巻P101:「黒ねこさんと白うさぎ」(読んでいるのではなく、ノートの挿絵に)
ぱれっと表紙(2012年1月号):「黒ねこさんと白うさぎ」

秋乃の愛読書「黒ねこさんと白うさぎ」は劇中漫画で、『内容は子供向けの切り口だけれど、深いテーマがあったりと大人も読めるほのぼの漫画と言う感じ(アンパンマン的なやつ)』とのこと。
「あらしのひるに」もそうですが、動物が登場し、深いテーマのある作品が好きみたいですね。

●ファッションについて
この作品の大きな特徴はその繊細な描写。
そして、学生さんメインですが、主な舞台は家ということで私服での登場が多いです。
というわけで、ここでは彼女達のファッションチェック! ・・・とは言え、あたしはファッションに関しては疎い方。
色彩に関しては多少は・・・という程度で、ファッションの専門用語とかはあんまり。
レポートも数ありますが、ここに関しちゃあまり信用ならないです、はい。
ただまあ、この作品でこの要素を語らないのももったいないと思いまして。
1話の中に4人分、さらに日が変わると装いも変わって・・・
しかも、そのどれもが普通にオシャレなんです!
このデザインだけでどれだけの時間が費やされているのか・・・
女性らしい繊細な描写。お見事です!
やっぱり女の子にはオシャレさせてあげなきゃ、ですよネ♪

春菜
ゆったりとした服装が多く、ロングスカートを着用。フレアスカートがほとんどかな?
フリフリが付いていることも多いです。
カラーページを見る限り、ペールトーンがお好みの様子で、色数も少なく、柔らかくて落ち着いた女性らしい装い。
ペールピンクと白の組み合わせが特に多いですね。
夏が近くても長袖を着ていたり軽めのアウターをかけていることも多いです。
これは元々体が弱かったため、気温差が大きい時期は用心しているんです。
とは言え、初夏に4枚重ね着は・・・(2巻P79)
冬場はペールピンクのセーターを愛用。
アクセでは時折ペンダントを着用。イヤリングも使っているようです(2巻P82)。
全員腕時計を付けていませんが、春菜さんは持ち歩いてはいる様子(1巻P50)。

夏希
ダークグレイッシュ〜ブラックの色が多いです(2・3巻表紙では藍利休くらいの色とブラックの重ね着でした)。
といいますか、私服は黒ばかり(3巻P15・P23)
ラフな格好が多く、ユニセックス。
シックな服装が多い一方で、自宅でもアクセを付けていることも多く、おシャレに興味がないというわけではなく、性格同様自己主張の激しい服装は苦手なのかな?
服のデザイン自体はおしゃれな物が多いです。ジップアップデザインやベルトデザインが好み?
アクセではネックレスやバングルをあまり主張しない程度によく着用。
スカートは着用せず、パンツルックが多いです。
制服は『タイの形が3種類(リボン型・スカーフ型・ネクタイ型)あって、自由に選べる』かつ、『上着にセーター・カーディガン・パーカー・ベストを選ぶ事が出来る』設定(先生のブログ2011年6月17日より)。
また、『ジャケットの着用は自由』(2巻P76より)。
その中でネクタイを選択。冬場はその上からジャケットを着ています。
春先は制服のYシャツの袖をまくって安全ピンで留めています。
ちなみに級友の南雲はスカーフとカーディガンを選択(『面倒くさがりなので一番結ぶのが楽なものを』(先生のブログ2011年6月17日より)とのこと)。

秋乃
よく動くのにミニスカートを穿くこともありますが、ショートパンツのことも多いです。
パーカーの付いた服をよく着ています。この家庭は春菜さん以外、パーカー率高め?
また、Tシャツなどではイラストと英字がプリントされたものを着ている事が多いです。
また、ボーダーの服を着ていることも多いです。
表紙などのカラーページでは彩度の低い赤系の色と白を組み合わせたデザインです。
冬場はソックスは膝上まであるものを着用。
制服ではリボンとパーカーを選択。リボンは緑色で、夏希のネクタイも緑色のため、学年毎に色が違うわけではない様子。
ちなみに、クラスメイトのもみもみもリボン。
制服のスカートは作中カラーページでは赤ですが、ぱれっと2009年8月号の表紙では青。
2巻P76より、季節によってスカートの色が変わるとのことですので、冬服では赤、夏服では青ということでしょう。
ちなみにあまりアクセは付けませんが、上記の表紙では鞄をデコレーション(作中ではしていません)。
「黒ねこさんと白うさぎ」のキーホルダーがぶらさがていることに気が付かれましたかな?
表紙で着ている服、1巻と3巻は同じ物ですが、2巻はそれの袖が短いバージョン。
配色もデザインも凄く近く、多分この格好がお気に入りなんでしょうね。作中でも似たデザインの服を着ている事が多々あります。
姉妹の中で一番シンプルかつ動きやすいデザインを好むのも彼女のようです。

冬香
家の中ではエプロンをしている事が多いですね。よく働く子だ・・・
下は裾の広めのハーフパンツ(同級生のたっちーと共に1年中このスタイル)。
子供らしく動きやすくてラフな格好が多いです。
春頃はショートTシャツタイプやタンクトップタイプのトップスで重ね着をしていることもあります。
重ね着で上から着ているのはカラーページでは単行本の表紙で着ている柿色のTシャツが多いですね。
無地タイプのも着ているシーンもある事から、この色が好きなのかも。
下に着ているのは濃い目の色が多く、上の色との対比で軽快な印象を与えます。
ハーフパンツが明るい目のブラウン系なので、Tシャツとトーナル配色になっていますね。
ハーフパンツにTシャツというアクティブな格好と落ち着いた穏やかな配色で「らしさ」が出ています。
秋乃同様パーカーのついた服装も多いですね。
小学生ながら、キャラクターものではなくデザイン性の高い服装を好むのは姉達の影響かな?(元々TVもあまり観ず、ニュースやお笑い番組を見るくらいの様子)
小学校に制服は無く、私服です。

●「ぱれっと」の表紙について
ぱれっとはきららと違っていくつもの作品がかわりべんたんに表紙を飾ります(「かわりべんたん」って、関西だけの言葉なんでしょうか?「かわりばんこ」みたいな意味です)。
当然表紙を飾れるのは人気作。「四季おりおりっ!」も当然表紙を何度も飾っています。
纏めてみました。

2009年4月号
2009年8月号:付録として「四季おりおりっ!下敷き」が付いてきました
      ※描かれたイラストは、表がぱれっと本誌の表紙と同じで秋乃・裏が1巻P91扉の冬香ちゃんでした
2010年4月号
2010年11月号:付録として「4周年ありがとうBOOK」が付いてきました
2011年4月号(偶然とは思いますが、4月号は必ず表紙を飾ってますね)
2012年1月号

・・・ホント、このレポートだけはちょくちょく更新していますね。
「好きな作品やから」というのが一番大きいんですが、「調べるほどに新しい発見がある」というのもあるのかもしれないです。
また色々と調べていきたいです。ちょっと方向性の違うことに関しては別レポートを書くかもしれないですし。

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