No.17


今日はえいえんの最初の日01

ウォロ
 {{ namae }}がシンオウ地方に入り込んで数ヶ月が経った。何とか{{ namae }}は飢え死ぬことなく生きている。幸いポケモンを使ってバトルをすることが出来たので、路地裏で行われているポケモンバトルをすることで幾ばくばかりの日銭を得て暮らしていた。{{ namae }}自身はそのバトルは恐らく違法のものなのだろうと察している。しかし{{ namae }}には戸籍が無い。戸籍が無いと言うことは、端的に言ってしまえば信頼が無い。{{ namae }}はどうにかして安いアパートの一室を借りて何とかして生きている。
 {{ namae }}は元々シンオウ地方がヒスイ地方と呼ばれている時代の人間だった。ギンガ団の一員としてポケモンを捕まえ、時には使役し、ポケモンの生態について研究をしていた。あるときから突然現れたショウと{{ namae }}自身の同期であるテルと楽しく村で過ごしていた。ショウはめきめきと頭角を現していった。様々な困難がありつつもショウは立ち向かっていき、ギンガ団の一員として認められた。最終的には図鑑を完成するまでに至ったのだった。その日のことを{{ namae }}は今も鮮やかに思い出すことができる。
 {{ namae }}がシンオウ地方へやってきたのは、通称、時空の歪みによるものだった。天冠の山麓に生息するニューラの生態を調査するために少女はやってきた。その時に時空の歪みが発生した。{{ namae }}はショウやテルから珍しいポケモンがいることや珍しい道具が落ちていることを聞いて、時空の歪みに入り込んだのだ。当然珍しいポケモンも道具もあった。{{ namae }}は手持ちのポケモンたちと共に珍しいポケモンと戦っては捕まえていた。だが一際大きな風が吹きあがり、{{ namae }}の身体を浮かび上がらせた。思わず{{ namae }}はきつく目を瞑った。
 次に目を開くと、見たこともない程高い建物の前にへたり込んでいた。聞いたことのない単語に、見たことのない乗り物に{{ namae }}はただただ驚いた。自身が所属しているギンガ団のことを尋ねれば、良く解らないものを開発していると返された。泣きそうにながらも、ここはヒスイ地方のどこですかと聞けば、ヒスイ地方はずうっと昔についていた名称だと返って来た。{{ namae }}はその場で卒倒した。次に目を開くと、ポケモンセンターと呼ばれる所にいた。しかし帰る家もなく、自身の身分を証明するものも手立てもなく、{{ namae }}はポケモンと当てもなく歩き、今に至るのだった。
 今日は何とか生きていけたが、明日はどうなるかはわからない。ポケモンよりも、見知らぬ人たちの方が{{ namae }}にとって恐ろしかった。
 この日は比較的日銭を多く稼ぐことが出来た。{{ namae }}はそういった日には外を歩く事にしていた。道には露店が疎らに並んでいる。少女は半分冷やかしの気持ちで露店を覗く。モンスターボールを模した飾りや金属を加工したアクセサリーがある。そのアクセサリーの一つに、イチョウの形をしたネックレスがあった。
 イチョウ商会にいた、歴史の事になると饒舌になる、穏やかな人を思い出す。金色の髪に、萌黄色の目が印象的だ。会いたくても会えない人だ。ショウから、きっともう会えないだろうと言われた夜、{{ namae }}は声を押し殺して泣いた。どうしてショウがそんなことを告げたのか、{{ namae }}には解らない。死んだの、と問うたが、ショウは黙って首を横に振るだけだった。結局あの山で何があったのか少女は知らない。

「{{ namae }}さん?」

 {{ namae }}は思わず顔を上げた。この時代に{{ namae }}の名を知っている人など存在しない、筈だ。
 帽子を被った露店の店主が{{ namae }}を見ている。金色の前髪が左目を隠している。吊り上がった、新緑を彷彿とさせる色をした目が丸くなっている。{{ namae }}はゆっくりと瞬きをした。記憶で見た、会いたかった人だ。ヒスイで、故郷で過ごした時間が鮮明に蘇る。記憶が鮮やかな濁流となって{{ namae }}の脳味噌を呑み込んだ。残った安堵感が声を上げて泣いている。
 あ、と店主が我に返ったように声を上げた。首を横に振り、少しだけ寂しそうに笑う。

「すみません、アナタがジブンの知り合いによく似ていて、」
「ウォロさん……?」

 え、と店主が戸惑ったような声をあげた。本当に、{{ namae }}さん、と店主――ウォロが、ほんのわずかに上擦ったような声を上げる。{{ namae }}の目から涙がぽろぽろと零れる。{{ namae }}の喉が引きつり、上手く言葉が紡げなくなる。私、私です、コトブキムラの、ギンガ団の{{ namae }}です、と言ったきり{{ namae }}はそれ以降の言葉を紡げなかった。ただただ迷子になった子供のように泣きじゃくるしか出来なかった。

2022/06/06
 {{ namae }}がシンオウ地方に入り込んで数ヶ月が経った。何とか{{ namae }}は飢え死ぬことなく生きている。幸いポケモンを使ってバトルをすることが出来たので、路地裏で行われているポケモンバトルをすることで幾ばくばかりの日銭を得て暮らしていた。{{ namae }}自身はそのバトルは恐らく違法のものなのだろうと察している。しかし{{ namae }}には戸籍が無い。戸籍が無いと言うことは、端的に言ってしまえば信頼が無い。{{ namae }}はどうにかして安いアパートの一室を借りて何とかして生きている。
 {{ namae }}は元々シンオウ地方がヒスイ地方と呼ばれている時代の人間だった。ギンガ団の一員としてポケモンを捕まえ、時には使役し、ポケモンの生態について研究をしていた。あるときから突然現れたショウと{{ namae }}自身の同期であるテルと楽しく村で過ごしていた。ショウはめきめきと頭角を現していった。様々な困難がありつつもショウは立ち向かっていき、ギンガ団の一員として認められた。最終的には図鑑を完成するまでに至ったのだった。その日のことを{{ namae }}は今も鮮やかに思い出すことができる。
 {{ namae }}がシンオウ地方へやってきたのは、通称、時空の歪みによるものだった。天冠の山麓に生息するニューラの生態を調査するために少女はやってきた。その時に時空の歪みが発生した。{{ namae }}はショウやテルから珍しいポケモンがいることや珍しい道具が落ちていることを聞いて、時空の歪みに入り込んだのだ。当然珍しいポケモンも道具もあった。{{ namae }}は手持ちのポケモンたちと共に珍しいポケモンと戦っては捕まえていた。だが一際大きな風が吹きあがり、{{ namae }}の身体を浮かび上がらせた。思わず{{ namae }}はきつく目を瞑った。
 次に目を開くと、見たこともない程高い建物の前にへたり込んでいた。聞いたことのない単語に、見たことのない乗り物に{{ namae }}はただただ驚いた。自身が所属しているギンガ団のことを尋ねれば、良く解らないものを開発していると返された。泣きそうにながらも、ここはヒスイ地方のどこですかと聞けば、ヒスイ地方はずうっと昔についていた名称だと返って来た。{{ namae }}はその場で卒倒した。次に目を開くと、ポケモンセンターと呼ばれる所にいた。しかし帰る家もなく、自身の身分を証明するものも手立てもなく、{{ namae }}はポケモンと当てもなく歩き、今に至るのだった。
 今日は何とか生きていけたが、明日はどうなるかはわからない。ポケモンよりも、見知らぬ人たちの方が{{ namae }}にとって恐ろしかった。
 この日は比較的日銭を多く稼ぐことが出来た。{{ namae }}はそういった日には外を歩く事にしていた。道には露店が疎らに並んでいる。少女は半分冷やかしの気持ちで露店を覗く。モンスターボールを模した飾りや金属を加工したアクセサリーがある。そのアクセサリーの一つに、イチョウの形をしたネックレスがあった。
 イチョウ商会にいた、歴史の事になると饒舌になる、穏やかな人を思い出す。金色の髪に、萌黄色の目が印象的だ。会いたくても会えない人だ。ショウから、きっともう会えないだろうと言われた夜、{{ namae }}は声を押し殺して泣いた。どうしてショウがそんなことを告げたのか、{{ namae }}には解らない。死んだの、と問うたが、ショウは黙って首を横に振るだけだった。結局あの山で何があったのか少女は知らない。

「{{ namae }}さん?」

 {{ namae }}は思わず顔を上げた。この時代に{{ namae }}の名を知っている人など存在しない、筈だ。
 帽子を被った露店の店主が{{ namae }}を見ている。金色の前髪が左目を隠している。吊り上がった、新緑を彷彿とさせる色をした目が丸くなっている。{{ namae }}はゆっくりと瞬きをした。記憶で見た、会いたかった人だ。ヒスイで、故郷で過ごした時間が鮮明に蘇る。記憶が鮮やかな濁流となって{{ namae }}の脳味噌を呑み込んだ。残った安堵感が声を上げて泣いている。
 あ、と店主が我に返ったように声を上げた。首を横に振り、少しだけ寂しそうに笑う。

「すみません、アナタがジブンの知り合いによく似ていて、」
「ウォロさん……?」

 え、と店主が戸惑ったような声をあげた。本当に、{{ namae }}さん、と店主――ウォロが、ほんのわずかに上擦ったような声を上げる。{{ namae }}の目から涙がぽろぽろと零れる。{{ namae }}の喉が引きつり、上手く言葉が紡げなくなる。私、私です、コトブキムラの、ギンガ団の{{ namae }}です、と言ったきり{{ namae }}はそれ以降の言葉を紡げなかった。ただただ迷子になった子供のように泣きじゃくるしか出来なかった。

2022/06/06
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