表紙の折り返しに「今回は個人にスポットを強めにあててみました。」とあり、それぞれの話で一人がメインとなり、その人物を主点とした家族や周囲の人との繋がりが多く描かれました。
こうやってそれぞれの巻でテーマの様なものがあるというのは凄いです。
なぜなら、そう想定しても、その通りにいかないことがこの業界では多いんです。
その前に打ち切りになる人がほとんどですし、編集さんとの話し合いで方向修正ということも多いでしょう。
「とらぶるクリック!!」では、それぞれの巻でテーマがあり、それらが繋がって見事同じく4巻で完結しました。
難しい事ですが、それが見事に完結すると作品そのものの完成度も高くなるんですね。
4巻のあとがきや先生のブログで1巻発売の際に『4巻で終わらせたいです!』と発言されたの事ですが、それを成就させるとは、凄いです。
や〜・・・読み手としてはやはり表紙や背表紙が4人が交代して・・・だったので、4巻で終わっちゃうのかも・・・
と冷や冷やして、「やっぱりかー!」でした。
いつまでも読み続けたい作品ではありますが、やはりそれはそれ、先生ご自身のステップアップや「やりたい事」もありますしね。
私自身、色々な事にチャレンジすることで人間としての深みや成長があることを実体験していますし(超が付く多趣味です)。
新たなことにチャレンジすることで、漫画家さんとして次のステップへ!
この作品で得たものを糧として、さらなる飛躍を期待しています!
・・・こういうのは4巻の感想で書くべきでしたね。失礼。「感情優先」なもので。
小物や背景、そして彼女達の服装に至るまで徹底した描写が特徴の本作。
この巻の頭のハロウィンはいつもと違う風味な衣装で新鮮でしたね♪
別のレポートでも書いていますが、この作品は服装もチェックすべき点。凝ってます。
そして、それが彼女達のキャラクターによく合っているんです!
こういう所はやはり女性作者さんらしいですよね。
可愛い娘たちには可愛い格好を・・・です。
個人にスポット。まずは勤労感謝の日で夏希が。
この子のハイスペックぶりと、家事について、そして・・・どれだけ家族を想っているのか。
そして、南雲の「自分を大切にすることも立派な家族サービス」というセリフ。
案外忘れがちになりますよね。
自分が幸せになるのは簡単です。自分の事だけを考えていればいい。
他人を幸せにするのも簡単です。他人の事だけを考えていればいい。
でも、本当に大切な人なら、自分もその人も一緒に幸せにならなきゃ。
大きな事は言えませんが、せめてこの自分と、この両手で抱き締めることの出来るくらいの人たちだけでも・・・が、私のモットー。
もし、自分のために誰かがその身や人生を犠牲にしていたら、嬉しい気持ちじゃなくなっちゃいますもんね。
だから、どっちも笑顔でいれるなら、それが一番。その人に心からの笑顔でいて欲しいのならなおのこと。
あたしも南雲に近いタイプの考え方です。
そして、夏希の様に「その人たちがいるおかげでがんばれる」と言えるようになりたいです。
・・・何真面目に語ってんだか、私は。
続いては春菜さんの昔話。
どうしてこんなにおっとりした春菜さんが「姐さん」なのか。
常盤さんとの出会い、そして初めての友達。そんな昔話。
P41最後のコマの顔、凄く好きです。
優しくておっとりしていて、でも抜けている所もあって子供っぽくて。何よりも妹達を包み込んでくれる存在。
ホントに不在のお母さんになり変わって「四季家の母」という感じですね♪
そして、それ以上にお茶目で可愛らしい人かも。
春菜さんの場合は大学での様子は最後まで描かれませんでしたね。
セットになっている仲間達が「チーム武士」の皆さんですしね。
この回も回想での高校生活。
そして、そこから他の3人の学校での風景が多く描かれるようになります。「個人にスポット」です。
同級生達のサブキャラクターの登場が増えたのもそのためですね。
ちなみに、私がぱれっとを読み始めたのもこの巻の頃から。キャンプの後編からです。
それから時々雑誌も読むようになって、気が付けば毎月購読するようになって、毎月先生に感想を送るように。
面白いくらい加速度的にハマっていたんですね。
単行本で出るのを待ちきれなくて雑誌を読むようになったんです。
雑誌も読むようになったきっかけ、その一つがこの作品であった事は疑いようがないです。
で、このキャンプのお話では普段「夏希の妹」としての姿が多く描かれる秋乃が、「冬香ちゃんの姉」として描かれるお話。
この子の飾らない言葉は本当にまっすぐに心に伝わります。
サブカル作品で登場する「賑やかなキャラ」は、見ているだけなら楽しいのですが実際にいると胃もたれしそう・・・ということが多いです。
けど、この子は実際にいても楽しそう!
そう思えるのは、賑やかなだけでなく、こういう一面も併せ持っているからなのかもしれないです。
何かと抜けた所が多く描かれる彼女ですが、その深い愛情は立派な「姉」です!
この巻では「個人にスポット」ですが、だからこそなのかもしれないのですが、それぞれの魅力満載なだけでなく、それぞれがどれだけ家族のことを想っているかが伝わって来るエピソードが多いです。
特に印象的だったのがダイエットのお話(P87〜)なんですが、与一の『「家のご飯がおいしい」と言えることが幸せだ』という言葉。
当たり前に思っているすぐ近くにいる人。その人がいることがどれだけ特別で幸せなことなのか。
当たり前のことに感謝するということ。一緒にいてくれることに「ありがとう」。
巻頭&巻末の描き下ろしも、「家族がいてくれる」そんな当たり前のことに幸せを感じるというもの。
一人暮らしをしていると感じます。
下らない話を聞いてくれる人がいるという喜び。
何気ない出来事を共有できる温かさ。
「ただいま」と言える幸せ。
そういう繋がりを強く感じる巻です。
だからこそ、この後の4巻のエピソードがより深く感じるんです。
多分、そういう構成なんでしょうね。
他に、この巻の特色としては、キャンプにて初の前後編。
初のコマ割り(P35〜)。
そして、文化祭での2つの視点から同時間軸を描くお話。
新たな試みが幾つもありました。
いつもと違うことをするというのはすっごく大変。でも、多くの試行錯誤や気付きがあり、ステップアップには必要なこと。
この経験が先生のさらなる飛躍の糧になりますように!
さぁ、語る内容が増えてきましたよ!
4巻で自分がどれだけ語るのか想像もつきませんよ!