表紙の折り返しに「前巻よりも季節成分が少しばかり多めです。」とあり、事実、最も季節のイベントをふんだんに盛り込んだ巻です。
そのため、夏希の解説の機会も増えました。
四季家だけでなく、サブキャラクターの皆さんも活躍が増えました。
特徴的なのは、他の作品の様にメインキャラクターが増えることは無いという点。
多くの作品はテコ入れに新レギュラーを加えることが多いです。長期連載作品はほとんどがそうです。
でも、この作品はメインは四季四姉妹です。そのため、そこに変更はありません。
それだけでなく、サブキャラクターも活躍こそ増えましたが初期設定のまま増えることはありません。
つまり、初期設定のまま長期連載を完結させたことになります。
これ、単純なことに見えますが実は凄いこと。
なぜなら、それが出来る人、つまりは固定した条件で話を広げていく技術を持った人って意外と少ないんです。
他にいるとすれば、「GA 芸術科アートデザインクラス」・「棺担ぎのクロ。〜懐中旅話〜」のきゆづきさとこ先生や「ひまじん」の重野なおき先生といった実力派の方々くらいでしょうか。
特に「GA」や「クロ。」は詳細な設定があることで有名。COMIC ZINさんでの購入特典でラフスケッチ集がありましたが、作品に対する情熱が凄いです。
「四季おりおりっ!」も、初めこそ(読み切りだったため)設定を考えずに、かもしれませんが、連載化以降はしっかりとした世界感の中で物語が展開しているのです!
だからこそ、一人一人のキャラクターにかける愛情も深いんでしょうね。
作品から滲むキャラクター達への愛情が誌面から溢れ出しています。
4巻のカバー裏でサブキャラクター達のそれぞれの裏話がありますが、なるほど、一人一人としっかりと向き合って生み出された子供たちだったんですね。
画風も安定していますが、1巻の頃と比べると若干頭身が下がり、全体的に丸っこく、目が大きめになって可愛らしい感じです。
エピソードも家族の絆や、お互いに足りないところを補い合うという温かいものや、「それだけではない」内容も増えました。
個人的にその中でも強く心に残っているのはP19〜 の運動会のお話。
一生懸命な冬香ちゃんだからこそ、家族が大好きだからこそ、家族に協力してもらって練習しても結果が出せなかった事が悔しい。
そんな冬香ちゃんに対する秋乃の言葉。まっすぐで優しいその言葉は、裏表がなくて冬香ちゃんのことを本当に大切に思っている秋乃だから言える「姉としての」言葉。
そして、飾らない彼女だからこそ、その言葉が相手にすぅっと自然に受け止められるんでしょうね。
1巻P65でボキャブラリーの無さを指摘されている秋乃ですが、だからこそ伝わる想いもある。そう思います。
5年4巻に渡るエピソードの中で、恐らく最も心に残っているのはP59〜 のエイプリルフールのお話。
冒頭の「それだけではない」という言葉が最も相応しいと思っています。
優しいだけが愛情ではない。間違った時には叱ってくれる。そして、それも全部含めて愛してくれる人がいる。
大好きな人に嫌われたくない。だけど、それ以上に大切な人だから厳しいことも言わなければいけない。
そして、その後に傷つけてしまった心を抱きしめてあげる。
他の所でも書いているんですが、
あえて厳しい態度を取ったのは、秋乃たちの反省を促すだけではなく、秋乃たちを「一方的に謝罪する立場」にしないようにという彼女の思いやりだったのではないかな、って勝手に思っています。
作品全体のコミカルさと深くて真摯な愛情が共存するエピソード。
こういうエピソードを優しい雰囲気で表現出来るというのは、ホントに素晴らしい事です。
是非是非、実際に読んで頂いて、P66の夏希の後ろ姿や春菜さんの言葉から何かを感じ取って頂きたいです。
こうやって見ていると、あたしの場合はこの作品のそれぞれの繋がり方や想い合う姿に強く惹かれているんでしょうね。
だからこそ個々人ではなく、「彼女達」が好きなんです。
勿論その中で、共感する部分や、自分と似ている部分なんかを感じて嬉しくなったりすることもありますケド。
全然関係ない話をします。
P78で秋乃が考案した服。
それのズボン版を漫才コンビ「ますだおかだ」がネタで「春夏ズボン」と称して使ったことがあります。
はい、関係の無い話でした。