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ゆたんぽのとなり

作者 吉谷やしよ 作者HP
※バナーは以前のサイトのものを使用
掲載誌 まんがタイムスペシャル(芳文社) 単行本数 実質2巻(連載終了)
Wikipedia ゆたんぽのとなり
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内容 超貧乏兄妹「渡辺祐二」と「和実」。そして犬の「ポン」。
そんな彼らの隣に引っ越してきたのは大企業の箱入り娘「柚由たんぽぽ」、通称「ゆたんぽ」。
何から何まで世間の常識とズレたちょっとのほほんなお嬢様と、今日を生きることに必死な兄妹。
おまけに和実は重度のブラコン(同じくらい現金主義)で・・・
ハイテンションコメディを得意とする先生が描く湯たんぽのようにあったかなコメディ。
先生の他の作品の様な過激な表現はほぼ登場せず、一般家庭から両極端に逸脱した両者のギャップや破天荒な言動がコミカルに描かれる。

連載はタイムスペシャルではあるが、単行本は諸事情から先生本人の手によって同人誌として出版された。
なお、1巻に相当するのが「左」。2巻に相当するのが「右」という呼称になっている。
2011年の冬コミに「左」が、2012年の冬コミに「右」が発売された。
両者共に『MelonBooks』に委託販売されている(2012年12月31日現在で「左」は品切れ)。
感想 先生の作品といえば「ハイテンション」「被害者あり」「ハイレベルな喧嘩(アクション)」「流血沙汰」「首が外れる」。
4コマ界最強のスラップスティックと言っても過言ではありません。
ところが、この作品はそれらとは打って変わって穏やかな作品です。
当然ぶっ飛んだ所は健在ですが、掲載誌が一般4コマ誌ということもあり表現もかなり抑えられています。
「総天然セレブ」と「器用貧乏」の二組、補い合って初めて日常が成立する(by 吉谷やしよ先生)。
この一般からかけ離れた両者から生み出される数々のギャップが主なネタ。
日常生活の全てがコメディに変わってしまう人たちです。
ぱっと見て「ゆたんぽの世間知らずっぷりや金銭感覚、天然っぷり」がピックアップされるかもしれませんが、渡辺家の常識を超えた貧乏っぷりも半端ではありません。
「なぜお二人はここで生活できているんですか?」

その中で、「左」でもなかなかのベクトルのずれたハイスペックぶりを発揮していた渡辺兄妹。
「右」では特に兄の祐二のハイスペックぶりがさらに描かれています。
万能選手なんです!
そして何より・・・それを打ち消す不幸っぷり!
「右」P27「ラッキーブレイカ―」ではその不幸スキルは作中最強と思われていた「ゆたんぽさんの幸運」にすら打ち勝つレベルであることが判明。
P80では秋田さんから的確な評価を頂戴しています(何と言われているかは単行本で確認しよう!)。
でもまあ、人間関係が恵まれている時点で全然不幸ではないですよねっ!

先生の作品の大きな特徴は、他の作品ではメインキャラに「最強にして最凶のヒロイン」がいるということ。
この作品では純真でぽやぽやな天然箱入り娘。
真逆です。
それがこの作品が先生の他の作品と全く違う点です。
光撃をかわす動作から割り箸で頭蓋鼻骨結合部を貫きません。S・ドライバーを発動させません。メイド奉仕殺法も使いません。般若面の教師でもありません。
風神でも雷神でも鬼神でもありません。
ただ単に、億単位が被害にならない程度のお嬢様っていうだけです。
・・・そちら方面にぶっ飛んでいるというわけです。
祐二君や和実ちゃんがいなかったらホントに生活が成り立たない。でも、全く憎めなくて見ているとあったかい気持ちにさせてくれる無自覚トラブルメーカー。
それがこの作品のヒロインなのです!

今回の被害者さん。
途中から参戦のお嬢様、「秋田真知」さんです。
ゆたんぽさんが尋常ではなく純真かつド天然のため、全くの無意識に被害を与えています。
というか、ゆたんぽさんと秋田さんは途中までほぼ面識がありませんでした。
面識無しで被害・・・
まともに対面したのは「左」P83にて。
出番はそれほど多くありません。
と言いますか、被害と言っても先生の他の作品の様に物理的な被害はほとんどなく、自爆に近い精神的ダメージがほとんどです。
また、いわゆる「扱いやすい人」でもあるので、それ関連も多いです。
ゆたんぽさん自身は全くの純真で、秋田さんは扱いやすいタイプ。
ゆたんぽさんは秋田さんの事を「優しくて面倒見の良い方」と称し、秋田さんは秋田さんでゆたんぽさんをほっとけない。
結果として、いいコンビなんじゃないか・・・
でも、やっぱりゆたんぽさんがメインで保護者の渡辺兄妹が一緒に出演というのが基本の形です。
構図として分かりやすくて対比の存在というのが読みやすさに繋がっていると思います。
それに加えて、先生のネタはホント「直感で笑える」ネタですしね。
先生の作品の方向性といえば最初にも語ったように『4コマ界最強のスラップスティック』。
でも、その中にあったかい話や絆のお話もあったりします。
この作品はそのあったかい所をふくらませて、その世界にマッチしつつインパクトの大きなネタをぎゅぎゅっと詰め込んだ、そういう作品。
なので、4コマ目にはオチのある「4コマらしい4コマ」ではありますが、大オチにあったかかったり幸せな締め方という時があります。
あったかくてインパクト抜群のご近所コメディです♪

好きなものは多くの方に知って欲しい。人間だもの。
というわけで、世界最強かつ無料でどこにも属さない最高の宣伝の場だと思っております、Wikipedia。
漫画作品の場合は色々制限があるようなのですが、同人誌という形とはいえ2巻も出ており、雑誌連載作品。
書かせて頂きましたともっ!こちらをご覧下さい!
雑記 「内容」でもちらりと触れていますが、タイスぺで連載され、その原稿は単行本2巻分にもなります。
しかし、なぜか単行本が出ることはなく、先生ご自身が連載終了から約2年後の2011年の冬コミ(コミックマーケット81)にて連載分の前半分が同人誌として出版されました。
同人誌と侮るなかれ!
装丁は通常の単行本と見まごうばかり。
さらに、バーコードや価格にも遊び要素が散りばめられています。
そして、帯は千葉の4コマ王「重野なおき」先生が!
その1年後の2012年の冬コミでは後半を纏めた「右」が発売。
こちらも同様に凝った装丁!
帯はなんとあの4コマクィーン「師走冬子」先生!
いやはや、中身だけでなく全てが豪華でございます。
単行本 発売日 ・左:コミックマーケット81
・右:コミックマーケット83
試し読み まんがタイムWeb:オススメ4コマ紹介
関連項目 ●ジャンル ハイテンション
お嬢様モノ
貧乏モノ
●チャート 笑い
万人ウケ(高い)
●データ 資格(普通自動車運転免許)
同人誌
●作品研究 姉戦士日和
●作者別 作者別作品一覧 ●各巻感想
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