作者 | 稲城あさね | ![]() |
||
---|---|---|---|---|
作者HP | 道楽亭 | |||
掲載誌 | まんが4コマぱれっと(一迅社) | |||
単行本数 | 4巻(連載終了) | |||
Wikipedia | 四季おりおりっ! | |||
チャート | ![]() |
|||
内容 |
「家族」と「季節」をテーマにした、四姉妹の日常を描く作品。 ぱれっとの看板作品の一つで、度々表紙を飾っていた。 天然糸目でおっとりとしているのになぜか不良をまとめる姉御の長女「春菜」、文武両道で寡黙(というか自己表現が極端に苦手)だが面倒見のいい常識人かつ博識な次女「夏希」、単純で純粋で元気いっぱいの三女「秋乃」、家事全般を担う小さな主婦の四女「冬香」が主人公。 なお、名字が「四季」であり、姉妹の名前ににそれぞれ季節が入っている。 感情の豊かな秋乃と冬香とクールな夏希(度が過ぎている気がしないでもないが)、ぽやんとしている春菜が絶妙のバランス。 テーマの通り、「家族愛」が前面に押し出されており、「家族」で「季節」のイベントを通じ、絆を深め合うような話が中心。 そのため4コマでありながら、非常に心温まるエピソードが多い。 描写が繊細であり、ふとしたワンシーンや小物に至るまで丁寧に書き込まれており(キャラクターの衣装も毎回変わっている。当然、キャラクターの個性に合ったデザインとなっており、女性作者らしい演出が光る。)、表現の限られた4コマという媒体の中でもキャラクターの心情表現に非常に長け、それがエピソードに深みを与えている。 また、様々な知識に詳しい夏希を解説役とした豆知識の数々が話やネタに絡むため、季節や行事にちなんだ知識が非常に豊富である事が最大の特徴。 笑いあり、絆あり、知識も身に付く「読み手を選ばない良作」の一つ。 カバー裏はキャラクターの紹介や設定等になっている。 |
|||
感想 |
実はこのサイトの立ち上げ当初の12本のレビューの1つでもあり、このサイトを作るきっかけになった作品の1つ。 そして何より、「笑いが全て」を公言し続けるあたしの固定観念を見事に打ち砕いてくれたのもこの作品。 実は初期から変化の多い作品でもあります。 というのも当初は読み切りだったんですね。というわけで、設定やキャラクターが現在と初期ではズレがあるところがあります。 一番大きな変化は、秋乃のお姉ちゃんっ子の所と夏希の言動全体かな? 秋乃に関しては当初は百合ぽい雰囲気がありましたが、現在はいい距離感に落ち着いています。 夏希は当初物理的に制裁を加えたり発言内容だったりと、現在と雰囲気が大きく異なります。 無論、どちらも現在の方が作風にぴったり♪ 画風も変化が大きいです(これこそ作中のワンシーンを引用して比較できれば分かりやすいんですが・・・。といいますか、この作品は作画も大きな魅力なんで、是非とも引用したいんですけどね。現在、問い合わせ中です。)。 1巻中頃には現在のモノにほぼ近い画風が完成されています。 本作の魅力が最大限発揮されるようになったのもその頃からの気がします。 家族愛に溢れたエピソードが中心になったのもその頃からですもんね♪ 作品の大きな要素は「家族」「季節」「行事」「豆知識」「絆」、そして4コマらしく「笑い」もちゃんと入っています。 繊細なタッチで描かれ、人間的魅力や細かな心情表現・細部までこだわった描写が大きな特徴で、その美しい旋律にのせて心温まるエピソードが奏でられます。 メインの4人が「家族」のため、遠慮なく、かつ素直に互いの気持ちをぶつけられ、それでいて無償の愛をそそぐことの出来る関係。 それが温かくて優しい物語を生み出す地盤になっており、読むと心がほんわかする所以と思っています。 また、家族だけでなく、それぞれの交友関係も深い絆で繋がっていて、それを含めて「家族」と呼んでもいいような関係。 そんな彼女達を軸に、タイトル通りの四季折々なイベントが描かれます。 漫画作品としては避けて通れないようなイベントは勿論、ほとんどピックアップされないような「名前は知っているけどイマイチマイナー」なイベントさえも優しいエピソードに姿を変えます。 あたしの記憶が確かなら、勤労感謝の日をここまで丁寧に扱い、心温まるエピソードに仕上げた作品を他に知りません。 また、似たネタになりがちなメジャーイベントも「この作品ならでは」のエピソードに姿を変えます。 「先生にしか描くことが出来ない」様々なイベントの温かいエピソード。 そして、それらのイベントにまつわる豆知識やルーツを分かりやすく解説してくれています。 あたしも母の影響で雑学には自信のある方。「雑学親子」を自称してはいるものの、この作品はホント勉強になります。 それと同時に、気にしなければそのまま流してしまうようなイベントの一つ一つに、これほど深い意味があったのか、こんな味わい方があったのか、この国はこんなにも美しく季節が移ろいゆくのか、と認識を深めさせて頂いています。 それらが優しく繊細な作風で綴られるからこそ、なお胸の奥の深いところまで染み込むんでしょうね。 お話はそれぞれのイベントに対し、家族で盛り上がりながら夏希が解説を加え、それを通じて家族や仲間との絆を深めるもの。 登場人物は『Wikipedia - 四季おりおりっ!』や『日々四季彩』の『人物おりおりっ!』に纏めていますが、人間的魅力に溢れた皆さまです。 個人的に「作品の魅力というのは、いかにキャラクターに感情移入させるかで大きく変わる」と思っています。 全く同じセリフでも、それを発したキャラクターに思い入れがあればあるほど深く、胸に響く言葉になります。 ヒット作と呼ばれる作品に共通している特徴は、その世界感やキャラクターに読者を巻き込む技術に長けていることだと感じています(個人の感想です)。 それが壮大な冒険であったり、他を圧倒する笑いであったり、自分と似たところを持つキャラクターやネタがあったり。 この作品では、「家族」という誰もが持っている繋がりと身近なイベントやエピソード、そして魅力的なキャラクターで読者を惹きつけているように感じます。 そして、それをさらに強固なものにしているのが作画。 1巻P88で母の日に何を送るのか問われた時の夏希の表情や、 4巻P57〜 海でのエピソードでの心情表現はまさにお見事!の一言。 4コマという表現の限られた中で彼女達の心の内を見事に描き、エピソードに深みを与えています(特に、朴念仁の筈の夏希がこれほど表情豊かに描けるのは凄いです)。 そうやって感情移入して読むからこそ、彼女達の言葉がなお一層、心に響くわけで。 そう、本作の大きな特徴としてあるのがこの「表現力」です。 私自身、絵を描くことを苦手としていますので専門的な事や技術的な事は分かりません。 ただ、600以上の作品(単行本のみ。『雑誌で読んだことがある』を含めればその2,3倍)を読んできた4コマレビュアーとしての感想です。 私が触れてきた中でも指折りの表現力の持ち主です。 表現の限られた4コマという舞台において、これほどまでに「心」を繊細かつ美しく表現している作品を他に知りません。 それは表情であり、仕草であり、空気であり。そう、「直接の言葉以外での心理描写」の美しさ。 そして、言葉自体からあふれている優しさ。 作品の隅から隅までを最大限に活かして「人」を描いています。 ウチのサイトで「感動」の項目が満点の10ポイントなのはこの作品だけ。 その最大の要因は、優しいエピソードと感情移入してしまう魅力的なキャラクター達。そして、それを最大限に発揮する極めて高い描写力と表現力。 その全てが最高のバランスで美しい旋律を奏でているからに他なりません。 ・・・他の作品と違って、「笑い」だけでなく「ええ話」や「和み」に心動かされたので、どうしてもレビューも真面目になっちゃいますね。 それに、感情が先行して冷静に書けているのかも怪しいですし(実は微修正を除いてもレビューを書くのは3回目。今回は単行本発売などのテンションが上がった状態ではありませんので、一番冷静に書けているとは思うのですが・・・)。 まあ、それだけ好きな作品ってことで。 人に「何かお勧め紹介して」と言われたら、まず間違いなくこの作品を真っ先に出します。 と言いますか、母から「お勧めを貸して」と言われた時に、この作品一択でした。 では、ずっと「笑い」という観点からはこの作品に触れてきませんでしたが、それが無いと「笑本」ではないってことで。 この作品の笑いは・・・「誰も傷つかない笑い」です! 笑いにも種類があります。 時事ネタやブラックユーモア。下ネタもあれば個人の特徴に起因するものも。 その中で、この作品では誰かが被害を受けたり、それを見て気分を害する人がいないであろう「優しい笑い」なんです。 そういう作品は少ないわけではありません。 でも、笑いにシビアな4コマ漫画の世界において、「優しい笑いのみ」でこれだけ長期に渡って連載を続けた作品は珍しいです。 そんな笑いの観点からも触れつつ、ひとまず私の感想はこれで締めたいと思います。 心地のいい余韻の残る本作。 皆さんもまた優しい気持ちに包まれたくなった時は彼女達に会いに行ってはいかがでしょうか。 実は、私の人生初のWikipediaの記事はこの作品です。 多分、この記事を書かなかったら他の作品の記事も書くことはなかったでしょう(今や数十作品の記事を・・・)。 ある意味、Wikipediaの4コマ関連の記事が異常に充実した発端の記事です。 『Wikipedia - 四季おりおりっ!』をご覧下さい。僭越ながら、単行本の情報と登場人物の紹介を書かせて頂きました。 以上、非公認「四季おりおりっ!」ファンサイト『日々四季彩』管理人の乃凪いるかでした。 |
|||
雑記 |
話の本編とは全く関係ないことをちょっと追求してみました。 1巻のP56の2本目に夏希が中間テストの問題用紙に書いた数独パズル、数字が読めたので掲載します。 ![]() 何気ないひとコマの中でのネタなのですが、ちゃんと解けるように作ってあるんですね。芸が細かいです。解答はこちら。 |
|||
さらに雑記 |
本作で登場する無数の豆知識。そして、魅力的な人物達。 色々とレポートに纏めていたら膨大な量になりました。 そんなわけで、それらを纏めて一つのコーナーを作りました。 『日々四季彩』に今まで書いたレポートやらWikipediaの記事やらを纏めています。 にしても・・・書いたなぁ・・・ 一つの作品でこれだけ書けるとは・・・ |
|||
単行本 | 発売日 |
・1巻:2008年11月22日 ・2巻:2010年2月22日 ・3巻:2011年5月21日 ・4巻:2012年4月21日 |
試し読み |
|
関連項目 | ●ジャンル |
・家族モノ ・学べる作品 |
●チャート |
・感動 ・癒し ・万人ウケ(高い) |
●データ |
・作品の舞台 ・学校 ・ハイスペックキャラクター ・主婦なお子様 ・血液型 ・左利き ・資格(普通自動車運転免許) ・資格(自動二輪車運転免許) ・名前の規則(季節) ・小冊子(単行本) ・感心したこと |
●作品研究 | ・日々四季彩 | |
●作者別 | ・ボウリングッド!! | ●各巻感想 |
・1巻 ・2巻 ・3巻 ・4巻 |
|
あわせて読みたい |
|