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人魚姫のお伽話
小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 完結
前書き・紹介
「貴悠先生の疑問と先輩ドクターと看護師長の苦笑い」
前の話 | 目次 | 次の話 |
「給料三か月分っていうのは、ボーナス払いで払うんですか? それとも分割で? 貯金から崩しても問題ないんですか?」
唐突過ぎる貴悠の言葉に、小児科病棟の最年長ドクターは瞳を瞬かせた。
「…………」
あまりのことにだんまりを決め込んだ先輩ドクターに構わず、貴悠は続ける。
「三か月分のダイヤモンドさえ入ってたら、他に何か決まりは特にないんですか?」
最年長ドクターはまだ言葉を失っている。
「……仁科センセの思われるようにしたらいいんじゃないでしょうか?」
見兼ねたとばかりに助けの声を出したのは、詰め所に居合わせた病棟看護師長。その言葉に、貴悠は疑問符を浮かべた。
「ネットや雑誌で調べたんですけど、今一つよく解らなくて…………。そーいうものなんでしょうか?
あ、給料三ヶ月っていうのは、もしかして、前借りするんですか? 病院、そんな制度ありましたっけ?」
貴悠の言葉に、何故か病棟看護師長と最年長先輩ドクターは頭を抱えた。
「……ええと、センセ? まず、一息入れて落ち着きましょうか。給料前借りして、その後はどうなさるおつもりで?」
「まぁ、貯金崩すしかないかなぁと思いますけど…………」
貴悠の応えに、病棟看護師長は溜め息を吐く。
「でしたら、最初から貯金崩してください。給料三か月分のダイヤが云々と言い出されてるとこからして、お考えになってくださいな。
その後、日常生活だけでなくて、結婚指輪や式の費用も重なってくるんですよ? その辺りはどうお考えでした?」
「あ、一応、それなりの貯金はあるつもりなんですけど……。働き始めてからも、特に金銭面の嵩む趣味とかもなかったですし、大きな買い物も中古の軽ぐらいでしたし…………」
病棟最年長ドクターが、コホンと咳払いする。
「……センセ、でしたら話、簡単ですよね?」
「ええと?」
貴悠が傾げた首に、看護師長は眉間を押さえた。
「…………まず、婚約指輪は貯金からお買いになりましょう。それと、この話、当然、お相手に伝わってるんですよね? 勿論、長谷川優卵さんに」
「いや、伝えてないです。彼女、あと二月ちょっとで誕生日なんで、誕生日に」
貴悠の応えに、最年長先輩ドクターと病棟看護師長は、どうしてなのか、目を見張った。
「……つまり、相手の承諾も得てないまま、三か月分のダイヤ、ご用意なさるおつもりですか?」
「え? それ、用意するの、承諾得てからなんですか? 承諾得る場面で、必要なんじゃ?」
貴悠の大真面目な言葉に、それまでだんまりを決め込んでいた最年長ドクターが口を挟んだ。何故なのかは解らないが、酷く疲れた様子で……。
「…………まぁ、もう、仁科先生の思われるようになさい。……うん、大丈夫でしょう」
「?」
貴悠が詰め所を後にした頃、詰め所の中にはぐったりと精神的に疲労させられた病棟最年長ドクターと病棟看護師長…………。
「……うちのアイドルは天然でしたか?」
答えて…………。
「……天然の域を軽く越えてると思うのは…………。いえ、何でもないです」
苦笑いというよりも空笑いに近い言葉が返る。
「相手のお嬢さん、彼の性格は知っとりますよね?」
「…………ええ、まぁ……。とんでも発言や行動には慣れてるでしょう」
「優卵の婚約指輪を探したいから、今日の休み、付き合ってくれ」
「…………朝の八時にいきなり電話寄越して、用件、それかよっ!?」
――――当然、巻き込まれる羽目に陥った彼の友人は、頭を抱えた……。
唐突過ぎる貴悠の言葉に、小児科病棟の最年長ドクターは瞳を瞬かせた。
「…………」
あまりのことにだんまりを決め込んだ先輩ドクターに構わず、貴悠は続ける。
「三か月分のダイヤモンドさえ入ってたら、他に何か決まりは特にないんですか?」
最年長ドクターはまだ言葉を失っている。
「……仁科センセの思われるようにしたらいいんじゃないでしょうか?」
見兼ねたとばかりに助けの声を出したのは、詰め所に居合わせた病棟看護師長。その言葉に、貴悠は疑問符を浮かべた。
「ネットや雑誌で調べたんですけど、今一つよく解らなくて…………。そーいうものなんでしょうか?
あ、給料三ヶ月っていうのは、もしかして、前借りするんですか? 病院、そんな制度ありましたっけ?」
貴悠の言葉に、何故か病棟看護師長と最年長先輩ドクターは頭を抱えた。
「……ええと、センセ? まず、一息入れて落ち着きましょうか。給料前借りして、その後はどうなさるおつもりで?」
「まぁ、貯金崩すしかないかなぁと思いますけど…………」
貴悠の応えに、病棟看護師長は溜め息を吐く。
「でしたら、最初から貯金崩してください。給料三か月分のダイヤが云々と言い出されてるとこからして、お考えになってくださいな。
その後、日常生活だけでなくて、結婚指輪や式の費用も重なってくるんですよ? その辺りはどうお考えでした?」
「あ、一応、それなりの貯金はあるつもりなんですけど……。働き始めてからも、特に金銭面の嵩む趣味とかもなかったですし、大きな買い物も中古の軽ぐらいでしたし…………」
病棟最年長ドクターが、コホンと咳払いする。
「……センセ、でしたら話、簡単ですよね?」
「ええと?」
貴悠が傾げた首に、看護師長は眉間を押さえた。
「…………まず、婚約指輪は貯金からお買いになりましょう。それと、この話、当然、お相手に伝わってるんですよね? 勿論、長谷川優卵さんに」
「いや、伝えてないです。彼女、あと二月ちょっとで誕生日なんで、誕生日に」
貴悠の応えに、最年長先輩ドクターと病棟看護師長は、どうしてなのか、目を見張った。
「……つまり、相手の承諾も得てないまま、三か月分のダイヤ、ご用意なさるおつもりですか?」
「え? それ、用意するの、承諾得てからなんですか? 承諾得る場面で、必要なんじゃ?」
貴悠の大真面目な言葉に、それまでだんまりを決め込んでいた最年長ドクターが口を挟んだ。何故なのかは解らないが、酷く疲れた様子で……。
「…………まぁ、もう、仁科先生の思われるようになさい。……うん、大丈夫でしょう」
「?」
貴悠が詰め所を後にした頃、詰め所の中にはぐったりと精神的に疲労させられた病棟最年長ドクターと病棟看護師長…………。
「……うちのアイドルは天然でしたか?」
答えて…………。
「……天然の域を軽く越えてると思うのは…………。いえ、何でもないです」
苦笑いというよりも空笑いに近い言葉が返る。
「相手のお嬢さん、彼の性格は知っとりますよね?」
「…………ええ、まぁ……。とんでも発言や行動には慣れてるでしょう」
「優卵の婚約指輪を探したいから、今日の休み、付き合ってくれ」
「…………朝の八時にいきなり電話寄越して、用件、それかよっ!?」
――――当然、巻き込まれる羽目に陥った彼の友人は、頭を抱えた……。
後書き
作者:未彩 |
投稿日:2016/01/19 12:51 更新日:2016/01/19 12:51 『人魚姫のお伽話』の著作権は、すべて作者 未彩様に属します。 |
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