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壊滅都市物語-Devastated City Story-
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前書き・紹介
episode:07 『Don't Stop Me Now』
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「了解――しかし、どうやって道を作るつもりだ?」
「あそこからガンガン狙撃してるって事は、64式だろ?流石にあの数は――」
大矢の言葉を遮るように、頭上から"ドォン"という音と共に何かが発射され、ゾンビの群れが文字通り"吹っ飛ぶ"。
「……なぁ、大矢。あの女、カール君ぶっ放したぞ?」
「あぁ、間違いなくグスタフ君だ。あ、ぶっ飛んだ車がゾンビの群れに突っ込んだ。なんちゅうコンボだよ……こぇぇよ」
壊滅都市物語-Devastated City Story-
episode:07 『Don't Stop Me Now』
泉美のハイテンションな叫び声と共に、今度は腹の底から響くような重低音が炸裂する。
勿論、連射で。
「ちょっと待て!今度は何だ!何が起こるんです!?」
「第三次世界大戦だ――って、滝本!何とかしろ今度はブローニングぶっ放してんぞ!?」
「泉美、聞こえるか!?俺達が前に進めん!射撃を止めろ!」
「――駄目だ、こりゃ。ランボーが憑依しとるわ」
「このままじゃ、一人でゾンビ軍団壊滅させそうな勢いだな。どうするよ?」
「まぁ、泉美がゾンビを引き付けている間に――"ドォン"……またカール君ぶっ放しやがった」
「グスタフだけは止めさせろ!着弾した時にこっちまで破片が飛んで来るんだよ!全身痣だらけだ!?」
「俺もだよ、畜生!泉美め、俺達をも殺す気かぁ!?親父さん、聞いてんだろ?あんたの娘が暴走してる!なんとかしてくれ!」
「「即答すんなぁぁぁぁぁ!!」」
爆風で吹っ飛んだ鉄帽を被りなおし、89式を両手で構える。
「こうなったら、仕方が無ぇ。壁伝いに進むぞ!」
「デルタの人は壁伝いに進むなって、言ってた」
「相手は民兵じゃなくてゾンビだ!間違ってもRPGなんて飛んでこねぇよ!」
「滝本、バイオ4と5をプレイした事あるか?」
「「…………」」
俺は大矢の肩を軽く叩き、そのまま駆け出した。
「すまん、俺が悪かった」
「思わず、銃乱射するゾンビを想像しちまったよ。勘弁してくれ、大矢」
5月2日 午後8時06分
「見えたぞ、大矢!」
「おう!俺が運転する、滝本は援護を頼むぜ!」
一番手前に停車していた車両(74式特大型トラック)の周りをうろついていたゾンビを排除し、大矢が転がり込むように運転席へと入り込んだ。
俺も、89式のバースト射撃で助手席側のゾンビを排除し、運転席の大矢を覗き込む。
「大矢、どうだ?」
「鍵は挿しっぱなしだ!いけるぜ!」
キュルル、という音の後にエンジンが動き始める。
「――良し、このまま北側の入り口に停めてくれ。俺はそこの高機動車で付いてくから」
「おう、任せとけ!バックすんぞ!」
――キュッコ、キュッコ、キュッコ
「……なんでバックするのにワイパー動かす必要があんだよ」
「あれ?シフトノブってこれじゃないのか?あ、これか」
――カチ、カチ、カチ
「そりゃウィンカーだ馬鹿野郎っ!つーか、そんな所についてる訳ねぇだろうがボケぇ!!」
「えー親父のキャラバンはここに着いてたぜ?」
「そりゃぁAT車だアホ!お前は免許持ってんのかよ!」
「AT限定で」
「一回ゾンビに喰われて来いクソタワケ!もう良い、俺が運転するからそこを退けぇ!」
大矢を助手席に移動させ、俺は運転席に転がり込んだ。
「いくぞ、大矢ぁ!」
「いや、滝本?俺はすごく不安なんだが。お前が軽以外を運転してる所を見た験しがない」
「お前よかマシだ――うぉぉぉぉぉ、パワァァァァァァァァ!!」
「ジェレミーが憑依してんのかよ!うぉぉ!前!前!ゾンビの群れに突っ込むぞ!」
構うものか、こちとら軍事車両だ!
減速どころか、むしろ加速してゾンビの群れを吹っ飛ばす。
その際、フロントガラスに血飛沫が飛ぶが、ワイパーで拭うから無問題。
「そーりー」
「ダイ・ハードのゲームかよっ!って、ここは制限時速20kmだろ!?どう考えても80以上出てるじゃねーか!」
「安心しろ、大矢。歩行者はゾンビ以外に居ないから」
「そうじゃなくて、急カーブだ!急カーブ!ガードレールを突き破る気なのか!?」
「大丈夫だ!今の俺にはスティッグが憑依している!」
「奴は喋らないだろうがぁぁぁ!イヤダァァァ!!降ろしてくれぇぇぇ!!」
ハンドルを思いっきりぶん回し、ガードレールを潰しながら急カーブをクリアする。
ついでに、ゾンビが何体か巻き込まれたようだが――まぁ、気にしたら負けだ。
「お、北側の入り口が見えてきたぞ?」
「……もう、やだ、こんな人生。やっぱ、MTで免許取っておくべきだった」
「今更遅ぇよ、大矢。なんなら今から車校にでも通うか?」
「ゾンビの教官に教えてもらえってか?間違いなく食われるだろ!」
そうこう言い合ってる間に、出入り口へと到着する。
「バックで停めるから、大矢はそこから後ろ見ててくれ。でか過ぎて一人じゃ無理だ」
「ゾンビが群れてるけど、轢き殺せば良いから大丈夫か。いいぞーそのままバックだ」
「りょーかい」
ハンドルを軽く操作しながら、運転席側から顔を出して後ろを見る。
うん、ゾンビが群れてるな。なんか、この光景にも慣れてきた。
「あー、もうちょい右ー」
「あいよー」
大矢の言葉道理に、ハンドルを右に切る。
――んん?このままだとぶつからないか?主に入り口に。
「おい、本当に大丈夫か?」
「おう、このまま真っ直ぐだ。ゆっくりとなー、そう、そのま――あ」
――バリン
――ガキガキキキ
――ドン。
「当たった!当たったって!」
「当たる前に言えよこの馬鹿!見事にのめり込んじまったじゃねーか!?」
「仕方ないだろうが!ゆっくりだって言ってんのに、スピード緩めねぇから!」
「俺のせいかよ!?ゾンビ殺さなきゃならんからしょうがないだろうが!?」
ギャーギャーと騒ぎながら、二人して助手席側から降りる。
……見事に挟まってんな、このトラック。
「あ、あぁ、親父さん。大丈夫だ。北側は封鎖した。か、完璧に」
「そりゃ、ここまでのめり込ませればゾンビも入れんわなぁ?」
「えぇ、大丈夫です。このまま、南と西も封鎖します」
俺達はそう親父さんに告げると、再び走り始めた。
「滝本、今度はそれぞれ別に運転しようぜ?後2回もお前の助手席に乗るのは嫌じゃ!」
「分かった、せいぜい、ゾンビに足を喰われんように気をつけろよ?」
後書き
作者:δ-3 |
投稿日:2011/05/11 16:12 更新日:2011/05/11 16:12 『壊滅都市物語-Devastated City Story-』の著作権は、すべて作者 δ-3様に属します。 |
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