作品ID:1052
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Verdecken Reich
小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 連載中
前書き・紹介
第1章 プロローグ
前の話 | 目次 | 次の話 |
「どうして・・・、どうして・・・」
薄暗い屋敷の通路を一人行く少女が、震えた声でそう繰り返した。彼女はもはや恐怖と混乱に呑まれてしまっているようで、声どころか全身がガタガタと小刻みに震えてしまっている。その影響で、手に持った懐中電灯から発せられる光すら落ち着きなく揺れてしまっている。
最初はただ『すこし肝試でもしようか』と言うような軽い気分だった。学校で仲のよい4人で噂の亡霊屋敷に入り込んだ。そして、軽い遊び気分などすぐに吹き飛んだ。
最初の一人は、一つ目の部屋で姿を消した。その部屋の探索中に何の前触れもなく姿を消したのだ。部屋のどこかに隠れてるのかと思い隅々まで探したが、その部屋にその子の姿はいなかった。そして、先に部屋の外に出たのかもしれないと思いその部屋を後にした。そしてそれっきりその子と再び会うことはなかった。
二人目は、次の部屋で姿を消した。その部屋に変わった様子がないことと、最初にいなくなった子がいないことを確認すると3人は部屋を後にしようとする。しかし、一番後ろの子が部屋を出る直前に部屋の扉がひとりでに閉じた。そして、刹那にズンと屋敷が揺れたことに驚いてその場にしゃがみこむもすぐに目の前の扉を開けて中にいる子の安否を確認しようとした。だが、部屋の中にその子の姿はなかった。それどころかさっきまで部屋にいたときと明らかに家具の配置が変わってしまっている。言いようのない恐怖にとらわれながらすっかり様相の変わってしまった部屋を確認したが、家具の配置が変わる前に部屋に取り残された子はどこにもいなかった。
そして三人目、二人も消えてしまいさすがに正気でいられなくなってきた彼女たちは、早くこの屋敷を出ようと一目散に最初入ってきた入り口へと急いだ。最初のエントランスに戻ってきた彼女たちは急いで玄関の扉を開けようとするが、なぜかびくともしない。しばらく体当たりをしたりしてどうにか扉を開けようとしたがどうにもならかなった。玄関から出るのは諦めてどこか他の、例えば部屋の窓からでも脱出しようと思ったがなぜかどの部屋も空かない。どこか入れる部屋はと探しまわったおかげですっかり疲れ果ててしまった。廊下で少し休もうと、もう一人の子が廊下の壁に背を預けていた。彼女もその場でしゃがみこみ、息を大きくついた。彼女がその子から目を放したのはその一瞬のことだった。しかし、その子の姿はもうそこにはなかった。
そうして彼女はたった一人っきりになってしまった。恐怖と混乱に支配され、ガタガタと震えながら廊下を進んでいくと、一番奥の部屋が少し空いていた。彼女は、はぐれた誰かがいるのではないかと思い、その部屋に入った。部屋の中には他の部屋でも見たような家具が多数配置されていたが、誰かがいるような気配はなかった。それでも一縷の望みに賭け、いなくなった子達の名を呼びながら部屋を探索した。ふと、彼女が部屋の中のあるものに気をとられた。それは、部屋の中に飾ってあった大きな鏡である。その大きさは人一人の全身を映すには十分なくらいだった。すごい大きな鏡だなあと思いながら彼女は鏡を覗き込んだ。しかし、そのときあることに彼女は気づいた。
「ど、どうして・・・、どうして鏡に・・・私の姿が映ってないの・・・?」
その大鏡は彼女の姿をまるで映していなかった。鏡の向こうには、ただ今自分のいる部屋が映りこんでいるだけだった。しかし、そこに彼女の姿だけが映っていなかった。
「そんな・・・、そんな・・・どうして・・・!?」
もうわけが分からないといったように、彼女は頭をぶんぶんと振った。その時、鏡の向こうで何かがうごめいた気がした。鏡の向こうの家具の影から何かが出てこようとしている。彼女はばっとこちら側の家具の影を見たが、そこには何の変化もなかった。しかし、鏡の中では何かがもぞもぞと動いていた。
やがて、家具の影から出てきたのは1人の少女だった。
その子は、いなくなった彼女の友人の誰でもなかった。少女は10歳くらいの小さな女の子で、良家のお嬢様が着るような上品な黒っぽい洋服を着ていた。金髪蒼眼で、髪の一部をリボンでくくりサイドテールにしていた。肌はあまり日に当たっていないのか、驚くほど真っ白だった。少女は生気のない、しかしどこかぎらついてた目を鏡の中から彼女に向け、鏡のほうへ近づいてくる。
「いや・・・、こないで・・・!!」
彼女が鏡から離れるのと同じぐらい、いや、少し遅いくらいの速さで鏡に近づいてくる。鏡の中の少女が鏡の前まで来たとき、鏡の外の彼女は部屋の壁に背がついていた。鏡の中の少女は、スーッと鏡に向かって手を伸ばし・・・。
結局、亡霊屋敷に入り込んだ4人が再び出てくることはなかった・・・。
薄暗い屋敷の通路を一人行く少女が、震えた声でそう繰り返した。彼女はもはや恐怖と混乱に呑まれてしまっているようで、声どころか全身がガタガタと小刻みに震えてしまっている。その影響で、手に持った懐中電灯から発せられる光すら落ち着きなく揺れてしまっている。
最初はただ『すこし肝試でもしようか』と言うような軽い気分だった。学校で仲のよい4人で噂の亡霊屋敷に入り込んだ。そして、軽い遊び気分などすぐに吹き飛んだ。
最初の一人は、一つ目の部屋で姿を消した。その部屋の探索中に何の前触れもなく姿を消したのだ。部屋のどこかに隠れてるのかと思い隅々まで探したが、その部屋にその子の姿はいなかった。そして、先に部屋の外に出たのかもしれないと思いその部屋を後にした。そしてそれっきりその子と再び会うことはなかった。
二人目は、次の部屋で姿を消した。その部屋に変わった様子がないことと、最初にいなくなった子がいないことを確認すると3人は部屋を後にしようとする。しかし、一番後ろの子が部屋を出る直前に部屋の扉がひとりでに閉じた。そして、刹那にズンと屋敷が揺れたことに驚いてその場にしゃがみこむもすぐに目の前の扉を開けて中にいる子の安否を確認しようとした。だが、部屋の中にその子の姿はなかった。それどころかさっきまで部屋にいたときと明らかに家具の配置が変わってしまっている。言いようのない恐怖にとらわれながらすっかり様相の変わってしまった部屋を確認したが、家具の配置が変わる前に部屋に取り残された子はどこにもいなかった。
そして三人目、二人も消えてしまいさすがに正気でいられなくなってきた彼女たちは、早くこの屋敷を出ようと一目散に最初入ってきた入り口へと急いだ。最初のエントランスに戻ってきた彼女たちは急いで玄関の扉を開けようとするが、なぜかびくともしない。しばらく体当たりをしたりしてどうにか扉を開けようとしたがどうにもならかなった。玄関から出るのは諦めてどこか他の、例えば部屋の窓からでも脱出しようと思ったがなぜかどの部屋も空かない。どこか入れる部屋はと探しまわったおかげですっかり疲れ果ててしまった。廊下で少し休もうと、もう一人の子が廊下の壁に背を預けていた。彼女もその場でしゃがみこみ、息を大きくついた。彼女がその子から目を放したのはその一瞬のことだった。しかし、その子の姿はもうそこにはなかった。
そうして彼女はたった一人っきりになってしまった。恐怖と混乱に支配され、ガタガタと震えながら廊下を進んでいくと、一番奥の部屋が少し空いていた。彼女は、はぐれた誰かがいるのではないかと思い、その部屋に入った。部屋の中には他の部屋でも見たような家具が多数配置されていたが、誰かがいるような気配はなかった。それでも一縷の望みに賭け、いなくなった子達の名を呼びながら部屋を探索した。ふと、彼女が部屋の中のあるものに気をとられた。それは、部屋の中に飾ってあった大きな鏡である。その大きさは人一人の全身を映すには十分なくらいだった。すごい大きな鏡だなあと思いながら彼女は鏡を覗き込んだ。しかし、そのときあることに彼女は気づいた。
「ど、どうして・・・、どうして鏡に・・・私の姿が映ってないの・・・?」
その大鏡は彼女の姿をまるで映していなかった。鏡の向こうには、ただ今自分のいる部屋が映りこんでいるだけだった。しかし、そこに彼女の姿だけが映っていなかった。
「そんな・・・、そんな・・・どうして・・・!?」
もうわけが分からないといったように、彼女は頭をぶんぶんと振った。その時、鏡の向こうで何かがうごめいた気がした。鏡の向こうの家具の影から何かが出てこようとしている。彼女はばっとこちら側の家具の影を見たが、そこには何の変化もなかった。しかし、鏡の中では何かがもぞもぞと動いていた。
やがて、家具の影から出てきたのは1人の少女だった。
その子は、いなくなった彼女の友人の誰でもなかった。少女は10歳くらいの小さな女の子で、良家のお嬢様が着るような上品な黒っぽい洋服を着ていた。金髪蒼眼で、髪の一部をリボンでくくりサイドテールにしていた。肌はあまり日に当たっていないのか、驚くほど真っ白だった。少女は生気のない、しかしどこかぎらついてた目を鏡の中から彼女に向け、鏡のほうへ近づいてくる。
「いや・・・、こないで・・・!!」
彼女が鏡から離れるのと同じぐらい、いや、少し遅いくらいの速さで鏡に近づいてくる。鏡の中の少女が鏡の前まで来たとき、鏡の外の彼女は部屋の壁に背がついていた。鏡の中の少女は、スーッと鏡に向かって手を伸ばし・・・。
結局、亡霊屋敷に入り込んだ4人が再び出てくることはなかった・・・。
後書き
作者:風太 |
投稿日:2012/07/19 14:44 更新日:2012/07/19 14:46 『Verdecken Reich』の著作権は、すべて作者 風太様に属します。 |
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