其之五十五
※ぬるいエロ。読み飛ばしても支障なし
しあわせいっぱいの結婚式が終わった夜。お風呂から上がったは、我が家の安心感を味わいながら就寝前の読書に勤しんでいた。そこに、日中の窮屈な衣装で凝り固まった身体を解すように軽く鍛錬し、お風呂で汗を流してきた悟空がやってくる。
「なあ、」
「うん?」
するりとと一緒の寝床に入った悟空が呼び掛けると、は本から悟空へ視線を移した。
「今日じいちゃんにさ、早く孫の顔見せろって言われたんだけどよ……それってどうやったら見せられんだ?」
ばりーん!!
悟空の衝撃発言に、辞書並みに分厚い本がの手によっていとも簡単に真っ二つに裂かれる。もはや見慣れてしまったの馬鹿力に突っ込む者などこの場にいるはずもなく、目を見開いたまま黙ってしまったを、首を傾げながら悟空は眺めていた。
「えと……孫っていうのは、悟飯さんから見たら私たちの子供のことを指すんだけど……」
は視線を落として歯切れ悪く話し始めた。
「悟空は、私との子供欲しいの……?」
自分から訊いたくせに悟空の答えが気になって、髪を触ったり視線を泳がせたりとどうにも落ち着かない。
「オラはが欲しいってんなら欲しいぞ!」
をなによりも一番に考えて出した回答がなんとも悟空らしい。
己の不死の体を化け物だと自虐していただけでなく、世界をも救ってしまった悟空の笑顔。そんな顔を見てしまったら、もし生まれてきた子供が自分と同じように不死の体を持っていたらどうしようと悩んでいたのがアホらしくなってくる。が何者であろうとはだと受け入れ、そばにいてくれればなにもいらないと豪語した悟空。そんな悟空だからはずっととなりにいたいと願い、結婚したのだ。その気持ちを自分が信じなくてどうする。
「私……悟空との子供、欲しい」
は心を決めた。
月明りに照らされた美しい肢体の上を悟空の唇が滑るたびにが息を弾ませる。込み上げる愛おしさと甘やかな快楽で、やわらかな曲線を描く頬に涙が伝う。悟空はその雫ごと瞼にキスを落とし、の可愛らしい唇を食んだ。存在を確かめるよう互いに舌を押し付け合い、呼吸を乱していく。苦しささえも快感へと変わっていった。そのふたりの手は、ひとつになりたいと願うようにぎゅっと指を絡ませている。
「……」
「悟空……」
頭は真っ白で、けれどもなにか伝えたくて、切なさに眉を寄せて見つめ合う。思わず名を呼べば、愛情が激流を起こして全身を駆け巡った。
「ふぁ……ッ、あ、ン……」
引き締まったくびれから上方へ辿っていくと、ふたつのまろやかな丘に到達する。悟空の武骨な手で包み込んでしまえば、いとも容易くかたちを変えていく。次第にその頂点が悟空にもっと強く触れて欲しいと主張してきた。素直に従って桃色の頂を口に含み、もう一方を摘まみ上げると、は嬉しそうに声を震わせた。いつ聞いても腰にクるの嬌声に、悟空は思わず自身の猛りをの大腿に押し付けてしまう。それだけで悟空の興奮が伝わり、の子宮がきゅんと悦んだ。
「のここに、オラのが……」
ナカを悟空の太い指でかき回せば、うねうねと快感に波打ち、どろどろと愛欲が溢れかえる。甘美な坩堝に舌を這わせる悟空はうっとりと呟いた。
肌を合わせる愛情表現をに教えてもらい、悟空は男としての快楽を覚えた。これ以上満たされることはないと思っていた。しかし悟空は時々行き場のない欲望に襲われることがあった。もっとと深く繋がりたい。もっとが欲しい。薄汚くて浅ましい欲望はを傷つけそうで、ひたすらに隠していたのだが、に性行為をする意味、すなわち赤ちゃんのつくり方を教われば、悟空は自身の底なしの欲に納得した。ずっと自分はのナカに自身を埋め込みたかったのだ。の秘めた花園こそが、自身を満たす本来の居場所だと雄の本能に攻め立てられていたのだ。
「悟空の赤ちゃんの元、私のナカにぜんぶちょうだい」
は今日初めて本当に余すところなく悟空にすべてを捧げる。そんなは恥ずかしさよりも本能に支配されていた。
は悟空のぜんぶを欲し、悟空もまたのすべてを欲した。
「痛かったら言えよ」
「んっ……」
の泥濘をならすように悟空の潤んだ先端が上下に秘裂をなぞり、時折ぷっくりと腫れ上がった敏感な芽を刺激しつつ滑りを良くしていく。やがて悟空を誘うようにぴっとりと媚肉が張り付いてきたので、ゆっくりと狭い花園を掻き分けて押し進める。に痛みはなかった。どちらかというと圧迫感の方が強い。これがしあわせの質量なのだと思うと、自然と涙がこぼれてくる。
「悟空……ぎゅってして」
手を伸ばせば、すぐそばに愛するひとがいる。それがどれほどしあわせなことなのか、生死を共に乗り越えてきた悟空とだからこそわかる。
永遠だなんて簡単には口にしない。だからせめてこの瞬間をほんの少しでも長く感じさせてほしい。
「……あったけえ」
の熱が悟空の熱をすべて覆う。わずかな隙間すら許さぬふたりは、とろけるようにきつくきつく抱き合った。
「もっと……もっと私を愛して……」
縋るように絞り出された劣情は酷く雄を刺激する。そうなったらもう貪るようにを求めるしかなかった。悟空はだらしなくにずぶずぶとのめり込んでいく。
「あっあ゛っ! ご、くぅ、ごっ、くぅ……ッ!」
「ッ……! これではオラの……ぅ、く、……はぁっ、オラの、もんだ……!!」
ようやくのすべてを手にした悟空は、自身をに刻む。飽きることなく何度も何度もの最奥に欲望を埋め込むよう昂りを打ち付けた。じゅぷじゅぷとの蜜壷から愛液と子種が溢れ出るものだから、悟空はもったいなくてさらに強く楔を穿つ。
「んぁ、はっ……ひゃ、ぁ……ぜんぶ、ごく、の……」
「ああ……っ、……ぜんぶ、オラんだ」
応えるようにのナカがきゅうきゅうと悟空を逃すまいと収縮を繰り返す。さっきも放出したばかりだというのに、悟空はすぐにまたのナカを自分の白濁とした欲でいっぱいにしたくなった。
「ごくぅ……っご、く、も……あぁん! わたっ、わたしの……っ!」
「ッん、に……、ぜんぶやる……!」
絶対に誰にも渡さない。何者にも奪わせない。決して。
「どうしようも、ねえくれえ……オラ、を愛してる……!」
「私も……っ、私も、悟空を愛してる……!!」
汗を散らし、我を忘れ、互いの愛を吸い尽くす。やがて愛しか吼えられない狂った獣と化した。そうしてふたりだけの世界に沈み、溺れてゆく。
気づけば夜は更け、山際に薄っすらと光が折り重なる。その美しい朝日の誕生は、まるで固く結ばれた悟空とを祝福するようであった。