小説コラム
描写の練習 そのニ
一つ断っておきますが、いくら“裏技”といっても、「コレを読んだだけで一瞬にしてプロ並みの小説を書けるようになる!」なんて、神がかったもんじゃありません。というか、そんなものこの世に存在するのなら、私が知りたいくらいです。むしろ、最初からそんなキャッチフレーズを謳っていたら、私は逆に胡散臭すぎてそそくさと退散しますね(w。これから紹介する裏技は前回の裏技を同様に、ある程度の学習は必要です。時間もかかりますし、面倒な部分もあるでしょう。でも、その分ちゃんと効果も出るものなので、安心して聞いてくれたらな、と思います。
さて、
『執筆力』
というのが今回のテーマなわけですが、私はこの言葉を「小説を書く基本的な能力」という意味で取り上げました。すなわち、私たちの小説を書く能力を根本から底上げしようというのが今回の裏技の目的です。
随分と深大な問題を抱えてきたなと思われた方もいるでしょうか。「本当にそんな方法が存在するのか!」と疑心暗鬼に陥ってきた人もいるでしょう。いや、正直、書いてる私もコトの重大さに押しつぶされそうな思いです(苦笑)。
まぁなんといっても所詮は裏技ですので、「そんな方法もあるのか」といった軽い気持ちで読んでください。
ところで、みなさんが小説を上手くなろうと思ったら、まずどんな行動をとるでしょうか。「とりあえず小説を書きまくる!」という方法もありますが、正攻法としては、前回の裏技の序盤にも話した「たくさん小説を読む」ことでしょう。
そうです。そして、今回の裏技も結局はそこに尽きます。
ということで、みなさん本をたくさん読みましょ~!
……えっと、ベタな展開ですみません(w。ご察しのとおり、これで終わりじゃありませんのでご安心を。
でも、「たくさん読む」というのは変わりません。今回の裏技でも、まずは小説を読むことが大前提としてあります。
しかしみなさんは、「たくさん小説を読む」と聞いたときに、その“小説”とは何のことを想像したでしょうか?
例えば、恋愛小説を書きたいと思った人は、プロの恋愛小説を読み漁るべきですし、SFを書きたいと思った人は、プロのSF小説を読みまくるべきでしょう。
ですが今回の裏技では、あえて素人の、それもヘタッピ~の人の小説を読みましょう。
私も、こんなサイト運営してるくらいだから、他の人の小説の批評を書いたことが何度もあります。そこで感じたことですが、上手な人の作品ほど批評が書きづらく、下手な人の作品ほど指摘をしやすいのです(当たり前っちゃあ当たり前ですが)。
これが何を意味しているかというと、良い点を発見するよりも、悪い所を見つける方が簡単だということです。いわば、反面教師になってもらおうということですね。
「あっ、この人のこのストーリーはちょっとアリフレだよね~」
とか、
「うわっ、こんなチンケな表現使っちゃって……。自分はもっと上手い表現を使ってみよう」
と、なるわけです。
じゃあ何故プロの作品はダメなのか?
いや、別に、ダメとはいっていません(w。ただ、プロの作品はかなり完成度が高いものなので、そこから汲み取れるものはそんなに多くはないのです。
もちろん、個々人の差というものもありますから、上級者のみなさんはどんどんプロからいいところを吸収すればいいし、あんまり自分とかけ離れた悪い作品を読んでも、得るものは少ないでしょう。自分と同じ、もしくはそれよりはちょっと下手かな、くらいの小説を読むと、上達の効果は格段に違ってきます。
と、いうことで、今回は、初心者から中級者を中心としたお話になってしまいました。裏技の言葉につられてしまった上級者のみなさま、がっかりさせてしまって申し訳ありませんでした(笑;。
遠藤敬之 2005/04/28 記