この巻に収録されている話は、雑誌掲載時に毎月先生に感想をお送りしています。
ここではその全ての内容には触れません。べらぼうな量になるので。
それに加え・・・その・・・こういう場だと恥ずかしくなるようなことも書いていたので・・・
や、ホントかなり真面目に語っちゃってたなぁ、って内容で。特に終盤は。たはは・・・
でも、これは覚えておいて下さい。
作品を通じてどころではなく、エピソード一つ一つに長い感想を書けてしまうくらい感じるものがある作品だということを。
毎月感想を書くのが楽しみでした♪
最終回の後も、何かと口実を作ってはご連絡をしています。
アンケートも、ぱれっとのアンケートでこの作品に触れなかったことは1度もありません。最終回の後もです。
最終巻が出たので、流石に自重しようとは思いますが、何かの折に触れたり、「今後ぱれっとで読みたい漫画家」の欄は先生の名前を並べるでしょう。
先生自身、今後どうされるのかは決められていないそうですが、「連載終了後もアンケートで名前が挙がる」なら、もしまた一迅社さん絡みのお仕事をされることになった場合の小さな助けになるかもしれませんし。
ま〜・・・そんなことを考えちゃうくらい、「特別」なんです。
個人なので、それくらいしか出来ることがないってのもあるんですけどね。
出来ないことは無理しない。でも、出来ることには全力で。乃凪いるかです。
いきなりですが、特に心に響いた言葉、それは巻頭描き下ろしの
「「ありがとう」って言ってくれて ありがとう」
もう、この言葉が大好きです!
この一言に、ホントに深い意味と愛情が詰まっています。
2巻の巻末ストーリーでも冬香ちゃんが春菜さんを「おかん」と呼びかけていましたが、春菜さんには家庭的な温かさを感じます。
夏希が一番しっかりして、中心となって家族を纏めているように見えますが、それを優しく包み込んでいるのが春菜さん。
本当に、この姉妹は色々な意味でバランスが取れています。
お正月のお話で冬香ちゃんの夢(P17〜18)がありますが、あれはホント新鮮でした。
いつも頼られる側の夏希が甘えて、
春菜さんの目が開いていて(幼少期の春菜さんは目が開いています)、
秋乃は・・・いつも通り?
うん、この子はホントに純真なまま大きくなったんですねぇ。
んで、その次の次の回の扉(P27)ではちびキャラにデフォルメされた4人。
これも新鮮で可愛い♪
そしてP81〜 の七五三のお話では彼女達の幼少期の姿が再び。
しかも、七五三なのでおめかししています。
P97〜 でも幼い夏希と秋乃が登場します。
この巻では3巻とは違うアプローチでの4人のいつもとは違う、特に幼少期の姿が多く描かれましたね。
よく「朴念仁」と称される夏希ですが、作中でホントに色々な表情を見せてくれます。
お正月のお話での冬香ちゃんの夢の中のちっちゃい夏希はまた別枠としても。
確かに朴念仁です。そういう印象を読者に与えながら、その心の内もしっかりと表現する。今、彼女がどう感じているのかがしっかりと伝わる。
相反する2つの性質が1つの形になっています。
それは僅かな表情の違いであったり、雰囲気であったり、空気の描写であったり・・・
この舌を巻く程の描写力が本作の大きな魅力のひとつ。
それを最も強く感じたのが海のお話での春菜さんと夏希の心情表現。
緊迫感や感情を、表現の限られた4コマという世界から強く感じますし、何よりもP61の「血の気の引く言葉」での二人の表情。
特に、感情を顔に出さない夏希の心の内を表したあの表情はまさにお見事でした。
あのコマだけで、二人がどれだけの恐怖を感じたのかがひしひしと伝わってきました。
私自身、「いるか」なんて名前をしていますし、泳ぎは得意。だからこそ、「水の事故」の恐ろしさも身に染みています。
「助けようとした人も」という事態は、ホントにありうるんです。たとえどんなに泳ぎが達者でも。
だからこそ、敢えて、ともすれば本当に嫌われてしまうかもしれないような嫌われ役をかって出て、冬香ちゃんを諭す静かで深い愛情。
優しく包み込むように夏希の真意を冬香ちゃんに伝える温かい愛情。
「自分の心を素直に表現すること」が苦手な夏希と、その気持ちをしっかりと汲み取って家族の気持ちを繋げる春菜さん。
この回は「お姉ちゃんらしさ」が凄く印象的でした。
やっぱり、この姉妹は4人で足りないところを補い合えるいい関係ですね。
そして、それを「4コマ」という制限の多い(ホント表現の制限が多いです)舞台で表現することの出来る先生。
いやはや・・・「流石」以外の言葉が見当たりません。
実はこの海の話でもう一つ先生の凄さを感じる点があります。
それは冬香ちゃんがうきわを抱えるシーン。
この時、普通の作品ならただうきわが描かれるだけです。それだけでも何の問題もありません。不自然に思う人もいないでしょう。
でも、うきわって大抵透けていますよね。この作品では、そんなところも忠実に描写しているんです。
しかも、向こうが透けているだけでなく、透明なうきわの向こう側「うきわに触れている部分」まで描かれているんです。
ホントにさらっと流しても気が付かないようなところにまで手を抜かない作品への真摯な姿勢は流石の一言です。
作品の空気というものがあります。あえてラフな描写の方がマッチする作品も多いです。多くはコメディテイストの多い作品。
敢えて小物や背景を簡略化する作品。これは空気感や軽いテイストが特徴の作品に多いです。
そしてこの作品は、この繊細な描写があるからこそ生み出せる空気。それがあることで魅力がさらに引き立つ作品。
やっぱ先生にしか描けない作品です。
漫画をほとんど読まない母に「4コマってどんなん?お勧め貸して」と言われ、真っ先に出したのがこの作品。
その母に、「あんた、まんま夏希やん」と言われたことがあります。
スペック的な話ではないです(この子のハイスペックは常識を逸脱しています)。
クールだけど温かい・・・も自信がありません。まあ、そもそも「大阪人スイッチを入れると賑やか」ですし(スイッチを入れない時は結構静かです。意外かもしれませんが)。
私も雑学好き。色々と「それはね・・・」と解説する機会が多いです。多分、似ているというのはそういうところでしょう。
他にも共感する所が一番多いのはこの子です。
繰り返しになりますが、この子の様に、物静かでもないですし、深い愛情に溢れているわけでもないですけどね。
そんなこともあり、何かと気になっているのが夏希。
上で「色々な表情を見せてくれます」と書きましたが、ホントにそう。
家族といる時と友人といる時の違いや、慌てた時に口数が増えること。
1巻P97やこの巻のP38・P84で一人だけ我関せずとしているシーンがあるかと思えば(このネタ、すっごく好きです)ボケなのか素なのか分からない言葉を発したり(ホント、この子は狙って言っているのかどうか分かんない)。
実は結構お茶目さん?と思っています。
そして、私の得意料理かつ好物のひとつであるビーフストロガノフ。
元々2巻P16で彼女が作っているのを見て、「あの夏希が『凝った料理』と言うなら・・・」という挑戦で作ったのが始まり。
それ以来、作るようになりました。
母に言われたからではありませんが、なんとなくシンパシーを感じる所があるのは事実。
P103で「真似ばかりしなくたって」とありますが、無意識で似ている所があります(改めて言います。ハイスペックな所ではありません。あたしゃ天下無双のロースペックです。広く浅く・・・がモットーですし)。
P52では腕一本でサクレ・クール寺院のサンドアートを作っていましたが・・・あれはマネ出来るとか以前に・・・人間技じゃない!
その夏希が終盤でいなくなります。
その時のエピソードは夏希不在。・・・でも、いるんです。
や、混乱させたいわけではないです。そう、「いないけどいる」という感じなんです。
この「いないのにある存在感」は、やっぱりこの4人が「4人で1つだから」なんだな、と改めて感じました。
秋乃が夏希の代わりをしようと空回りし、冬ちゃんが「いつもどおりの秋姉ぇがいい」と泣いて、やっぱり欠けた誰かの代わりなんて誰にも出来ない。
いつもお互いの存在を何よりも大切に思い合っている彼女達だからこそ、なおのことなんですね。
「いることが当たり前で、空気のように思っていた」でも、いなくなるとその存在の大きさに驚かされますが、「いることにいつも感謝して、お互いにとってかけがえのない存在」がいなくなるのはホントに大きな事ですよね。
表紙の折り返しに「メインテーマの家族成分をふんだんに盛り込みました。」とありますが、まさに「4人で1つ」の家族なんです。
でも、ぱっと見はそうですけど、個人的には「6人」だと思っています。
そう、「いないけどいる」。
登場こそ少なかったですが、お母さんはやっぱり四季家のお母さん♪
そして、彼女達の心にはしっかりとお父さんがいます。
2巻P98や3巻の巻末描き下ろしで夏希の心に大きく存在があるように、春菜さんの想い出にしっかりと刻まれているように。
連載時のこの終盤辺りの先生に送った感想は、冒頭で言った「こういう場だと恥ずかしい」ですので、ある程度割愛を・・・
ただ、この終盤での「秋乃の成長」は多くの感じる所があります。
きっと、読んだ方々一人一人が様々な事を感じられたと思います。
その全てが正解です。心に残った暖かい何か、それが答えなんです。
そして、「後追い人」がいつか辿り着く答え。
今はまだその入り口かもしれませんが、自分で決めて自分で歩む。それが出来る様になったならば心配はいらない。
だって、もう後を追うだけの秋乃じゃないから。
「周りの人を元気にする」
そんな夏希に負けない大きな魅力を持っているんですから!
この巻での最大の特徴は言うまでもなく、その終盤の展開。
(単行本ではP72にて)暦さん(四季家のお母さん)から電話があった次のお話で、暦さんホントに登場!
珍しく話が続いているんやなぁ、くらいに思っていました。
でも、そこから毎回話が繋がるように。
「もしかして」と思い、そして・・・夏希が暦さんに呼ばれて。
単行本の3巻が出た時期から計算して、あと何話くらいで4巻分が溜まるかは分かります。
その頃には、ある程度の覚悟は出来ていました。
確かに、表紙と背表紙のルール(4人がそれぞれメインで描かれる)から考えて4巻が丁度いいでしょうし(本巻あとがきで当初よりその予定だったことが語られています)。
それから、どういう結末になるかを色々と想像したりもしました。
やっぱり、パソコンは伏線でしたね。夏希の性格的なところも(この子が姉妹たちと離れて暮らすことに耐えられるとは思えないですよね)。
他にも、ちょっとしたネタやエピソードが後の伏線になっています。
終盤の繋がったお話は6話(敬老の日のお話から最終回まで)。
つまり、そんなに前からラストに向けて動き出していた。
自ら幕引きの時期を決めていたからこそ出来ること。
多くの作品を見てきましたが、ホントにそういう「計算して準備を重ねての大団円」を迎える作品って珍しいです。
そして、最後はやっぱり4人の笑顔。
4人揃っての笑顔がやっぱり一番ステキです♪
・・・細かい所はかなり削ったんですが、それでもあり得ない量の感想に。
まだまだ語りたいところは山ほどあります。心理描写の巧みな所や話の組み立ての緻密さ。彼女達の魅力。
その全てを語るとそれだけで本が1冊出版出来ちゃうんじゃないか?ってくらい語れます。
や、既に研究レポートと併せたらそれくらい語ってるんじゃないかな?
まあ、書いたとしても「それじゃあこれも!」と際限なく膨らむのは目に見えていますので、ひとまずこれにて4巻の感想を締めさせて頂きます。
別れが辛いのは一緒にいた時間がそれだけ楽しかったから。
多くの人が終わりを残念に思っているってことは・・・ね。
これからも季節を感じる度に彼女たちの事を思い出すでしょう。
そして、彼女たちに会いたくなった時、またページをめくることでしょう。
もし、まだこの作品を読んでいない方がこの感想を読んでいたらぜひ、手に取って頂きたい。
一人のお笑い大好きな大阪人が、ネタを挟むことなく真面目に語ってしまうくらいステキな作品なんですから。