No6
「ただいまー!!」
「しょーたくぅーん、愛しのひざしくんが帰ってきましたよー」
の電話の相手はプレゼントマイクこと山田ひざしであった。もともと山田と買い物に行く約束をしていたは、山田が仕事を終えるまで課題をしながら時間を潰そうとハンバーガーショップに来ていたのだ。そんな計画もクラスメイトに出会って爆豪と成り行きで一緒に帰ることになったことでおざなりになってしまい、仕事を終えた山田から電話がかかってきてしまった。そしてお目当ての物を買い終えたと山田は相澤消太が住むマンションへと帰ってきたのだった。
「お前ら……もっと静かに帰ってこれないのか……」
ソファベッドに腰掛けながらパソコンを弄る相澤は至極不機嫌だ。あからさまに眉を顰めている相澤を気に留める様子もなく、山田は台所で夕飯用に買ってきた食材を次々とゼリー飲料と水しか入っていない冷蔵庫へと放り込んでいた。はで相澤の隣を陣取って、今日の出来事を話しながら買ってきた戦利品を開封し始める。まさにカオス。相澤にとったら地獄絵図だ。
「夏休みにね、俊典さんと海に行くから水着買ってきたんだあ! ひざしくんに選ぶの手伝ってもらったの!」
超可愛いの!と興奮気味に話すはとてもプロヒーローには見えない。その辺の女子中学生と一緒だ。相澤の不得手なタイプである。それでも相澤の領域に入ることを許してしまうのは慣れなのか、はたまたの独特な雰囲気に呑まれているのか。それも悪くないと思ってしまうあたり八木と同類で、つくづくお姫様には甘いのであった。
「っておい、お前のその水着はなんだ。布の面積が少なすぎる。水の抵抗を受けやすい。合理性に欠ける。スクール水着にしろ」
「おいおい、ショータァ自分の性癖をに押し付けんなよ」
「えっ消太くんスク水の方が好きなの?!」
複雑そうな顔して相澤の顔を覗き込むの瞳は純真そのものだ。それ故になんでも信じてしまう節があるのが難点である。
「違う」
「、ショータはがこれ以上可愛くなるのが心配でならねーんだとよ」
「えっ消太くん私可愛い? 可愛いっ?!」
「うるせえ。ばあさん呼ぶぞ」」
「ごめんなさい調子乗りました……!」
普段は好き勝手に、それこそ無自覚に人のことを振り回しているだが、唯一頭が上がらないのが祖母であるリカバリーガールこと修善寺治与だ。幼い頃から周りに甘やかされてきただからこそ、リカバリーガールはその何倍も厳しく育てた。おかげで公衆の面前では完璧にヒーローとして一人前に振る舞えることが出来る。
「ところで、お前課題は終わったのか?」
「ふぇ?!」
「早く終わらせろ。今すぐ。ここで」
「消太くん! まだ私なにも言ってないよ?!」
の反応を見たら嫌でもわかる。
専門的な知識はリカバリーガールによって幼い頃から叩き込まれ、そっちの方は覚えが良いらしいが、どうも一般教養となると話は別らしい。
「雄英の筆記試験に合格しないと入学させねーってリカバリーガール言ってなかったか?」
「ひざしくんなぜそれを!!」
「俺たちが甘やかさないようにばあさんが言ってきたんだよ。おら、早く課題出せ」
おばあちゃん!!!と声を荒げるは、やはり自分の祖母には一生勝てそうにないと思っていた。