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四季おりおりっ! - 1巻

帯のコピー:春夏秋冬・・・4人が揃えば毎日が面白い!! ザ・姉妹愛(ハート)

読みきり、そして隔月連載を経てぱれっとを支え、表紙も幾度となく飾る看板作品に。
そのスタートとなるのがこの1巻。
まだ4コマをほとんど知らなかった頃にネットで評判を聞きつけ、取り寄せて読んだのが始まりでした。
その後、雑誌も時々読むようになり・・・気が付けば4コマバカ一代なサイトマスター。
面白いのにまだまだ広く知られていない(当時4コマは業界自体が酷くマイノリティー。おまけにぱれっと作品は置いていない店も多かったです)、そういう作品がまだ多くある筈。
次第にそういうのを探して読むようになり、それを多くの人に知って頂きたい。
あの時期にこの作品に出会っていなければ、4コマにハマることもなく、きっとこのサイトはありませんでした。

この巻のあとがきにて、「まさか連載になるとは思っていなかったので、1〜7話辺りまでは設定やらキャラクターを一切考えていなかった」とありますが、確かに序盤はその後の彼女達と違う印象を受けます。
画風もそうですが、夏希と秋乃は大きく違います。
夏希は言葉遣いが今よりもやや乱暴でバックドロップや蹴りといった格闘技をツッコミで使用していましたし、秋乃は秋乃でお姉ちゃんLOVEが百合風味でした。
また、秋乃の夏希の呼び方が「夏希お姉ちゃん」です(その後は春菜を「姉さん」、夏希を「お姉ちゃん」と呼ぶように変わります。4巻の雪合戦がその呼び分けが分かりやすいです。)。
冬香ちゃんと春菜さんはそれほど大きな違いは感じませんね。
何よりも大きな違いは、序盤は季節イベントネタではなかったこと。いわゆる普通の姉妹モノの様でした。
最初に季節ネタがメインとなったのはP43の夏祭り(メインでなければその前から出ていますが)。
でも、行事に関する夏希の解説はP23で既に出ています。その後しばらくお休みでしたが。
この夏祭りの辺りから皆さんご存知の四季家、という雰囲気です。
画風もそれを過ぎたあたり、クリスマス辺りで我々のよく知るものになっていきます。
優しくて、あったかくて、家族で季節の行事を楽しむ本作のスタイルが固まった時期なんじゃないかと感じます。
そして、それ以降、ホントにブレないです。この作品は。
私も色々とレポートを書いています、この作品に関しては。
いつも思うのは、綿密な設定があって、それにしっかりと基づいて描かれているということ。
だからこそ安定感があるのだと思います。
おっとりしていて優しくて、頼りない所もあるけれど全てを包み込んでくれるような春菜さん。
天才朴念仁で、でも家族を誰よりも愛していて、時折分かりにくい冗談を挟むことのある夏希。
単純で能天気なアホの子(4巻P103参照)で、でも周りのみんなを笑顔にしてくれる秋乃。
四季家の小さな主婦で、純真で大食いな商店街系アイドル(1巻P96参照)の冬香ちゃん。
季節という名の組曲を奏でるカルテット、完成しています。

というわけで、序盤はちょっと違う雰囲気に戸惑うかもしれませんが、中盤以降はご存知「四季おりおりっ!」です。
作品の魅力は幾つもあります。
優しさや温かさ、季節ネタや家族の愛情。繊細で綿密な描写や作品が持つ空気そのもの・・・
挙げていくとキリがありませんが、それらが一つの作品として形になっていく過程を見ることが出来る巻です。

この巻で私が一番好きなエピソードは、P83〜 の母の日のエピソード。
何でも出来るように見える夏希が唯一苦手とすることが、気持ちを表すこと。
自己表現が苦手なため、母の日に何を送ればその気持ちが伝わるのか。
それを副担任であり友人でもある雨峰先生の元へ相談に訪れます。
その時の雨峰先生が言った「贈り物」の意味とそれに対する夏希の「母へのプレゼントの形」という答え。これが深いです。
内容も、花言葉を扱う所も、「こういうことで悩む」ということ、そして彼女達の言葉。
先生ならではの優しくて深みのあるエピソードです。
夏希が「母に感謝の意を伝えるということ」に真摯に向かっていたからこその言葉の重みと答えの意味だと思いますしね。

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