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Devil+Angel=Reo
小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 完結
前書き・紹介
第二部・第15話。
前の話 | 目次 | 次の話 |
「せせせ瀬宮真希ー!?」
珍しく、鋼夜春袈が驚きを隠せないほど、大きな声を出し、叫びに近い声を出した。
そして春袈ほどではないものの、勿論、紅來璃維も桐生刹那も、ライナ・メロディスも桐生媛も予想外の瀬宮真希の登場により驚いているのは同じだ。
「お久しぶりです。紅來君。そして春袈」
お辞儀して微笑みながら真希は言った。
「何で、瀬宮真希が……!?」
ライナは目を見開き、同じNEV機関員の真希を見る。
それもそうだ。
元々、この瀬宮真希という少女はこのレオ争奪戦には参加できない仕組みになっていたから。
「皆さん、面白いほどリアクションしますね」
笑みを深めて、真希は青く長い髪を右手で梳く。
「それに、ライナと春袈。あなた達は本当に面白い」
「真希は確か技術部員で」
「ええ。今までだったけど」
右手を口元に当て、笑いを堪える真希。
この瀬宮真希。
NEV機関員だが、レオ争奪戦には裏方にしか参加できない技術部署の一人であった。
確か、部署を纏めているのはシェリアード・オーディだったか。
噂程度だが、真希とシェリアードは同じ技術部員として仲良き関係だと聞いた。
でも。
〈シェリアードは部署を纏める立場ではなく、技術部員だしなぁ〉
そう。シェリアード・オーディという少女は確かに、技術部署を纏める立場にある。
しかし、シェリアード自身がその立場になく、一人の技術部員として働いているのだから、いくら部署を纏めているシェリアードに「どうして瀬宮真希を異動させた」と言っても無意味だろう。
それに、ここに瀬宮真希が居るのとシェリアードは無関係とみる。
……ここまで、紅來璃維は思考し、真希に問いかける。
「まさか、瀬宮……お前、戦闘部署に異動したのか?」
これしか考えられない。
だが、この戦闘部署は自分もよく知る、元同僚の鋭意早紀が部長を務める部署である。
瀬宮真希がもし、今の言葉に頷くならば……。
「ええ。私は技術部員兼戦闘部員ですよ? 紅來君」
ここに瀬宮が居る事に鋭意早紀が関係している事は確実となる――。
「んで? 今まで瀬宮の登場に気をとられてたけど、何で3人とも来るわけ?」
意外にも口を開いたのは媛だ。
「年上に対する言葉遣いとは思えませんが、桐生媛さん?」
「別に。アンタに対する言葉遣いなんてどうでもいい。早く答えなよ」
可愛くない返答に一瞬、媛の言葉に注意した真希の頬がピクリと動いた。
「まあいいでしょう。紅來君。翼が失踪したのは知ってるよね?」
……どうやら、この瀬宮真希。自分が認めた相手にしか、対等に話さないらしい。
璃維に対してと他の人間に対しての言葉遣いが違う。
「勿論。といっても、さっきだけどな。翼の失踪を知ったのは」
「それでもいいよ。知っておいてくれれば」
頷きながら話す真希。
「それで? 今、大天使が3人しか居ない以上、レオ争奪戦を中止するか、続行するか」
「続行しますよ? 当然でしょう?」
「当然、か……」
「それに、アッラーフも居る」
その真希の言葉に、今まで真希と話していた璃維が真希を睨みつける。
「ここには刹那も居るんだぞ?」
「うわ。紅來君、お怒りですか?」
璃維の低い声で発せられた言葉にも怯えず、真希はおどけてみせる。
「真希。それ以上、紅來の怒りをかったら……」
「大丈夫ですよー。そんな騎士さん、心配しないでください」
朝日奈翼の姉でもあり、ミカエルとして公務を行う朝日奈騎士の言葉にも耳を貸さず、璃維の怒りをさらに倍増させようとする。
そんな真希の心中は……真希以外には分からない。
〈どうせ、紅來君は攻撃できない。桐生刹那が居るから。
それに現段階で私は、桐生刹那にとっての害ではない。
害ではない以上、紅來君は私に攻撃できないもの。
……甘くなりましたねぇ。紅來君。期待してたのに〉
心中で溜息をつきながら真希は一人で呟いた。その言葉は決して外にもれることなく。
「紅來君。いい加減、鈴奈の願いも聞き入れたらどうなの?」
この言葉だけは、真希の璃維に対する苛立ちが表に出た。
鈴奈。しかし、この名前は本名ではない。
本名は、薄奈 鈴也。真希と璃維にとってはとても大事な名前。
初代アッラーフでもあり、本当の創造者。
それが真希や璃維が言う「鈴奈」の素性である。
「忘れたことはないはず。鈴奈の願い。あの子が私たちに初めてねだった、お願い」
「……スズナ?」
真希の言葉に刹那が反応する。
「あぁ、そうか。桐生刹那も絡んでいましたっけ。紅來君」
「どっちにしろ、今の刹那には関係ない」
「関係ないわけないでしょう? 旧アッラーフなのだから」
「アッラーフなんて関係ない、と言っている」
「紅來君。鈴奈の願いを忘れたの?」
「……忘れていない」
「なら、鈴奈の願いにアッラーフは必要不可欠だとも覚えているでしょ?」
「勿論」
「それなのに、どうして邪魔するの?」
最後の言葉はほとんど、苛立ちのみが詰まっていた。
〈これだから、甘いというのです。NEVにいた貴方は今ほど甘くなかった。
鈴奈の……鈴也の願いを叶えるため、どんなに憎まれてもよかった、と話した貴方。
そして今もそれは同じだと私は思っていたのに。
鈴也の願いを叶えるため、冷酷な貴方に期待していたのに……!〉
唇を噛み、心中で毒づく真希を見て璃維は言った。
「だけど、鈴也の願いはかなえる」
「桐生刹那をアッラーフに復職させないで、どうやって鈴也の願いを聞ける、かなえるっていうの!?」
部屋の白い壁を左手で作った拳で叩く。
「スズナ? スズヤ?」
混乱したままの刹那が、真希の言葉の終わりと同時に真希と璃維の間に割って入った。
「桐生刹那っ!?」
「刹那……っ!」
急に視界に飛び込んできた、刹那に驚く二人。
「私には、そのスズヤっていう人は知らない」
「知らないはずないでしょ!? 鈴也は貴女のせいで死んで……!」
涙を流しながら、訴える真希。それに答えるようにして。
「なら、私は覚えてない。そういったほうがいいのかもしれませんね。
でも私は覚えてないのです」
「そんなの、許されるわけない!」
「許す、許さないは貴女の勝手です。しかし、私の意見も聞いてもらいます」
涙でブレる視界に真希は思わず目を見開くほど、衝撃を受けた。
そこには過去、アッラーフの役職を務めたこともある少女が居て、その両目はまっすぐに自分を見つめていた。
「瀬宮さん。私はスズヤさんのことは覚えていません。しかし。
私はスズナさんのことなら知っています」
「!?」
今度は精神も衝撃を受ける。
〈桐生刹那が鈴奈を、知っている? でも、鈴也を知らないなんて……〉
それは予想外の言葉だ。
鈴奈と鈴也は同一人物である。だが、刹那は鈴奈は知っているが鈴也は知らないという。
「私が、スズナさんを知ったのは……夢の中です」
刹那の言葉に、真希は再度、刹那の両目を見返した。
珍しく、鋼夜春袈が驚きを隠せないほど、大きな声を出し、叫びに近い声を出した。
そして春袈ほどではないものの、勿論、紅來璃維も桐生刹那も、ライナ・メロディスも桐生媛も予想外の瀬宮真希の登場により驚いているのは同じだ。
「お久しぶりです。紅來君。そして春袈」
お辞儀して微笑みながら真希は言った。
「何で、瀬宮真希が……!?」
ライナは目を見開き、同じNEV機関員の真希を見る。
それもそうだ。
元々、この瀬宮真希という少女はこのレオ争奪戦には参加できない仕組みになっていたから。
「皆さん、面白いほどリアクションしますね」
笑みを深めて、真希は青く長い髪を右手で梳く。
「それに、ライナと春袈。あなた達は本当に面白い」
「真希は確か技術部員で」
「ええ。今までだったけど」
右手を口元に当て、笑いを堪える真希。
この瀬宮真希。
NEV機関員だが、レオ争奪戦には裏方にしか参加できない技術部署の一人であった。
確か、部署を纏めているのはシェリアード・オーディだったか。
噂程度だが、真希とシェリアードは同じ技術部員として仲良き関係だと聞いた。
でも。
〈シェリアードは部署を纏める立場ではなく、技術部員だしなぁ〉
そう。シェリアード・オーディという少女は確かに、技術部署を纏める立場にある。
しかし、シェリアード自身がその立場になく、一人の技術部員として働いているのだから、いくら部署を纏めているシェリアードに「どうして瀬宮真希を異動させた」と言っても無意味だろう。
それに、ここに瀬宮真希が居るのとシェリアードは無関係とみる。
……ここまで、紅來璃維は思考し、真希に問いかける。
「まさか、瀬宮……お前、戦闘部署に異動したのか?」
これしか考えられない。
だが、この戦闘部署は自分もよく知る、元同僚の鋭意早紀が部長を務める部署である。
瀬宮真希がもし、今の言葉に頷くならば……。
「ええ。私は技術部員兼戦闘部員ですよ? 紅來君」
ここに瀬宮が居る事に鋭意早紀が関係している事は確実となる――。
「んで? 今まで瀬宮の登場に気をとられてたけど、何で3人とも来るわけ?」
意外にも口を開いたのは媛だ。
「年上に対する言葉遣いとは思えませんが、桐生媛さん?」
「別に。アンタに対する言葉遣いなんてどうでもいい。早く答えなよ」
可愛くない返答に一瞬、媛の言葉に注意した真希の頬がピクリと動いた。
「まあいいでしょう。紅來君。翼が失踪したのは知ってるよね?」
……どうやら、この瀬宮真希。自分が認めた相手にしか、対等に話さないらしい。
璃維に対してと他の人間に対しての言葉遣いが違う。
「勿論。といっても、さっきだけどな。翼の失踪を知ったのは」
「それでもいいよ。知っておいてくれれば」
頷きながら話す真希。
「それで? 今、大天使が3人しか居ない以上、レオ争奪戦を中止するか、続行するか」
「続行しますよ? 当然でしょう?」
「当然、か……」
「それに、アッラーフも居る」
その真希の言葉に、今まで真希と話していた璃維が真希を睨みつける。
「ここには刹那も居るんだぞ?」
「うわ。紅來君、お怒りですか?」
璃維の低い声で発せられた言葉にも怯えず、真希はおどけてみせる。
「真希。それ以上、紅來の怒りをかったら……」
「大丈夫ですよー。そんな騎士さん、心配しないでください」
朝日奈翼の姉でもあり、ミカエルとして公務を行う朝日奈騎士の言葉にも耳を貸さず、璃維の怒りをさらに倍増させようとする。
そんな真希の心中は……真希以外には分からない。
〈どうせ、紅來君は攻撃できない。桐生刹那が居るから。
それに現段階で私は、桐生刹那にとっての害ではない。
害ではない以上、紅來君は私に攻撃できないもの。
……甘くなりましたねぇ。紅來君。期待してたのに〉
心中で溜息をつきながら真希は一人で呟いた。その言葉は決して外にもれることなく。
「紅來君。いい加減、鈴奈の願いも聞き入れたらどうなの?」
この言葉だけは、真希の璃維に対する苛立ちが表に出た。
鈴奈。しかし、この名前は本名ではない。
本名は、薄奈 鈴也。真希と璃維にとってはとても大事な名前。
初代アッラーフでもあり、本当の創造者。
それが真希や璃維が言う「鈴奈」の素性である。
「忘れたことはないはず。鈴奈の願い。あの子が私たちに初めてねだった、お願い」
「……スズナ?」
真希の言葉に刹那が反応する。
「あぁ、そうか。桐生刹那も絡んでいましたっけ。紅來君」
「どっちにしろ、今の刹那には関係ない」
「関係ないわけないでしょう? 旧アッラーフなのだから」
「アッラーフなんて関係ない、と言っている」
「紅來君。鈴奈の願いを忘れたの?」
「……忘れていない」
「なら、鈴奈の願いにアッラーフは必要不可欠だとも覚えているでしょ?」
「勿論」
「それなのに、どうして邪魔するの?」
最後の言葉はほとんど、苛立ちのみが詰まっていた。
〈これだから、甘いというのです。NEVにいた貴方は今ほど甘くなかった。
鈴奈の……鈴也の願いを叶えるため、どんなに憎まれてもよかった、と話した貴方。
そして今もそれは同じだと私は思っていたのに。
鈴也の願いを叶えるため、冷酷な貴方に期待していたのに……!〉
唇を噛み、心中で毒づく真希を見て璃維は言った。
「だけど、鈴也の願いはかなえる」
「桐生刹那をアッラーフに復職させないで、どうやって鈴也の願いを聞ける、かなえるっていうの!?」
部屋の白い壁を左手で作った拳で叩く。
「スズナ? スズヤ?」
混乱したままの刹那が、真希の言葉の終わりと同時に真希と璃維の間に割って入った。
「桐生刹那っ!?」
「刹那……っ!」
急に視界に飛び込んできた、刹那に驚く二人。
「私には、そのスズヤっていう人は知らない」
「知らないはずないでしょ!? 鈴也は貴女のせいで死んで……!」
涙を流しながら、訴える真希。それに答えるようにして。
「なら、私は覚えてない。そういったほうがいいのかもしれませんね。
でも私は覚えてないのです」
「そんなの、許されるわけない!」
「許す、許さないは貴女の勝手です。しかし、私の意見も聞いてもらいます」
涙でブレる視界に真希は思わず目を見開くほど、衝撃を受けた。
そこには過去、アッラーフの役職を務めたこともある少女が居て、その両目はまっすぐに自分を見つめていた。
「瀬宮さん。私はスズヤさんのことは覚えていません。しかし。
私はスズナさんのことなら知っています」
「!?」
今度は精神も衝撃を受ける。
〈桐生刹那が鈴奈を、知っている? でも、鈴也を知らないなんて……〉
それは予想外の言葉だ。
鈴奈と鈴也は同一人物である。だが、刹那は鈴奈は知っているが鈴也は知らないという。
「私が、スズナさんを知ったのは……夢の中です」
刹那の言葉に、真希は再度、刹那の両目を見返した。
後書き
作者:斎藤七南 |
投稿日:2010/08/03 08:52 更新日:2010/08/03 08:52 『Devil+Angel=Reo』の著作権は、すべて作者 斎藤七南様に属します。 |
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